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2006年7月

2006年7月 5日 (水)

「第三話」

 推理小説や推理ドラマなんかでよくあるだろ?クライマックスシーンで洋館の大広間みたいな所に生き残った奴等を集めて、探偵が犯人を当てるってのが。まさに今がそれだよ。で、この事件の犯人は俺だ。華麗でパーフェクトでアーティスティックなマーダー・ショーの真犯人は俺だよ。さぁ、探偵さん。犯人を暴いてみやがれ!!
「この事件の犯人は・・・・・・・・・あなたです!!」
「!?」
この馬鹿野郎、俺の隣にいる奴を指差しやがった。とんだ迷探偵だぜ。この呑気に鼻ほじくってる奴が犯人だって?笑っちまうぜ。今だって、自分が言われてるなんて気付きもせず鼻ほじくってやがる。点と線で描けるような面しやがってよ。おいおい早く気付いてやれよ。迷探偵さんの右腕がプルップルプルップル震えてんじゃねぇか。
「この事件の犯人は・・・・・・・・・あなたです!!」
「!?」
言い直したぞおい!って鼻糞を食ってる場合じゃないんじゃないの?お前が疑われてんだぞ?ほら、また迷探偵さんの右腕がプルップルプルップル震えてんじゃねぇか。
「!!」
あっ!気が付いた!って、酸っぱかったのかよ!酸っぱかったのかよ!どんな鼻糞だ!!
「この事件の犯人は・・・・・・・・・あなたです!!」
お前もお前で別の言い方があんだろ?回りもいちいちさも初めて聞いたかのようなリアクションしてんじゃねぇよ。鼻糞もういいんじゃねぇか?そんなに収穫出来るもんじゃねぇと思うぞ。迷探偵さんの左腕がプルップルプルップル震えてっぞ。
「!!」
あっ!気が付いた!って、頭が痛くなったのかよ!頭が痛くなったのかよ!どんだけキーンと冷えてんだ?その鼻糞は!お前の鼻の穴の中がすげーよ。
「あなたは、まず」
お前が鼻糞に夢中になってっから、迷探偵がついに無視して事件の全貌を話し始めちゃったぞ。
「最初の被害者でありますこの洋館のオーナー。彼は、事故死です!」
「!?」
待ておい!殺したぞ!俺は、ちゃんと殺したぞ!第一の殺人としてド派手に演出したぞ。ほら、この大広間にあるどデカイ絵画に貼り付けといたじゃねぇか。どんだけ不自然な事故死なんだよ!
「でも探偵さん?そうすると、あの手紙は、いったい何だったんですか?」
よし!メイドA。なかなかナイスな質問をした。あれは、第二の殺人への布石とも言える、渾身の犯行予告文だ。これから始まるマー
「ダイイングメッセージです。」
おい!!手紙二通にダイイングメッセージ書く奴がどこにいんだよ!つーかおめぇ事故死って言わなかったか?だからあれは、これから始まるマーダー・シ
「なるほど。」
なるほどじゃねぇよメイドA!何納得してんだよ!お前は、もういいや。こんな時に掃除してねぇでメイドBもなんか気の利いた質問をこの迷探偵にぶつけてやれ。
「他に汚れている所はございますか?」
あぁ、確かに気の利いた一言だよ。意味がちげーんだよ!!意味が!
「そして次に起き」
話し進めてんじゃねぇよ迷探偵!不思議だらけだろこの空間。
「すいません!」
おっ!?どうした?偶然この洋館にやって来た意味あり気でまったく事件と関連性がなかった中年男。
「トイレ行ってきていいでしょうか?」
済ましてこいよな!大事な話があるって呼ばれて来たんだろ?どんだけ緊張感無いんだよ!
「そう言えば主人もあの時トイレへ。そして主人は・・・・・・うっ。」
いいとこに話し持ってくじゃねぇか。泣くな!二人目の被害者の妻。
「トイレが詰まって大変だったあれか!」
そうだよ警部。あれこそが時間差殺人だよ。お前に解けるか?迷探偵!
「皆さんは、勘違いをしています。」
何!?こいつ解けたのか?そうだよ。お前らが二人目の被害者だと思ってる男は、実は、三人目の被害者なんだよ。あの水漏れは、発見を早めるための仕掛けだよ。腐っても探偵、か。
「あれは、彼が近年稀にみるどデカイうんこをしたせいです。」
「まさか!!」
まさか!!じゃねぇだろ警部。んなわけねぇだろ!見たろ?頭部を殴られてたろ?頭から血が流れてたろ?この探偵、単なる馬鹿じゃねぇのか?
「しかし、彼は、頭部を殴られ死んでいたぞ?」
そうだよ警部。あんたの言う通りだよ。
「あれは・・・・・・・・・。」
どうした迷探偵?言葉が詰まってるぞ?
