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2007年9月 5日 (水)

「第六十四話」

 大学も休みに入り、無性に暇だったあたしは、ぶらぶらと優雅にお散歩を楽しんでました。
「ぶらぶら~♪ぶらぶら~♪散歩をしているよ~♪」
陽気に歌なんか歌っちゃったりしながら、のんびりとお散歩を堪能していました。
「なんだかんだ~♪どんなもんだ~♪散歩をしているよ~♪あたしの~♪ん?あれ?」
それは調度、歌がサビに差し掛かった時で、ついでに公園の前を通り掛かった時でした。
「あれってもしかして・・・・・・・・・。」
あたしは、公園のベンチに何だかやる気なく座るスーツ姿で髪の毛が七三にセットされたヒーローを発見したんです。
「電撃メガネだ!!」
あたしは、迷う事なくそのヒーローのところに駆け寄って行き、ちょっと緊張したけど、それを悟られないようにベンチの隣に座っちゃいました。
「電撃メガネ!」
「ん?」
「やっぱり電撃メガネだった!」
「何ですか?」
「こんなところで何やってるんですか?」
「あなたには、関係のない事です。」
「分かった!公園で遊ぶチビッ子達に危険がおよばないように監視してるんだ!さすが電撃メガネ!」
「違います。」
「だったら!公園で遊ぶチビッ子達に危険がおよばないように監視してるんだ!」
「さっきと同じじゃないですか。私は、監視などしていません。」
「してよ~。公園で遊ぶチビッ子達に危険がおよばないように監視してよ~。それがヒーローだよ!」
「ヒーローか・・・・・・・・・。」
「そっ!電撃メガネは、チビッ子達のヒーロー!そして、ひそかにあたしのヒーロー!!あっ!でも大丈夫大丈夫!チビッ子達の安全を優先して下さいね!あたしは、自分の事はなるべく自分でなんとかします!でも、それでも駄目な時には、このカリカリ梅を食べます!だから、カリカリって音が聞こえて来たら助けに来て下さいね!」
「ヒーローを辞めようと思っているのです。」
「カリカリ!」
「聞いてます?」
「ふぁい。」
「カリカリ!」
「ひぃいふぇふぁふ。」
「カリカリ!」
「明らかに片手間ではないですか。完全にカリカリ梅の方に全神経が集中しているではないですか。」
「ゴックン!すいません。もう大丈夫ですよ。で?」
「ほら、やっぱり聞いていなかった!・・・・・・・・・私、ヒーローを辞めようと思っているのです。」
「そうなんですか。えぇぇぇ!!なななな何を言い出すんですか!電撃メガネがヒーロー辞めちゃったら!いったい誰がこの町の平和を守るんですか!!辞めないでよ~!辞めちゃ駄目だよ~!絶対駄目だよ~!せっかく電撃メガネの歌を作ったのに~!」
「頼んでいませんけど?」
「聞いて下さい!『お散歩マーチ』。」
「それって、私関係あるのですか?」
「ぶらぶら~♪ぶらぶら~♪散歩をしているよ~♪なんだかんだ~♪どんなもんだ~♪散歩をしてるよ~♪あたしの~♪」
「その歌は、先ほどお嬢さんが公園の前で大きな声で歌っていた歌ではないですか。」
「右足~♪」
「最近気付いたのですが、平和なのですよ。私がいなくてもこの町は、十分すぎるほど平和そのものなのですよ。」
「そんな事ない!!」
「えっ?」
「そんな事ないよ電撃メガネ!この町は平和じゃないよ!空気は汚れてるし!政治も汚れてるし!物価だって高くなるし!温暖化も進んでるし!人間がどう進化してきたのかだって、いまだにちゃんとは解明されてないんです!!」
「そ、それはこの町に限った事ではないのでは?そもそもお嬢さんが今言った事は、ヒーローの管轄を大きく外れていますよ。特に最後の進化については、人類の謎になっています。」
「うぅぅぅぅぅ!!まだまだあります!あのすべり台知ってます?」
「あのすべり台で何かあったのですか!?」
「あまり滑らないんです!」
「はい?」
「それと!あたしの目覚まし時計、朝になっても鳴らない時があるんですよ!それにあの鉄棒!逆上がりが出来なくって小学生の時、クラスのみんなに励まされて練習したっけ・・・・・・・・・懐かしいなぁ。みんな元気にしてるかなぁ?そうだ!同窓会やろ!特別ゲストとして電撃メガネも来て下さい!!」
