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2008年6月

2008年6月 4日 (水)

「第百三話」

第百三話
「罠だらけの家」
 
僕が罠だらけの家に入っていた滞在時間は、いったいどれぐらいだったのだろうか?
「・・・・・・・・・。」
腕時計のライトを点灯させて時間を逆算して計算して換算してみると、3分だった。3分、たった3分の間に僕は、あれほどの罠に掛かったと言うのか!
「恐るべし・・・・・・罠だらけの家・・・・・・・・・。」
とにかく真っ暗で、身動きがとれないぐらい狭い何処かに落っこちた僕が出来る事といったら、恐るべし・・・・・・罠だらけの家・・・・・・・・・。と、呟く事ぐらいだった。少し、時間を遡ってみよう。そう、4分前ぐらいから話を進めてみよう。

「ここが、罠だらけの家かぁ。立て札に書いてあるから、間違いないよな。」
「チミチミ!」
「僕ですか?」
「そうそう。今、僕ですか?って言ったチミだよ!チミチミ!」
「何でしょう?」
「う~ん?そうだなぁ?今日は、ナポリタンって気分でもないし、エビグラタンって気分でもないからなぁ?そうだ!!そうだ!そうだ!塩おにぎりをおむすびで下さい!って、ここはレストランかい!チミ!」
「・・・・・・・・・。」
「やらす?やらすかなぁ?今、このタイミングでここは、こ洒落たレストランでしたよって設定でノリツッコミをやらすのかなぁ?チミチミ!」
「はあ・・・・・・・・・。」
1分間をこれほど無駄に過ごした事は、後にも先にもきっとこの時が最初で最後で、始まりの終わりだと思う。
「ガチャッ!」
僕は、気を取り直して罠だらけの家に足を踏み入れる事にした。言っとくけど、別に宝物や財宝や秘宝がある訳でもない。何かがあるって訳じゃないんだ。知ってる。知ってる。隠された謎だってない。それも知ってる。でも、罠だらけの家なんて、興味津々じゃない?そんな立て札が家の前に横たわってたら、初見だろうが初耳だろうが、誰だって入ろうと思うでしょ?あるのは、罠だけだって知ってるからこそ、罠だらけの家って、そんなに罠だらけなのか?って、心の好奇心を担っている部分をくすぐられるでしょ?だから、僕は足を踏み入れたんだ。
「ん?」
入ってすぐに貼り紙を発見した。
「このボタンを押すな・・・・・・・・・ボタン?」
そう、辺りを見渡してもボタンなんてなかった。いや、大きな大きなそれこそ家の屋根の一部を突き破るほどの青いボタンの絵画は、飾られていたよ。
「これの事か?」
もちろん押した。だって僕は、罠だらけの家の罠だらけ具合を体感しに来たんだもの。そりゃ押すさ。押さない訳がないじゃないか。
「バリッ!ガンッ!」
案の定、ポチッ!じゃなくって、バリッ!と絵画をぶち破って、壁にガンッ!だった。勘違いしないで欲しいんだけど、青いボタンの絵自体は右下の隅に小さく小さく描かれているだけだから、僕がどうやって大きな大きな青いボタンの絵を押せたのかなんて、野暮な詮索はなし!検索もなし!
「い、痛い・・・・・・・・。」
絵画をぶち破るほどの勢いで押したんだから、もちろん僕の人差し指は、グギッ!ってなって、突き指状態だ。これがもし、最初の罠だとしたら?
「画期的だぁ!」
僕が感動に自惚れていると次の瞬間、その出来事は起こった。
「ドンガラガッシャーン!!」
「ガラガラガッシャーン!!」
「ドーンッ!!」
「ゴロゴロゴロゴロゴロ!!」
「グシャッ!!」
「カチッ!」
「ジャアアアアアアアアア!!」
「ドバアアアアアアアアア!!」
「バサーッ!!」
「ボワッ!!」
「メラメラメラメラメラ!!」
「ジャバアアアアアアアア!!」
「グウィーンッ!!」
「バスッ!!バスッ!!バスッ!!」
「クルクルクルクルクル!!」
「グルグルグルグルグル!!」
「プシュウウウウウウウウ!!」
「ポチッ!」
「ビリビリビリビリビリ!!」
「ガーンッ!!」
「ガーンッ!!」
「ガーンッ!!」
「パフッ!」
「ガーンッ!!」
「ガーンッ!!」
「ガーンッ!!」
「ボンヨヨヨ~ン!!」
「パカッ!」
「ヒュウウウウウウウウ!!」
「ドスーンッ!!」
って、音だけがした。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
静まり返った罠だらけの家の中は、何だか不気味だった。僕がその静寂の中を恐る恐る長い廊下を一歩一歩進んで行くと、出口と書かれたドアがあったんだ。
「ガチャッ!」
ドアを開けて外に出てみると、そこは普通に罠だらけの家の雑草だらけの裏庭だった。確かに、音だけ聞いて想像すれば、なんて罠だらけの家なんだ!
「これは・・・・・・・・・画期的だぁ!」

