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2008年6月11日 (水)

「第百四話」

「どうしてだ?何でだ?なぜ小学校に爆弾なんか仕掛けたんだ?・・・・・・いったい、いったいどんな授業なんだ?」
「大統領!ジョークなどを言ってる場合ではありません!早急に、何か対策を打たねばならないんですよ!」
「分かってるって、長官。君の悪い所は、ジョークが分からない所だよ?」
「・・・・・・すいません。」
「爆弾処理班は?」
「向かっています。」
「なら、いいじゃん!」
「ですが、処理班が小学校に間に合ったとして、作業完了までに犯人が指定してきたお金の引き渡し時間にこちらが間に合うかどうか・・・・・・・・・。」
「小学校には、確か飼育係とか黒板消し係とか掲示係とか、いろんな係があったでしょ。」
「は、はい。」
「爆弾処理係なんてないのかな?」
「大統領!」
「分かった分かった。全く、ジョークの分からない奴は、これだから困っちゃうんだよね。」
「分かっているんですか?これは、我が国に対するテロ行為なんですよ!」
「分かってるよ。でも、国家予算と同額の金なんて払えると思いますか?だいたいさぁ。今は全員避難して、小学校内には誰もいないんでしょ?だったら、爆発させちゃえばいいんじゃないの?ド派手にさ!」
「大統領!そう言う問題ではありま」
「あっ!そろそろアニメが始まる時間じゃないか!ほら、さっさと出てってくれないか?今週は、いよいよクライマックスなんだよね。」
「・・・・・・・・・失礼します。」
「ガチャ。」
「あっ!長官!もし何かこの30分の間に進展があったとしても、報告はアニメが終わったらにしてくれよ。」
「・・・・・・・・・はい。」
「バタン。」

「どうだった?大統領の様子?」
「いつも通りさ。相も変わらずのダメ大統領っぷり発揮さ。」
「でも、いくらあの大統領だって、自分の子供が通っている小学校がターゲットにされたのよ?アニメなんて観てる場合じゃないでしょ。」
「・・・・・・・・・言ってないんだ。」
「えっ?」
「その事は、大統領には話してない。」
「話してないって、こんな大事な事を何で言わな」
「君は!!それを話した所で、何かが変わると思うのか?あの能無し大統領が!自分の子供の為に何かすると思うのか!国の非常事態に倫理も道徳もない笑えないジョークばかり言ってるあいつが!自分の子供の為に動くと思うのか!あいつは何もしないね!あいつは、子供の事を知っても相も変わらずアニメを観ているさ!今までだって、そうだった!我が子すら政治の犠牲にする!・・・・・・いや、ジョークのネタにする男なんだよ!」
「でも・・・・・・・・・。」
「我々に出来る事は、爆弾処理が上手くいくのを願う事と、他に爆弾が発見されない事を願うしかない。」
「・・・・・・・・・そうね。」
「こんな所に居たって時間の無駄だ。対策本部に戻ろう。」
「・・・・・・・・・待って!それじゃあ、大統領に爆弾処理の件に関しても言ってないって事?」
「・・・・・・・・・ああ。」

