2019年7月17日 (水)

「第六百八十三話」

「何だよ。喫茶店に呼び出したりしてさ。」
「呼び出すなら喫茶店だろ?」
「いや、他にもあるだろ。」
「体育館の裏とか?」
「何でだよ!何で卒業して何十年も経ってんのに今さら体育館の裏で決闘なんだよ!」
「告白かもしれないだろ?」
「どっちも嫌だよ!で?何か話があって呼び出したんだろ?金は貸せないけど、悩みなら聞けるぞ?」
「実は俺、昨日から超能力が使えるようになったんだよ。」
「帰る!」
「帰る?帰るって、あの!?」
「あの帰る以外に他に帰るがあるのか?そんなウソに付き合ってるほど暇じゃないんだよ。」
「おいちょっと待て!何でウソだって決め付ける!」
「昨日から超能力が使えるようになったなんて話、信じられる訳がないだろ?」
「おいちょっと待て!何で信じられないんだ!」
「信じてないからだよ!超能力を!」
「超能力者を目の前にして超能力を信じられないって、ミカンを目の前にしてリンゴだって言ってるようなもんだぞ!」
「どう言う事だよ!いいか?だったら、昨日から超能力が使えるようになったって言うなら、その超能力を見せてくれよ!俺だって目の前で超能力を目にしたら、信じざるを得ないよ!」
「ダメだ!」
「何でだよ!何で見せてくれないんだよ!て事は、やっぱりウソなんだろ?」
「ウソじゃない!俺は、昨日から超能力が使えるようになったんだ!手を触れずにテーブルの上のコップだって念じるだけで動かせるんだ。」
「だから!そう言う事が出来るなら、そう言う事をやってくれればいいだろ?そしたら、一発で信じるよ!」
「箱を開けずに、箱の中に何が入ってるか見えるんだ。」
「だから、実際にやってくれって!」
「行きたい場所を頭の中に思い浮かべただけで、その場所へ瞬間移動出来るんだ。」
「いやだから!何で見せようとしない!超能力の種類を列挙してるだけだろ!」
「手の平から火が出るんだ。」
「やってくれよ!見せてくれよ!」
「やってくれ?見せてくれ?さっきからお前は、そればっかだな!他に言う事があるだろ?」
「ないだろ!」
「友達なら!親友なら!まずは、昨日から超能力が使えるようになった大親友に、大丈夫か?って、一言言ってもいいだろ!」
「本当に昨日から超能力が使えるようになったかどうか分かんないのに、そんな気遣い出来るかよ!」
「本当に昨日から超能力が使えるようになったんだよ!」
「だから!見せてくれって言ってんだろ!超能力が使えるようになったなんて、言葉で言われても分かんないんだよ!」
「飛べるようになったんだ。」
「見せてくれよ。」
「壁を擦り抜けられるようになったんだ。」
「見せてくれよ。」
「あらゆるモノを瞬間冷凍出来るようになったんだ。」
「見せてくれよ。」
「動物と会話出来るようになったんだ。」
「いやもう、マジでこの時間は何なんだよ!どう言う時間なんだよ!超能力の種類を大親友から聞く時間?」
「時間を止められるようになったんだ。」
「だから!何で一個も見せてくれないんだよ!で、そんないっぱい出来るようになっちゃってんのか!昨日から!」
「大変だろ?」
「いやむしろ、そんないろいろ出来るようになったら楽しくて仕方ないんじゃないか?」
「出たよ!」
「何か俺、今出したか?」
「大親友から昨日から超能力が使えるようになったを聞いた大親友あるある出たよ!」
「そんなあるあるねーよ!どんな限定的あるあるだよ!」
「お前は、本当に今の俺が楽しくて仕方ないように見えるか?」
「楽しくて仕方ないようには見えないけど、いつものお前だよ。」
「お前、分かってない!」
「それは、お前が分からせようとしてくれてないからだと思うけど?」
「息を止めないでも水中にいられるようになったんだ。」
「だから。」
「怪我しても超高速で治癒出来るようになったんだ。」
「だから!」
「透明になれるようになったんだ。」
「見せろ!そのたくさんの超能力の中の一つでも見せろ!」
「ダメだ!」
「何でダメなんだよ!何がダメなんだよ!ウソだからだろ?ウソだから見せられないって事なんだろ?そうなんだろ?」
「違う。ウソじゃない。体を鋼鉄に出来るようになったんだ。」
「だから見せてくれって!今まで言った中で簡単に見せられるの何個かあったろ!」
「だからダメだって言ってるだろ!」
「何でだよ!肯定も否定もあやふやに話すのやめてくれよ!メチャクチャストレスなんだよ!見せられないなら見せられない理由をはっきりと説明してくれよな!」
「それは、ついさっき超能力が使えなくなったからだよ。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「帰る!」
「帰る?帰るって、あの!?」
「その!」

第六百八十三話
「さっきまで超能力者」

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