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2007年3月 7日 (水)

「第三十八話」

 俺がこの世で一番嫌いなもの。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
電車・・・・・・・・・。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
満員の電車・・・・・・・・・。
「ガタンガタン!ガタン!キキッキーッ!!」
「痛ッ!」
「ガタン!ガタンガタン!」
特に朝の満員電車ときたら大が付くほど嫌いだ。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
ここには、汚い人間の本性と見るも無残な己がための欲望が渦巻いている。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
この空間の中には、自己犠牲の精神や人と人とが助け合う美しい繋がりや優しい心の断片すら持ち合わせた人間など誰一人として存在しない。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
乗客全員がそれぞれ自分勝手に自己中心的に思いのままの姿で目的地までの乗車時間を過ごしている。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
吐き気がする。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
嫌気がさす。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
まったく愚行で
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
とことん滑稽だ。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
どんな人間だろうが、この空間の中では赤子よりもわがままで浮遊生物よりも知能が低い鬼畜だ!
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
これが人間本来の実践理性や心理主義や情的過程や自己証明や純粋概念や自我意識だとしたら・・・・・・・・・。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
こいつら全員・・・・・・・・・。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
こいつら全員・・・・・・・・・。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
こいつら全員・・・・・・・・・。
「ガタンガタン!ガタンガタン!」
消えてしまえばいい!!
「ガタンガタン!ガタンガタン!ガタンガタン!ガタンガタン!ガタンガタン!ガタンガタン!ガタンガタン!ガタンガタン!」

第三十八話
「いきなり透明人間」

「先月末頃、通勤途中に忽然と姿を消した男性会社員の行方は、未だ何の目撃情報も手掛かりも得られていないようです。当初警察は、自殺の可能性も視野に入れて捜査を行っていましたが、遺書が発見されていない事からも今後は、捜査方針を事件と事故の両方面に絞り込んで行っていく模様です。続いては今日のお天気です。」
「プチンッ!」
相変わらず今日も俺は、人間本来の姿が渦巻く、吐き気のする満員電車に乗る為に、家を後にした。
「バタンッ!」

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