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2008年8月20日 (水)

「第百十四話」

 ボクは、この話のオチを探していた。
「すいません。この話のオチは、何処にあるのでしょうか?」
「だいたい話のオチは、下の方にあるのでは?」
「どうやって下まで行けばいいのでしょう?」
「さあ?それをネコの私に聞かれても分かりませんよ。」
ネコは、ニャーと鳴く動物だと思っていたけど、そのネコは、一度もニャーと鳴かずに時折ボクの方を振り返りながら、何処かへ行ってしまった。例えば今、ボクに雷が落ちたとしたら、ビリビリするだろうな?なんて考えながらボクを見ていたのかどうかなんて分からないけど、少なくともボクはネコの思惑通りになるまいと、必死だった。
「いったいこの話のオチは、本当に何処にあるのだろう?」
ボクは、途方に暮れた。途方の方角がどっちなのかなんて分からないけど、とにかくボクは、途方に明け暮れた。
「そうだ!」
ボクが途方に呆れ返りながら、天晴れな青空を見ていた時、脳ミソがオートマチックに閃いた。
「神様なら、或いはこの話のオチを知ってるに違いない!」
ボクは、確信に近い迷信のような志で、神様に問い掛けてみる事にした。
「つづく。」
ああ、なんて興味をそそらせる続かせ方なんだ。自分がもし、何を血迷ったか物書きにでもなったなら、その時にはこんな感じで物語を続かせよう!と、ボクは決意した。
「すいません。」
「貴方は、私が見えるのですか?」
「はい。」
「そうですか。」
全身黒なコーディネートの男は、ボクの答えを聞くと何やら悲しげに呟き、うつむいてしまった。
「あのう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ボクが貴方を見てしまった事が何か問題でも?」
「私は、私の事が見えない人間を捜して旅をしているんです。貴方ならもしかしたらと近寄って行ったのですが、いつも通りの結果でした。」
精神的に幼いボクには、男の旅の深層心理が理解出来る訳もなく。
「無意味じゃん。」
と、余計な一言を発する事しか出来なかった。
「何だと!貴様にいったい私の何が分かると言うのだ!ビーム!」
不意に男は、ビームを発射して来た。ボクは、体を右に傾けてビームをかわした。
「馬鹿な!?私のビームをかわすとは!?貴様、ただ者ではないな!?」
今度は体を左に傾けて、男の言葉をかわした。
「まさか!?貴様は、あの伝説の勇者なのか!?」
「すいません。この話のオチが、何処にあるのか御存知ですか?」
「私が長年捜し続けていた伝説の勇者殿が目の前に!?信じられん。」
「そうなんです。オチを探しているのです。」
「伝説の勇者殿!」
「知っていますか?」
「貴方のお力で、私のしゃっくりを止めて下さい!イッ!イッ!」
「そうですか。御存知ないですか。」
「イッ!イッ!イッイッ!イッイッイッ!」
「ありがとうございました。」
ボクは、一生懸命に親身になって手を尽くしてくれた全身黒なコーディネートの男に深々とお辞儀をして別れると、隣で伝説の勇者と語らっていた長老風の老人に回し蹴りを浴びせ、再び途方に暮れ泥んだ。
「先生!娘の目は!娘の目は本当に見えるようになるんですか!」
「明日の手術が成功したとしても、事故で失った娘さんの視力が100%回復するとは言えません。私には、100%目が見えるようになるとは断言出来ません。」
ここでオチを探すボクの話は、一旦、目の手術を明日に控えた娘を持つ父親と、その主治医の話になる。なぜ、一旦そんな場面に話が展開するのかと言うと、それはボクに聞かれても分からない事だ。とにかく話は、ここで一旦、目の手術を明日に控えた娘を持つ父親と、その主治医の話になる。
「娘は、果汁ですか?」
「はい?」
「先生!娘は、娘は将来、なぜだか画家を目指していたのです。先生!なぜでしょうか?なぜ娘は、画家を夢見ていたんでしょうか?」
「さあ?」
「おそらくたぶんきっと、何気に目は、画家にとって命のようなもんだと思うんです。ええ、浅はかです。確かにこの考えは、浅はかな私の知識の中での価値観と偏見だと思っています。」
「少し落ち着いて下さい。いいですか?さっき私が手術が成功しても100%娘さんの目が見えるとは断言出来ないと言ったのはですね。」
「娘は、果汁ですか?」
「はい?」
「えっ?先生!いつの間にそんな事を言っていたのですか!?」
「例え手術が成功しても、娘さん自信が事故による精神的ショックから立ち直らなければ、目が見えるようにはならないと言う意味です。でも、今の話を聞いて確信しました。画家になりたいと言う娘さんの強い想いが心の中にあるのなら、必ず娘さんの目は見えるようになります。ですからお父さん!手術の方は我々に任せて下さい!」
「作り話でもですか?」
「はい?」
「さっきの娘が画家を夢見ているって話が、私の作り話だとしてもですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「まあ、とにかく明日の手術に向けて、お父さんは娘さんの心の支えになってあげて下さい。」
「先生!もし、娘の手術が失敗したとしたら、その時は私がさっき病院の裏手にある山の中で拾って来たこれを使って下さい!」
「これは……どんぐりですか?」
「ええ。もし手術に失敗したら、代わりにそれを娘の目に埋め込んでやって下さい。何と言っても娘は、どんぐり眼だったもんですから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
ボクは、この文字数を稼ぐ為だけの無茶苦茶で滅茶苦茶で無意味な展開は、逆に有りだと思った。映画や小説で言うエッチなシーンみたいなもんだと解釈した。もちろん、この話のオチは相変わらず見当たらないし、見付からない。
「食べてからすぐ寝ると、牛になる。」
気付くとボクは、母に言われた究極のマジックのような黒魔術のような言葉を思い出し、呟いていた。たが、それでも大人達が「寝る子は育つ」などと、コペルニクス的発想で、のほほんと安易に生き延びているのは、何故だろうか?
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
考えてもボクに分かる訳もない。分かろうともしていないのだから、分かるはずもない。
「どうも。」
「えっ?」
ボクの目の前に突如現れたのは、瞳の中にボクが映っている男だった。
「貴方が、この話のオチを探している方ですか?」
瞳の中にボクが映っている男は、そう言うと笑顔で欠片で作られた継ぎ接ぎだらけの銃の銃口をボクの眉間に当てた。
「そうです。貴方は?」
「ボクは、この話のオチです。」
「貴方がこの話のオチ?」
「そうです。」
「ボクは、死ぬのですか?」
「ええ。貴方は、今から死にます。」
「ならこれが、この話のオチですか?」
「いいえ。違います。」
「どう言う事です?この結末がこの話のオチではないのですか?」
「これは、罰です。」
「罰?」
「貴方が罪を犯したからです。」
「罪を?」
「ええ。物語の登場人物が話のオチを探すと言う罪です。」
「そうですか。ボクがしていた事は、罪だったのですか。」
「罪だったのです。」
「そうだったのか・・・・・・・・・。」
「さようなら。」
「さようなら。」
「さようなら・・・・・・・ボク。」
そして、瞳の中にボクが映っているボクは、欠片で作られた継ぎ接ぎだらけの銃の引き金を引いた。

第百十四話
「BANG!!」

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