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2008年5月

2008年5月 7日 (水)

「第九十九話」

「ホワイトキングとブラックキングのキングバトルを開始致します。両キング共、準備は宜しいですか?」
「お願いします。」
「いいわ。」
世の中には、オセロと言われるゲームが存在する。おそらく、世界中でこのゲーム、そしてこのゲームのルールを知らない人間など、生まれたばかりの赤子以外いないのではないだろうか?いや、もしかしたら、生まれたばかりの赤子ですら、知っているのかもしれない。我々人間は、オセロと切っても切れない間柄。螺旋状の中に鮮やかに組み込まれた白と黒の遺伝子情報。我々人間が猿から進化したのか?オセロから進化したのか?或は、宇宙からの来訪者なのか?我々人間が、なぜ人間なのか?その進化の過程、所謂、進化論にはいろいろな説がある。だが、近年の科学や医学の進歩による白黒はっきりとした研究結果から、オセロ説が有力視されている事は、あまりにも有名で、揺るぎない確固たる事実である。少し話が脱線してしまったが、オセロには白と黒があり、多くのプレイヤー達がホワイトとブラックに分かれて存在する。ホワイトプレイヤーの頂点をホワイトキングと呼び、ブラックプレイヤーの頂点をブラックキングと呼ぶ。そして今日、全世界が注目する中、年に一度開催されるオセロの頂点のさらに高みを決めるキングバトルが始まろうとしていた。
「では、ホワイトキングもブラックキングもファーストセッティングをお願い致します。」
「ネチャネチャ。」
ホワイトキング。年齢105歳。生まれて105年間、オセロで負けた事がない男。人々は、この老人をオセロの神と呼ぶ。そんな彼がオセロ盤を真っ白にした時、奇跡が起こると言われている。実際、各国からいろいろな奇跡情報が寄せられている事は、揺るぎない確固たる事実である。。オセロを尊い、オセロを慈しみ、オセロを憂い、オセロに歓喜し、時にオセロに憤怒し、オセロに感謝する。男はオセロを友と呼び、男はオセロと生涯を歩む。オセロ盤に浮かび上がる勝利の道、シルバーロードが見えた時、全てのプレイヤーが男の前に平伏す。
「ネチャネチャ。」
相対してブラックキング。年齢26歳。若くしてオセロに選ばれし女。天才、鬼才、秀才、奇才、異才、英才、偉才・・・・・・それらはもしかしたら彼女の為に創られた言葉なのかもしれない。いや、オセロは彼女の為に創られ、彼女はオセロの為に創られたのかもしれない。オセロを愛し、オセロに愛される女。純白に彩られた漆黒の天使。勝利を導き出す方程式。盤に示された数式を解くエンジェルアイが開眼した時、全てのプレイヤーが彼女に魅了される。
「ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・この日を待ちわびてたわ。」
「ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・それは嬉しいお言葉ですね。わしもブラックキングさんとゲームをするのが楽しみで、年甲斐もなくワクワクして眠れませんでしたよ。」
「ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・その余裕ぶった態度・・・さ~て、いったいいつまで笑ってられるかしら?」
「ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・まあまあゲームなんですから、そんなに熱くならないで下さい。熱くなりすぎて、ゲームが台無しになったらつまらないですからね。」
「ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・ゲーム?これはバトルよ!あたしの心配より、自分の心配でもしたらどう?」
「ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・はて?わしが己の心配を?ですか?」
「そうよ。ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・今日で伝説が終わるんですからね!」
「ネッチャネチャネチャ・・・・・・それは、楽しみです。何だか楽しいゲームになりそうな予感がしてきました。どうか、お手柔らかにお願いしますよ。」
「ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・神は今日、死ぬ!神の時代は今日、終わる!」
「ネッチャ~ネチャ~・・・・・・・・・何やらやぶさかではないですね。ネチャネチャ・・・・・・・・・わしを倒し、そして貴女が新たな神になりますかな?」
「神?いいえ。ネチャネチャ・・・・・・・・・女神よ!」
「ビィィィィィィィィナスッ!!素晴らしい!素敵すぎる!女神…実に貴女にお似合いな表現だ。ネチャリネチャリ・・・・・・・・・その新たな伝説の第一歩を拝めるとは、いい冥土の土産になります。」
「ネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・ゲームの途中で、鼻血出して死なないでよ?そんな置き土産なんて、いらないから!」
「ネッチャッチャッ!心配無用ですよ。ネチャッネチャッ・・・・・・・・・貴女こそ、途中で泣いたりしないで下さいよ?お嬢~ちゃん。」
「ピチョッ!」
「ホワイトキング!ワンホワイトセッティング!オーケー!」
「お嬢ちゃん?じじぃ・・・・・・・・・ネチャネチャネチャネチャネチャ・・・・・・・・・そうやっていつまで人をバカにしてられるか楽しみだわ!」
「ピチョッ!」
「ブラックキング!ワンブラックセッティング!オーケー!」
「ネチャッネチャッ・・・・・・・・・ネチャ~・・・・・・・・・まあまあ、そんなに熱くならないで下さい。ゲームだと言ってるじゃありませんか。たかがゲームなんです。しかし・・・・・・・・・このホワイトキング、まだ負けを譲るには、まだまだまだまだまだまだ若すぎるわい!」
「ピチョッ!」
「ホワイトキング!トゥ~ホワイトセッティング!オーケー!」
「ふんっ!どっちが熱くなってんだか?ネチャネチャ・・・・・・・・・なら、ベビーからやり直しな!」
「ブラックキング!トゥ~ブラックセッティング!オーケー!」

