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2007年6月 6日 (水)

「第五十一話」

それは、とても蒸し暑い6月の雨の日曜日の午後でした。私は、外に遊びにも行けず2階にある自分の部屋のベットの上で寝っ転がりながら漫画を読んでいました。
「おーい!」
すると、1階のリビングから私を呼ぶ父の声が聞こえて来たんです。
「なーにー!」
「ちょっと来てみろー!面白いもんがあるぞー!」
正直言うと、怠かったので無視しようかと思いましたが、まあ暇だったし他にする事もなかったので相手をしてあげようかな?と、読んでいた漫画をきちんと本棚にしまい、私は軽い気持ちで部屋を出ました。
「ガチャッ!」
正直、父の面白いもんって言葉に
「バタンッ!」
今年で18になるって言うのに
「タッタッタッタッタッ!」
年甲斐もなく私は、ワクワクしながら階段を降り、父のいるリビングへとやって来たのです。
「ガチャッ!」
「どうだ!凄いだろ!」
ドアを開けた私の目に飛び込んで来たものは、父の横に並ぶ父と同じぐらいの背丈をしたなぜかスーツ姿の人型ロボットでした。
「どうしたのそれ!?」
「びっくりしただろ!雨で暇だったからな。じーさんの地下室を探索してたら発見したんだよ!」
祖父は、2年前に他界しました。当時、祖父の遺産を巡って一悶着あった事は、記憶に新しい事です。父には、3人の姉がいます。まあ、3人の意地悪な姉と言ったほうが正しいでしょうか?祖母は、私が5歳の頃に他界してしまったので、4人で祖父の遺産を分割する事になったのです。父は、半ば強引にこの家と祖父が生前熱心に集めていた「いったいどんな使い道があるの?」って感じのお宝(ガラクタ)を相続したのです。もちろん、お金やら不動産やら価値のある物やらは、意地悪な3人の姉達が相続しちゃいました。
「まさかロボットが眠っているとはな!」
本当の事を言っちゃうと、この子供のようにロボットを目の前にして無邪気に笑っている父が、この家とお宝(ガラクタ)を熱望したんです。父の3人の姉達が無理矢理に相続させた訳じゃありません。まあ、意地悪なってとこは、特に否定するつもりはありませんけどね。母は、そんな父の姿を見て、これまた無邪気に笑っていました。意味分かんないし。
「何なの?このロボットは?」
「いや~雨で暇だったからな。じーさんの」
「それ聞いたから。」
「そうか!じゃあさっそく始めようか!」
「いや間を話してくれなきゃ分かんないから。」
「まあまあ落ち着け!」
「ツケオチ!」
「パパが落ち着きなよ。」
「ツケオチ!」
「じーさんの奴!とんでもない遺産を残してくれてたんだよ!」
「それがそうなの?」
「チガウチガウ!」
「そんじょそこらのロボットじゃないんだぞ!」
「そうなの?そんな風には見えないけど?」
「オマエハパンツマルミエダケド?」
「聞いて驚くなよ!」
「オドロイテモイイゾ!」
「パパ?ちょっと聞いてもいい?」
「なんだ?」
「カンダ?」
「喋ってない?なんかさっきっからちょくちょくこのロボット喋ってない?」
「シャベッテナイシャベッテナイ!」
「気付いたか!」
「気付くって!」
「キヅカレタッテ!」
「ほら?」
「実は、このタイムマシーン」
「えっ!?タイムマシーンなの!?このへんちくりんなロボットがタイムマシーンなの!?」
「ソウダッタンダ!」
私のワクワクは、言葉で表せないほどのワクワクでした。夏休みと学校に行く日が逆になったらきっとこんな気持ちなんだろうなって思いました。ねっ?あんまり上手く言い表せないでしょ?
「ねぇねぇ!どこ行く?あたしはどこでもいいんだけどねぇ~?やっぱし未来がいいかなぁ~!」
「センスナイゾ!」
「なによ!いいじゃないの!あたしの勝手でしょ!いいから早く未来に連れて行きなさいよ!」
「ヤダ!」
「やだってなによ!あんた持ち主の娘の言う事が聞けないって言うの!」
「まあまあ落ち着きなさい。」
「ツケオチ!」
「だってパパ~!」
「ダッテパパイヤ~!」
