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2007年12月

2007年12月 5日 (水)

「第七十七話」

「カポッ!!」
「うわぁー!!」
なぜだ?なぜ、何か僕の右足がすっぽり入っちゃうような穴が道路にぃぃぃ!?昨日までは、こんな穴なかったはずだぞ!
「うぬぬぬぬー!!」
ダメだ!抜けない!何か、何か、何か物凄くジャストフィットしているぅぅぅ!
「やばい!」
本当にやばい!やばすぎるぞこの現実ぅぅぅ!このままだとデートに遅れちゃうじゃないか!
「抜けろー!!」
って、痛い!!物凄く痛い!!ちくしょう!何なんだよこの穴!誰なんだよこの穴を掘った奴ぅぅぅ!いやいやいや、今はこの穴について深く追究してる場合じゃないぞ!ミステリーを鮮やかに、そして華やかに解き明かしてる暇なんてないぞ!とにかく何とかしないと、デートに遅れてしまうぞ!デートの遅刻理由としては、あまりにも馬鹿げてるぞ!こんなの誰も信じてくれやしないぞ!
「どうしよう?」
ダメだ!回りを見渡しても誰もいない!何でこんな時に限って誰もいないんだよぉぉぉ!!
「何が人口増加だ!!」
落ち着け、落ち着くんだ。たかが、穴じゃないか。たかだか、穴ごときに慌てふためいてどうするんだ。とにかく落ち着いて考えてみよう。落ち着いて考えれば必ず道が開ける!って、さっきすれ違った犬の散歩をしていた老人が、犬に呟いていたじゃないか!
「まてよ?」
ここは住宅街だ。夜になったらクリスマスのイルミネーションが物凄く綺麗な住宅街だ。ならば、ならばだよ!大声だよ!そうだよ大声だよ!
「はっはっはっはっはっ!」
穴に勝った!簡単な話じゃないか!よし!大声出そう!大声出して助けを呼ぼぉぉぉ!それだ!それしかない!それしかないぃぃぃ!忘れろ!忘れるんだ!羞恥心とかプライドとか、今はそんな事どうだっていい!叫ぶぞ!僕は大声で叫ぶぞぉぉぉ!!
「誰かー!!助けてー!!」
・・・・・・・・・ん?おかしいぞ?誰も外に出て来る気配がない!飼い犬すらも無反応だ!もしかしたら万が一、万が一もしかしたら、気付いてないって可能性も無きにしもあらずだぞ?なら、もう一度さっきよりも大声で叫んでみよう!
「だーれーかー!!たーすーけーてー!!」
・・・・・・・・・いや、おかしいだろ!おかしすぎるだろ!物凄く大声で叫びましたけど?無反応とか気付かないじゃなくて、この状態は無視レベルじゃないか!
「何がイジメをなくそうだ!!」
口先だらけのクリスマスのイルミネーションが物凄く綺麗な住宅街の大人達め!
「・・・・・・・・・。」
やばい、泣きそう。この状況、泣きそう。何だか涙が零れ落ちそう。ああ、何て太陽は眩しいんだろう。
「こんにちは~!」
「えっ!?」
いつの間に!?誰ですか?この真っ赤な全身タイツの陽気なおじさん!?太陽の化身?トマトの妖精?
「私の名は、ヘルプマン!」
「ヘルプマン?」
知らないなぁ?何とかマンってくらいだから、やっぱり正義のヒーローって事なのかなぁ?
「あのう?あなたは正義のヒーロー?ですか?」
「ご存知でしたか!」
ご存知にされちゃったぁぁぁ!?いやいや、申し訳ないですがご存知ではないですよ。でもここは、この陽気なおじさんをご存知だろうが、ご存知じゃなかろうが、正義のヒーローって事なら、好都合だ!助けてもらおう!助けてもらうぞぉぉぉ!調度、都合よく名前もヘルプマンなんだし!
「あのう?穴に足がジャストフィットしちゃって、抜けなくなっちゃったんです。」
「なるほどね。話を続けて。」
「だから、助けて欲しいんです。」
「ふむふむ。続けて。」
「えっ?おわりです。」
「ほっほー。なるほどなるへそ。話を続けて。」
やばい!?やばすぎる!?これは完全に話を聞いてないパターンだ。面倒臭い大将軍のお出ましとは、この事だぁぁぁ!
