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2007年9月26日 (水)

「第六十七話」

 ホテルで殺人事件が起きた。だが、その殺人事件は今も継続中であった。たまたまホテルに居合わせた探偵とその助手が事件解決の為にホテルの一室で「あーだこーだ」と犯人を推理していた。
「あーだこーだ。」
彼が探偵である。
「真面目にやりなさいよね!」
彼女がその助手である。
「犯人はお前だ!!って、言ってみたいなぁ。」
「言えばいいじゃない。犯人見つけて、そいつの前で言ってやればいいのよ!だから、さっさと犯人見つけちゃいましょ!じゃあ、事件のおさらいするわよ?」
「お願いします。」
「まず最初の殺人。宿泊客の新聞記者29歳男性。部屋で刺殺。そして、窓やドアは全て内側から鍵が掛けられていた。まあ、典型的な密室殺人ね。」
「う~ん?」
「どうしたの?」
「どーも引っ掛かるんだよね。」
「確かに、あたし達が部屋に入った時に充満していたあの臭い!」
「違うよ。」
「えっ!?なに?何が違うの?」
「ほら、警察の人が言ってたじゃないか。死亡推定時刻は午後10時から午前1時の間だってさ。」
「確かに言ってたわよ?それのどこに引っ掛かってるの?」
「仮にだよ?仮にこの男性が午前0時過ぎに殺されたとしたら?」
「したら?」
「彼は30歳なんだよ。」
「どこ引っ掛かってんのよ!そんなの関係ないでしょ!」
「関係あるさ。男だって、29歳と30歳とじゃ全く違うよ?何が違うって、まず響きが違うよね。29、30。ねっ?年齢を気にしてるのって、意外と女の人だけじゃないんだよ。日々、老いてい」
「熱弁やめてもらえる?死んでんだからどっちだっていいでしょ!」
「死んでんだからどっちだっていい。君が言いそうなセリフだね。」
「そのあたしが言ったのよ!!」
「オナラ。」
「はっ!?突然、何を言い出してんのよ!こんなとこでしないでよ?」
「部屋に入った時に充満してた臭いって言ったでしょ?」
「オナラの臭いだって言うの?なにそれ!犯人がわざわざ人を殺した後でオナラをしたって言うの?何時間充満し続けちゃってんのよ!しかも、何食べればあんな臭いオナラが出るのよ!」
「朝から調子が悪くてね。ごめん。」
「あんたか!何まぎらわしい事してくれちゃってんのよ!犯人に繋がる手掛かりだと思って、おもいっきり嗅いじゃったじゃない!」
「だから悪いなと思ってたんだよ。と同時に凄いなとも思ってたんだよ。」
「止めなさいよ!だからあの時、ニヤニヤしてたのね!」
「止まらなかったんだよね。」
「普通は止め・・・・・・止まらなかった?いったい何発連発してんのよ!」
「部屋に入ってから部屋を出るまでずっとだよ。どうも密室殺人を見るとオナラが出ちゃうんだよね。」
「どんな異常体質だ!あ~気分悪くなってきた。」
「なら寝てていいよ?ああ、でも僕が先に寝るから、君はその後で寝ちゃってよ。」
「推理しろ!で、何であんたから睡眠に突入しちゃうのよ!最悪あたしが寝ちゃっても、あんたは朝まで推理してろ!」
「僕は夢の中で推理する夢探偵なんだよ。」
「初めて知ったわよ!衝撃の事実よ!いい?あのヒゲ刑事にあんだけボロクソに言われたのよ?悔しくないの?見返してやりましょうよ!」
「それは、僕も同感だね。」
「じゃあ、第2の殺人にいくわよ?」
「でも、あのヒゲの刑事さんもあんな風に言わなくたっていいよね。」
「言っていい事と悪い事があるのよ!あたし達を邪魔者扱いしちゃってさ!ああ!思い出しただけでもムカツク!!」
「君に向かって言う事じゃないよね。」
「あんたにだよ!!全部あんたに向けて発信された言葉だよ!」
「えっ?そうなの?そうだったの?あのヒゲの刑事さんめ~!」
「ずーっとヘボ探偵って言ってたじゃない!」
「そんな事を言ってたの?あのヒゲの刑事さんめ~!」
「何を聞いてたのよ!」
「天井のシミが気になっちゃって気になっちゃって、あれ夜見たら絶対に人の顔に見えるなぁ。とか考えてたんだよね。」
「注意力散漫か!って、それこの部屋じゃん!だから、自分が先に寝たかったのね!単に怖がりなだけじゃない!」
「明日は、違う部屋にしてもらおうよ。」
「明日も泊まる気か!」