 世の中には、白いハナクソと黒いハナクソがある。他にもいろいろな色のハナクソがあるが、ルーツを辿れば、白か黒かである。世の中にオセロと言われるゲームが存在し、我々人間が白と黒のハナクソを造り出せる構造で世に生まれて来たのは、果たして偶然なのだろうか?いや、それは必然。螺旋状の中に鮮やかに組み込まれた白と黒の遺伝子情報。我々人間が猿から進化したのか?オセロから進化したのか?或は、宇宙からの来訪者なのか?はたまた、ハナクソから進化したのか?我々人間が、なぜ人間なのか?その進化の過程、所謂、進化論にはいろいろな説があり、科学や医学の進歩による白黒はっきりとした研究結果から、オセロ説が有力視されている事は、あまりにも有名で、揺るぎない確固たる事実である。しかし、オセロが先か?ハナクソが先か?それがいまだ謎に包まれているのは、白黒はっきりしていない、揺るぎない確固たる事実である。

第九十九話
「ハナクソオセロ」

「バトル!スタァァァァァァァァァァト!!!」
「さ~て、終焉の開演よ!じじぃぃぃぃぃぃ!」
「ほっほっほっ。伝説の一ページにすぎませんよ。スパイシーに楽しませて下さいよ!お嬢~ちゃん!」

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2008年5月14日 (水)

