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2008年7月 9日 (水)

「第百八話」

「我々は宇宙人だ!」
「河原の小石でしょ?」
「いや、我々は宇宙人だ!」
「だって、どっからどう見たって河原の小石じゃん。」
「のように?のように見えるかもしれないが?ないが?我々は、我々はどっからどう見ても宇宙人だ!」
「はあ・・・・・・。僕ね。ちょっと気分がブルーなんだ。だから、ほっといてくれない?」
「それは、我々が宇宙人だと認識した上での発言と捉えていいのかな?」
「ダメ。」
「ドテッ!思わず我々はズッコケてしまったではないか。宇宙人として。」
「あっ、そっ。」
「少年!あっ、名前が分からないからとりあえず少年と呼ばしてもらうよ?」
「いいけど、なに?」
「少年、我々はね。我々は、宇宙人なんだよ。宇宙人。分かる?我々は、宇宙から来たの。だから、我々は宇宙人だ!なの。」
「宇宙人なんていないよ。」
「あちゃー!少年はなに?そっち派なの?いないかもしれない派閥なの?」
「柔らかく捉えないでよ。かもしれないじゃなくて、完璧にいない派だよ。」
「そっかそっか。そうなんだ。そうだよね。そっかそっか。と見せかけて、我々は宇宙人だ!」
「なにを見せかけたの?河原の小石でしょ?」
「少年、なかなか俊敏な脳の回転をしているな。今の引っ掛けに引っ掛からないとは、いやはや我々は宇宙人だ。」
「どこがどう引っ掛けになってたのか河原の小石の言ってる意味が分からないよ。」
「よし!ここはいっちょ我々宇宙人が少年の為に一肌脱ごう!さあ、我々宇宙人に言ってみなさい!」
「なにを?」
「だから、溜め息の理由だよ。どうして少年の気分がブルーなのか?をだよ。」
「小石に言ったってしょうがないよ。」
「しょうがないか、しょうがなくないかは、時折流れる涙が決めるものだぞ!少年!そして、我々は宇宙人だ!」
「どう言う意味?」
「いや、正直に言うとな少年!我々宇宙人は今、格好付けたかっただけの発言をしてしまったんだ。挫折させてしまって申し訳ない。」
「してないよ。」
「心に大きな心的外傷後ストレス障害の爪跡を残してしまって申し訳ない。」
「別にPTSDになってないよ。」
「そうか!それは何よりだ!それを聞いて我々宇宙人は安心した!」
「いちいち河原の小石の言ってる事なんて気にしてないからさ。」
「宇宙人ってとこのフレーズだけは気にして!で、出来ればもっと我々宇宙人に対して興味を持って!食い気味で会話とかしちゃって!ん?そうか。少年は、姿にこだわっているんだな?イメージしてる宇宙人と我々の容姿があまりにもかけ離れているから、困惑しているんだな?いいかい?少年!何も宇宙人全てが人間のような容姿をしている訳ではないんだぞ!確かに一番多いのは人間のような姿をしている宇宙人だが、中には河原の小石のような姿形をしている宇宙人もいるんだよ。そう!それがすなわち、すなわちそれが我々だ!」
「いないんだから、困惑なんてしてないよ。」
「長台詞っ!我々の宇宙人による我々の宇宙人としての我々の宇宙人のための、今の長台詞を返してくれ!」
「あそこ。」
「ん?なんだ少年!下ネタもいける口か!そうかそうか。なら、話が早い!我々宇宙人には取って置きの下ネタがあるんだぞ?ん?んん?聞きたそうな顔をしているな?」
「川の向こう側。」
「ああ、本当の意味でのあそこね。これはかなり、我々は宇宙人として、こっぱずかしいぞ。で?川の向こう側がどうかしたのかな?」
「人がいるでしょ?」
「ああ、いるな。だが、少年?もしかしたら、あいつも老人な宇宙人かもしれませんよ?どうするどうする?そしたらどうする?どうするんですか?このっ、このっ!」
「向こうに行けば?」
「ええーっ!?」
「あの人に話し掛けなよ。たぶん聞いてくれるからさ。」
「このタイミングでーっ!!」
「タイミングもなにも、僕のモチベーションは、ずっと一定だったよ。」
「こんなに話が盛り上がってんのにーっ!!」
「河原の小石だけが勝手に盛り上がってるだけじゃん。」
「我々が宇宙人なのにーっ!!」
「投げるよ?」
「いやダメだよ!!ダメでしょ!!よーく考えてよ!!明らかにこの川幅で、少年の力じゃ、向こう側に届かないでしょ!!目測変でしょ!!あぶいあぶい!!あぶすぎだって!!」
「なら、宇宙船かなんかで行きなよ。」
「宇宙船?少年!今、宇宙船と言ったね?」
「言ってないよ。」