「足が抜けなくて困ってるんです!助けて欲しいんです!」
「分かったかもしれない。」
分かれよ!分かってくれよ!ダメだダメだ。面倒臭い奉行のペースに巻き込まれたら負けだ!ここで僕が怒ってしまったら、陽気なおじさんが帰っちゃうかもしれない。それだけは避けなければ!時間的に今、どうにかしないと完全にデートに遅刻なんだから。
「穴に足がはまって身動きがとれないんです。」
「あなたは、困っているんですね?」
「そうです。」
「あなたは、穴から抜け出したいんですね?」
「そうです!」
「あなたは、助けて欲しいんですね!」
「はい!その通りなんです!」
「あなたは、助けが必要なんですね!」
「必要です!」
「だったら私を大声で呼びなさい。」
「えっ?いや、でももうここにいる訳なんだし。」
「困った時には、ご存知!ヘルプマンを呼びましょう!さあ、一緒に!」
なぜに一緒に?登場からもう一度やりたい気持ちは分かったけど、なぜに自分で自分を呼ぶ?不思議だらけの面倒臭い国にお住まいか?意味を考えるな自分!意味を考えちゃダメだ!
「せーのっ!」
「ヘルプマーン!!」
って、何なんだよ!一緒にって言ってるくせに、呼んだの僕だけじゃん!
「さてと。」
登場シーンとかもないのかよ!何かあると思うでしょ!こっちは興味津々でしょ!まさに面倒臭い大明神のご降臨だよぉぉぉ!
「じゃあ、お願いします。」
「かしこまりました。」
しかも、キャラクターが掴めきれないとは!?さすが面倒臭い星のご出身!
「では、いきます!」
「宜しくです。」
いったい、どんな方法で助けてくれるんだ?パンチで地面を砕くのか?それともビームで地面を溶かすのか?それともそれとも、僕の身体を小さくする機械でも持っているのか?この想像もつかないワクワク感、もうデートなんかどうだっていいやって思っちゃってる自分を押さえるのに必死だよぉぉぉ!
「誰かー!助けてー!」
「えっ!?」
叫んだ?叫んでいるのか?何なんだこれは?何なんだよこれは?ただ助けを呼んでいるだけなのか?大きな声で助けを呼んでいるだけなのか?それとも、何かの準備なのか?
「誰か誰かー!助けて助けてー!!」
やっぱりただ単に叫んでいるようにしか思えない。よし!聞いてみよう!
「あのう?」
「誰でもいいからー!助けて下さーい!!」
「すいませーん!!」
「うわぁ!びっくりした!いたの!?」
いたよバカ!何だったら先にいたよバカ!あんたが存在出来てんのは、僕が助けを求めてたからだろバカ!じゃなかったら、あんたはここで何をしてんだよバカ!バカしてんのかよバカ!
「さっきっから、いったい何をしているんですか?」
「何をってキミ!助けを呼んでるに決まっているじゃないかキミ!」
「はあ?」
「ほら、キミも!黙ってないで助けを呼んだらどうなんだ?キミ自身の身に巻き起こっている事なんだぞ!」
えっ?もう何が自分の身に巻き起こってるのか、さっぱりだよ。
「でも、ヘルプマンが助けてくれるんじゃないんですか?」
「私にばかり頼るな!」
気のせいかなぁ?何を言ってるのか理解出来ないよ。
「ヘルプマンでしょ?」
「ご存知!ヘルプマンだよ!」
「正義のヒーローなんでしょ?」
「ご名答!正義のヒーローだよ!」
何か正解させられちゃったよ?まったく嬉しくない!って、どうしようもなく、おそろしく、とてつもなく面倒臭いなぁぁぁぁぁ!!
「助けてくれないの?」
「だから、私はさっきからキミを助ける為に、助けを呼ぶ助けをしているじゃないか!」
「えっ?そう言う意味のヘルプマン?」
「そう言う意味のヘルプマン!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
何だかこの正義のヒーローの存在、物凄く邪魔だ!!