「ゲフッ。」
ゲップかよ!
「びっくりしたのです。自分があまりにどデカイうんこをした事に。」
はぁ?何言ってやがるんだこいつ?
「そして、ズッコケてしまったのです。その時、タンクに頭をぶつけた。」
「なるほど。そして、その拍子にレバーが回り、うんこが詰まったわけですな?」
「その通りです警部。つまり、彼は殺されたのではなく、結果自殺したのです!」
なんで自殺なんだよ!何だ結果自殺ってよ!これこそ事故死じゃねぇか!って、俺が殺したんだよ!
「探偵さん?」
どうした盲目の少女?お前の父親が真の第二の被害者なんだよ。自分の父親についての質問かい?
「そのうんこは、どのくらいのどデカさなんでしょうか?」
どこに興味抱いてんだよ!
「このくらいです。」
説明してんじゃねぇよ迷探偵!両手で大きさ表現したって、こいつには見えねぇんだよ。
「私は、これくらいだと思います。」
見えてんだろ!お前、見えてんだろ!目、見えてんだろ!
「皆さん!いい加減にして下さい!!」
そうだ怒れ!!怒るんだ妻!自分の旦那が馬鹿にされてるんだぞ!
「わたくしの主人です!これぐらいのうんこは、するはずです!」
おい!!何を張り合ってんだよ!!だいたいさっきっからお前ら、うんこ、うんこってうるせぇよ!いったい何の集まりだこれは!そんな話をするために集まったのか?
「僕のは、これくらい!」
聞いてねぇよ鼻糞野郎!!見せんじゃねぇよ!
「まぁまぁ皆さん。うんこの話は、これぐらいにしといて。」
てめぇが言い出しっぺだろうが!くそ迷探偵!
「その後二人殺されて、最後に殺害されたのが、この洋館の前の持ち主です。」
何省略しちゃってんだよ!何か、なかったみたいになってねぇか?面倒臭いのか?ちゃんと謎解きしろよ!四人目の被害者の二重密室殺人の謎解きしろよ!あれはなぁ
「彼女は、寿命です!」
元も子もねぇ事言ってんじゃねぇよ!確かにベッドで眠るように死んでたけどよ。毒だよ毒!あのばばぁは、毒殺してやったんだよ。この迷探偵、思い付きで喋ってんじゃねぇか?
「つまりです。この洋館で起きた数々の連続した死は、殺人ではないのです。全てが偶然に引き起こされたものだったのです!」
おいこら!何をもっともらしく力説してんだ?勝手に幕を下ろそうとしてんじゃねぇよ!だったら何で最初に鼻糞野郎を犯人扱いしたんだよ!
「よかった。」
待てメイドA。納得してんじゃねぇよ!
「一件落着ですな。」
一件落着ですな。じゃねぇよ警部!ちょっと待てよ!こいつは、省略しやがったが三人目の被害者、本当は、二人目の被害者なんだけどな。そいつは、バラバラに体を切断されてたんだぞ?誰がどう見たって殺人だろ!
「ホッとしました。」
待て妻!お前の旦那、うんこで自殺した事にされてんだぞ?いいのか?あんたそれでいいのか?
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
今だに、うんこの大きさを両手で表現しながら考えてんじゃねぇよ少女!
「もう、トイレに行ってきてもいいでしょうか?」
行け!お前は行ってこい!で、戻ってくんな!
「他に汚れている所は、ございますか?」
してろ!お前は、ずーっとお掃除やってろメイドB!このひろーい洋館の隅々までやってろ!で、てめぇは、そうやって一生鼻糞をほじって自給自足してろ!
「それでは皆さん。」
待てよおい!帰るんじゃないだろうな?
「帰りましょうか。」
待て迷探偵!待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て
「待て!!」
「ん?どうしました?この洋館のオーナーの息子さん。」
「俺だよ!」
「何がですか?」
「五人を殺したのは、この俺だよ!!」
「何を言い出すのです。」
「だから!この洋館で起きた連続殺人の真犯人は、俺だって事だよ!分かったか迷探偵!!」
「そのお言葉頂戴しましたよ。」
「!?」
「あなたは、とてもプライドの高い人。無視される事がなによりもの屈辱。プライドが傷付けられる。だから、自分から自供して頂くため、ここにいる皆さんにお芝居を演じてもらったのです!」
「何だって!?」
「以上です警部。」
「いやぁ、いつもながらお見事だったよ。」
「偶然ですよ。単なる偶然です。皆さんもご協力ありがとうございました。」
「・・・・・・やられた・・・・・・。」

