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2007年12月12日 (水)

「第七十八話」

 畑にいる村人の名は、脂汗鼻汁太郎(あぶらあせ はなじるたろう)。鼻汁太郎は、今日も畑で野菜作りに精を出していた。脂汗を流しながら、鼻汁を垂らしながら、一生懸命に野菜を作っていた。
「ジュルルル!今日も天気が良くって良かった。ジュルルル!ありがとう!お天道様!」
目に入ろうとする脂汗を拭いながら、次から次へと激しく流れ出る鼻汁をすすりながら、太陽に感謝していた。
「ドスーン!」
その時だった。畑の真ん中、鼻汁太郎の目の前わずか数十センチの場所に、何かが空から降って来た。
「ジュルルル!何だ?何か降って来たぞ?まっ、そんな日もあるかな。」
しかし、鼻汁太郎は物語の進行などお構いなしで、空から降って来た何かに対してあまりにも無関心で、楽しそうに野菜作りの作業を続けた。気にならないのか!鼻汁太郎!
「カァー!」
間もなくして鼻汁太郎の畑に、カラスの真似をした臍の胡麻実はゴミ作(へそのごまじつは ごみさく)がやって来た。
「ジュルルル!やあ、ゴミ作!」
「ボリボリ!おお!鼻汁太郎!こんなとこで、何をしているんだい?」
「ジュルルル!ジュルルル!ジュルルルル!何してるって、野菜を作ってるんだ。何年も前から野菜作りをしてるんだから、知ってるだろ?ジュル!」
「ボリボリ!ふ~ん。ところで、俺のカラスの真似は世界で何本の指に入ると思う?」
「そうだなぁ?ジュルルル!人差し指ぐらいには入りそうだなぁ。」
「中指じゃダメか?ボリボリ!ボリボリ!」
「中指かぁ~?ジュル!ジュル!ジュルルル!」
「難しいか?ボリボリボリボリボリボリ!」
「難しいな。ジュル!中指は難しいよ。でも、中指でもいいよ。ジュル!」
「ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ!!やったぜ!」
いいのか!鼻汁太郎!臍の穴をかきすぎだ!ゴミ作!そして、かいた中指の臭いを嗅ぎすぎだ!ゴミ作!
「ありがとう!鼻汁太郎!俺はまた、修行の旅に行くフリでもするよ!ボリボリ!」
「ジュルルル!気をつけてな!ゴミ作!」
ゴミ作は、より激しく臍の穴をかきながら、鼻汁太郎の畑を去って行った。ゴミ作の中指が赤く染まっていた気もしたが、それはイチゴジャムなんだろうと、物語上の時代設定を無視した考えに行き着いた鼻汁太郎であった。
「ドスーン!」
そんな鼻汁太郎が野菜作りの作業をしていると、再び空から何かが鼻汁太郎の目の前に降って来た。
「ジュルルル?また何か降って来たぞ?明日にでも確かめてみるかな?」
今すぐ確かめるんだ!鼻汁太郎!それが物語のメインだと気付くんだ!鼻汁太郎!しかし、何事もなかったかのように野菜作りを続ける鼻汁太郎であった。
「おーい!鼻汁太郎ー!!」
「ジュルルル!!ない蔵!?」
鼻汁太郎の名を呼びながら走って来るのは、去年の夏に死んだはずの蚊に吸われてもう血がない蔵(かにすわれてもうちが ないぞう)だった。
「ない蔵!死んだんじゃなかったのか?」
「死んだ。プ~ン。」
「何してんだ?」
「プ~ン。暇なんだよ土の中ってさ。死んだ事のないお前に言っても分からないかもしれないけど、土の中はどうしようもなく暇なんだよ。プ~ン。あれだな。土葬は、やめた方がいいな。プ~ン。」
ない蔵は、今までの常識をいろいろと覆しながら、腐乱した体で一生懸命に暇をアピールしていた。
「なら、何で死んだんだ?死ななきゃよかったのに。」
「プ~ン。分からない。気付いたら何となく死んでたんだ。」
「なら、仕方ないな。」
「プ~ン。だろ?」
「でも、死ぬとそんなに暇なのか?それは、嫌だなぁ。」
「暇だぞ。暇で死にそうなくらいだ。プ~ン。逆に死んでて良かったと思えるくらいだ。プ~ン。」
「なら、良かったじゃないか!ない蔵!おめでとう!」
何がめでたいんだ!鼻汁太郎!
「プ~ン。プ~ン。プ~ン。ありがとう!」
何がありがたいんだ!ない蔵!
「死んだらそんなに暇だとは、知らなかったよ。なら、死なないように頑張るよ!」
それは無理だろ!鼻汁太郎!
「プ~ン。だったら僕も死なないように頑張ってみるよ!」
もっと無理だろ!ない蔵!
「プ~ン。じゃあ、僕は来る途中でどっかに落としちゃった右腕を、探しに行かなきゃならないから、またな!鼻汁太郎!」
「とにかく蝿が凄いぞ!ない蔵!!」