「第百話」

「第百話かぁ。それなりに何となく続いたもんだなぁ。適当に良くも悪くも続くもんなんだなぁ。第百話ってか、祝百話だな!にゃっはっはっ!にゃーっはっはっはっ!!」
とりあえず笑ってみたものの、いったい第百話の何が祝なんだかよく分からない。続けていれば自然と、必然と、当然と辿り着くじゃないか。まあでも、桁が一つ増えると言う事への喜びは少なくとも持っていた。だから、僕の中の節目好きな人種の血が勝手に騒ぎ出してしまうのもしょうがない。いや、単純に百と言う数字に対し、素直に服を着て喜びを表現すればいいのかもしれない。いやむしろ、服を着る前に表現すべきだ!
「はあ・・・・・・・・・。」
だが、あいにく理想と現実のギャップに悩まされている僕は、朝から溜め息ばかりだ。考えをまとめようと頭をスッキリさせる為に、何度お風呂に入った事か。
「さてと!」
洋服を着て、椅子に座り机に向かう。目の前には、この第百話用に買った真新しいペンと真っ白な原稿用紙がある。
「ふぅっ!」
呼吸を整え、僕はペンを握り締めた。この一連の作業も何度目だ?いったいいつになったら、この無限地獄から抜け出せると言うんだ?無限地獄にいる時点でアウトなのか?書きたいテーマは決まっている。
「本格派ミステリー!」
と、口に出したとこで書ける訳でもない。せっかくの第百話なんだから、普段は挑戦しないような作品を!と、意気込んでみたはいいものの。って、物凄く第百話を意識してる自分に今、今気付いたよ。
「はあ・・・・・・・・・。」
そもそもの本格派ミステリーの書き方がよく分からない。本格派ミステリーとサスペンスの微妙なボーダーラインも分からない。本格派と本格派でない本格派ミステリーの違いすら分からない。
「無理だ!」
ああ、この言葉も言い飽きた。本格派ミステリー小説の概念が既に、本格的本格派ミステリー状態な僕の脳みそに、本格派ミステリーを本書く化出来るのだろうか?こんな、駄洒落の切れ味すら錆び付いてる状態で、本格に本当に大丈夫なんだろうか?真犯人は、見付かるのだろうか?
「いやいや、書かねば始まらぬ!何事も!!」
握りこぶしが妙に悲しい。自分のキャラクターさえも分からなくなってきた状況で、完全犯罪を目論むトリックが頭に浮かぶのだろうか?ダメだダメだ!ネガティブな考えは捨て去るんだ自分!もう、サイは投げられたんだ!サジを投げてる場合じゃない!
「よし!書こう!」
さっきよりも、気持ちオクターブ上げてスタッカートな感じでブレスブレスで気合いを入れて、白紙の原稿用紙を睨み付けた。
「タイトルは・・・・・・・・・。」
だいぶ頭の中が本格派ミステリーなんだろうな。タイトルから書いてどうするんだ。僕の短編は、いつもタイトルが後じゃないか!
「はっ!」
ここで、ある衝撃的な問題にぶちあたった。
「一話完結の短編じゃ・・・・・・本格派ミステリーは書けない!」
でも、その超難解な謎は迷宮入りする事なく、スムーズに解決出来た。本格派ミステリー=長編。と、言う概念自体が間違っているんだ。この先入観こそが、作品の幅を縮めてしまう真犯人じゃないか!だいたい真犯人は、自分の近くにいるもんだ!
「長編に出来て短編に出来ない事はない!!!」
この台詞が犯人を追い詰めた時の僕の決め台詞かどうかなんて分からないけど、近所迷惑を省みず、とりあえず大声で叫んでみた。
「短編に出来て長編に出来ない事は山ほどある!」
続けてアンチ長編の旗を振りかざしてみた。
「小説の映像化は、無理だ!」
ついでに映像の世界にも進出してみた。
「漫画の実写化は、もっと無理だ!」
さらにエンジニアへの挑戦状を叩き付けながら、逆もまた然りと、ニヤリと笑いつつも自分の財布の中身を思い出し、
