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2007年12月 5日 (水)

「第七十七話」

「カポッ!!」
「うわぁー!!」
なぜだ?なぜ、何か僕の右足がすっぽり入っちゃうような穴が道路にぃぃぃ!?昨日までは、こんな穴なかったはずだぞ!
「うぬぬぬぬー!!」
ダメだ!抜けない!何か、何か、何か物凄くジャストフィットしているぅぅぅ!
「やばい!」
本当にやばい!やばすぎるぞこの現実ぅぅぅ!このままだとデートに遅れちゃうじゃないか!
「抜けろー!!」
って、痛い!!物凄く痛い!!ちくしょう!何なんだよこの穴!誰なんだよこの穴を掘った奴ぅぅぅ!いやいやいや、今はこの穴について深く追究してる場合じゃないぞ!ミステリーを鮮やかに、そして華やかに解き明かしてる暇なんてないぞ!とにかく何とかしないと、デートに遅れてしまうぞ!デートの遅刻理由としては、あまりにも馬鹿げてるぞ!こんなの誰も信じてくれやしないぞ!
「どうしよう?」
ダメだ!回りを見渡しても誰もいない!何でこんな時に限って誰もいないんだよぉぉぉ!!
「何が人口増加だ!!」
落ち着け、落ち着くんだ。たかが、穴じゃないか。たかだか、穴ごときに慌てふためいてどうするんだ。とにかく落ち着いて考えてみよう。落ち着いて考えれば必ず道が開ける!って、さっきすれ違った犬の散歩をしていた老人が、犬に呟いていたじゃないか!
「まてよ?」
ここは住宅街だ。夜になったらクリスマスのイルミネーションが物凄く綺麗な住宅街だ。ならば、ならばだよ!大声だよ!そうだよ大声だよ!
「はっはっはっはっはっ!」
穴に勝った!簡単な話じゃないか!よし!大声出そう!大声出して助けを呼ぼぉぉぉ!それだ!それしかない!それしかないぃぃぃ!忘れろ!忘れるんだ!羞恥心とかプライドとか、今はそんな事どうだっていい!叫ぶぞ!僕は大声で叫ぶぞぉぉぉ!!
「誰かー!!助けてー!!」
・・・・・・・・・ん?おかしいぞ?誰も外に出て来る気配がない!飼い犬すらも無反応だ!もしかしたら万が一、万が一もしかしたら、気付いてないって可能性も無きにしもあらずだぞ?なら、もう一度さっきよりも大声で叫んでみよう!
「だーれーかー!!たーすーけーてー!!」
・・・・・・・・・いや、おかしいだろ!おかしすぎるだろ!物凄く大声で叫びましたけど?無反応とか気付かないじゃなくて、この状態は無視レベルじゃないか!
「何がイジメをなくそうだ!!」
口先だらけのクリスマスのイルミネーションが物凄く綺麗な住宅街の大人達め!
「・・・・・・・・・。」
やばい、泣きそう。この状況、泣きそう。何だか涙が零れ落ちそう。ああ、何て太陽は眩しいんだろう。
「こんにちは~!」
「えっ!?」
いつの間に!?誰ですか?この真っ赤な全身タイツの陽気なおじさん!?太陽の化身?トマトの妖精?
「私の名は、ヘルプマン!」
「ヘルプマン?」
知らないなぁ?何とかマンってくらいだから、やっぱり正義のヒーローって事なのかなぁ?
「あのう?あなたは正義のヒーロー?ですか?」
「ご存知でしたか!」
ご存知にされちゃったぁぁぁ!?いやいや、申し訳ないですがご存知ではないですよ。でもここは、この陽気なおじさんをご存知だろうが、ご存知じゃなかろうが、正義のヒーローって事なら、好都合だ!助けてもらおう!助けてもらうぞぉぉぉ!調度、都合よく名前もヘルプマンなんだし!
「あのう?穴に足がジャストフィットしちゃって、抜けなくなっちゃったんです。」
「なるほどね。話を続けて。」
「だから、助けて欲しいんです。」
「ふむふむ。続けて。」
「えっ?おわりです。」
「ほっほー。なるほどなるへそ。話を続けて。」
やばい!?やばすぎる!?これは完全に話を聞いてないパターンだ。面倒臭い大将軍のお出ましとは、この事だぁぁぁ!
「足が抜けなくて困ってるんです!助けて欲しいんです!」
