« 「第五十六話」 | トップページ | 「第五十八話」 »

2007年7月18日 (水)

「第五十七話」

「課長~!課長~!まったく・・・・・・・・・課長は、いったいどこに行ったんだ?課長~!課長~!」
「よっ!」
「課長!?よっ!じゃないですよ!いったい今までどこに行ってたんですか!」
「いや~参っちゃったよ。参っちゃった。巻き込まれちゃって参っちゃったよ。」
「何かトラブルにでも巻き込まれたんですか?」
「トラブルに巻き込まれちゃって巻き込まれちゃって、もう大変だったよ。かなり大変だった。」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫っちゃあ~大丈夫だけど、大丈夫じゃないっちゃあ~大丈夫じゃない。」
「どっちなんですか!酔ってるんですか?」
「酔ってるちゃあ~酔ってるけど、酔ってないちゃあ~酔ってない。」
「酔ってちゃだめでしょ!で?トラブルっていったい何だったんですか?」
「鬼ごっこしてたんだけどさぁ。」
「はい?」
「鬼が探しに来ないんだよ。寂しかったなぁ。私が一生懸命に隠れていても全然探しに来ないんだよ。鬼ごっこしていて鬼に探されないってのはキミ。物凄く寂しいもんだぞキミ。その辺、分かるかキミ。」
「気持ちは分かりますけど、いったい誰と鬼ごっこをしていたんですか?」
「一人でだ。」
「ズコッ!ですよ課長!鬼のいない鬼ごっこじゃないですか!」
「平和だろ?」
「確かに平和ですけど・・・・・・・・・。」
「平和は、寂しいぞキミ。なぜ世の中が世界平和を望みつつも、全然世界が平和にならないのかが分かった気がするよ。平和になって寂しくなるのがみんな嫌だからなんなだな。何だか妙に納得してしまったよ。」
「しないで下さい!そんな事よりも!何で課長は、仕事もしないで会社の中で一人鬼ごっこをしてるんですか!」
「私の趣味だ。」
「家でやって下さい!しかもこんな時間まで!」
「今何時だ?」
「とっくに就業時間を過ぎてますよ。」
「どうりで誰もいない訳だ。私は、てっきりみんなも同じ事をしているのかと思ったよ。」
「何で社員全員が一人鬼ごっこをしないといけないんですか!だったら全員で鬼ごっこやりましょうよ!」
「ノッた!!」
「のらないで下さい!例え話なんですから、はりきらないで下さいよ!社員全員で鬼ごっこしてる会社って、いったいどんな会社なんですか!」
「分からん。だから明日さっそくどんな会社になるのかやってみようじゃないかキミ!」
「カレンダーの日付にマルしないで下さい!しかも五重マルでしないで下さい!」
「いやほら、忘れちゃうからさぁ。五重ぐらいマルしとかないとダメだろキミ。私だってこう見えてもその辺は、心得ているよキミ。」
「やりませんよ!」
「やらないの?なんだ。楽しいと思ったのにな。」
「楽しくないですよ!」
「鬼なし鬼ごっこ。」
「そこら辺を含めて、やっぱり楽しくないですよ!一人鬼ごっこも鬼なし鬼ごっこも単なるごっこじゃないですか!」
「何で?だって鬼がいたら平和じゃないんだぞ?鬼がいなかったら平和なんだぞ?寂しいけど・・・・・・・・・。ただ!そんな事に負けちゃいけないんだよキミ!何かを得る為には、それなりの代償を伴うもんなんだよキミ!我社からやっていこうじゃないかキミ!世界平和ってやつをさキミ!そして、これを機に我社も世界進出しようじゃないかキミ!今の時代はグローバルに行かなきゃだよキミ!」
「キミ多いなぁ。なぜ鬼なし鬼ごっこでそこまで熱く語れるのか僕には理解出来ませんよ。だいたいそんな事を社長が許す訳ないじゃないですか。」
「いいよって言わせてみせるさ!腹話術でな!」
「課長が言ってるんじゃないですか!それは社長じゃなくて課長じゃないですか!」
「なら私は社長か!」
「違いますよ!両腕上げて喜ばないで下さいよ!」
「ジョークだよジョーク。課長ジョークだよ。」
「どんなジョークですか!」