「言ったじゃーん!確かに宇宙船って、言ったじゃーん!ちょっと我々が宇宙人って事、認めたじゃーん!認めた上での発言だったじゃーん!我々宇宙人、ちょっと嬉しかったのにー!」
「認めた訳じゃないよ。ただ、河原の小石が宇宙人かなんてどうでもいいから、あっちに行って欲しいなと思っただけの適当な発言だよ。」
「面倒臭いか?面倒臭いのか?少年は、我々宇宙人の相手が面倒臭いのか?」
「面倒臭いって言うか邪魔。」
「あわあわあわあわあわあわあわーっ!!ん?少年、今なにか我々宇宙人に対して言ったかな?」
「はあ・・・・・・・・・。」
「しょぉぉぉぉぉねーんっ!もう、若いんだからさぁ。溜め息ダメよ。溜め息ノンノンよ。幸せが逃げるよ?」
「逃げるの?幸せって逃げるの?」
「えっ!?少年!?」
「て事は、元々からだの中に何個か幸せがあるって事?ねぇ?逃げた幸せって、捕まえられるの?ねぇ!ねぇ!河原の小石!」
「わ、我々は宇宙人だ!って、少年!?何だか分からないけど、今のは比喩的な表現であって、実際に幸せが逃げてしまう事も、ましてや幸せが体内に存在しているなんて事もないんだよ。何か今、我々宇宙人が少年の心のもっとも純粋な少年の部分をもてあそんでしまったようで、何と言ったらいいのか・・・・・・取り返しのつかない事をしてしまって、本当に申し訳ない!!」
「じゃあ、あっち行ってよ。」
「分かった!って、おい少年!少年おい!我々宇宙人をハメたな?一芝居打って我々宇宙人を向こう側に行かそうとしたんだな?おいおい、我々宇宙人も随分と甘く見られちまったもんだな。」
「河原の小石にしか見られてないけどね。」
「なら、我々宇宙人が野原にいたら!」
「野原の小石。」
「なら、我々宇宙人が月にいたら!」
「月の小石。」
「なら、我々宇宙人が宇宙船の中にいたら!」
「宇宙船の中の小石。」
「だったら、我々宇宙人が世界遺産にいたら!」
「単なる小石。」
「世界遺産にしてよー!そこは世界遺産にいれてよー!って、少年探偵団!果てしなく我々宇宙人は、小石かっ!」
「探偵団ではないけど、どこまで行っても小石は小石。」
「冷静だな。哲学だな。少年!まあ、そのクールなところに、我々宇宙人は惚れ込んだんだけどな!」
「あっ、そっ。」
「うん、そっ。」
「はあ・・・・・・・・・。」
「ほーらまたーっ!!溜め息ーっ!!ダメダッテ、言ッタデショーッ!!少年!ねぇ少年!本当に、本当に我々宇宙人は、少年のターコイズブルーな気分をオフホワイトにする手助けが出来ないのかい?」
「無理。」
「即答っ!よもやの即答っ!もちょっと試行錯誤してよー!少年なりの気配り大事だよー!じゃあ、じゃあさっ!何でブルーな気分なのかを我々宇宙人に教えられないとして、それは今はこっちにひとまず置いとくてして、一つだけ我々宇宙人に聞かせてくれるかな?」
「なに?河原の小石。」
「さっきからそうなんだけど、少年!仮に、仮にたぞ?我々宇宙人が少年の言うように河原の小石だったとしよう。だったとして、だったとしてだ!それでもなお、少年はこうして河原の小石が喋っている事に何の疑問も持たずに会話をしているのは、なぜだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「えっ!?少年?我々宇宙人を手に取ってどうするつもりだ?いや、少年!知ってるぞ!投げるんだな!我々宇宙人をあっち側に投げるつもりなんだな!ちょっ、ちょっと待とうか!ちょっと待ってみようか!少年!少年?少年!!」
「大丈夫だって!これでも補欠なんだからさ。」
「目測を見誤るのだけはやめてくれよ!って、やっぱり無理だ!無理だよ!少年!そもそも、何の補欠なんだ!?野球だろ?野球なんだよな?でも補欠なんだな?頼む!野球であってくれーっ!!しょぉぉぉぉぉねぇぇぇぇぇんっ!!!って、ジョークなんだろ?」
「えいっ!」
「マジだっ!?」

第百八話
「ひゅー、すとんっ!」

「あいたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!何じゃ!何なんじゃ!ん?何じゃ?小石?どうして小石が急に降って来おったんじゃ!?はて?不思議な事もあるもんじゃのぅ?」
「あっ、ども。我々は宇」
「河原の小石が喋っとるぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ああっ!ご年配!ちょっ、ちょっと!ちょっと待って下さーい!!」

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