第三話
「名探偵」

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2006年7月12日 (水)

「第四話」

 このラブホテルの屋上がベストポジションと決めてから三時間が経過し、やっとターゲットが現れた。今回のターゲットは、あのオープンカフェのオープンプレイスで優雅にコーヒーを堪能している老紳士だ。なんでも国家機密を保持しているらしいのだが、私には、まったく関係の無い事だ。依頼人の理由とターゲットの原因には干渉しない。それが私のルールだ。もう、トラブルに巻き込まれるのは、ごめんだ。約束の報酬が頂ければそれでいい。完璧にターゲットの息の根を止める。それがヒットマンとしての私の仕事だ。
「あいつ、またコーヒーのおかわりをしたぜ。」
さて、この男はいったい何者なのだ?
「あーあ、あんなに砂糖を入れちまって、あれじゃあ、コーヒーがまずくなっちまうよ。あそこのコーヒー飲んだ事あるかい?美味いんだぜ。今度飲んでみなよ。あっ!見てみなよ。また、カップの中に入れ歯を落としてるぜ。でもって、またバッグからスペアーの入れ歯を出して装着して、そんでもってまたコーヒーのおかわりを頼んでるよ。あのじいさん、いったいいつになったらコーヒーを飲むんだ?そもそも、コーヒーを飲むだけなら入れ歯を装着する必要ないんじゃないか?まったく、何しに来たんだか?」
それは私も同感だ。と同時に私の中では、君も同等だよ。いったい君は、ここに何をしに来たのだ?ライフルを持ち、うつ伏せになり、スコープから老紳士を見ている。これではまるで君もヒットマンで、彼を狙っているみたいではないか。三時間前から気さくに話し掛けてくれてはいるが・・・・・・・・・仕方ない。いつまでも無視をしているわけにはいかなくなってきたようだな。もしも、この男のターゲットと私のターゲットが同じだとしたら・・・・・・・・・。
「君に尋ねたい事があるのだが?」
「んっ?やっと口を開いてくれたようだな。」
「君は、ここで何をしているのだ?」
「見れば分かるだろ?殺し・・・・・・・・・だよ。」
やはり・・・・・・・・・。
「あんたは?デートの待ち合わせってわけでもなさそうだけど?」
「君のターゲットは、誰なんだね?」
「おっとっとっと。それは、言えないね。守秘義務ってもんがあってさ。あんたが先に言ってくれたら言ってもいいけど?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
やはり、ターゲットはあの老紳士か。
「ほらな。あんたも言えないだろ?まあ、あれだよ。そんなに考えたってしょうがないさ。時間が来ればいずれ分かる事なんだし、それまで楽しくやろうよ。相棒みたいなもんなんだからさ。」
相棒だと?ふざけるな!私は、今まで一人で依頼をこなしてきた。これからだってそうだ。
「あっ!見てみなよ。あのじいさん、横を通った美女に話し掛けてるぜ。素通りされてやんの。そりゃそうだ。あっ!くしゃみで入れ歯が飛んで女のお尻に噛み付いた!あーあ、そりゃ殴られるよ。何考えてんだか?」
それは君の事だ。いったい何を考えている?
「あんたはこの仕事、何年やってるんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「また、だんまりかい?どうせもう二度と会う事は無いんだし、記念に少しお喋りしたって、罰は当たらないだろ?」
「五十年だ。」
「こいつはたまげた。」
「物心ついた時からこの仕事をしている。」
「じゃあ、もしかして、殺し屋一家ってやつかい?」
「そうだ。」
「俺なんてまだまだ、これだけだよ。」
「そうか、十年か。」