「違うの?」
「当たり前でしょ!今晩中に推理して朝には、全員を集めてその前で犯人を暴いてやるのよ!犯人は、お前だ!!ってね。」
「僕じゃないよ。」
「そんなの分かってるわよ!全員の前でこうやるって事よ!」
「僕は人差し指を突き刺すより、親指立てたいかなぁ。」
「イエーイじゃない!」
「ダメなの?」
「当たり前でしょ!ふざけてるとしか思われないわよ!」
「じゃあ、狐とか犬とかでやるってのは?」
「影絵か!犯人の顔のとこがチラッチラしちゃうわよ!」
「じゃあ、胸の辺りでやるよ。」
「場所の問題じゃないわよ!」
「あっ!」
「どうしたの?」
「皆さんに白い服を着て集合してもらわないと!」
「やる気満々じゃない!」
「そうだ!今から緊急連絡しなくっちゃ!」
「緊急って何が?」
「だって黒い服を着てたら出来ないじゃないか。」
「やらなくていいのよ!そんな事!」
「本当は見たいくせに~。」
「見たくない!」
「またまた~。」
「見たくないって言ってるでしょ!」
「意地っ張りだなぁ。」
「意地なんか張ってないわよ!」
「わん!」
「やらんでいい!」
「思うんだけどさ。」
「急にシリアスな感じにならないでよ。」
「この連続殺人って、何か裏があるような気がしてならないんだよね。」
「裏?そうね。この事件は何か臭うわね。」
「してないよ?」
「分かってるわよ!事件には、きっとあたし達の知らない何かが、まだあるのよ。」
「そう、僕達の知らない何か。たぶん・・・・・・・・・。」
「たぶん?」
「ドッキリなんじゃない?」
「あんた前代未聞の形で事件を終わらせようとしてるわね。」
「僕達は、まんまとはめられたんだよ。ドッキリにさ。」
「誰が何の目的でどうしてあたし達にドッキリを仕掛ける必要があるのよ!」
「誰かが何かの目的でどうしても僕達にドッキリを仕掛ける必要があったからさ。」
「答えになってない!本当に人を殺しちゃうって、どんなドッキリよ!」
「そこだよ。それが狙いなんだよ。」
「はっ?」
「これがドッキリだとしたら、物凄くドッキリするよね?」
「するわよ。」
「ほら。」
「ほらの意味が分からないわよ!ドッキリだろうが何だろうが殺人事件じゃない!」
「なっ。」
「なっ。じゃないわよ!第2の殺人にいくわよ?」
「お願いします。」
「はあ・・・・・・・・・このホテルの女性従業員。年齢・・・・・・・・・確実に24歳。厨房の業務用冷凍庫の中で吊された状態での発見。体には無数の刃物が刺さっていた。どう?」
「パス!」
「パスなし!」
「犯人は、どうやって吊るしたんだろう?」
「肉を吊るす用のフックに首の付け根を刺してでしょ。」
「こうやって、こう?」
「こうやって、こうでしょ。」
「こう?」
「そう。」
「で、こう?」
「違うわよ!こう!」
「こう?」
「そう。」
「で、こう?」
「カカシか!」
「こう?」
「どこ吊るしちゃってんのよ!」
「こう?」
「だからどこ吊るしちゃってんのよ!」
「こう?」
「何でちょっとセクシーな演出が必要なのよ!」
「こう?」
「フックどこいっちゃったのよ!」
「で、こう?」
「体操選手か!」
「さらに、こう?」
「なぜにしこをふむ必要性が?不知火型関係ないでしょ!こうだって言ってるでしょ!」
「こう?」
「チンパンジーか!」
「こう?」
「チンパンジーか!」
「こう?」
「何よそれ?」
「チン・パンジー。」
「誰?」
「こうかな?」
「それ友達かと思って声掛けたら違う人で、その恥ずかしい思いをしてる人の事をオープンカフェから優雅にカフェ・ラテを飲んで見ている人の横で、サンドイッチ食べようとして距離感誤って一回空噛みしてる人じゃない!」
「こう?」
「もういいわよ!フックの吊し方なんてどうだって・・・・・・・・・待って!あの人の手!そうよ!最初の殺人の時には無かったわ!」
「うん。きっとその時にできた軽い凍傷の痕だと思うよ。」
「まさか!?」
「だからドッキリだって言ったじゃないか。」
「ドッキリすぎよ!」
「そう、犯人は・・・・・・・・・。」
「信じられないわ。」

第六十七話
「ヒゲの刑事さん」

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