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2008年8月27日 (水)

「第百十五話」

「王様!」
「どうした王様!」
「大変なんです!王様!」
「何がそんなに大変なんだ王様!」
「朝食の献立が決まらないんです!王様!」
「の前に、の前にだよ。二人とも王様やめないか?ややこしくってしょうがないし、混乱しちゃうよ!えっ?朝食?朝食なんてパンでいいよ!パンで!」
「ジャムか?バターか?で、迷ってます!王様!」
「あっ、そこ!そんなどーでもいいようなとこで躓いちゃった?そんなのジャムとバター両方持って来て、各自好きな方を選んで塗ればいいんじゃないの?塗ったくればいいんじゃないの?」
「二個一ですね!王様!」
「二個一ではないよ王様!てか、だから王様もうよくないか?いい加減、ややこしいんだってば!」
「ややこしくないよ!王様!」
「俺らはな。そりゃ、俺らは面と向かってお互いの存在を確認して喋ってるから混乱を招くような事はないよ?でもさぁ。読みながらの人は、混乱しちゃうと思うよ?二人で王様、王様言ってたら、途中でどっちがどっちだか分からなくなっちゃうと思うよ?」
「くそぉぉぉぉぉっ!!」
「そんなに悔しがっちゃう事?」
「マーマレードが良かったのに!」
「まだそこに居たの?俺はなんだっていいよ。塗るもんにこだわりないからさ。マーマレードでもいいよ。」
「ありがとうございます!王様!」
「うん。呼び方にもこだわり持とうか。どっちかが王様なら、どっちかが大臣とかさ。」
「料理長!」
「いいよ。お前が料理長でもいいなら、俺は構わないよ。」
「分かりました!」
「じゃあ、俺が王様でいいのね?で、お前が料理長な訳ね?」
「はい!料理長!」
「俺!?俺、料理長?まあ、俺が料理長でもいいよ。じゃあ、俺が料理長でお前が王様な。」
「二人とも料理長でいきましょう!料理長!」
「だからー!ややこしいし、何で調理場に長が二人も居んの!」
「ええーっ!もう、分かんないよー!」
「こっちが、ええーっ!だよ!」
「ルールが難しいよー!地元ルール?」
「いや共通ルール。」
「だってさー。二人しか居なくって、順番に話してるんだから、誰も混乱なんてしないよー。」
「まあ、声質も違うし根本的にはそうなんだけどさ。万が一ってのもあるし、そもそも何で王様なの?って、とこじゃない?俺ら、王様じゃないじゃん。」
「ある意味、王様だろ!」
「どの意味?どー考えたって、昼飯終わりの昼休みを公園で寛いでる平凡なサラリーメンだろ。」
「サラリーメンなめんなよ!」
「どっちかって言うと、お前が王様なめてんだろ!いや、課長とか部長なら、まだ分かるよ。まあ、それでも本当はよく分からないんだけどな。混乱を招いちゃうし、嘘になっちゃうからな。でもそこ否定したら話が始まんないし進まないからしないよ。そんな野暮な事はしないよ。でも、王様はもっと分かんないよ。王様である必要性ある?」
「じゃー!王様でない必要性がどこにある!」
「ええーっ!そこそんなにごり押しされても困るよ。ラーメン屋では、普通に呼びあってたじゃん。」
「ラーメン屋ではな。ただ、公園ではラーメン屋ルールは適用されない!」
「たぶん、こう言う時に使うんだろうな。ぎゃふん!って。なにそれー!俺ヤダよ―!そんな要所要所でルール変更があるのー!」
「みんなの憧れ、王様!人類の夢、王様!大盛り無料サービス、王様!」
「適用された!?って、意味分かんないんだよ!第一、俺は王様に憧れ持ってないしな。」
「意味なんてない!」
「ないのかよ!?」
「ないよ!みんなの憧れとか、人類の夢とか、ラーメン屋ルールとか、公園ルールとかってのは、俺の作り話だよ。」
「完全に知ってた。」
「いーじゃん別に!お互いに王様って呼びあったってさー!」
