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2007年4月11日 (水)

「第四十三話」

 誰でも一度ぐらいは、自分の頭の中で想像して人を殺した事があるだろ?それはストレス解消の為だったり、自我を保つ為だったり、自己の欲求を満たす為だったり、ただの暇つぶしだったり・・・・・・・・・。実際に殺す訳じゃないんだから別に悪い事じゃない。そうは思わないか?

「次は、今日のお天気です。」
「プチン。」
信じられないが、これがおそらく現実なんだろう。一昨日の公園で発見された男性の変死体。昨日の山林で発見された女性のバラバラ死体。今のニュースでやっていた一家三人惨殺事件。どれも俺が頭の中で想像して殺した人達だ。しかも全く同じ殺され方・・・・・・三日も連続するなんて・・・・・・。単なる偶然だよな?でもなぜなんだ?なぜ、俺が想像で殺した人達が、現実でも同じように死んでしまうんだ?
「ピーンポーン!」
ん?
「ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピーン・・・・・・・・・ポーン!」
「ガチャッ。」
「どーも。」
「どーも。」
蛙の国の王様が大きな猿のお供を従えてやって来た。この二人は、いったい何者なんだ?
「どちら様ですか?」
「わたくし達は、こーゆー者です。」
「者です。」
警察手帳!?刑事!?いったい刑事が何の用があって俺の家に?まさか!?・・・いやいやいや、そんなはずはない。だってあれは・・・・・・想像。
「えーわたくしがチョコレートケーキ刑事で、こっちがモンブラン刑事です。どうぞ宜しく。」
「宜しく。」
チョコレートケーキにモンブランだって!?
「我々は、そんなに甘くないぞ!なぜならケーキじゃなくて刑事ですから!ゲコゲコゲコゲコ!」
「キッキッキッキッ!」
冗談のつもりなのか?全く面白くない。気味の悪い笑い方をしやがって・・・・・・何がそんなに可笑しい?
「いったい何の用で来たんですか?」
相手にするのも馬鹿らしい。さっさと用件を聞いて帰ってもらおう。
「ああ、こりゃ失敬。」
「失敬。」
だいぶ失敬だよ。
「我々が何の用で来たかですって?ゲコゲコゲコ!お分かりのくせに。」
「くせに。」
「分かりませんよ!」
分かる訳がないだろ!
「あなたを逮捕しに来たんですよ。」
「すよ。」
逮捕だって!?
「モンブラン刑事。逮捕状を見せて上げて。」
「アイアイサー!」
「逆さま逆さま。」
「あら?キッキッキッキッ!」
「ゲコゲコゲコゲコ!」
なぜだ?なぜ俺が?
「逮捕って!俺がいったい何をしたって言うんです!」
「何をした?ゲコゲコゲコゲコ!」
「キッキッキッキッ!」
「何が可笑しい!」
「ゲコゲコゲコゲコ!だって、あなたが最高に笑えるジョークを言うもんですから。なぁ、モンブラン刑事?」
「キッキッキッキッ!」
「冗談なんかじゃない!なぜ逮捕されなきゃいけないんだ!」
「それは、あなたが人を殺したからですよ。」
「ですよ。」
何だって?俺が人を殺しただって?馬鹿な!確かに殺した・・・・・・でもあれは頭の中で想像して殺しただけで・・・・・・実際に殺した訳じゃない!
「想像して殺しただけで実際に殺した訳じゃない。ですか?ゲコゲコゲコ!想像で人を殺しても殺人は殺人!」
「殺人は殺人!」
「えっ!?」
何言ってんだこの刑事は?なぜ俺が想像で人を殺した事を知っているんだ?
「なぜ想像で人を殺した事を知っているんだ?ですか?」
「すか?」
なぜさっきから俺の考えが分かる!どうなってる!?
「・・・・・・・・・確かに俺は・・・想像で人を殺した。」
「ほら、やっぱり殺してるじゃないですか。ゲコゲコゲコ!」
「ないですか。キッキッキッ!」
「だが!実際に殺した訳じゃないんだから別にいいだろ!」
「寝ぼけた事を言わないで下さい。」
「さい。」
「想像で殺したんなら、それは立派な殺人です。現に、五人もの尊い命が犠牲になっているじゃありませんか。それが、何よりもの証拠です。」
「拠です。」
そんなはずはない!想像で実際に人が死ぬ訳がない!死んでたまるか!
「ゲコゲコゲコゲコ!では、行きましょうか?」
「きましょうか?」
「行くってどこへ?」
「決まってるでしょ?」
「決まってるでしょ?」
「警察へ連れてかれるのか?」
「違います。死刑台にです。」
「にです。」
死刑台!?死刑って事か?ちょっと待ってくれよ!
「どうして俺が死刑にならないといけないんだ!あんたら無茶苦茶過ぎるよ!」
「無茶苦茶なのは、どっちですか?」
「っちですか?」
「人を五人も殺しておいて何を言ってるんですか?いや、本当はもっと大勢の人達を殺しているのかな?そんな奴は、すぐさま死刑になって当たり前!」
「たり前!」
「俺は誰も殺してない!!」
「なぜ我々がここにいるのかお分かりですか?」
「ですか?」
はっ?勝手にあんたらが来たんだろ?何言ってるんだ?
「知る訳ないだろ!」
「あなたが罪の意識に苛まれたから、我々がここにいるのでは?」
「では?」
「これ以上想像で殺人を繰り返していけば、本当に殺人をしてしまう。」
「しまう。」
「あなたの無意識の理性が我々を作り出した。」
「出した。」
作り出しただと!?
「違いますか?」
「?」
「まさか!?あんたらも俺が頭の中で想像したって言うのか?」
「ゲコゲコゲコゲコ!だから、そう言っているじゃありませんか。」
「キッキッキッキッ!決まってるだろ?こんなふざけた刑事を想像するのなんて、あんたしかいないよ。茶番だよ!茶番!」
「モンブラン刑事。少し言い過ぎだよ。ゲコゲコゲコ!しかし、まったくその通りですね。チョコレートケーキにモンブランだなんて、茶番もいいとこですよ。」
「ですよ。って何で俺は、チョコレートケーキ刑事の台詞を繰り返すんだ?まるで馬鹿じゃないか!」
俺の想像?殺人も刑事も?俺が頭の中で想像した事?それが現実になってしまうって事なのか?それともこれも想像なのか?俺は、いつの間にか想像に取り込まれてしまっていたのか?何なんだ?いったい何だって言うんだ?どうしちまったんだよ俺は!
「ここは現実なのか?」
「さあ?」
「さあ?」
「どっちでもいいじゃありませんか。ゲコゲコゲコゲコゲコゲコ!」
「キッキッキッキッ!」
「ゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコ!」
「キッキッキッキッキッキッキッ!」
「ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ!」
「ウッキッキッキッキッキッキッ!」
「笑うな!!」
「だったら、我々も想像で殺してみたらどうですか?」
「ですか?」
何を言ってるんだ?
「早く殺しなさい。」
「殺せ!」
殺せだと?
「殺しなさい!」
「殺せ!」
誰が?誰を?
「殺すのです!」
「殺せ!殺せ!」
うるさい。うるさいうるさいうるさい!俺は、誰も殺してなんかいない!ただ、想像しただけだ・・・・・・・・・。
「殺せー!」
「殺せ!殺せ!殺せ!」
黙れ・・・・・・・・・。
「さあ!殺しなさい!」
「殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!」
黙れ・・・・・・・・・黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!
「黙れぇぇぇぇぇ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
し・・・死んでる!?やっぱり俺は殺人をしたのか?いったいここは・・・どこなんだ?現実なのか?それとも・・・・・・・・・