「ジリリリリリリリ!」
授業の終わりを告げるベル。でもあたしは、いったい何の授業を受けてるって言うの?
『現状は?』
「現状?変わらないわよ。相変わらず爆弾と睨めっこよ。どう頑張っても友達になれそうにないわ。とんだ転校生ね!」
『了解した!』
「はあ?いったい何を了解したって言うの?」
『引き続き慎重に爆弾処理を続行してくれ!』
「健闘を祈る?」
『健闘を祈る!』
「聞き飽きたわよ!何か気の利いたジョークでも言えないわけ?」
『・・・・・・・・・。』
はいはいはいはい。相変わらず一方的な通信ね。一時間目の授業が終了したと同時に校長宛に掛かって来た爆弾を仕掛けたって言う笑えないジョークな電話。それも、仕掛けられたのは、あたしのクラスのあたしの机の裏って言う最高に笑えないジョーク。全員が避難したって言うのに、あたしだけがこんな通信器機を付けられて、おまけに逃げれないような細工のサービスまでされちゃって、爆弾処理を任されたって言う最悪なジョーク。
「分かるわけないじゃない!!」
あたしは小学生なのよ?爆弾の処理のやり方なんて分からないわよ!それに!何であたしが処理しなきゃならないのかの経緯も理由も!全く分からないわよ!何?あたしの机だから?
「だったら、さっきから偉そうに安全圏内から指示してくる校長のカツラに仕掛けた方が笑えたわよ!」
『全部、丸聞こえだぞ?』
「聞こえるように言ったのよ!」
『私は、カツラではない!』
「その容姿で、自信満々に言えてしまう事に尊敬するわ。」
『ありがとう!』
「皮肉よ!ありがとうって、カツラなのを認めちゃってんじゃない!」
『健闘を祈る!』
「なっ!?ちょ、ちょっと!いったい何の健闘を祈ったのよ!」
『・・・・・・・・・。』
その寂れた頭皮の健闘でも祈ってればいいのよ。
「・・・・・・・・・。」
それにしても、目の前の爆弾、見れば見るほど、全く仕掛けが、全く仕組みが、全く分からないわ。実物の爆弾を見るのも初めてだし、ドラマや映画や漫画やアニメで観る爆弾と、全然違うじゃない!何か線みたいのを切ればいいだけなんじゃないの?こんな見た事もない爆弾、下手に触る事も出来ないわよ。
「校長?」
『・・・・・・・・・。』
「校長?」
『・・・・・・・・・。』
「校長!」
『・・・・・・・・・。』
「校長っ!!」
『・・・・・・・・・。』
「おい!カツラ!」
『義毛だ!』
「カツラじゃない!って、そんな事より!やっぱりあたしには、爆弾処理は無理です!」
『何で?』
「何でって、あたしは小学生なんですよ?爆弾処理なんて無理に決まってるじゃないですか!」
『当たり前だ!』
「はい?」
『ここは、小学校なんだ!君が小学生なのは、当然だ!君が昆布やわかめな訳がないだろ!』
「ハゲ認めてるだろ!」
『抜けたのではない!抜いたのだ!』
「意味が分かんないわよ!だったら被んな!って、校長!小学生のあたしに爆弾を処理させるより!爆弾処理班を待って処理させて下さい!」
『そんなもんは、来ない!』
「・・・・・・・・・すいません。よく聞き取れなかったから、もう一度いいですか?」
『爆弾処理班なんてもんは、来ないのだよ!』
「どうしてですか!」
『私が断った!』
「脳ミソまでハゲかコラっ!!」
『君と言う人間がいるのに、どうして爆弾処理班などと言うプロフェッショナルが必要なのだろうか?』
「答えを自分の口から言ってる事に気付いてますか?」
『それに、これだけは私の、いや我が小学校の、いや我が国の威信に掛けて君に言っておきたい!』
「何ですか?」
『私は、カツラではない!』
「もはや、お前のカツラなんてどうでもいいよ!早く改めて爆弾処理班を呼べ!」
『健闘を祈る!』
「辞書を引け!言葉の意味を調べてから、今の言葉を使え!」
『・・・・・・・・・もう一つだけ君に言っとかなければならない事があった。』
「カツラの話なら、もういいですから!」
『恨むなら!』
「はい?」
『仮に君が今の自分の立場を恨んでいるとするのなら!』
「恨まない奴なんていないわよ!」
『その恨みの矛先を向ける相手は!君に名前を付けた父上だ!!!』
「お、おい!まさか!?まさか、そんな下らない理由で、あたしに爆弾処理をさせてるのか!」
『健闘を祈る!』
「おいっ!!」
『・・・・・・・・・。』
「わ、笑えないジョーク言いやがって!!ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

第百四話
「爆弾 処理子」

「本当に伝えなくていいの?自分の娘が爆弾処理を行っているのよ?」
「そんな事を言ったら、あいつはきっと、腹を抱えて笑うだけさ。最高に笑えるジョークだとか言ってな!」

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