「分かったかもしれない。」
分かれよ!分かってくれよ!ダメだダメだ。面倒臭い奉行のペースに巻き込まれたら負けだ!ここで僕が怒ってしまったら、陽気なおじさんが帰っちゃうかもしれない。それだけは避けなければ!時間的に今、どうにかしないと完全にデートに遅刻なんだから。
「穴に足がはまって身動きがとれないんです。」
「あなたは、困っているんですね?」
「そうです。」
「あなたは、穴から抜け出したいんですね?」
「そうです!」
「あなたは、助けて欲しいんですね!」
「はい!その通りなんです!」
「あなたは、助けが必要なんですね!」
「必要です!」
「だったら私を大声で呼びなさい。」
「えっ?いや、でももうここにいる訳なんだし。」
「困った時には、ご存知!ヘルプマンを呼びましょう!さあ、一緒に!」
なぜに一緒に?登場からもう一度やりたい気持ちは分かったけど、なぜに自分で自分を呼ぶ?不思議だらけの面倒臭い国にお住まいか?意味を考えるな自分!意味を考えちゃダメだ!
「せーのっ!」
「ヘルプマーン!!」
って、何なんだよ!一緒にって言ってるくせに、呼んだの僕だけじゃん!
「さてと。」
登場シーンとかもないのかよ!何かあると思うでしょ!こっちは興味津々でしょ!まさに面倒臭い大明神のご降臨だよぉぉぉ!
「じゃあ、お願いします。」
「かしこまりました。」
しかも、キャラクターが掴めきれないとは!?さすが面倒臭い星のご出身!
「では、いきます!」
「宜しくです。」
いったい、どんな方法で助けてくれるんだ?パンチで地面を砕くのか?それともビームで地面を溶かすのか?それともそれとも、僕の身体を小さくする機械でも持っているのか?この想像もつかないワクワク感、もうデートなんかどうだっていいやって思っちゃってる自分を押さえるのに必死だよぉぉぉ!
「誰かー!助けてー!」
「えっ!?」
叫んだ?叫んでいるのか?何なんだこれは?何なんだよこれは?ただ助けを呼んでいるだけなのか?大きな声で助けを呼んでいるだけなのか?それとも、何かの準備なのか?
「誰か誰かー!助けて助けてー!!」
やっぱりただ単に叫んでいるようにしか思えない。よし!聞いてみよう!
「あのう?」
「誰でもいいからー!助けて下さーい!!」
「すいませーん!!」
「うわぁ!びっくりした!いたの!?」
いたよバカ!何だったら先にいたよバカ!あんたが存在出来てんのは、僕が助けを求めてたからだろバカ!じゃなかったら、あんたはここで何をしてんだよバカ!バカしてんのかよバカ!
「さっきっから、いったい何をしているんですか?」
「何をってキミ!助けを呼んでるに決まっているじゃないかキミ!」
「はあ?」
「ほら、キミも!黙ってないで助けを呼んだらどうなんだ?キミ自身の身に巻き起こっている事なんだぞ!」
えっ?もう何が自分の身に巻き起こってるのか、さっぱりだよ。
「でも、ヘルプマンが助けてくれるんじゃないんですか?」
「私にばかり頼るな!」
気のせいかなぁ?何を言ってるのか理解出来ないよ。
「ヘルプマンでしょ?」
「ご存知!ヘルプマンだよ!」
「正義のヒーローなんでしょ?」
「ご名答!正義のヒーローだよ!」
何か正解させられちゃったよ?まったく嬉しくない!って、どうしようもなく、おそろしく、とてつもなく面倒臭いなぁぁぁぁぁ!!
「助けてくれないの?」
「だから、私はさっきからキミを助ける為に、助けを呼ぶ助けをしているじゃないか!」
「えっ?そう言う意味のヘルプマン?」
「そう言う意味のヘルプマン!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
何だかこの正義のヒーローの存在、物凄く邪魔だ!!

第七十七話
「ヘルプマン」

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