第四十三話
「まだ終わらない!」
 
 
 
 
 
 
「おい!起きろ!」
「ん?」
ここは?今のは?
「何だ青白い顔して!仕事は、はかどったのか?」
「仕事?」
今のは夢?
「おいおい。顔でも洗ってきた方がいいんじゃないか?仕事ってゲームに決まってるじゃないか。」
いったい俺は?
「ゲーム?」
「うちの会社から出す新作のゲームソフトだよ。シナリオは、お前の担当だろ?」
そうか・・・・・・ここは仕事場か・・・・・・・・・。
「どうだ?いいシナリオでも浮かんだか?」
「・・・・・・・・・主人公は、想像力でモンスターと戦っていくんだよ。」
「いいじゃないかそれ!斬新だよ!」
「想像力のレベルがアップすれば、いろいろな想像でモンスターと戦っていけるようになるんだ。」
「なるほど!で?どんな風に戦うんだ?」
「公園のベンチで酔っ払って寝てるモンスターを大きな石で何度も殴って殺したり。」
えっ!?
「殺したモンスターをバラバラにして山中に埋めたり。」
何を言ってるんだ?
「一家三人で楽しく夕食を食べているモンスター家族を皆殺しにしたり。」
おい・・・・・・これじゃあまるで・・・・・・さっきの・・・・・・・・・。
「おいおいおい。子供もプレイするんだぞ?表現がグロテスク過ぎるんじゃないか?まあ、まだまだ期限は先だからな。そんなに根詰めて考える事はないさ。」
「あ・・・ああ。そうだな。でも、今の内に骨組みだけでも考えとかないと。」
「それで体を壊しちゃ冗談じゃ済まされないだろ?まあ、これでも食って一休みでもしろよ。」
「ん?ケーキか?」
ケーキだと!?
「疲れた脳には、甘い物が一番だ。」
「悪いな。」
「パカッ。」
「チョコレートケーキとモンブランだ。二つとも食うなよ?一つは俺のだからな。」
チョコレートケーキにモンブランだと!?
「ああ。」
「俺は、どっちでもいいから、好きな方を選んじゃっていいぞ。今、コーヒー入れてきてやるよ。」
単なる偶然だよな?いや、偶然に決まってる!
「悪いな。ギンギンに熱いブラックを頼むよ。」
「分かった。なあ?」
「ん?」
「どうしてお前が、さっき俺が頭の中で想像していた出来事を知ってるんだよ!?」
「さあ?きっとジョークなんじゃないか?これも何となくジョークなんだよ。だからそんなマジな顔してないで、早くコーヒーを入れてきてくれよ。ゲコゲコゲコゲコゲコゲコゲコ!」
ここは現実なのか?それとも・・・・・・・・・

第四十三話
「まだ終わらない!」

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