そして、僕は帰り道の途中で落とし穴に落ちた。

第百三話
「罠だらけの家?」

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2008年6月11日 (水)

「第百四話」

「どうしてだ?何でだ?なぜ小学校に爆弾なんか仕掛けたんだ?・・・・・・いったい、いったいどんな授業なんだ?」
「大統領!ジョークなどを言ってる場合ではありません!早急に、何か対策を打たねばならないんですよ!」
「分かってるって、長官。君の悪い所は、ジョークが分からない所だよ?」
「・・・・・・すいません。」
「爆弾処理班は?」
「向かっています。」
「なら、いいじゃん!」
「ですが、処理班が小学校に間に合ったとして、作業完了までに犯人が指定してきたお金の引き渡し時間にこちらが間に合うかどうか・・・・・・・・・。」
「小学校には、確か飼育係とか黒板消し係とか掲示係とか、いろんな係があったでしょ。」
「は、はい。」
「爆弾処理係なんてないのかな?」
「大統領!」
「分かった分かった。全く、ジョークの分からない奴は、これだから困っちゃうんだよね。」
「分かっているんですか?これは、我が国に対するテロ行為なんですよ!」
「分かってるよ。でも、国家予算と同額の金なんて払えると思いますか?だいたいさぁ。今は全員避難して、小学校内には誰もいないんでしょ?だったら、爆発させちゃえばいいんじゃないの?ド派手にさ!」
「大統領!そう言う問題ではありま」
「あっ!そろそろアニメが始まる時間じゃないか!ほら、さっさと出てってくれないか?今週は、いよいよクライマックスなんだよね。」
「・・・・・・・・・失礼します。」
「ガチャ。」
「あっ!長官!もし何かこの30分の間に進展があったとしても、報告はアニメが終わったらにしてくれよ。」
「・・・・・・・・・はい。」
「バタン。」

「どうだった?大統領の様子?」
「いつも通りさ。相も変わらずのダメ大統領っぷり発揮さ。」
「でも、いくらあの大統領だって、自分の子供が通っている小学校がターゲットにされたのよ?アニメなんて観てる場合じゃないでしょ。」
「・・・・・・・・・言ってないんだ。」
「えっ?」
「その事は、大統領には話してない。」
「話してないって、こんな大事な事を何で言わな」
「君は!!それを話した所で、何かが変わると思うのか?あの能無し大統領が!自分の子供の為に何かすると思うのか!国の非常事態に倫理も道徳もない笑えないジョークばかり言ってるあいつが!自分の子供の為に動くと思うのか!あいつは何もしないね!あいつは、子供の事を知っても相も変わらずアニメを観ているさ!今までだって、そうだった!我が子すら政治の犠牲にする!・・・・・・いや、ジョークのネタにする男なんだよ!」
「でも・・・・・・・・・。」
「我々に出来る事は、爆弾処理が上手くいくのを願う事と、他に爆弾が発見されない事を願うしかない。」
「・・・・・・・・・そうね。」
「こんな所に居たって時間の無駄だ。対策本部に戻ろう。」
「・・・・・・・・・待って!それじゃあ、大統領に爆弾処理の件に関しても言ってないって事?」
「・・・・・・・・・ああ。」

