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2008年5月28日 (水)

「第百二話」

「で!最後にド派手にドカーン!、と!」
「なるほど。」
「これでだいたい・・・いくらになりますかね?」
「そうですね・・・・・・だいたいお客様が最初にご提示されたご予算内に収まりますね。あと2回、爆破を追加されても大丈夫です。」
「そうですか!だったらこの流れでお願いしようかな?でも、最後の爆破は1回でいいですよ。3回やっても残りの2回は誰なんだ!って事になっちゃいますからね!はっはっはっ!」
「はははは、ですよね。かしこまりました。では、順を追ってお客様がご提示なさったプランのご確認をして行きたいと思います。」
「はい。」

第百二話
「my葬儀式」

「では、まず故人の弔問に訪れるお客様方の服装なのですが、こちらのジャージで宜しいでしょうか?」
「はい。」
「では、カタログ番号1104の白に、黒い3本ラインで発注致します。」
「ああー、これって、3本じゃなくって、4本ラインはないんですよね?」
「申し訳ございません。4と言う数字は非常に縁起が悪いので、弊社では扱っていないのです。」
「ですよね。」
「2本や5本ならご用意出来ますが?いかが致しましょう。」
「う~ん?・・・・・・・・・いや!3本で大丈夫です!」
「かしこまりました。」
「あのう?」
「はい?」
「すいません。服装って、弔問客の体に喪服の絵を直に書くのって無理ですか?」
「ございますよ。」
「本当ですか!」
「しかし、直に致しますとお客様が先程ご提示なさったご予算を少しオーバーなさいますが?」
「構いません!」
「それとですね。こちらのプラン、大変人気でございまして、今からですと式が半年以上先になってしまいますが、宜しいでしょうか?」
「構いません!」
「かしこまりました。次に遺影ですが、こちらの瞼の上に目が書いてあるにもかかわらず目を見開いているタイプで宜しいでしょうか?」
「これ、片目をウィンクさせる事は・・・・・・・・・。」
「可能です。」
「料金は変わります?」
「いえ、この場合の料金増額はございません。」
「じゃあ、右目の方をウィンクでお願いします。」
「右目ですね。かしこまりました。その他に遺影の変更はございますか?」
「あとは・・・・・・ないですね。」
「では、右目ウィンクで、額に死の文字、耳の毛を顎下で蝶結び、鼻からシャボン玉、歯には『行ってきます』の文字、目を見開いた笑顔の全裸写真で宜しいでしょうか?」
「はい。」
「こちらモザイクの方はどちらにお入れ致しますか?」
「じゃあ、全体的に!」
「かしこまりました。次にお線香ですが、こちらはちくわの極太極短極薄タイプで宜しいでしょうか?」
「はい!」
「お焼香の方は、焼きたてのパンの香りで宜しいでしょうか?」
「少し焦げた感じに出来ますか?」
「はい。そちらも料金の増額なく可能ですが、少し焦げた感じのパンの香りに変更なさいますか?」
「どうしようかなぁ?・・・・・・・・・すいません。やっぱり普通でお願いします。」
「かしこまりました。続いて坊主ですが、こちらのカタログ番号53で宜しいでしょうか?」
「はい。お坊さんって、これ以上マッチョはいないんですよね?」
「はい。こちらが弊社のご用意出来る1番のマッチョになっておりまして、これ以上のマッチョになりますと、ゴリラになってしまいますが、どう致しますか?」
「ゴリラかぁ・・・・・・・・・。」
「ゴリラの場合ですと、弊社としましても弔問に来られるお客様方の命の保証がございませんが、ゴリラになさいますか?」
「そっかそっかぁ。なら、やっぱこのままでお願いします。」
「かしこまりました。では、坊主はカタログ番号53で、エアお経で宜しいでしょうか?」
「はい。」
「戒名の方は、『平平平平』で宜しいでしょうか?」
「へいっ!」
「続いて、弔問されたお客様方に振る舞われるお食事の方なのですが、アメとガムで宜しいでしょうか?」
「はい。」
「お飲み物の方は、ケチャップで宜しいでしょうか?」
「はい。」
「香典返しの方は、パンチ1発で宜しいでしょうか?」
「2発で!」
「2発ですね。かしこまりました。では、次に故人が入られます棺桶の方なのですが、全体的に刺々しくした感じで宜しいでしょうか?」
「先っぽって・・・・・・・・・。」
「お客様が先程お試しになられて血をたくさん出された物になります。」
「お願いします!」
「かしこまりました。棺桶の中のお客様の服装は、甲冑で宜しいでしょうか?」
「あの甲冑って、由緒正しいヤツなんですか?」
「かなり由緒正しいヤツです。」
「剣とか盾も?」
「剣も盾も中世頃に名のある鍛冶屋が作られた物だと聞いております。」
「ああ、やっぱり。あれ、カッコいいですもんね。」
「とてもお似合いでしたよ。鎧兜の方もお似合いでしたが、やはりお客様には洋風の甲冑の方が宜しいかと。」
「またまた~。じゃあ、甲冑でお願いします。」
「かしこまりました。それでは、最後に爆破場までのお乗り物ですが、気球で宜しいでしょうか?」
「はい!乗ってみたかったんですよねぇ。気球!」
「皆さん、そうおっしゃいますよ。」
「やっぱり!でもなぁ~、ロボットも捨てがたいんだよねぇ。」
「変更なされても構いませんが、その場合ですと、甲冑の剣と盾は無くなってしまいますが、どう致しますか?」
「無理ですか?」
「申し訳ございません。コックピットの構造上、剣と盾があるタイプの棺桶のサイズですと中に入れる事が出来ないのです。」
「そうですかぁ。」
「どうなさいますか?」
「いや、ここは気球でお願いします!ああー、でもなぁ。いや、気球で!」
「かしこまりました。そして、最後にド派手に爆破で宜しいでしょうか?」
「オッケーです!」
「それでは日にちが確定致しま」
「あっ!すいません。」
「はい。」
「弔問客が入って来る所に大きな落とし穴って、可能ですか?」
「可能です。古典的なものと近代的なものの2タイプご用意出来ますが、いかが致しましょう。」
「古典的なタイプでお願いします。」
「そうしますと、もう少しご予算の方、上がってしまいますが、宜しいでしょうか?」
「大丈夫です!」
「かしこまりました。では、古典的な落とし穴を追加ですね。こちら、今ですと同額で水と小麦粉のオプションがお付き致しますが、どう致しますか?」
「お願いします!!」
「かしこまりました。それでは、日にちが確定致しましたら、ご連絡の方をこちらの番号にお掛け致します。」
「はい。」
「それからもう一度、詳しい段取りなどを打ち合わせ致しますので、宜しくお願い致します。」
「こちらこそ、宜しくお願いします。何か無理言っちゃったみたいで、申し訳ないです。」
「いえいえ。とんでもございません。お客様の人生最後の日なのですから、盛大に見送るのが弊社としての勤めですので、もっと無理を言ってもらっても構いませんよ。」
「そうですか?だったらやっぱりゴリラにしちゃおうかな?」
「坊主をゴリラに変更ですね?」
「はい!」
「かしこまりました。」

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