「・・・・・・・・・ありだな!」
と、妙に金の臭いがプンプンするこの犯行に反抗する事をやめ、ついでに置き去りにしていた現実に向き合う事にした。
「はあ・・・・・・・・・。」
本格派ミステリーと侮るなかれ、興味本意で手を出すと大火傷だ!だって、何から決めればいいのか分かんないんだもん!
「ストーリーか?」
いや、迂闊にストーリーから手を出してしまうと、登場人物を模索している中で、ストーリー寄りな登場人物になり、早い段階で犯人が読者にバレてしまう。ダメだダメだ。
「登場人物か?」
いやいや、意気揚々と人物設定を詳細に考えてしまうと、ストーリーが疎かになって適当になってしまう。本格派ミステリーでなく、ちょいミステリー風短編小説になってしまう。何よりも登場人物に感情移入し過ぎて殺せない!それじゃあ、事件が起きない!本格派ミステリーにならない!いや、ある意味それはそれで本格派であって本格派でない本格派ミステリーなのかもしれない。
「僕は、本格派な本格派ミステリーを書きたいんだ!なら、トリックか?本格派ミステリーにつきもののトリックから考えるか?」
いやいやいや、風光明媚なトリックが浮かんだとして、色即是空なトリックを考え出したとして、賛否両論なトリックを捻り出したとしても!それは単に、よりストーリーと登場人物を縛ってしまう事になるだけの事!
「だったら主人公?」
そうだな。とにかく物語には、物語を物語る主人公が必要だ。何にせよ主人公をまず決めた方がいいのかもしれない。でも、スタンダードに探偵と助手や老いぼれ刑事と若い刑事のコンビがいいのだろうか?それとも、オーソドックスに無職の人がいいのだろうか?ちょっとシュールに宇宙人や忍者がいいのだろうか?
「待てよ?」
本格派ミステリーなんだから、主人公も本格派ミステリーにした方がいいのでは?
「謎の老人?覆面レスラー?整形美人?仮面夫婦?もしくは・・・・・・・・・マチュ・ピチュ!」
ダメだ!本格派ミステリーの方に考えが行き過ぎて、本格派ミステリーにならない!本格派ミステリーに近付いているはずなのに、不思議だ!本格的コメディーの予感がプンプンする!
「難解過ぎるよ本格派ミステリー!」
ヒントがどこにも見当たらないよ!目の前の真っ白な原稿用紙は、まるで真っ白な答案用紙じゃないか!
「どこに答えを書きゃいいんだ!先生!!」
・・・・・・・・・知ってる・・・知ってるよ。先生は僕で、答案用紙を解答用紙に変えるのも僕。
「はあ・・・・・・・・・。」
つくづく思う。結局、不完全犯罪で終わる本格派ミステリーを本格派ミステリーと言えるのだろうか!最終的には本格派ミステリーじゃなくなってしまう本格派ミステリーを本格派ミステリーと言えるのだろうか!本格派ミステリーでなく、本格ミステリーじゃなかろうか?
「そんなのミステリーでも何でもない!」
そう、これはご存知、負け惜しみ。伝家の宝刀、負け惜しみ。免許皆伝、最終奥義、負け惜しみ。ミステリーを書けない自分を少しでも気丈に見せようとする必死な努力!
「あああああああああああっ!!!」
苛立って髪の毛をかきむしって、ミステリーが書けるなら、いくらでもかきむしるさ。それで書けるなら、ハゲは書けないじゃないか!
「はあ・・・・・・・・・。」
そしてまた、溜め息。どことなくノリツッコミな溜め息。とにかく考えよう。考えて考えて考えよう。ダメで元々なんだ。書くだけ書いてみよう。書かないで諦めてどうするんだ!
「・・・・・・・・・。」
気合いを入れた僕は、椅子の背もたれに腕を置いて振り返り、部屋中に置かれた無数の死体にしばらく目をやり、再び真っ白な原稿用紙と向かい合った。そして、僕はミステリーの書き出しを、まずは殺害現場の詳細な状況から書く事にした。