「ジリリリリリリリ!」
授業の終わりを告げるベル。でもあたしは、いったい何の授業を受けてるって言うの?
『現状は?』
「現状?変わらないわよ。相変わらず爆弾と睨めっこよ。どう頑張っても友達になれそうにないわ。とんだ転校生ね!」
『了解した!』
「はあ?いったい何を了解したって言うの?」
『引き続き慎重に爆弾処理を続行してくれ!』
「健闘を祈る?」
『健闘を祈る!』
「聞き飽きたわよ!何か気の利いたジョークでも言えないわけ?」
『・・・・・・・・・。』
はいはいはいはい。相変わらず一方的な通信ね。一時間目の授業が終了したと同時に校長宛に掛かって来た爆弾を仕掛けたって言う笑えないジョークな電話。それも、仕掛けられたのは、あたしのクラスのあたしの机の裏って言う最高に笑えないジョーク。全員が避難したって言うのに、あたしだけがこんな通信器機を付けられて、おまけに逃げれないような細工のサービスまでされちゃって、爆弾処理を任されたって言う最悪なジョーク。
「分かるわけないじゃない!!」
あたしは小学生なのよ?爆弾の処理のやり方なんて分からないわよ!それに!何であたしが処理しなきゃならないのかの経緯も理由も!全く分からないわよ!何?あたしの机だから?
「だったら、さっきから偉そうに安全圏内から指示してくる校長のカツラに仕掛けた方が笑えたわよ!」
『全部、丸聞こえだぞ?』
「聞こえるように言ったのよ!」
『私は、カツラではない!』
「その容姿で、自信満々に言えてしまう事に尊敬するわ。」
『ありがとう!』
「皮肉よ!ありがとうって、カツラなのを認めちゃってんじゃない!」
『健闘を祈る!』
「なっ!?ちょ、ちょっと!いったい何の健闘を祈ったのよ!」
『・・・・・・・・・。』
その寂れた頭皮の健闘でも祈ってればいいのよ。
「・・・・・・・・・。」
それにしても、目の前の爆弾、見れば見るほど、全く仕掛けが、全く仕組みが、全く分からないわ。実物の爆弾を見るのも初めてだし、ドラマや映画や漫画やアニメで観る爆弾と、全然違うじゃない!何か線みたいのを切ればいいだけなんじゃないの?こんな見た事もない爆弾、下手に触る事も出来ないわよ。
「校長?」
『・・・・・・・・・。』
「校長?」
『・・・・・・・・・。』
「校長!」
『・・・・・・・・・。』
「校長っ!!」
『・・・・・・・・・。』
「おい!カツラ!」
『義毛だ!』
「カツラじゃない!って、そんな事より!やっぱりあたしには、爆弾処理は無理です!」
『何で?』
「何でって、あたしは小学生なんですよ?爆弾処理なんて無理に決まってるじゃないですか!」
『当たり前だ!』
「はい?」
『ここは、小学校なんだ!君が小学生なのは、当然だ!君が昆布やわかめな訳がないだろ!』
「ハゲ認めてるだろ!」
『抜けたのではない!抜いたのだ!』
「意味が分かんないわよ!だったら被んな!って、校長!小学生のあたしに爆弾を処理させるより!爆弾処理班を待って処理させて下さい!」
『そんなもんは、来ない!』
「・・・・・・・・・すいません。よく聞き取れなかったから、もう一度いいですか?」
『爆弾処理班なんてもんは、来ないのだよ!』
「どうしてですか!」
『私が断った!』
「脳ミソまでハゲかコラっ!!」
『君と言う人間がいるのに、どうして爆弾処理班などと言うプロフェッショナルが必要なのだろうか?』
「答えを自分の口から言ってる事に気付いてますか?」
『それに、これだけは私の、いや我が小学校の、いや我が国の威信に掛けて君に言っておきたい!』
「何ですか?」
『私は、カツラではない!』
「もはや、お前のカツラなんてどうでもいいよ!早く改めて爆弾処理班を呼べ!」
『健闘を祈る!』
「辞書を引け!言葉の意味を調べてから、今の言葉を使え!」
『・・・・・・・・・もう一つだけ君に言っとかなければならない事があった。』
「カツラの話なら、もういいですから!」
『恨むなら!』
「はい?」
『仮に君が今の自分の立場を恨んでいるとするのなら!』
「恨まない奴なんていないわよ!」
『その恨みの矛先を向ける相手は!君に名前を付けた父上だ!!!』
「お、おい!まさか!?まさか、そんな下らない理由で、あたしに爆弾処理をさせてるのか!」
『健闘を祈る!』
「おいっ!!」
『・・・・・・・・・。』
「わ、笑えないジョーク言いやがって!!ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