「そもそも未来や過去なんかに行ける訳ないんだから落ち着きなさいよ。」
「ツケオチ!」
「えっ!?だってさっきパパ、タイムマシーンって言ったじゃん!」
「コチュジャン!」
「うるさい!」
「XOジャン!」
「タイムマシーン君って言おうと思ったらお前が急に話に食いついて来たんだよ。」
「へっ?」
「プゥ~!」
「これってタイムマシーンじゃなくってタイムマシーン君て名前なの?」
「そうだよ。」
「なんてややこしい名前なのよ!えっ?じゃあ、このタイムマシーン君は、いったい何なの?」
「シラナイ!」
「聞いて驚け!タイムマシーン君はな!つっこみマッシィーン!なんだよ!」
「つっこみマシーン?」
「違う!つっこみマッシィーン!だ!」
「そのつっこみマッシィーン!って何をしてくれる訳?」
「つっこみをしてくれるに決まってるだろ!」
「ソウダッタンダ!」
「あたし宿題があったんだった。」
「嘘つくんじゃない。」
「ツケウソ!」
「嘘じゃないわよ!」
「ちょっと待ちなさい!」
「手を放してパパ!くだらな過ぎる!あまりにもくだらな過ぎる代物よ!やっぱりおじいちゃんだったわ!」
「じーさんを悪く言うんじゃない!いいからボケてみなさい!タイムマシーン君がバシバシつっこみを入れてくれるから!」
「バシバシ!」
「そんなの全然面白くない!」
「バシバシ!」
「面白いじゃないか!つっこみを入れてくれるんだぞ?」
「キットナ!」
「パパ1人でやればいいでしょ!」
「たまには娘とのスキンシップをと思ってな!」
「オヤコカンノハレヲヒカセルタメカ!」
「思わないでよ!」
「泣くぞ!」
「えっ!?」
「このままお前が自分の部屋に戻ったら、父さんは泣くからな!しかも窓全開にして!」
ガキかよ!でも私は、父のあまりにも馬鹿げた発言で、少しだけつっこみマッシィーンのタイムマシーン君の相手をする事にしました。実際に父の目がウルウルしてたってのもあるけどね。
「どうすればいい訳?」
「何かボケてみなさい!」
「いきなりそんな事言われても困るよ。」
「イイカライイカラ!」
「えっ?じゃあ、暑は夏いねぇ~。」
「いいぞいいぞ!さあ、タイムマシーン君!つっこみを入れてやってくれ!」
「デ?」
「えっ?」
「えっ?」
「ピクチャー?」
「それは絵でしょ!パパ?全然つっこみなんか入れないじゃない!」
「おかしいなぁ?もう一度言ってみてくれないか?」
「え~!」
「ビ~!」
「頼むよ。でなきゃ泣くぞ?」
「わ、分かったわよ。いや~」
「アツハナツイネ~!」
「何であんたが言っちゃうのよ!何なのこのロボット?壊れてるんじゃないの?」
「おかしいなぁ?ちゃんと動いてるから大丈夫だと思ったんだけどなぁ?博士に見てもらわないとダメかなぁ?」
「博士って誰よ!」
「お前がつっこみ入れてどうするんだよ!」
「ボケてたのね。」
「ドウシタンジャ!」
「あんたが博士やってどうすんのよ!」
「ナツハアツイデショ!」
「今ごろつっこみ入れてどうすんのよ!何なのこのつっこみマッシィーン?てか、何であたしはつっこみマッシィーン!につっこみ入れてる訳?」
「あっ!」
「イッ!」
「どうしたのパパ?」
「ウッ!」
「分かったぞ!」
「エッ!」
「何が分かったの?」
「ピョッ!」
「ピョッって何よ!ピョッって!オッ!でしょ!てか、話してるんだから静かにしてなさいよ!」
「それだよ!」
「それ?」
「THIS!」
「それこれじゃない!って、ややこしいのよ!こいつは無視して続けてパパ!」
「サミシイナァ~!」
「このロボット、タイムマシーン君は、つっこみマッシィーン!だが、ボケた相手につっこみを入れるつっこみマッシィーン!じゃなかったんだよ!一緒にいる相手がタイムマシーン君につっこみを入れる意味のつっこみマッシィーン!だったんだよ!」
「ソンナバカナ!」
「あたしのセリフよ!!」

第五十一話
「つっこみマッシィーン」

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