「私だってそんな話が通るだなんて本気で思っていないよ。」
「ならいいんですけど。」
「私の言ってる鬼ごっこってのはな。」
「まだ鬼ごっこの話を続けるんですか?早く帰りましょうよ。」
「いいから聞けって!私の言ってる鬼ごっこってのはな。所謂、かくれんぼの事だよ。」
「分かってますよ。」
「なら社員全員の中から決めようじゃないか!」
「決める?いったい何を決めるって言うんですか?」
「かくれんぼ王を!!」
「は?」
「そして、社員の中の優勝者と社長とが戦って真のかくれんぼ王を決めようじゃないか!」
「真のって、社長はすでにその称号を持っているって事ですか?」
「だから社長なんだろ!!」
「結構、社内でお見かけしますよ?」
「何だと!?では、今の社長はかくれんぼ王ではないと言う事か!?」
「違うと思いますよ。」
「なら、いったい誰なんだ?」
「はい?」
「我社のかくれんぼ王は、いったい誰だと言うのだ!キミか!」
「違いますよ。」
「まさか!?考えたくはない事だが!我社にかくれんぼ王はいない!!だったらなぜ会社が成り立っているんだ?・・・・・・・・・謎だ!いや待てよ?もしかしたら・・・・・・・・・。いや、私の考え過ぎだろう。そんなはずはない。あってはならない事だ。だが」
「課長っ!!」
「びっくりするじゃないかキミ!いきなり大声なんか出してどうしたんだ。」
「事だが!辺りからずっと呼んでましたよ。」
「何だ?」
「その訳の分からない話、もういいですか?」
「いくない!もしかしたら我社は」
「課長!」
「何だ!」
「やめて下さい!」
「分かったよ・・・・・・・・・何もマジになって怒る事ないだろ?キミは学級委員の女子か!!」
「違いますよ。」
「どうりでな。スカートでおさげでメガネじゃないから違うと思ったよ!」
「イメージでものを言わないで下さい!しかも古いイメージで!」
「全身これサイボーグ!」
「いや、その近未来的なイメージも古いですよ。」
「なら私にどうしろと言うんだ!あれもダメこれもダメ!一人鬼ごっこもかくれんぼ王決定戦も仕事もやっちゃダメ!私は、いったい何をすればいいんだ!」
「いや、仕事に関してはダメなんて一言も言ってませんけど?」
「キミの心の声が聞こえたんだよ!」
「課長はエスパーですか?」
「私はエスパーだったのか!」
「違いますよ!だから両腕上げて喜ばないで下さいよ!」
「あっそ。」
「あっそって・・・・・・・・・。」
「なあキミ?」
「何ですか?」
「夕日が綺麗だな。」
「えっ?・・・・・・・・・そうですね。」
「なあキミ?」
「何ですか?」
「明日も晴れるかな?」
「確か天気予報では、今週はずーっと晴れるって言ってましたよ。」
「そうか。明日も晴れるか。そりゃ良かった。」
「課長?」
「何だ?」
「もしかして?」
「何だ?」
「泣いてるんですか?」
「ばばばば馬鹿な事を言うな!私は課長だぞ?課長は泣かない生き物なんだよ!課長が泣いちゃダメなんだよ!課長が泣く時はなぁ・・・・・・・・・課長が泣く時はなぁ・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・課長?」
「ちくしょうめっ!」
「課長・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・くそっ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さてと!」
「課長?」
「カァー!カァー!カァー!カァー!」

第五十七話
「カラスが鳴くから帰ろ」

|

« 「第五十六話」 | トップページ | 「第五十八話」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/121942/6976226

この記事へのトラックバック一覧です: 「第五十七話」:

« 「第五十六話」 | トップページ | 「第五十八話」 »