第百四話
「爆弾 処理子」

「本当に伝えなくていいの?自分の娘が爆弾処理を行っているのよ?」
「そんな事を言ったら、あいつはきっと、腹を抱えて笑うだけさ。最高に笑えるジョークだとか言ってな!」

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2008年6月18日 (水)

「第百五話」

「ヨク、此処マデ辿リ着イタ。アトハ、目ノ前ノ扉ノドチラカヲ選ブダケダ。」
「選ぶ?」
「ソウダ。右カ左、扉ヲ選ブダケデ良イノダ。扉ヲ開ケバ、汝ハ再ビ人トシテ生マレ変ワルノダ。」
「扉を選べばいいんだな?」
「ソウダ。」
前世や現世や来世の存在なんて、否定して生きていた。その表現方法自体が間違っているのだと考えていた。死ねばおしまい。即終了だと思っていた。いや、これは俺だけじゃなく、殆んどの人間が俺と同意見なんじゃないだろうか?だが、事実は違っていた。今、俺は現世の姿で、来世の扉の前に立っている。輪廻転生は・・・・・・生まれ変わりは・・・・・・ちゃんと存在していた。
「但シ、汝ハ今カラ其々ノ扉ノ来世ノ違イニツイテノ話ヲ聞ク事トナル。」
「違いだと?どう言う事だ!」
「左右ノ扉ノ先ノ来世ハ、一ツノ事象ヲ除イテ全テ同ジニ創ラレテイル。」
姿なき天の声が話す内容は、あまりにも衝撃的だった。だってそうだろ?世界が二つ存在してるって事じゃないか!ただ一つの違いって、いったい何だ?
「ソノ違イヲ聞キ、汝ハ行ク来世ヲ選択スルノダ。コレガ、至福ノ選択!」
「至福の・・・・・・選択?」
「ソウダ!」
この部屋に来るまでに数々の試験のような試練のような事柄をパスして来た。生まれ変わりのルールについての部屋から始まり、いったい時間にして、いや、日数にしてこの二つの扉の前に来るまで、どれぐらい掛かっているんだ?
「右ノ扉ハ、汝ガ現世デ過ゴシテイタ世界ダ。」
「つまり、今までの世界って事か?」
「ソウダ。」
「左の扉の世界は、いったい何が違うんだ?」
「デハ、左ノ扉ノ世界ノ説明ヲシヨウ。」
調度いい。俺が左の扉の先の説明を聞いてる間に、少しだけ生まれ変わりのカラクリについて話しをしよう。まず、大きな思い込みが二つある。一つは、生まれ変わり証。きっと、人間が勝手に勘違いしている点なんだが、どんな人間も必ず生まれ変わる事になる。そう、いい奴が天国に行き、悪い奴が地獄に行く訳じゃないって事だ。あんなのは、作り話もいいとこだ。ただ、どんな人間も平等な来世を送れるとは限らない。それが生まれ変わり証発行手続きの時に計算される寿命定理だ。
「何だって!?馬鹿な!?信じられない!?」
「驚ク事デハナイ。左ノ扉ノ世界デハ、ソレガ当タリ前ナノダカラナ。」
寿命定理については、公式を見せてもらったが、まったく理解出来なかった。ただ、単純に悪人の寿命が短くて、善人の寿命が長いとは限らないって事だ。現世で悪い事をした人間だって来世で長生きするし、現世でいい事をした人間も来世では短命に幕を閉じる。例えば、生まれて間もなく寿命が尽きる前世は善人の人間がいる。だが、数日後にその地域にレベル4の伝染病が蔓延する。苦しんで死ぬか?安らかに死ぬか?どっちがいいと思う?つまり、問題なのは生まれ変わる人間の人間性ではなく、生まれ変わる時期の世界の現状との前世の兼ね合いって事だ。
「便利デアロウ?」
「確かに、考え方によっては便利かもしれない。」
もう一つの大きな勘違いは、生まれ変わりに生物的な変化はない。つまり、人間は人間へ。象は象へ。薔薇は薔薇へ。プランクトンはプランクトンへ。だから、現世で人間だった人間が、ゴキブリになる現象は起きないって事だ。まあ、そこは何となく納得な事だったが、ここで一つ俺の中で疑問が生まれた。なら、なぜ絶滅する生物が存在するんだ?
「だが、待ってくれ!だったら、処理は?処理どうするんだ!」
