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2007年10月17日 (水)

「第七十話」

「キャプテン!!」
「何だ!」
「巨大イカです!!」
「嘘だぁ~!」
「本当ですって!」
「何!?」
「巨大イカが甲板に現れました!」
「現れましたって、ロールプレイングゲームじゃねぇんだから、巨大イカなんかそう簡単に現れねぇだろ。」
「簡単に現れました!」
「現れちゃったの?てか、巨大イカなんかよりも宝の島はまだ見えねぇのか?」
「えっ?巨大イカ、ほっといていいんですか?」
「いんだよ!どーせいねぇんだからよ!」
「いるのに・・・・・・・・・宝の島ですか?そろそろ見えてきてもいいんですけど・・・・・・・・・見えませんね。」
「見えませんじゃねぇだろ!ちゃんと航路は合ってんだろうな!何なの?巨大イカって、本当に甲板のとこにいんの?」
「います。巨大イカが巨大にいます。でもキャプテン?航路は、キャプテンの指示通りですよ?」
「何だと?俺様が悪いって言いてぇのか?」
「悪いだなんて、これっぽっちも思ってなんかいませんよ。」
「巨大イカ、今どうしてる?」
「えっ?キャプテンが直接見たらどうですか?」
「直接って、だって本当はいねぇんだろ?」
「いますって!」
「甲板に?」
「甲板にです!」
「その巨大イカは、どんぐらい巨大なの?」
「とても巨大な巨大イカです!とても巨大な巨大イカが甲板にいるんです。」
「ふ~ん。宝の島見えた?」
「まだ見えません。」
「ところでさぁ?」
「はい。」
「何で巨大タコっていねぇんだろうな。ほら、巨大イカがいるぐらいなんだから、巨大タコもいていいだろ。」
「いるんじゃないですか?巨大タコ。」
「お前は直ぐに憶測だけで物事を言うよな。いねぇだろ?巨大タコ。」
「きっといますって、巨大タコ。」
「巨大で、しかもタコなんだぞ?いねぇいねぇ。巨大タコ。」
「あっ!」
「どうした!?財宝が眠る宝の島が見えたのか!?よーし!速度を上げるぞ!全速ぜ」
「いえ、巨大タコです!やっぱりいたんですよ!巨大タコ!」
「あまりにも都合よすぎねぇか?巨大タコの話をした途端に来るか?巨大タコ。」
「でも、来ましたよ?巨大タコ。」
「嘘付くなって!」
「嘘かどうか自分の目で確かめて下さいよ。甲板にいますから。」
「やだ!」
「やだって、操舵室からちょっと甲板を覗き込むだけじゃないですか。見て下さいよ。巨大イカと巨大タコ。」
「そうやって俺様の背が低い事を馬鹿にしてるんだろ。」
「してませんよ。ほら、甲板のとこにいますから、見て下さいよ。」
「いや、見れるよ?俺様だって頑張って覗き込めば甲板なんか直ぐに見えちゃうよ?」
「だったら」
「でも見ねぇ!俺様は絶対に甲板を覗き込まねぇ!なぜなら、そこには巨大イカも巨大タコもいねぇからだ!」
「すっごく巨大なんですよ?」
「興味ねぇんだよ!巨大イカも巨大タコも!」
「そうですかぁ。」
「参考になんだけどさぁ。巨大イカと巨大タコって、どっちの方がより巨大なの?」
「う~ん?見た感じでは、同じくらいの巨大さですね。」
「それさぁ。巨大タコの方は、赤い巨大イカって可能性は?」
「ないですね。」
「何でそんな事、言い切れるんだよ!」
「だって、足の数が十本と八本ですもん。あれは間違いなく巨大イカと巨大タコですよ。」
「なるほどな。だったら、赤い巨大イカじゃなくて、巨大イカと巨大タコだな。」
「見ればいいじゃないですか。」
「見ねぇよ!俺様は、そんな巨大生物なんかよりも、お宝の事で頭がいっぺぇなんだよ!」