まあ、ヒットマンとしては、これからって時だな。
「一年だよ。」
何!?一年だと!?ルーキーじゃないか!
「いったいあのじいさんは、あそこで何をしているの・・・・・・・・・か?」
突然何を言い出すのだ?
「誰かを待っているのか?ただ、午後のひとときをコーヒーで満喫しているだけなのか?それとも、もっと大きな何かを秘めているのか?」
「なぜそんな事を聞くのだね?」
「暇つぶしだよ。そこに意味なんて無いさ。ふと、思っただけだよ。」
「私は、あんまり他人の人生には興味が無い。彼が何をしてきて、何をして、何をするかなど、あまりにも関係の無い事だ。」
「なるほどね。だったら俺の考えを聞いてくれよ。いったいあのじいさんは、あそこで何をしているの・・・・・・・・・か?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
何が可笑しい?なぜ私を見て笑う?
「・・・・・・・・・きっと誰かに殺されるのを待っている。」
これで決まりだな。このルーキーのターゲットもあの老紳士のようだ。
「なんてね。」
今更わざとらしく惚けても無駄だよ。
「そうかもしれんな。」
「ん?興味無かったんじゃないの?」
馬鹿にしているのか?
「人に命を狙われてるのは、どんな気持ちか考えた事があるかね?」
「さあね。場合によるさ。特に俺らみたいな奴に狙われてたら、それに気付く事なんて無いと思うね。ほら、あのじいさんのように。」
若いな。人は、命をターゲットされた時。無意識にシグナルを発するのだよ。私は、何度も経験がある。引き金を引く瞬間、スコープを覗く私の目とターゲットの目が合う時が・・・・・・・・・気付くものなのだよ。人は・・・・・・・・・。
「さあ、もう無駄話は終わりにしよう。帰って美味しいコーヒーが飲みたくなってきたよ。」
「あのじいさんをあんたに殺させるわけには、いかないんだよね。」
「何!?」
「知ってるかい?依頼人は、直接ターゲットを始末した人間だけに報酬を支払うって?」
なるほど。ここにヒットマンが二人。そして、ターゲットが一人。私と君の勝負って事か。
「ギャンブルは、あんまり得意ではないのだが、嫌いではない。」
「何言ってんだか?この仕事自体がギャンブルみたいなもんじゃないか。」
「そうかもしれんな。」
「まあ、勝負はすでに決まってるけど。」
「ほほう、ずいぶんと自信があるようだな。」
「自信?確信だよ。」
若いな。だが、その心意気は立派だ。しかし、若いからこそ必要な時があるのだよ。敗北が・・・・・・・・・。
「そろそろ決めようじゃないか。」
「カチャッ。」
「決めよう?決まってるって言ってるだろ?」
「カチャッ。」
初めてだな。スコープを覗く人間の横でスコープを覗き、ターゲットを狙うのは・・・・・・・・・。
「あれは!?」
「気付いたかい?」
「ああ、あの円盤は、いったい何なのだね?」
「ありゃ、UFOだ。」
なんと!?あれがUFOなのか!実際、この目で見るのは初めてだが、随分と小さいものなのだな。蝶ぐらいの大きさと言ったところか。
「あのじいさん、まったく気付いてないぜ。」
老紳士の頭の上をクルクル回っている。その回り方は、実に不規則だ。何かしてるようにも見えるのだが・・・・・・・・・。
「あれはいったい!?」
何なのだ?老紳士の頭の上に、摩訶不思議な模様が作り出されたではないか!
「ミステリーサークルだよ。髪の毛でミステリーサークルを作ったんだ。」
あれがミステリーサークル!聞いた事はあったが、これまた見るのは初めての事だ。
「なあ、UFOの窓を見てみなよ。」
振っている!?全身灰色の大きな目の宇宙人?が二人で手を振っている!我々になのか?あっ!?
「行っちまった。」