第七十七話
「ヘルプマン」

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2007年12月12日 (水)

「第七十八話」

 畑にいる村人の名は、脂汗鼻汁太郎(あぶらあせ はなじるたろう)。鼻汁太郎は、今日も畑で野菜作りに精を出していた。脂汗を流しながら、鼻汁を垂らしながら、一生懸命に野菜を作っていた。
「ジュルルル!今日も天気が良くって良かった。ジュルルル!ありがとう!お天道様!」
目に入ろうとする脂汗を拭いながら、次から次へと激しく流れ出る鼻汁をすすりながら、太陽に感謝していた。
「ドスーン!」
その時だった。畑の真ん中、鼻汁太郎の目の前わずか数十センチの場所に、何かが空から降って来た。
「ジュルルル!何だ?何か降って来たぞ?まっ、そんな日もあるかな。」
しかし、鼻汁太郎は物語の進行などお構いなしで、空から降って来た何かに対してあまりにも無関心で、楽しそうに野菜作りの作業を続けた。気にならないのか!鼻汁太郎!
「カァー!」
間もなくして鼻汁太郎の畑に、カラスの真似をした臍の胡麻実はゴミ作(へそのごまじつは ごみさく)がやって来た。
「ジュルルル!やあ、ゴミ作!」
「ボリボリ!おお!鼻汁太郎!こんなとこで、何をしているんだい?」
「ジュルルル!ジュルルル!ジュルルルル!何してるって、野菜を作ってるんだ。何年も前から野菜作りをしてるんだから、知ってるだろ?ジュル!」
「ボリボリ!ふ~ん。ところで、俺のカラスの真似は世界で何本の指に入ると思う?」
「そうだなぁ?ジュルルル!人差し指ぐらいには入りそうだなぁ。」
「中指じゃダメか?ボリボリ!ボリボリ!」
「中指かぁ~?ジュル!ジュル!ジュルルル!」
「難しいか?ボリボリボリボリボリボリ!」
「難しいな。ジュル!中指は難しいよ。でも、中指でもいいよ。ジュル!」
「ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ!!やったぜ!」
いいのか!鼻汁太郎!臍の穴をかきすぎだ!ゴミ作!そして、かいた中指の臭いを嗅ぎすぎだ!ゴミ作!
「ありがとう!鼻汁太郎!俺はまた、修行の旅に行くフリでもするよ!ボリボリ!」
「ジュルルル!気をつけてな!ゴミ作!」
ゴミ作は、より激しく臍の穴をかきながら、鼻汁太郎の畑を去って行った。ゴミ作の中指が赤く染まっていた気もしたが、それはイチゴジャムなんだろうと、物語上の時代設定を無視した考えに行き着いた鼻汁太郎であった。
「ドスーン!」
そんな鼻汁太郎が野菜作りの作業をしていると、再び空から何かが鼻汁太郎の目の前に降って来た。
「ジュルルル?また何か降って来たぞ?明日にでも確かめてみるかな?」
今すぐ確かめるんだ!鼻汁太郎!それが物語のメインだと気付くんだ!鼻汁太郎!しかし、何事もなかったかのように野菜作りを続ける鼻汁太郎であった。
「おーい!鼻汁太郎ー!!」
「ジュルルル!!ない蔵!?」
鼻汁太郎の名を呼びながら走って来るのは、去年の夏に死んだはずの蚊に吸われてもう血がない蔵(かにすわれてもうちが ないぞう)だった。
「ない蔵!死んだんじゃなかったのか?」
「死んだ。プ~ン。」
「何してんだ?」
「プ~ン。暇なんだよ土の中ってさ。死んだ事のないお前に言っても分からないかもしれないけど、土の中はどうしようもなく暇なんだよ。プ~ン。あれだな。土葬は、やめた方がいいな。プ~ン。」
ない蔵は、今までの常識をいろいろと覆しながら、腐乱した体で一生懸命に暇をアピールしていた。
「なら、何で死んだんだ?死ななきゃよかったのに。」
「プ~ン。分からない。気付いたら何となく死んでたんだ。」
「なら、仕方ないな。」
「プ~ン。だろ?」
「でも、死ぬとそんなに暇なのか?それは、嫌だなぁ。」
「暇だぞ。暇で死にそうなくらいだ。プ~ン。逆に死んでて良かったと思えるくらいだ。プ~ン。」
「なら、良かったじゃないか!ない蔵!おめでとう!」
何がめでたいんだ!鼻汁太郎!
「プ~ン。プ~ン。プ~ン。ありがとう!」
何がありがたいんだ!ない蔵!
「死んだらそんなに暇だとは、知らなかったよ。なら、死なないように頑張るよ!」
それは無理だろ!鼻汁太郎!
「プ~ン。だったら僕も死なないように頑張ってみるよ!」