祝百話
「これからミステリー」

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2008年5月21日 (水)

「第百一話」

「博士!お待ちしてました!」
「お待ちされてたけどさぁ。何?どうしたの?へぇ~。そうなんだ!なるほどなるほど!なるほどねぇ~。」
「いや、まだ何も言ってませんけど?」
「博士!お待ちしてました!って、ニヒルに言ってたけど?」
「いや、言いましたけど、いや、ニヒルではなかったですけど、にしてもそれに対する返答じゃないでしょ。」
「あっそうだ!」
「何ですか?」
「君は、なぜ蚊に刺されても痛くないのか知ってるか?」
「えっ?確か・・・・・・・・・血を吸うと同時に、血を固まらないようにする液体を出しているからですよね。」
「そう!そうなんだ!もしも、もしもだ!蚊がその液体を出さなかったらと考えてみなさい!」
「痛みを感じる・・・・・・ですか?」
「そうですよ!そうなんですよ!物凄い痛みを感じるのだよ!嫌だよね~痛み!感じたくないよね~痛み!心も体も!でも感じない!我々は、痛みを感じない!それはなぜ?それはどうして?蚊が液体を出しているからだよ!」
「博士?」
「何て、何て優しい奴なんだ!蚊って奴は!ああ、私も蚊のような男になりたい!」
「でも、その液体によって、痒みが生じるんですよ?」
「君は、分かってないなぁ。蚊=痒い。だが、真実はどうだ?そこには痛みを感じさせないと言う優しさが含まれているではないか!いいか?男は、優しいだけじゃダメなんだよ!優しさを全面的に振り撒いている男の優しさなど!本当の優しさなどではない!厳しさの中に含まれている優しさこそ!本当の優しさなのだよ!痒みの中に優しさを隠す蚊の優しさこそ!本当の優しさだとは思わないか!!」
「何の話ですか?」
「モテたいんだ!」
「モテたいって、それで蚊を理想とするのは、如何なもんでしょ?ってか、博士には奥さんがいるじゃないですか。モテてどうするんですか!浮気ですか!熟年離婚ですか!」
「妻にモテたいんだ。」
「もしかして、博士。奥さんと上手くいってないんですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「博士?」
「ええーい!触るなー!貴様のスズメのナミダ程度の慰めなどいらんわい!」
「触ってませんけど?」
「で?話ってなんだ?せっかく私が妻とのチョメチョメを切り上げてやって来たと言うのに!君って奴はまったく!」
「仲いいじゃないですか!」
「私が言ったチョメチョメを、世間一般で言うチョメチョメだと思うなよ!」
「なら、博士の言うチョメチョメを世間一般で言う言い方で言って下さいよ!」
「間違い探しだ!」
「ペケペケだ!どっちかと言ったならば、それはチョメチョメじゃなく!ペケペケだ!」
「早間違い探し対決だ!」
「対決?」
「私のリングネームか?」
「リングネームって何なんですか?」
「ストロング・ザ・パンプキンだ!」
「何か、覆面レスラーみたいな名前ですね。」
「これを見よ!」
「まさかのカボチャをくり貫いただけのマスク登場!ストロング・ザ・パンプキンと言うよりも、ミスター・ハロウィンですね。」
「ミスター・ハロウィン?いいねそれ!いいよ!次からそれにしよう!ミスター」
「メモらないで下さい。」
「必殺技は、魔法です。」
「どっかのテーマパークのキャラクターですか。」
「出身地は、畑です。」
「なぜにそこだけリアル?」
「なぜにそこだけリアル?いいねそれ!いいよ!次からそれにしよう!なぜに」
「どう聞こえちゃったら、リングネームだと思っちゃうのでしょうか?」
「次に開催される親権をかけたタイトルマッチには、負けられないのだよ!」
「子供の将来を何だと思ってるんだ!」
「ぶはぁー!確かに、確かに君の言う通りだ!チョメチョメで親権を決めるだなんて、私も妻もどうかしていたよ。私が悪かった。すまない。そして、目を覚まさせてくれて、ありがとう。」
「博士・・・・・・・・・。」
「いや~、それにしてもなかなかどうして、君の右ストレートは、効いたよ。ほら、奥歯が二本へし折れた。」
「いや、僕は殴ったりしていませんけど?博士が直立不動で一人芝居しているだけですけど?」
「さあ、本題にでも入ろうか?軍曹!」
「物凄い寄り道の距離で、思わずもう本題の事なんてどうでもいいか。とすら、思ってましたよ。それに、ここに来て僕が軍曹って、おかしいでしょ!どんな設定ですか!」
「むむむ!むが四つ。」