「ああ、行ってしまったみたいだな。」
老紳士よ。優雅にコーヒーの香りを堪能している場合ではないぞ。凄い事になってしまっているのだぞ?自分の頭のてっぺんが!
「なあ、あのじいさんって双子だったか?」
「そんな話は、聞いていない。どうしたのだ?」
「だったら、じいさんの後に立っている、じいさんそっくりのあのじいさんは、誰なんだ?」
いつの間に!?本当にそっくりだ。しかし、無表情でどことなく生気を感じられない。何者だ?まさか!?新手のヒットマンか?
「あれってまさか!」
「知っているのか?」
「ドッペルゲンガー!」
ドッペ・・・・・・・・・?ドッペン・・・・・・・・・?なに?
「何だって?」
「ドッペルゲンガーだよ。もう一人の自分だよ。自分の死期が迫っていると姿を現すって言われてる現象だよ。」
「つまり何だと言うのだね?」
「簡単に言うと出会ったら死ぬ!あのじいさんが、もし振り向いてあいつと対面した時、あのじいさんは死ぬ!!」
そう言えば、そんな現象を聞いた事がある。我々に命を狙われているからこそ出て来たのか?いずれにせよまずい。老紳士よ。絶対に振り向いてはいけな・・・・・・・・・ん?ドッペルゲンガーが床に置いてある老紳士のバッグをあさり出し、スペアーの入れ歯を取り出して装着した!帰るのか?帰ってしまうのか?そうか、帰るのだな。いったい何をしに来たのだ!
「どうやら、あれを取りに来ただけのようだぜ。」
「そのようだな。」
まあ、何はともあれ一安心だ。何!!!
「な、何だあれは!?」
「えっ?」
「頭上を見たまえ!」
「おいおいおい。宇宙人、ドッペルゲンガーの次は、黒いマントに大きな鎌を持ったガイコツかよ!」
「いいのだな?あれはあれでいいのだな?」
「いいんじゃないか?あれは、誰がどう見たってあれだろ?」
死神!どうなっているのだ?お迎えか?それとも我々に殺される老紳士を待っているのか?しかし、老紳士を自ら迎えに来たと言うのならば・・・・・・・・・。まずい!これでは、私が直接殺す事にはならないではないか。
「おいおいおい!鎌を大きく振りかぶったぞ!!」
殺す気だな!死神に手柄を譲るほど、私は若くはない!どうやら!
「今のようだな!」
「ターン!ターン!」
「待ってました。」
同時?いや、私の方が幾分早かったようだな。ん?死神がいない。どうやら、諦めて帰ってしまったようだ。
「ピューン!」
「ピューン!」
「カンッ!」
「ヒュンッ!」
ん?なに!?ルーキーの弾と私の弾がぶつかった!!ぶつかった?ぶつけたのか?私の弾がそれて壁に当たった。偶然なのか?これがもし必然ならば、私は、ルーキーをなめていた事になる。何にせよ次で分かる事だな。
「引き分けのようだな。しかし次は、今回のようにはいかないぞ。」
「引き分け?何言ってるんだ?俺の勝ちだよ。問題!あんたの弾は、壁。さて、俺の弾は、どこに行ったの・・・・・・・・・か?」
「何を言っ・・・・・・・・・!?」
血!?
「そう。あんたの眉間の奥深くだよ。真上の死神がお待ちかねだぜ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ば・・・・・・かな・・・・・・。はじ・・・・・・・・・めから・・・・・・このわた
「ガクッ。」
「任務完了・・・・・・・・・と。」
「ピロリロリロ、ピロリロリロ、ピロリロリロ。」
「ピッ。」
「はふほふほふひ。」
「入れ歯付けてくんないと何言ってるか分からないんですけど?」
「カポッ。」
「すまんすまん。ご苦労さん。これでわしも命を狙われながら、コーヒーを飲まずにすみそうじゃ。そうそう、約束の報酬だが、コーヒーの味を満喫した後で振り込んでおくとしよう。」
「よろしく。」
「ピッ。」