「いいよ!いいんだよ。訳も分からず王様って呼びあってる昼飯終わりの昼下りのサラリーメンでもさ。いいんだけど、ただ読んでる人が困るんじゃないかって俺は思う訳だよ。」
「Aが言ってる事も分からないでもないよ。」
「突然!?突然、AとBの関係性になっちゃったの?王様へのこだわりは?」
「男ってのはさー。あんまり王様にばかりこだわってる場合じゃないんだよ。」
「王子しか使わなそうな言葉なんじゃない?サラリーマンが言ったって、何の説得力もないぞ?」
「説得力とかじゃないんだよ!A氏!」
「そうですかB氏。」
「あっ、俺もA氏でお願いします。」
「ほらまたー!何で二人ともA氏なんだよ!これじゃ混乱具合が王様ん時と同等、或いはそれ以上じゃん!」
「楽しかったなー!王様時代!懐かしいなー!」
「ついさっきだし、パンに塗るもんの話しかしてないぞ?」
「戻れるもんなら、戻りたいもんだー!」
「すぐだよ!すぐ!すぐ戻れちゃうよ!」
「なあ?王様!」
「ほら来た!ほら来ちゃったよ!」
「この国も立派になったもんだ。これも全て、王様の努力の賜物だす!」
「無茶苦茶すぎんだろ!人物設定ちゃんとしてから出直して来い!」
「この国も立派になっただす。これも全て、王様の努力の賜物だす!」
「そっちに設定して出直して来ちゃったよ!まあ、最初はどうなる事かと思ったが、君が側で活躍してくれたお陰だよ大臣。」
「最初って何?」
「話をお前に合わしてやったんだろ!」
「ああ!」
「今日は、一段と面倒臭いな。」
「敵襲ー!!」
「何?今度は、何が始まった!?」
「王様!大変だす!以前からだすしていた!だす率いるだす軍がだすでだすにだすしてだすだすだすだーす!!」
「だすばっか!あー、だすばっかだ!何か大変な事が起きてるんだろーなってのだけは伝わって来たけど、だすばっかで全然分かんないや!」
「どうするだす?どうするだす?王様?だすするだすか?我が軍もだすするだすか?だすしちゃうだすか?」
「ええーっ!もう、頭で理解出来ないとこまで来ちゃったよー!なら、だすすればいい訳?だすしちゃえばいい訳?」
「だすしちゃうんだすか!?」
「しちゃうんだすか!?って、そんなに驚かれても、お前は既にだすしちゃってんじゃん!しすぎちゃってんじゃん!って、非常に読んでて訳の分からない仕上がりになっちゃってるよ?」
「また読者目線出た!」
「出るだろ!出ちゃうだろ!」
「読者いじり出た!」
「いじっちゃいない!俺はただ、二人で訳の分からない会話をしてるのを、まんま二人の会話が書かれてるお手元の資料を読んでる人達が気掛かりなだけだよ。これ全く俺らが開発したもんと関係無いやり取りだからね!」
「何気無い日常を表現したかったんだよ。日常に潜む非日常的な!」
「潜ませすぎだ!」
「おやまあ!そろそろ会議の時間じゃないかい?」
「えっ?本当だ!って、どーすんだよ!」
「どーするもこーするも、このままでいいんじゃないか?だってほら、こうして目の前で俺らがやり取りしてたら一目瞭然だし、何よりもの実証じゃないか!王様!」
「まあ、王様がそう言うならいいけどさー。なら、この資料いらなくないか?」「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「おい!もう行っちゃったのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「おーい!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「何だよ。やりたい放題やって、先に行っちゃうかね?その辺の神経を」
「わっ!!」
「わあー!?ビックリした!って、ガキかよ!」

第百十五話
「透明薬」

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