「何の話をしているのですか?」
「えっ?あっ、すいません。とにかく!目覚まし時計が鳴らないんです!」
「電池を交換すればいいではないですか!」
「しました!したけど駄目だったんですよ!」
「なら修理してもらうか新しい目覚まし時計を買えばいいではないですか!」
「買いました!!」
「なっ!?・・・・・・・・・とにかく私がヒーローである必要などないのです。所詮、ヒーローなど漫画やアニメ、映画や小説のような、絵空事の世界の中だけの存在だったのですよ。現実に存在してはいけなかったのです。私が思っていた以上に、世の中の人々はヒーローを必要としていなかっ」
「フボッ!!」
「種!?なぜこのタイミングで種をゴミ箱に吐き捨てるのですか!?今まで口の中にあったと言うのですか!?いや、正直気にはなっていたのですよ。なぜカリカリ梅を食べたのに種を吐き出さないのか?って、私の話を聞いていませんでしたね。」
「聞いてました。電撃メガネは、わがままで身勝手です!!」
「お嬢さんに言われたくないセリフですね。」
「ヒーローは、悪い事が起きてから活躍してはいけないんです!!悪い事が起きないように活躍するのがヒーローなんです!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「そんなに悪い事が起きて欲しいなら!今日からあたしがこの町で悪い事をしまくります!!」
「えっ!?」
「日記にいっぱい知らない人の悪口書いたり!曲がらない方向に指を曲げてみたり!ご飯を噛まないで飲み込んでみたり!近所の人に挨拶されても無視しちゃいます!それからそれから・・・・・・・・・本気で世界征服を企んじゃいます!独裁ですよ!我が物顔ですよ!いいんですか?暗黒の世界にしますよ!電気なしですからね!!」
「・・・・・・・・・それは困ります。」
「この町が平和なのは、電撃メガネがいるからなんです!!平和でなにがいけないんですか!平和のどこが退屈なんですか!」
「・・・・・・・・・お嬢さん。それを私に言う為に、だから私が話をしている最中にもかかわらずカリカリ梅の種を吐き捨てたのですね。」
「電撃メガネは間違ってます!!」
「確かに私の考えは間違っていたのかもしれません。」
「あれは味が無くなったから吐き捨てたんです!」
「間違っていたのはそっちの解釈の方でしたか!」
「そうです!あたしは味が無くなるまでカリカリ梅を堪能するんです!でなきゃカリカリ梅に申し訳ないじゃないですか!そして、そうじゃなきゃカリカリ梅を作った人に足を向けて寝れないじゃないですか!」
「確かにどこにいるのか分かりませんからね。・・・・・・・・・しかし、お嬢さんにヒーローとは何たるかを学びましたよ。」
「じゃあ!」
「はい。お嬢さんを悪者にする訳にはいかないですからね。これからもヒーロー電撃メガネとして、この町の平和を維持していきたいと思います!」
「やったぁ!」
「ありがとう!お嬢さん!」
「あたしは、何もしてませんよ。あっそうだ!カリカリ梅食べます?」
「是非!」
「どーぞ。」
「ありがとうございます。」
「パクリ。」
「カリカリ。」
「カリカリ梅、美味しいですね。」
「パクリ。」
「カリカリ。」
「はい!」
「カリカリ。」
「カリカリ。」
「カリカリ。」
「カリカリ。」
「カリガリッ!!いったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「電撃メガネ!大丈夫?電撃メガネの電撃メガネメガネが落ちちゃったよ?」
「ただのメガネです。それに今は、そっちの方はあまり重要ではなく・・・・・・・・・それよりも・・・・・・・・・。」
「はい。電撃メガネメガネ。」
「歯が折れたんだってばぁぁぁぁぁ!!!」

第六十四話
「電撃メガネ」

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