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2007年11月14日 (水)

「第七十四話」

 僕は、洗面所の鏡の前に立っていた。なぜ、洗面所の鏡の前に僕が立っているのかと言うと、ついさっき右鼻の穴に奇妙な違和感を覚えたからで、その奇妙な違和感の正体を突き止める為だった。
「やっぱりな。」
鏡の中の僕の右鼻の穴からは鼻毛が一本、やたらと長く飛び出していた。僕は、予め想定していたこの展開用に準備していたピンセットで、やたらと長く飛び出した鼻毛を抜こうとした。
「ちょっと待って下さい!」
「えっ!?誰?」
僕は、自分でも信じられないくらいの速度でキョロキョロしていた。
「ボクです!あなたの右鼻の穴からやたらと長く飛び出してる鼻毛です!」
正直、かなり驚いた。だってあんな速度で自分の首が動くだなんて思いもよらなかったからさ。
「本当に?」
「本当です!」
「僕の鼻毛が、僕に何の用なの?」
「どうか、ボクを抜かないで下さい!」
「抜かないで下さいって、それは無理だよ。」
「どうしてですか!」
「どうしてですかって、鼻毛がやたらと長く飛び出してたら、単純に格好悪いからさ。」
「そんな事、ボクは気にしません!」
「僕が気にするんだよ。だから抜くよ。」
「待って下さい!」
「まだ何か?」
「ボクは、いっつも鼻の穴の暗闇の中で生活してきました。でも、いつの日からか心に夢を抱くようになっ」

「ブッチーン!」



僕は、洗面所の鏡の前に立っていた。なぜ、洗面所の鏡の前に僕が立っているのかと言うと、ついさっき右鼻の穴に奇妙な違和感を覚えたからで、その奇妙な違和感の正体を突き止める為だった。
「やっぱりな。」
鏡の中の僕の右鼻の穴からは鼻毛が一本、やたらと長く飛び出していた。僕は、予め想定していたこの展開用に準備していたピンセットで、やたらと長く飛び出した鼻毛を抜こうとした。
「待って下さい!」
「えっ!?誰?」
僕は、自分でも信じられないくらいの速度でキョロキョロしていた。
「ボクです!あなたの右鼻の穴からやたらと長く飛び出してる鼻毛です!」
正直、かなり驚いた。だってあんな速度で自分の首が動くだなんて思いもよらなかったからさ。
「と言うか。これってまんまさっきじゃん。」
「そうです!まんまさっきです!」
「そうですって、簡単に言うけど何なのこれ?」
「信じられないかもしれませんが、ボクには少しだけ時間を戻す力があるんです!」
「いや、信じられないよ。夢?」
「夢ではありません。ボクには」

「ブッチーン!」



僕は、洗面所の鏡の前に立っていた。なぜ、洗面所の鏡の前に僕が立っているのかと言うと、ついさっき右鼻の穴に奇妙な違和感を覚えたからで、その奇妙な違和感の正体を突き止める為だった。
「やっぱりな。」
鏡の中の僕の右鼻の穴からは鼻毛が一本、やたらと長く飛び出していた。僕は、予め想定していたこの展開用に準備していたピンセットで、やたらと長く飛び出した鼻毛を抜こうとした。
「話を聞いて下さい!」
「えっ!?誰?」
僕は、自分でも信じられないくらいの速度でキョロキョロしていた。
「ですから!あなたの右鼻の穴からやたらと長く飛び出してる鼻毛です!」
正直、かなり驚いた。だってあんなスローな速度で自分の首が動くだなんて思いもよらなかったからさ。
「本当に時間が少しだけ戻ってるよ。」
「信じてもらえましたか?」
「信じてはいないけど、信じようかな?とは、思ってる。」
「そこを何とか信じて下さい!」
「で?話って何?」
「そうでした!ボクを抜いて欲しくない説明の途中でした!ボクは、いっつも鼻の穴の暗闇の中で生活してきました!でも、いつの日からか夢を心に抱くようになったのです!青空が見たい!と言う夢です!」
「迷惑だって、その夢。」
「だから、頑張ってここまで成長したんです!」
「迷惑だって、その努力。」
「このまま、あなたがボクを抜かなければ、夢が叶うんです!だから、お願いです!ボクを抜かないで下さい!」
「迷惑だって、その願望。」
「頼めるのは、あなたしかいないのです!」
「そりゃあ、僕の鼻毛だから頼めるのは僕しかいないだろうけど、いくらお願いされたって無理なもんは無理なんだってば。いい?抜くよ?」
「嫌です!抜かれたくありません!別にいいじゃないですか!鼻毛が一本、やたらと長く飛び出していたって!」
「迷惑だって、その理論。」
「別にあなたがやたらと長く飛び出している訳ではないのですよ?ボクがやたらと長く飛び出してい」

「ブッチーン!」



「無駄です!何度ボクを抜いても、ボクは何度でも少しだけ時間を戻します!」
「何度でも?それって回数無限って事?」
「回数無限です!ボクを抜いたと同時に、少しだけ時間を戻す力が発動します!」
「それって、させない事は出来ないの?」
「出来ません!」
「でも、時間が少しだけ戻っても会話が繋がってるのは何で?」
「なぜか、記憶は持ち越す事が出来るようです!」
「そっか分かったよ。抜かないよ。」
「本当ですか!」
「うん。だって何度抜いても時間が少しだけ戻るなら、僕は永遠にこの空間から出られないって事でしょ?だったら諦めるよ。」
「ありがとうござ」

「ブッチーン!」



「本当だ。本当に記憶は、持ち越されてる。」
「いちいち確かめなくてもいいではないですか!」
「知らなかったよ。鼻毛にこんな不思議な力があるだなんてさ。」
「鼻毛もここまでやたらと長く伸びると、不思議な力を得るのです。」
「化け猫みたいな感じか。」
「方向性は、何となくあっているような気もしないでもないです!」
「化け鼻毛だ。」
「だからって、変な通称で呼ばないで下さ」

「ブッチーン!」



「遊ばないで下さい!」
「で?僕にどうしろって言うの?」
「ですから!ボクの夢の実現の為に、協力して下さい!お願いします!」
「夢って何だっけ?」
「ですから!青ぞ」

「ブッチーン!」



「ちょっと!悪ふざけは、やめて下さい!」
「青空を見たあとはどうすんの?」
「満足します!」
「満足したあとは?」
「ちょっとだけ伸びます!」
「もうこれ以上伸びなくてよくない?」
「そしてまた、新たな夢を目指します!」
「いいよ。別に目指さなくってもさ。」
「鼻毛の高みです!」
「迷惑だって、その高み。だったら、いつ抜けばいい訳?」
「いつ?何を言ってるのですか!」
「へ?」
「ボクを抜く事は、許されませんよ!あなたは、これからボクの夢の実現の為だけに、己の一生を費やす事になるのです!時を支配している以上!主導権は、あなたにではなく!ボクにあるのです!ですからボ」
「なら切る。」
「えっ!?」
僕は、予め想定していたこの展開用に準備していた鼻毛切りバサミで、やたらと長く飛び出した迷惑な鼻毛を調度いい長さに切った。

「チョッキン!」

第七十四話
「馬鹿な鋏の使いよう」

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