もっと無理だろ!ない蔵!
「プ~ン。じゃあ、僕は来る途中でどっかに落としちゃった右腕を、探しに行かなきゃならないから、またな!鼻汁太郎!」
「とにかく蝿が凄いぞ!ない蔵!!」
あらゆる常識を覆したない蔵は、鼻汁太郎の畑を去って行った。この時ばかりは、鼻が鼻汁で詰まっていて助かったと鼻汁太郎が思ったかどうかは分からないが、鼻汁太郎がない蔵を目の前にしてからと言うもの、一度も鼻汁をすすらなかったのは、事実だ。
「ドスーン!」
そして、またまた空から鼻汁太郎の目の前に何かが降って来た。
「・・・・・・・・・。」
鼻汁太郎は、野菜作りに夢中で、その何かどころか、何かが降って来た事すら気付いていなかった。
「鼻汁太郎!」
「ジュルルル!和尚!」
鼻汁太郎の畑にやって来たのは、放題寺(ほうだいじ)の生やし放題ケツ毛和尚(はやしほうだい けつげかずなお)和尚だった。先代の父、故生やし放題胸毛ジャングル(はやしほうだい むなげじゃんぐる)和尚の後を継ぎ、三十数年間、村の山の上にある寺で住職をしている。
「ジュルルル!どうなさったんですか?」
「ケツ毛が疼くんじゃよ。」
「ジュル!?和尚のケツ毛が疼く!?」
「うむ。疼き放題なんじゃ。だからな。もしかしたら、この村に何か異変が起こっているんじゃなかろうか?起こり放題なんじゃなかろうか?と、思ってのぅ。山から急いで降り放題降りて来たんじゃよ。」
「ジュルルル!異変?」
「で、鼻汁太郎。お主の畑から、わしのケツ毛が異変をビシビシ感じとり放題なんじゃ。」
「ジュル!ジュル!ジュルルル!こここ、この畑から!?ジュルルル!?ですか!?」
「そうじゃ。鼻汁太郎、何か畑で変わった事はなかったかのぅ。」
「ジュルルル?何か・・・変わった事・・・・・・・・・?」
チャンスだ!鼻汁太郎!さっきから空から降って来ている何かをケツ毛和尚和尚に話すんだ!
「そう言えば・・・・・・・・・。ジュルル!」
「うむ。何か心当たりがあり放題なんじゃな?言うてみい!」
「ジュル!実はさっき・・・・・・・・・。」
頑張れ!鼻汁太郎!
「うむ。」
「ない蔵が畑にやって来たんです。ジュル!」
「なんと!?ない蔵が!?」
なんと!?ない蔵の事なんてどうだっていいだろ!鼻汁太郎!そんな事より、早く空から降って来た何かをケツ毛和尚和尚に話すんだ!鼻汁太郎!
「あやつは死に放題なはずじゃぞ!」
「ジュル!でも、暇だって言って、しばらくすると蝿と戯れながら、あっちの方へ行っちゃいました。」
「馬鹿な!?死人が生き返り放題とは!?」
「いえ和尚。ジュルルル!生き返った訳ではないみたいでしたよ。死なないように頑張るぞ!って、言ってました。」
「何じゃと!ますます奇々怪々放題な異常事態放題じゃ!この村に良からぬ事が起こり放題にならなければよいのだが・・・・・・鼻汁太郎!」
「ジュ、ジュル!」
「とにかくわしは、ない蔵を追い放題追って、捕まえ放題捕まえて、詳しい話を聞き放題聞いてみる事にする!他に何か気付き放題気付いた事があったら、後で寺の方へ来放題来てくれ!」
何やらややこしいぞ!ケツ毛和尚和尚!
「ジュルルル!分かりました!和尚!」
そして、空から降って来た何かを最後までケツ毛和尚和尚に伝える事なく、脂汗と鼻汁でケツ毛和尚和尚を送り出してしまった鼻汁太郎であった。
「ジュル?あれ?そう言えば、さっきから何か空から降って来ていたなぁ?ジュルルル!和尚!って、もうあんな所まで行っちゃってるよ。」
お前が余計な情報を与えたからだ!鼻汁太郎!もう、いい。鼻汁太郎よ。
「何だか気になるなぁ。空から降って来た何かが、今になって何だか気になるなぁ。ジュルルル!」
気にするな!鼻汁太郎!なぜなら、空から降って来た何かとの展開を書くには、物語の長さが短編の域を越えてしまうからだ!鼻汁太郎!
「ジュルルル!ちょっとだけ見てみよう。どれどれ?」
やめるんだ!鼻汁太郎!見るんじゃない!鼻汁太郎!野菜を作れ!鼻汁太郎!作るんだ!鼻汁太郎!
「ジュルルル!?うわぁ!何だ!?ジュルルル!?ジュル!?」
それ以上、空から降って来た何かと絡んではダメだ!鼻汁太郎!やめるんだ!鼻汁太郎!よすんだ!鼻汁太郎!仕方ない!鼻汁太郎!苦肉の策だ!鼻汁太郎!ここは一先ず!鼻汁太郎!こうするしかないぞ!鼻汁太郎!

