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2007年3月14日 (水)

「第三十九話」

「プレジデント!48時間で国の約4分の1が、この未知のウイルスによって支配されてしまいました!」
「うん・・・・・・。」
「もはやこの猛威を止める事など我々には不可能です!」
「うん・・・・・・。」
「この国が未知のウイルスによって完全に支配されるのも時間の問題です!」
「うん・・・・・・。」
「プレジデント!」
「ちゃんと聞いてるよ。博士の意見はどうなの?」
「今さら私が口を出すのも何なんですけども・・・おそらく私の計算でいくと・・・24時間以内にこの国は完全に未知のウイルスによって支配されてしまうでしょうね。」
「24時間か・・・・・・。」
「もちろん最長での話ですけどね。」
「馬鹿な!早過ぎる!あまりにも早過ぎる!」
「それだけこのウイルスが恐ろしいウイルスだったって事よ。」
「当初の計算とだいぶ時差があるではないか!」
「あれは、まだ最初の感染者が確認された時点での段階の話でしょ?今とじゃ状況が全く違うのよ!あれだけ私達が何度も忠告していたじゃない!あの時に迅速に的確な処置を施していれば!こんな最悪な事態は避けられたはずよ!」
「くっ・・・・・・!こうなったらプレジデント!あなただけでも避難して下さい!」
「ちょっと待ってよ!何を言っているの!まだこの国には、多くの国民が残されているのよ!その人達は、いったいどうなるって言うの!その人達の事は、ほっとくって言うの!」
「仕方のない事だ!私だって感染していない国民全員を助けたいと思っている!」
「なら!そう思ってるんだったらその言葉通りにしなさいよ!」
「君も分かるだろう!これもこの国の為だ!」
「分からないわ!その決断が国の為ですって!」
「そうだ!国の為だ!苦渋の決断なのだよ!」
「ふざけないでよ!国の為であっても!あなたの決断は、国民の為ではないわ!」
「国の為に何かをすれば、それはイコール国民の為になるではないか!」
「違うわ!国は、国民の事を最後の最後まで守らなければいけないのよ!」
「そんなものは、理想論にすぎない!」
「だったら!国民は、国の犠牲になってもいいって言うの!あなたの考えは、間違ってる!国があってそこに国民がいるんじゃない!国民がいてそこに国があるのよ!理想論なんかじゃないわ!あなた達は、国民を守ってるんじゃない!国を守ってるのよ!!」
「くっ・・・・・・・・・。」
「まあまあ博士。そんなに司令官をいじめないでよ。」
「大統領?」
「プレジデント!?」
「軍はね。最初の感染者が出た街を封鎖する為に、博士が忠告した数時間後に出動したんだよ。ほら、博士がおっかない顔して、これが最後の忠告よ!って言った時だよ。でもね・・・間に合わなかったんだよ。その結果ね・・・司令官の部下は、8割以上が未知のウイルスに感染してしまったんだよ。」
「プレジデント・・・・・・。」
「天罰よ!あの時!私達にあんな態度をとるから天罰がくだったのよ!自業自得だわ!」
「うん。確かに自業自得だよね。でもね・・・独断でなんだよ。」
「えっ!?どう言う事ですか?」
「司令官はね。大統領命令で軍を動かしたんじゃないんだよ。博士の忠告で動いたんだよ。この国を国として成り立たせてくれている国民を守る為にね。それが例え軍の規約を破ると言う結果になろうともね。」
「しかし遅過ぎた・・・部下達が街に到着した時には・・・もう手遅れだった。私は、部下から送られてくる映像を見て、呆然と立ち尽くす事しか出来なかった。見るも無残な光景だったよ。君の言う通り、忠告を素直に聞かなかった我々に天罰がくだったんだな。」
「博士?1つだけ覚えておいて欲しいんだ。我々の中に、誰1人として国民を犠牲にしてまで国を守りたいなんて思っている人間なんていないんだよ。国民を犠牲にするぐらいなら国なんて無くていいよ。」
「プレジデント?少し言い過ぎなのでは?」
「ちょっと言い過ぎたかもね。ごめんごめん。」
「そんな・・・・・・私・・・・・・酷い事を言ってしまったわ。本当にごめんなさい。」