あらゆる常識を覆したない蔵は、鼻汁太郎の畑を去って行った。この時ばかりは、鼻が鼻汁で詰まっていて助かったと鼻汁太郎が思ったかどうかは分からないが、鼻汁太郎がない蔵を目の前にしてからと言うもの、一度も鼻汁をすすらなかったのは、事実だ。
「ドスーン!」
そして、またまた空から鼻汁太郎の目の前に何かが降って来た。
「・・・・・・・・・。」
鼻汁太郎は、野菜作りに夢中で、その何かどころか、何かが降って来た事すら気付いていなかった。
「鼻汁太郎!」
「ジュルルル!和尚!」
鼻汁太郎の畑にやって来たのは、放題寺(ほうだいじ)の生やし放題ケツ毛和尚(はやしほうだい けつげかずなお)和尚だった。先代の父、故生やし放題胸毛ジャングル(はやしほうだい むなげじゃんぐる)和尚の後を継ぎ、三十数年間、村の山の上にある寺で住職をしている。
「ジュルルル!どうなさったんですか?」
「ケツ毛が疼くんじゃよ。」
「ジュル!?和尚のケツ毛が疼く!?」
「うむ。疼き放題なんじゃ。だからな。もしかしたら、この村に何か異変が起こっているんじゃなかろうか?起こり放題なんじゃなかろうか?と、思ってのぅ。山から急いで降り放題降りて来たんじゃよ。」
「ジュルルル!異変?」
「で、鼻汁太郎。お主の畑から、わしのケツ毛が異変をビシビシ感じとり放題なんじゃ。」
「ジュル!ジュル!ジュルルル!こここ、この畑から!?ジュルルル!?ですか!?」
「そうじゃ。鼻汁太郎、何か畑で変わった事はなかったかのぅ。」
「ジュルルル?何か・・・変わった事・・・・・・・・・?」
チャンスだ!鼻汁太郎!さっきから空から降って来ている何かをケツ毛和尚和尚に話すんだ!
「そう言えば・・・・・・・・・。ジュルル!」
「うむ。何か心当たりがあり放題なんじゃな?言うてみい!」
「ジュル!実はさっき・・・・・・・・・。」
頑張れ!鼻汁太郎!
「うむ。」
「ない蔵が畑にやって来たんです。ジュル!」
「なんと!?ない蔵が!?」
なんと!?ない蔵の事なんてどうだっていいだろ!鼻汁太郎!そんな事より、早く空から降って来た何かをケツ毛和尚和尚に話すんだ!鼻汁太郎!
「あやつは死に放題なはずじゃぞ!」
「ジュル!でも、暇だって言って、しばらくすると蝿と戯れながら、あっちの方へ行っちゃいました。」
「馬鹿な!?死人が生き返り放題とは!?」
「いえ和尚。ジュルルル!生き返った訳ではないみたいでしたよ。死なないように頑張るぞ!って、言ってました。」
「何じゃと!ますます奇々怪々放題な異常事態放題じゃ!この村に良からぬ事が起こり放題にならなければよいのだが・・・・・・鼻汁太郎!」
「ジュ、ジュル!」
「とにかくわしは、ない蔵を追い放題追って、捕まえ放題捕まえて、詳しい話を聞き放題聞いてみる事にする!他に何か気付き放題気付いた事があったら、後で寺の方へ来放題来てくれ!」
何やらややこしいぞ!ケツ毛和尚和尚!
「ジュルルル!分かりました!和尚!」
そして、空から降って来た何かを最後までケツ毛和尚和尚に伝える事なく、脂汗と鼻汁でケツ毛和尚和尚を送り出してしまった鼻汁太郎であった。
「ジュル?あれ?そう言えば、さっきから何か空から降って来ていたなぁ?ジュルルル!和尚!って、もうあんな所まで行っちゃってるよ。」
お前が余計な情報を与えたからだ!鼻汁太郎!もう、いい。鼻汁太郎よ。
「何だか気になるなぁ。空から降って来た何かが、今になって何だか気になるなぁ。ジュルルル!」
気にするな!鼻汁太郎!なぜなら、空から降って来た何かとの展開を書くには、物語の長さが短編の域を越えてしまうからだ!鼻汁太郎!
「ジュルルル!ちょっとだけ見てみよう。どれどれ?」
やめるんだ!鼻汁太郎!見るんじゃない!鼻汁太郎!野菜を作れ!鼻汁太郎!作るんだ!鼻汁太郎!
「ジュルルル!?うわぁ!何だ!?ジュルルル!?ジュル!?」
それ以上、空から降って来た何かと絡んではダメだ!鼻汁太郎!やめるんだ!鼻汁太郎!よすんだ!鼻汁太郎!仕方ない!鼻汁太郎!苦肉の策だ!鼻汁太郎!ここは一先ず!鼻汁太郎!こうするしかないぞ!鼻汁太郎!

第七十八話
「つづく」

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コメント

ええ~ッッΣ(ノ°▽°)ノそんなのアリ?(笑)しかも不潔きわまりないッス!

投稿: 愛莉No.38 | 2008年1月 1日 (火) 20時07分

僕のお気に入りは、先代の胸毛ジャングル和尚ですね。
コメントありがとうございました。

投稿: PYN | 2008年1月 1日 (火) 23時27分

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