第四話
「ターゲット」

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2006年7月19日 (水)

「第五話」

雨降ってる。
でも
濡れない。
でも
傘ない。
宿るところも
大きな葉っぱもない。
でも
濡れない。
不思議?
不思議じゃないよ。
曇り?
曇りじゃないよ。
雨は
ちゃんと降ってる。
音は
ちゃんと聞こえる。
ざあざあ
ざあざあ
降ってる。
ざあざあ
ざあざあ
聞こえる。
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
ざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあざあ
と。
でも
濡れない。
でも
傘ない。
でも
濡れない。
でも
傘ない。
でも
濡れない。
不思議?
不思議じゃないよ。
偽り?
偽りじゃないよ。
空が
青くても
雲が
白くても
風が
淡くても
雨は
ちゃんと降ってる。
でも
濡れない。
夢?
夢なんかじゃないよ。
だって
ボクが
雨だから。
今日は
ボクが
雨だから。

第五話
「rainypain」

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2006年7月26日 (水)

「第六話」

 いつもの夕方。窓から見えるいつもの町並み。
「ごはんよー。」
そして、いつものママの呼び声。
「はーい。」
いつものように私は答える。そして、調度やり終えたばかりの算数の宿題を机の中にしまい込み、急いで自分の部屋を出た。それから、今日の夕ご飯は何だろう?ってウキウキワクワクしながら階段を駆け下りて台所に向かった。
「今日のごはんは、なーにかなぁ?」
「ガチャッ。」
自然と出た喜びの言葉と同時に台所のドアを開けると、食卓には、パパ、ママ、お姉ちゃん、そして、熊。熊!?熊がいる!?なんで?どうして熊がいるの?しかも、大きい!本格的な熊がいる!なぜ?いつもなら私の横にお姉ちゃん、私の前にパパ、その横にママって感じで食卓を囲んでるはずなのに、私とお姉ちゃんの間に熊!?が座ってる。もしかして、夢?ヤダヤダ!もしこれが夢で、目の前にいる熊が嘘だったら、私が一生懸命やり終えた算数の宿題も嘘になっちゃう。そんなのダメダメ。
「何やってるの?早く座りなさい。」
「う、うん。」
ママ?どうしてそんなに普通でいられるの?ま、まあ、と、とりあえず座ろう。うん。せ、狭い!そりゃそうだよ。普通は、二人並んで座る幅なんだもん。熊がいたらこうなるよね。私、半分出てるもん。お姉ちゃんも半分出てるもん。
「よし。みんな揃ったな。それじゃあ、いただきます。」
「いただきます。」
「いただきます。」
みんなどうしてそんなに普通にしてられるの?
「い、いただ」
「ガォー!!」
「!!」
ほ、吠えた!吠えたよ。隣の大きな熊が吠えたよ。なに?いただきますって事?とてもじゃないけど怖くて横見れないよ。だ、大丈夫なんだよね?私、食べられないよね?いただきますって、私の事じゃないよね?
「パ、パパ?」
「何だ?」
「く、熊がいるよ?」
「あぁ、熊がいるな。」
ちょ、ちょっとそれだけ?おかわりしてないで聞いてよ。パパ、もっとゆっくり噛んで食べないと、消化に悪いよ。ってそんな心配してる場合じゃなかった。そしてママ、いつも思うけど、それは盛りすぎだよ。それじゃあ、昔話だよ。だったら始めからその量で出してあげれば?っていけないいけない、今はそんな事を考えてる場合じゃなかったよ。それよりも今は、このく
「ガォー!!」
「!!」
な、なになに?いったいどうしたの?あぁそっかぁ、熊もおかわりね。ってちょっと!!あんたちゃんと器用にお茶碗とお箸を使ったわけ?すごいよ!あんた、たいした熊だよ。ってなに感心してんのよ。だからママ、それじゃあ、盛りすぎだよ。
「ママ?」
「おかわり?」
いやいや、私は、そんなに食べれませんよ。育ち盛りと言えども、そんなに食べれませんよ。
「そうじゃなくって、熊だよ?」
「熊ね。」
ママー。違うよ。熊って事は、分かってるんだってば。鮭の骨を取ってる場合じゃないんだってば。
「おねえ・・・・・・・・・。」
み、見えない・・・・・・・・・。熊が邪魔でお姉ちゃんがまったく見えない。いるよね?そこにいるんだよね?食べられてないんだよね?
「ママ!私ピーマン嫌いだって言ってるじゃん!」
いたぁ。良かった。お姉ちゃん、ちゃんといたよ。
「好き嫌いするんじゃない。何でも食べなきゃ健康でいれないぞ。」
「いくらパパがそんな事言ったって、食べれない物は、食べれないの!」
うんうん。分かる。分かるよお姉ちゃん。だって私もピーマン苦手だもん。パパは、好きみたいだけどね。だって苦いんだもん。
「熊を見なさい。何でもモリモリ食べてるじゃないか。」
「熊と私を一緒にしないでよね!」
おかしい。おかしいよ今の会話。パパもお姉ちゃんもごく自然に熊を会話の中に織り交ぜてたよ。この熊いったい何者?そうだ!私は、重要な事に気付いてなかった。それは、この熊が本物なのかって事。さ、触ってみようかな?ここは、勇気を出して触ってみようかな?うん!触ってみよう!ゆーっくり、ゆーっくりと、熊に気付かれないように慎重に慎重にと。
「ツン。ツンツン。」
この感触は、間違いないよ。本物だ!
「!!」
気付かれてる!見てるよ。こっち見てるよ。私の事じっと見てるよ。どうしようどうしよう。ツンで止めときゃよかったんだよ。ツンツンいらなかったんだよ。行けるんじゃないか。ツンが出来たんだからツンツンまで行けるんじゃないかと思っちゃったのがいけなかったんだよ。先生も言ってたじゃん。調子に乗り過ぎるところがあるって。馬鹿私!私馬鹿!はっ!
「ググゥ。」
頭撫でたよ。この熊、私の頭を撫でてるよ。本当にいったいこの熊は、何なのよ!うん!ここは、真っ正面から聞いてみよう。先生も言ってた。疑問に思った事は、どんどん質問しなさい。聞く事よりも聞かない事の方が恥ずかしいって。頑張れ私!私頑張れ!
「パパ?この隣にいる大きな熊は、なに?」
「ああ、気付いたか。その熊は




