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2008年3月19日 (水)

「第九十二話」

「あなた知ってる?」
「何を?」
「知ってるあなた?」
「だから何を?」
「知らないであなた。」
「知らないよ。」
「お願いだから、どうか知らないでいてあなた。」
「だから知らないって!」
「叩かないであなた!」
「ご近所さんに聞かれたらマズいような事をサラッと言うなよな。何なんだよ。」
「でもあなた?」
「何だよ。」
「あなたはいったい、何をそんなに知らないって言うのあなた?」
「知らないよ!」
「あなたって、何も知らないのね。」
「この会話のやり取りが面倒臭いって事だけは、はっきりと鮮明に知ってるよ。」
「面倒臭いかどうかは、個人差があるわよ。」
「その個人差に基づいた結論から導き出された結果で、俺は面倒臭い派なんだよ。」
「じゃあ、私もリサイクル賛成派で!」
「どっから出て来たリサイクル?どうでもいいから、さっさと話を先に進めてくれよ。何だよ。お前が知ってる俺の知らない話ってのは。」
「さっさ、と。」
「話す気ないだろ?」
「あのね。今日ね。ランチ懐石に一緒に行った近所の何でも知ってる奥さんに聞いた話なんだけどね。」
「何だそのスパイみたいな人。特殊な情報機関にでも所属してるのか?てか、俺がワンコイン定食で頑張ってるって言うのに、何でお前がランチ懐石なんだ?俺の一生懸命な頑張りは、無駄にそんなとこに使われてるのか?」
「無駄じゃないわよ。凄く美味しかったのよ。」
「板長的な料理人視点の話じゃない!」
「まあ、それこそそこはいいじゃない。」
「それこそ物凄くよくないだろ!そこ!そこかなり重要だろ!それこそ!」
「でもほら、それこそそこは曖昧にしておいた方がミステリアスじゃない?」
「曖昧の時点で既にミステリアスなんだよ!むしろミステリアスを曖昧にするって事は、それこそそこにやましい感情があるからだろ!」
「マステリアス!」
「マステリアスってなんだ!マステリアスって!ネイティブな発音でもそんな言い方しないだろ!」
「いいじゃない。ランチ懐石って言ったって、私もあなたと同じワンコイン高級ランチ懐石だったんだから。」
「お前、何かを隠そうとして、それこそ真実まで話しちゃってないか?」
「でね。そそそそそそそそそそそそそそそそそその奥さんから聞いた話なんだけどね。」
「動揺しすぎだろ。」
「微妙に誰にも分からないぐらいに、声の音程を下げたのよ?」
「なら、きっと誰にも分かられないと思う。」
「あら、私は分かったわよ?」
「妥当だろ。」
「妥当で思い出したんだけどね。」
「思い出しにくいフレーズで、広がりが見出だせないような何か余計な話を、これ以上思い出すな!さっさと、お前が知ってる俺の知らない話ってのを聞かせてくれ!」
「しょうがないわね。」
「しょうがないのか?俺は今すぐにでも、この場を立ち去る準備は、既に出来ているんだぞ?」
「あのね。何でも知ってる、それこそ知らない事がないんじゃないの?って思うぐらいの年齢より若く見える奥さんが言ってたんだけどね。」
「そう言う余計な情報はいいから、話の核心に迫ってくれよ。」
「最強マラソンってマラソンがあるみたいなのよ。ほら、聞くところによると、学術的にあなたマラソン好きじゃない。だから、出場してみなさいよ。」
「俺に関する本でも出版されてんのか?俺から直接お前が聞いたんだろ?いや、それ以前にかなり話が簡潔過ぎやしないかい?核心に迫れって言ったけど、何だ最強マラソンって?聞いた事もないぞ?どこで開催してんだよ。」
「何か、何でもよく食べるその奥さんが言うにはね。」
「初耳な情報だよ。」
「普通にその辺で何となくやってるみたいよ?」
「どの辺でどのように行われてんだ!その辺でやってるバーゲンみたいに言うなよ!」
「そうそう、その奥さんが言うにはね。今度ね。」
「もしかして、この辺で開催すんのか?」
「そうなの!紳士服のバーゲンをやるのよ!ほら、あなた新しい服が欲しい欲しいって、鼻水垂らしながら言ってたでしょ?」
「まず鼻をかむように促してくれ。そして、バーゲンの方、どーだっていいんだよ!」
「バーゲンいいの?あなた、あんなにスキップしながら新しい服が欲しいって言ってたのに?」
「なら、黙って新しい服を買い与えてくれ。だいたい、最強マラソンって、言ってるけど何がそんなに最強なんだよ。まずは、そこを説明してくれなきゃ分からないだろ。」
「そこ聞いちゃう?」
「誰もが聞いちゃうと思うぞ?」
「そっかそっか、そこ聞いちゃうんだ。」
「聞いちゃうよ!だから、言っちゃえよ!」
「そこ言っちゃう?」
「それは、お前のさじ加減しだいだろ!」
「なら、言っちゃう!」
「この話の流れで、そこは言っちゃうべきだろ。そこ言っちゃわなかったら、お前は俺にいったい何を言っちゃおうとしたんだよ。」
「何か、最強マラソンってね。マラソン中に息しちゃいけないらしいわよ。息した時点で失格なんですって。」
「誰も完走出来やしない!主催者の意図がおかしいだろ!」
「だから最強なんじゃないの?」
「だったら、最強の意味を履き違えてんだよ!そもそも本当に最強マラソンなんて競技が存在してんのか?何でも知ってる奥さんの情報は確かなのか?」
「奥さんの情報は、いつだって正確よ!」
「あっそう。何か、何か物凄く無駄な時間と情報をどうもありがとう。」
「どう致しまして。」
「皮肉で言ったんだよ!」
「あら、偶然!私も皮肉で言ったのよ?」
「どんな皮肉だ!」
「そうそう。そう言えば最強マラソンなんだけどね。」
「もういいだろ。最強マラソンの話。」
「あの巷でも有名などんな隙間にも入れる奥さんが言うにはね。」
「ちょっとした都市伝説なのか?その人。何でちょくちょく異名が変化してんだ?しかもゴキブリみたいになっちゃったぞ?」
「今までに最強マラソンで完走した選手って、世界でまだ2人だけなんですって。」
「2人もいた!?」

第九十二話
「marathon
  ~42.195kmバージョン~」

「でね。」
「まだ続くのかよ!」

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