第七十八話
「つづく」

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2007年12月19日 (水)

「第七十九話」

「あのう?旦那さん?わしも別に悪気があって来た訳じゃないんですよ。」
「はぁ?あんたねぇ!自分のした事が分かってんの?これ立派な犯罪だよ?犯罪!!」
「お父さん?あまり大きな声を出すと、ご近所さんにご迷惑ですよ?」
「母さんは黙っていて欲しいな!」
「奥さんの言う通りですよ旦那さん。落ち着きましょうよ。」
「あんたには、もっと黙っていて欲しいな!だいたいこれねぇ!人の家に勝手に入って来るなんて泥棒だよ?分かる?泥棒!その袋に家のもんをいろいろ入れようとしたんだろ!!」
「とんでもない!違いますよ。これは」
「うわぁー!サンタさんだぁー!!」
「ほら、お父さんが大きな声を出すから、この子が起きちゃったじゃありませんか。」
「パパー!サンタさんがいるよー!」
「いいか?こいつはなぁ!サンタクロースなんかじゃないだぞ!単なる泥棒なんだ!」
「旦那さん。お嬢さんの言う通りなんです。何度も言ってますが、わしはサンタクロースなんですよ。」
「嘘をつけー!!」
「信じられないのも無理はありません。いきなり現れてサンタクロースだと言われても、信じられませんよね?」
「当たり前だー!!」
「しかし、わしはサンタクロースなんです。」
「嘘つけー!!」
「サンタクロースの存在を否定される気持ちは分かります。でも旦那さん?これだけは分かって欲しいんです。サンタクロースは、本当にいるんです。実在するんです。そして、わしがそのサンタクロースなんです。」
「お父さん?この人もこう言っている事ですし、ロープをほどいて帰してあげたらどうです?」
「駄目だー!!」
「サンタさーん!プレゼントちょーだい!」
「こいつはなぁ。プレゼントなんか持ってないんだよ。」
「えぇー!サンタさんなのにプレゼントくれないのー!」
「なぜなら!袋は空で!そして!その袋に家の物をありったけ入れて持ち帰ろうとした泥棒だからだ!」
「旦那さん。これも何度も言ってますが、袋が空なのはここのお宅に来る途中で中身を全て落としてしまったからなんです。」
「嘘つけー!!」
「本当です。お嬢さんに差し上げるはずだったプレゼントも、ちゃんと持って来ていたんです。信じて下さい。」
「いや、信じない!母さん!警察を呼びなさい!」
「お父さん?」
「旦那さん!?警察は勘弁して下さい。」
「そうですよお父さん。何も警察を呼ばなくてもいいじゃありませんか。」
「悪いサンタさんだったの?」
「悪いサンタクロースじゃなくって、単なる悪い人なんだよ。いいか?母さん。悪い奴は警察に突き出した方が世の中の為だし、本人の為でもあるんだよ!」
「ですけど、何もそんな大事にしなくてもいいじゃありませんか。」
「いいか?こいつは、サンタクロースを語って悪さをしてきたんだぞ?子供の敵なんだ!こんな奴は!」
「でも、反省もしているみたいですし、許してあげてもいいじゃありませんか。」
「反省?どこが反省してるんだ?こいつは、いまだに自分の事をサンタクロースだって、言い張ってるんだぞ?居直り強盗だろ!」
「ちょっと待って下さい!旦那さんも奥さんも!わしがサンタクロースではないと言う前提で、さっきからお話をしているようですが?」
「はい。」
「当たり前だー!!」
「わしは、本物のサンタクロースです!!」
「そうだよ。この人はサンタさんだよ。パパもママも信じてあげてよ。」
「お嬢さん・・・・・・・・・。」
「どうして、この人がサンタクロースだと思うの?」
「だって、テレビとか絵本で見たサンタさんと同じだもん。」
「そう。」
「そら見た事か!お前のような奴がいるから!こうやって子供に悪影響を与えてしまうんだ!」