「人間ノ場合ノソレハ、流レルノデハナク吸引スル形状ニナッテイル。」
だが、その疑問はこの部屋へ来て解けた。もし、絶滅したとされている生物達が、左の扉を選んだとしたら?いや、間違いない!左の扉の向こう側には、恐竜やマンモスがいる!でなけりゃ、絶対個体数の法則が成り立たない!
「吸引・・・・・・・・・か。」
「想像ヲ膨ラマスノモイイガ、ソロソロ時ダ!サア、ドチラノ扉ニ進ム!」
絶対個体数の法則。それはつまり、宇宙上に存在する生物の数が元々決まっているって事だ。増えも減りもしない。一定の保有数。それが絶対個体数の法則。だとしたら、いる!間違いなく左の扉の先には、俺が見た事もない生物達が存在している!
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
さて、そろそろ俺も来世をどっちの世界で送るかを決めなきゃならないな。
「質問してもいいか?」
「答エラレル範囲ナラバイイダロウ。」
「左の扉の世界には、恐竜がいるのか?」
「存在スル。」
やっぱり!見てみたい!ただただ恐竜をこの目で見てみたい!
「サア、選ブノダ!汝ガドチラノ世界ニ行クカヲ!」
「・・・・・・・・・。」
右は、今までと同じ世界。左は、恐竜や絶滅生物達が存在する世界。だが、あまりにもそのただ一つの違いが俺にとっては大き過ぎる!左の世界を選んだとして、俺にはその世界で普通に生活して行く自信がない。
「時ダ!汝自身ガ選ベナイノデアレバ!現世ト同ジ来世ヘ強制的ニ出テ行ッテモラウ事トナル!」
「・・・・・・・・・。」
くそっ!くそっ!くそっ!!行きたいっ!行きたいっ!行きたいぞ!
「左ノ世界ヘ行クノカ?」
「・・・・・・・・・。」
この左の扉の先にある世界に行きたい!あとは、扉を開けるだけだ!開けるだけでいいんだ!扉を開ければ、恐竜に会える!生きた恐竜に!
「早急ニ決断セヨ!」
「いや・・・・・・・・・右へ行く。」
無理だ。悔しいが、どう考えても無理だ。左へは行けない。俺には、左の世界へ行く勇気がない。失格だ。俺に考古学者でいる資格なんてない。
「本当ニイイノダナ?コレハ、最終確認ダ。」
「ああ、俺は右の扉の世界へ行く!」
「確認シタ。デハ、扉ヲ開ケヨ!ソレト同時ニ記憶ノリセットガ開始サレル!」
「分かった。」
まあ、資格も何も俺は既に考古学者じゃないんだったな。これで、現世の俺は前世となり、おさらばって訳なんだから、諦めもつくもんだ。だが、来世の俺が再びこの二つの扉を前にした時、現世の俺のように苦渋の決断を強いられるのだろうか?現世の俺には、無理だった左の扉を選ぶ決断をするのだろうか?出来る事なら、来世では別の職業に就いて欲しいもんだ。
「ガチャッ!」
まあ、考えてもしょうがない。現世の俺の役割は、ここまでだ。来世の俺に絶滅した生物達を見せたかったが、うんこが粉末で排泄される左の世界を選ぶ事は、現世の俺にはどうしても決断出来なかった。なるほど、右の扉の世界の人口が増える訳だ・・・・・・・・・。

第百五話
「作者は左へ、読者は?」

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2008年6月25日 (水)

「第百六話」

もし、あなたが私の短編を面白いと感じ

もし、私の短編で毎日が少しでも楽しめ

もし、あなたが私が書く新たな作品達を

もし、待ち遠しいと待ちわび待ち焦がれ

もしも、この先

もしも、あなたの寿命が私の寿命より先に尽きてしまうとしたら

きっと私は、あなたを永遠に楽しませる事が出来るだろう

きっと私は、あなたを永久に退屈させる事などないだろう

第百六話
「不死の病」

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