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2008年3月26日 (水)

「第九十三話」

「痛いかもしれないけど、我慢出来るね?」
「うん。大丈夫。あなたに殺されるなら、痛くても我慢出来る。」
「じゃあ、刺すよ。」
「いいわ。」
「僕も、すぐに後を追うから。」
「待ってる。」
「ちょっと待った!お二人さん!待った待った~!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「じゃあ、刺すよ。」
「いいわ。」
「無視やめて~!お願いだから、無視やめて~!あの頃の灰色の記憶を思い出させないで~!」
「君にも、この面白いの見える?」
「あなたにも見えるのね?この面白いの。」
「誰なんだろう?この面白いの。」
「さあ、分からないわ?この面白いの。」
「何なんだろう?この面白いの。」
「さあ、知らないわ?この面白いの。」
「お二人が思っているほど!そんなに我輩は、面白くな~い!」
「我輩って、言った?」
「確かに、言ったわ。我輩って。」
「いったい何しに来たんだろう?この面白い我輩。」
「ねぇ?聞いてみたら?この面白い我輩に。」
「聞くの?」
「気になるじゃない。」
「確かに、気になる。」
「だったら、聞いてみましょうよ。」
「そうだね。聞いてみるのもいいかもね。」
「そうよ。」
「でも、何か面倒臭くない?」
「そうね。言われてみれば、面倒臭いかもしれないわね。だったら、聞くのやめましょ。」
「それがいい。聞くのやめよう。」
「それがいいわ。」
「よくな~い!まったくよくな~い!お二人の話に合わせて、我輩が大きく首を縦や横に振ってたのが見えてたでしょ!それと、変なニックネーム付けないで!」
「じゃあ、刺すよ。」
「いいわ。」
「聞いて!お願いだから聞いて!我輩が誰なのかを聞いて下さい!」
「誰ですか?」
「よ~くぞ聞いてくれた!我輩は、神である!痛みの神である!!」
「誰なの?」
「あっ、別々に聞かないで!同じ質問だったら、共有して!」
「痛みの神?聞いた事ある?」
「いいえ。ないわ。」
「なら、違うね。」
「そうね。違うわね。」
「じゃあ、刺すよ。」
「いいわ。」
「あっ、もっと視野を広げて!お二人だけの世界観で世の中を見ないで!お二人だけの物差しで世界を測らないで!」
「じゃあ、本当に?」
「ぶはははは!そう!我輩は、正真正銘!痛みの神であ~る!!」
「じゃあ、やっぱり本当なの?」
「あっ、だから別々に聞かないで!チームリーダーのいない個々にリーダーシップを発揮出来る組織もいいかもしれないけど、やっぱり質問は、質問だけは一つにまとめといて!」
「痛みの神様が、僕らにいったい何の用なんですか?」
「そうよ。私達に何の用なの?」
「我輩がお二人の前に現れた理由!よ~く、自分達の胸に手を当てて考えてみんしゃい!みんしゃい!!」
「じゃあ、刺すよ。」
「いいわ。」
「な~んで!どうしてそっち路線?ちょっとは、言われた通りに考えてみてよ!」
「痛みの神様。僕らは、これから心中をするんです。考えても意味がないんです。」
「お願いだから、私達を死なせて欲しいの。だから、邪魔はしないで欲しいの。」
「ああ、そうでしたか。なるほど、そう言う事でしたか。それはそれは、とんだ失礼をしてしまいましたな。」
「じゃあ、刺すよ。」
「いいわ。」
「って!コラ~!それそれ!我輩がお二人の前に現れた理由!それそれ!」
「心中の事かな?」
「心中の事なの?」
「違う?」
「違うんじゃない?」
「違うかもね。」
「違うわよ。」
「同じ!違くない!心中の事!それ間違いない!」
「何かカタコトだよ?」
「そうね。」
「こんなにカタコトだったっけ?」
「ちょっと違うような気もするけど、特に気にする事もないんじゃない?」
「だよね。」
「そうよ。」
「じゃあ、刺すよ。」
「いいわ。」
「お二人は、いつもそうなのですか!いつもそんな感じで人の話を聞いているのですか!」
「神様だよね?」
「確か、神様よ。」
「人って言ったよね?」
「人って言ったわ。」
「人なのかな?」
「人なのかしら?」
「人なんだろうね。」
「人ね。」
「揚げ足とらないで~!例えで言っただけじゃないですか!きっと、ふだん神と話をする機会なんてないと思って!神の部分を人に変えて言っただけじゃないですか!気を使っただけじゃないですか!お二人は、大人でしょ?大人なら揚げ足とるのやめましょうよ!とられた側の身になって発言しましょうよ!」
「何か怒ってるね。」
「そうみたいね。」
「謝っとく?」
「謝っときましょ。」
「それ嫌だ!その謝られ方、我輩嫌い!」
「じゃあ、刺すよ。」
「いいわ。」
「何でまたそのノリ?もう、話が前に進まないから、我輩が話しちゃいますけどいいですか?」
「はい。」
「ええ。」
「心中ダメ!心中なんかしちゃダメです!お二人は、まだまだ若いんだし、これから先の人生もまだまだ長いんだし、嫌な事だってあるかもしれない!でも、それと同じぐらい!いい事だってあるんです!どんな理由があるのか我輩、知りませんけど!死んだらダメです!自ら死を選んではダメなんです!何よりも!何よりもです!すご~く痛いですよ?刃物で刺すって、すご~く痛いんですよ?刺した時点で刺すのやめればよかったと後悔するんですよ?いた~いの嫌でしょ?いた~いの悔しいでしょ?だから、やめましょうよ!心中なんて、やめてしまいましょうよ!辛くても、お二人で力を合わせて、困難に立ち向かって生きましょうよ!我輩、微力ながら応援するですよ!お二人の事を応援するですよ!」
「心中するのやめます。」
「私達、力を合わせて困難に立ち向かって生きます。」
「えっ?」

第九十三話
「拍子抜け」

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