「そうですかぁ。」
「何やってんの?」
「何がですか?」
「何がですか?じゃねぇよ!巨大イカと巨大タコが何やってんのかって事に決まってんだろ!」
「だから、キャプテンが自分の目で確かめて下さいって!それが一番早いんですから!」
「確かめるのは容易いよ?」
「だったら、巨大イカと巨大タコが何をしてるのか見て下さいよ。」
「でもさぁ。本当はいねぇなんて事になったら、このワクワク感いっぺぇの気持ちはどうなっちまうんだ?暗い海底に一人お宝を抱えて沈んで行くみてぇな孤独感と絶望感を味わうはめになっちまうんだぞ?だったら最初っから巨大イカと巨大タコなんて見ねぇ方がいいんだよ!!」
「どうして頑なに巨大イカと巨大タコの存在を認めないんですか!」
「映画じゃねぇんだよ!んなもん簡単に認められっかよ!!そんな事よりも、よっぽどこの宝の地図の方が信憑性があんだよ!!」
「ちょっと待って下さいキャプテン?」
「何だよ。」
「逆に言うと、その宝の地図は、あんまり信憑性がないって事ですか?」
「違げぇよ!物の例えだよ!たまたま宝の地図が手元にあったから例えに使っちまっただけだよ!別に、この舵だって、その羅針盤だって、あの帆だって、例えは何だってよかったんだよ!たーまーたーまー!」
「キャプテン!だったら、僕が見ている巨大イカと巨大タコの社交ダンスはいったい何なんですか!」
「社交ダンスしてんの!?巨大イカと巨大タコが?で、どっちがリードしてんの?」
「巨大イカです。」
「あそう。何だか吸盤邪魔そうだよね。」
「お互いに邪魔がってます。」
「やっぱり。そうだと思ったよ。」
「でも、社交ダンスしてます。」
「どれぐらい社交なんだよ。」
「とても巨大に社交です。見たくなりました?」
「本当だったらな。」
「本当ですって!」
「お前さぁ。どこの海域で社交ダンスする巨大イカと巨大タコがいると思ってんだよ。」
「ここです!この海域です!」
「そんな話、誰が簡単に信じるんだよ!信じてたまるかよ!」
「社交ダンスですよ?」
「作り話もほどほどにしとけよ!」
「作り話じゃないんですって!本当に巨大イカが巨大タコをリードして社交ダンスしてるんですって!」
「巨大イカが巨大タコをリードするかよ!バカバカしい。」
「あっ!キャプテン!」
「何だ?今度は巨大クラゲが来てタップダンスでもしてんのか?もう真面目に宝の島を目指そうよ。財宝手に入れようよ。」
「巨大クラゲのコサックダンスです!」
「難易度高っ!」
「かなり上手いです!」
「いや、冷静に考えれば考えるほど、嘘だろ?」
「本当なんですって!見て下さいよ!」
「見ねぇよ!俺様は、絶対に見ねぇ!そんなアニメーションのような光景がある訳がねぇ!巨大イカと巨大タコの社交ダンスと巨大クラゲのコサックダンスなんて、俺は認めねぇえ!」
「巨大イカと巨大タコと巨大クラゲですよ?三巨大をいっぺんに見れるなんて、このチャンスを逃したら一生見れませんよ?後悔しても知りませんよ?いいんですか?」
「いくねぇよ!いい訳ねぇだろ!見てぇよ!物凄く見てぇよ!ただなぁ、どうせ嘘なんだろ?巨大イカと巨大タコの社交ダンスも巨大クラゲのコサックダンスも、嘘なんだろ?嫌なんだよ。もう航海日誌を涙で綴りたくねぇんだよ!」
「キャプテン!」
「巨大サザエか?」
「巨大ウミウシです!」
「いやそりゃ嘘だって分かってても見ちゃうだろ!ついつい見ちゃうだろ!騙されたって後悔はしねぇだろ!」

第七十話
「一寸パイレーツ」

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