「はぁ。」
二人の男が机を向かい合わせにして、黙々と執筆活動をしていた。
「どうしたんだいN氏?溜め息なんかついて。」
「P氏。何だか行き詰まっちゃったよ。」
「今回の話の事かい?設定に無理があったんじゃないのかい?」
「そんな事はないさ。何処にでもいるような家族。その日常の一家団らんの夕飯の食卓風景の中に熊がいる。発想としては、面白いじゃないか。」
「確かに面白いかもしれない。でも、それだけでは話が広がらないのではないかい?」
「途中までは、上手い事いってたんだよ。」
「オチがなかなか見つからないとか?」
「そう、そこなんだよ。重要なのは、オチなんだよ。ここまできて読んでる人間の発想の上をいくオチが考えつかないんだよ。」
「例えば今、頭の中に思い描いているオチを聞かせてくれないかい?」
「熊が一家を食べてごちそうさま。どう?」
「ちょっと、角度が急すぎないかい?展開的にも無理があると思うな。」
「一周回ってやっぱりこれは、夢でした。」
「この話に夢オチは、合わないよ。現実だから熊が引き立って面白さが出る。夢だったら何だか、がっかりしてしまうよ。」
「だよねぇ。うーん。P氏ならどうする?」
「そうだなぁ。僕なら熊に喋らすかな?」
「P氏っぽいね。」
「それなら、一家の方が熊の家に住み着いてた。ってオチはどうだい?」
「それも考えたんだけどさ。それこそP氏っぽくなっちゃうからボツにしたよ。あくまで僕的な作風で書きたいからさ。うーん。なんかない?」
「N氏らしさなら、次々に動物達がやって来るってのはどうだい?」
「なるほどね。来るって言ってもいろんな動物達じゃなくって、全部熊。いろんな種類のが来て、その熊達をいちいち女の子が詳しく説明する。」
「よさそうだね。」
「でもなぁ。図鑑とかで熊を調べないといけないし、意外と伝わりにくそうだなぁ。」
「N氏は、面倒臭がりだからね。駄目かぁ。」
「駄目だね。そもそも、それでいくとオチが中身に負けそうな気がする。」
「ありえるね。これ鮭って熊が獲ったの?」
「そう!さすがP氏!後々何かに使おうと思って布石で置いといたんだ。」
「じゃあ、設定もあったって事かい?お父さんと熊の出会いとか。」
「やるねP氏!一番最初は、お父さんが熊を拾って来た事にしようと思ったんだよ。それで、御礼に鮭をもらった。それが夕飯のおかずとして出された。」
「それいいと思うよ。」
「いまいちなんだよね。想像したら熊が捨ててあるなんて面白いんだけどね。読み手の頭の中に絵が浮かばないかなと思ってさ。」
「熊が体育座りでダンボールに窮屈そうに縮こまって入っている所とか。」
「ダンボールには、かわいがって下さい。人なつっこいです。なんて書いてあったりね。」
「熊出没注意!とかも書いてあったり。」
「うーん。想像するだけで面白いんだけどなぁ。」
「どうだいN氏。こうやって考えてるのも楽しいけど、この話の結末、そろそろ考えついたのでは?」
「結末ねぇ。結末、結末。結末かぁ。うーん・・・・・・・・・・・・あっ!これだ!よし!これで行こう!!」
男は、生き生きとした表情で、物語の結末を書き出した。

第六話
「第六話」 

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