「サンタクロースをロープで縛っている姿を見せてしまう旦那さんの方が、よっぽど悪影響だと思いますよ?あなた達のような大人こそ!わしらにしてみたら、子供達に悪影響じゃ!!」
「コノヤロー!一丁前にサンタクロースみたいな口聞きやがって!」
「お父さん!駄目ですよお父さん!!暴力はやめて下さい!!」
「放せ!!このヒゲ面に一発お見舞いしないと、俺の気が済まないんだ!」
「やめて下さい!お父さん!!」
「殴って気が済むなら、殴ればいい!!」
「何だとコノヤロー!ふざけやがってコノヤロー!上等だよコノヤロー!!」
「お父さん!!子供が見てますよ!!」
「・・・・・・・・・。くそっ!」
「くそ、じゃありませんよ。あなたもあなたで、お父さんを挑発しないで下さい。あと、お願いですからこれ以上、娘に変な事を言わないで下さい。」
「しかし、奥さん。わしは」
「あんた、もう帰っていいよ。」
「旦那さん?」
「お父さん。」
「よかったねー!サンタさん!」
「帰れません!」
「何だと!?」
「いいですか?このまま、わしが帰ってしまったら、わしはサンタクロースではなく、泥棒と言う事になってしまいます。」
「しょうがないだろ?泥棒なんだから。」
「あたしは、サンタさんだと思ってるよ!」
「まあまあ、サンタクロースでも泥棒でもいいじゃありませんか。」
「よくないだろ!こいつは泥棒だ!」
「お父さん!」
「奥さん。どっちでもいいって訳じゃないんですよ。わしは、サンタクロース。泥棒とは、掛け離れた存在なんです。」
「分かった分かった。サンタクロースでいいから、本当にもう帰ってくれ。あんたと話してると妙に疲れるんだよ。」
「どうしてあなた達は、頑なにサンタクロースの存在を信じようとしないんですか!」
「あたし信じてるー!」
「ありがとう。お嬢さん。」
「何が、ありがとう。お嬢さん。だよ。」
「ほら、いつまでも起きてないで寝なさい。」
「こうして子供達が心の底から信じている事を、あなた達大人が頭ごなしに否定する権利などない!」
「はいはい。」
「旦那さん!真面目に聞いて下さい!」
「うるさいよ。ちゃんと聞いてるから、早く帰ってくれよ。母さん、この自称サンタクロースに金でも渡して、とっとと帰ってもらってくれないか?」
「旦那さん!」
「ごめんなさいね。今日のところはこれで。」
「奥さん!わしは、お金で問題を解決したいんじゃないんです!これは受け取れません!!」
「いいから、それ受け取って帰れよ!」
「どうしてなんですか!なぜ、あなた達はわしが本物のサンタクロースだと信じてくれないんです!」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「パパ?ママ?」
「幼い頃の気持ちを忘れてしまったんですか!サンタクロースの存在を否定する理由が、いったいどこにあるんですか!」
「あのさぁ。いいか?」
「お父さん。もういいじゃありませんか。」
「母さんは、黙っていなさい。あんたさぁ。さっきっから聞いてると言いたい事を言ってくれちゃってるけどさぁ。」
「それが何か?」
「どこの世界に!サンタクロースの家にやって来る!サンタクロースがいんだよ!!」
「えっ!?」
「パパもママもあたしもサンタクロースなの。」

第七十九話
「サンタクロース家」

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2007年12月26日 (水)

「第八十話」

「鼻糞いりませんか?」
「いりません。」

第八十話
「鼻糞屋(映像化希望)」









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