「君が謝る事じゃない。だが、君を怒らせてはいけないのだと勉強になったよ。軍の規約に付け足しとかないといけないな。赤毛の博士は、絶対に怒らすな!と。」
「もし万が一、怒らせた場合には一流レストランでディナーをご馳走せよ!とも付け足しといてよね。」
「ハッハッハッ!高くつきそうだな。」
「フフフ。当たり前でしょ?私を怒らせたんですもの。それぐらい当然よ。」
「アッハッハッ!大丈夫だよ。その時には、僕が支払うからさ。」
「国家予算じゃ足りないかもしれないですよ。何と言っても私は、短気ですからね。」
「そいつは困った!ハッハッハッ!」
「ウフフフフ。」
「参ったね。アッハッハッ!」
「ハッハッハッ・・・・・・・・・。さてとプレジデント!あまり時間がありません!避難を急いで下さい!確かプレジデントは、免許をお持ちでしたよね?あいにくここには、私が乗ってきたヘリが1機しかありません!なので!あなた1人だけで!」
「そうね!大統領!今はとりあえず避難して下さい!残り時間がどれだけあるのか分からないけど!まだ未知のウイルスをやっつける為の血清を持つ宿主が見付からないって決まった訳じゃないですから!」
「さあ!プレジデント!」
「大統領!」
「ありがとう。でもね。僕は、ここに残るよ。」
「何を言い出すのですかプレジデント!」
「そうよ!大統領のあなたまで感染してしまったら、この国は本当に終わってしまうのよ!国民を代表して言います!逃げて下さい!」
「や~だよ。」
「なっ・・・・・・。」
「大統領?」
「あのね。僕はね。この国が大好きなんだよ。大好きで大好きでたまらないんだよ。この国で生まれて、この国で育って、この国で友人が出来て、この国で信頼できる者達に囲まれて仕事が出来て、一緒に学び、一緒に遊び、一緒に笑い、一緒に泣き、一緒に怒り、時にそれが恋愛になり、そして愛する家族を持ち、分かるかい?この国は、僕そのものなんだよ。僕の思い出そのものなんだよ。僕の夢なんだよ。僕はね。まだまだこの国でやりたい事がたくさんあるんだよ。まだまだたくさんの思い出を皆で作っていきたいんだよ。まだまだ皆で夢を追い掛けていきたいんだよ。」
「しかしプレジ」
「あ~あ!やだやだ!な~んでこんなにわがままで駄々っ子な人なんかを私達国民は、大統領なんかにしちゃったのかしらね。はぁ~自分が情けない。」
「おい!プレジデントに向って何を言っているんだ!」
「ほんっとに!ガキなんだから!」
「ごめんね・・・・・・。」
「まっ!でも私達国民の選択は、間違ってなかったみたいだけどね。」
「博士・・・・・・うん。ありがとう。」
「もう!ズルいのよね。その優しい笑顔。」
「プレジデント・・・・・・では、この国に残ると言う事でよろしいのですね?」
「司令官?僕は最初からそのつもりだったよ。」
「あなたってお人は・・・・・・分かりました!少人数ではありますが!まだ感染していない残りの部下達を直ちにここへ集め!作戦会議を開きましょう!」
「私も最後まで諦めず!残りのメンバー達と一緒に未知のウイルスの抗体を持つ宿主を突き止めてみせる!最後の最後まで徹底的にあがいてやるわ!」
「そうそう。このウイルスの最初の報告があった時からずっと思ってたんだけどね。」
「何ですか?」
「お聞かせ下さいプレジデント!」
「うん。未知のウイルスって確か100%の発症率なんだよね?」
「ええ。発症率もそうだけど発症までのスピードもエボラやハンタの比較にならないほどだわ。それに、何よりもこのウイルスの恐ろしい点は、感染媒体が不明なとこね!この異常なまでの感染スピードは、空気感染以上のものがあるとしか考えられないわ!」
「うん。そこら辺は、前にも博士が言ってたよね。」
「何が言いたいのですか?プレジデント。」
「だからね。もし、この感染性の非常に高い未知のウイルスに感染してね。異常なまでの物凄いスピードで発症するとするよね?」
「はい。」
「ええ。」
「でもね。生えてくるだけなら剃りゃいいじゃん。」

第三十九話
「ヒゲウイルス」

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