「ちゃんとしません?博士。ちゃんとやりましょう?もう、ここからは真面目に博士と助手で行きましょうよ。」
「イッサー!」
「何かまだ軍曹感が抜けてない気がしますけど、まあいいですよ。」
「で?なぜ私を呼び出したりしたんだ?」
「発明をしたんです!」
「発明?」
「世紀の大発明です!」
「しかも、世紀の大発明?いったい何を大発明したんだ?」
「これです!」
「これって、ホクロ?」
「そうです!ホクロです!」
「何だかさっぱりだな。あれ?でも君って、顔のそんな所にホクロなんかあったっけか?」
「ないです。ほら!」
「取れた!付けボクロ!?」
「そうです。」
「だが、付けボクロなんて、特に大発明でも何でもないだろ。どっかその辺で売ってるだろ。」
「博士?」
「何だね?酋長!」
「今年もいよいよ雨乞いの時期が近付いて来たようです。」
「もうそんな時期に・・・・・・はっ!?ま、まさか!?その生け贄として、今年は酋長自らが!?」
「博士!後の事は、任せましたよ!」
「酋長・・・・・・分かりました!慎んで、お断りします!」
「ああ、やっぱり断られちゃ・・・断っちゃったよ!じゃないですよ博士!ふざけないで下さい!これは!超万能ボクロなんです!」
「超万能ボクロ?」
「そうです。この超万能ボクロを付けると、ありとあらゆる事が、出来ちゃうんです!」
「ありとあらゆる事って、何?だったら何か?その超万能ボクロを付けたら、空を飛べるってのか?」
「はい。」
「透明人間になれちゃうのか?」
「はい。」
「変身出来るのか?壁をすり抜けられるのか?天候を操れるのか?切った腕が再生されるのか?」
「全て可能です!」
「嘘だろ!?」
「嘘ではありません。いいですか?博士。よーく見ていて下さいね。」
「ジーッ!」
「体のどこでもいいので、この超万能ボクロを付けます。」
「ジーッ!」
「いきますよ?ほら!」
「えっ!?」
「ほら!ほら!」
「えっ!?ええーっ!」
「ほら!ほら!ほらほら!ほらっ!」
「スゲェっ!単純にスゲェっ!」
「でしょ!これが超万能ボクロなんです!」
「ただただ、スゲェって言葉しか出ねぇ!」
「まだまだこれだけではありません。タイムマシーンにもなりますし、宇宙旅行にも行けます!」
「凄いじゃないか!これは、本当に世紀の大発明だ!!君は、天才だ!大天才だ!」
「違います。」
「へっ?」
「僕が天才なのではなく。博士、あなたが天才なのです!」
「私が?」
「そうです。確かに超万能ボクロは、僕が発明しました。でも、これは博士の今までの発明があったからこそなんです!その全ての技術を取り入れ、応用して作ったのが、この超万能ボクロなんです!これは!この超万能ボクロは!言わば博士の大発明の大集大成なんです!」
「何て事だ・・・・・・私の今までの大発明の大失敗作が・・・・・・しかし!大君がいてくれてこその大超万能大ボクロ!それは大我々二人の大発明だ!」
「博士!大があらゆる所に・・・・・・。」
「君は、素晴らしい助手だよ!私の誇りだ!」
「ありがとうございます!」
「早速、学界の奴等に一泡吹かせてやろうじゃないか!」
「そうですね。でも、待って下さい博士!」
「どうした?」
「まだ、この超万能ボクロで一つだけ行っていない実験があるんです。」
「行っていない実験?何だね?」
「どんな事が起きても死なない。不滅の肉体の実験です!」
「死なない体か。」
「そうです。それが成功して、初めて超万能ボクロは完成するんです!さあ、博士。ホクロを付けて下さい!」
「えっ?私?」
「この銃をどうぞ。」
「はい?銃?・・・・・・・・・まさか!?」
「さあ、頭を撃ち抜いて下さい!やはり、実験の最後は博士でないと!」
「いや、これをやらなくても十分すぎる程、凄い発明だと思うよ?」
「それは違います!」
「だ、だが。」
「博士が自分で頭を撃ち抜けないのなら、僕が博士の頭を撃ち抜きます!」
「えっ?」
「安心して下さい。絶対に死にませんから!」
「な、何か目が怖いんですけど?」
「銃を貸して下さい。」
「ちょっと待とうよ。少し落ち着こう。ねっ?ねっ?ねっ?博士が最後に人体実験ってそのセオリー、よそうよ。」
「僕は冷静ですよ。さあ、銃を貸して下さい!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「博士!!」
「・・・・・・・・・分かった。自分でやろう。君を信じる。今から、不滅の肉体の実験を開始する!」
「お願いします。」
「・・・・・・・・・行くぞ!さん!に!いち!」

「どがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」

「ぶはっ!ごほっ!ごほっ!い、いったい何が!?ごほっ!ごほっ!お、おい?大丈夫か?ごほっ!ごほっ!ごほっ!軍曹ー!ごほっ!酋長ー!おーい!大丈・・・・・・・・・・・・な・・・何なんだこれはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

第百一話
「地球大爆発」

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2008年5月28日 (水)

「第百二話」

「で!最後にド派手にドカーン!、と!」
「なるほど。」
「これでだいたい・・・いくらになりますかね?」
「そうですね・・・・・・だいたいお客様が最初にご提示されたご予算内に収まりますね。あと2回、爆破を追加されても大丈夫です。」
「そうですか!だったらこの流れでお願いしようかな?でも、最後の爆破は1回でいいですよ。3回やっても残りの2回は誰なんだ!って事になっちゃいますからね!はっはっはっ!」
「はははは、ですよね。かしこまりました。では、順を追ってお客様がご提示なさったプランのご確認をして行きたいと思います。」
「はい。」

第百二話
「my葬儀式」

「では、まず故人の弔問に訪れるお客様方の服装なのですが、こちらのジャージで宜しいでしょうか?」
「はい。」
「では、カタログ番号1104の白に、黒い3本ラインで発注致します。」
「ああー、これって、3本じゃなくって、4本ラインはないんですよね?」
「申し訳ございません。4と言う数字は非常に縁起が悪いので、弊社では扱っていないのです。」
「ですよね。」
「2本や5本ならご用意出来ますが?いかが致しましょう。」
「う~ん?・・・・・・・・・いや!3本で大丈夫です!」
「かしこまりました。」
「あのう?」
「はい?」
「すいません。服装って、弔問客の体に喪服の絵を直に書くのって無理ですか?」
「ございますよ。」
「本当ですか!」
「しかし、直に致しますとお客様が先程ご提示なさったご予算を少しオーバーなさいますが?」
「構いません!」
「それとですね。こちらのプラン、大変人気でございまして、今からですと式が半年以上先になってしまいますが、宜しいでしょうか?」
「構いません!」
「かしこまりました。次に遺影ですが、こちらの瞼の上に目が書いてあるにもかかわらず目を見開いているタイプで宜しいでしょうか?」
「これ、片目をウィンクさせる事は・・・・・・・・・。」
「可能です。」
「料金は変わります?」
「いえ、この場合の料金増額はございません。」
「じゃあ、右目の方をウィンクでお願いします。」
「右目ですね。かしこまりました。その他に遺影の変更はございますか?」
「あとは・・・・・・ないですね。」
「では、右目ウィンクで、額に死の文字、耳の毛を顎下で蝶結び、鼻からシャボン玉、歯には『行ってきます』の文字、目を見開いた笑顔の全裸写真で宜しいでしょうか?」
「はい。」
「こちらモザイクの方はどちらにお入れ致しますか?」
「じゃあ、全体的に!」
「かしこまりました。次にお線香ですが、こちらはちくわの極太極短極薄タイプで宜しいでしょうか?」
「はい!」
「お焼香の方は、焼きたてのパンの香りで宜しいでしょうか?」
「少し焦げた感じに出来ますか?」
「はい。そちらも料金の増額なく可能ですが、少し焦げた感じのパンの香りに変更なさいますか?」
「どうしようかなぁ?・・・・・・・・・すいません。やっぱり普通でお願いします。」
「かしこまりました。続いて坊主ですが、こちらのカタログ番号53で宜しいでしょうか?」
「はい。お坊さんって、これ以上マッチョはいないんですよね?」
「はい。こちらが弊社のご用意出来る1番のマッチョになっておりまして、これ以上のマッチョになりますと、ゴリラになってしまいますが、どう致しますか?」
「ゴリラかぁ・・・・・・・・・。」
「ゴリラの場合ですと、弊社としましても弔問に来られるお客様方の命の保証がございませんが、ゴリラになさいますか?」
「そっかそっかぁ。なら、やっぱこのままでお願いします。」
「かしこまりました。では、坊主はカタログ番号53で、エアお経で宜しいでしょうか?」
「はい。」
「戒名の方は、『平平平平』で宜しいでしょうか?」
「へいっ!」
「続いて、弔問されたお客様方に振る舞われるお食事の方なのですが、アメとガムで宜しいでしょうか?」
「はい。」
「お飲み物の方は、ケチャップで宜しいでしょうか?」
「はい。」
「香典返しの方は、パンチ1発で宜しいでしょうか?」
「2発で!」
「2発ですね。かしこまりました。では、次に故人が入られます棺桶の方なのですが、全体的に刺々しくした感じで宜しいでしょうか?」
「先っぽって・・・・・・・・・。」
「お客様が先程お試しになられて血をたくさん出された物になります。」
「お願いします!」
「かしこまりました。棺桶の中のお客様の服装は、甲冑で宜しいでしょうか?」
「あの甲冑って、由緒正しいヤツなんですか?」
「かなり由緒正しいヤツです。」
「剣とか盾も?」
「剣も盾も中世頃に名のある鍛冶屋が作られた物だと聞いております。」
「ああ、やっぱり。あれ、カッコいいですもんね。」
「とてもお似合いでしたよ。鎧兜の方もお似合いでしたが、やはりお客様には洋風の甲冑の方が宜しいかと。」
「またまた~。じゃあ、甲冑でお願いします。」
「かしこまりました。それでは、最後に爆破場までのお乗り物ですが、気球で宜しいでしょうか?」
「はい!乗ってみたかったんですよねぇ。気球!」
「皆さん、そうおっしゃいますよ。」
「やっぱり!でもなぁ~、ロボットも捨てがたいんだよねぇ。」
「変更なされても構いませんが、その場合ですと、甲冑の剣と盾は無くなってしまいますが、どう致しますか?」
「無理ですか?」
「申し訳ございません。コックピットの構造上、剣と盾があるタイプの棺桶のサイズですと中に入れる事が出来ないのです。」
「そうですかぁ。」
「どうなさいますか?」
「いや、ここは気球でお願いします!ああー、でもなぁ。いや、気球で!」
「かしこまりました。そして、最後にド派手に爆破で宜しいでしょうか?」
「オッケーです!」
「それでは日にちが確定致しま」
「あっ!すいません。」
「はい。」
「弔問客が入って来る所に大きな落とし穴って、可能ですか?」
「可能です。古典的なものと近代的なものの2タイプご用意出来ますが、いかが致しましょう。」
「古典的なタイプでお願いします。」
「そうしますと、もう少しご予算の方、上がってしまいますが、宜しいでしょうか?」
「大丈夫です!」
「かしこまりました。では、古典的な落とし穴を追加ですね。こちら、今ですと同額で水と小麦粉のオプションがお付き致しますが、どう致しますか?」
「お願いします!!」
「かしこまりました。それでは、日にちが確定致しましたら、ご連絡の方をこちらの番号にお掛け致します。」
「はい。」
「それからもう一度、詳しい段取りなどを打ち合わせ致しますので、宜しくお願い致します。」
「こちらこそ、宜しくお願いします。何か無理言っちゃったみたいで、申し訳ないです。」
「いえいえ。とんでもございません。お客様の人生最後の日なのですから、盛大に見送るのが弊社としての勤めですので、もっと無理を言ってもらっても構いませんよ。」
「そうですか?だったらやっぱりゴリラにしちゃおうかな?」
「坊主をゴリラに変更ですね?」
「はい!」
「かしこまりました。」

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