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2008年9月

2008年9月 3日 (水)

「第百十六話」

いつものように僕は
音楽を聞きながら
アイディアを考えながら

トボトボ
テクテク
ガシガシ

夜道を歩いてる

「キ―――――――――ン!!」

するとそれは突然にやって来た

毎日をいつも通りに
何一つ変わりなく過ごしていても

それは突然やって来るんだ

心の奥底のもっとも深い場所から

何の前触れもなく
何の違和感もなく

それはやって来るんだ

急に視界が暗くなる感覚
急に支配する無音の世界

回りには通行人や車がたくさん行き来していると言うのに、なぜかこの世界で僕は一人ぼっち………

奇妙な孤独感

何だろう?
別に本当に孤独な訳ではないのに?

この感覚は何なんだろう?
何故だろう?
心にでっかい穴を開けながら、それでも僕が歩き続けているのは?

気付くと缶コーヒーとタバコを手に持ちながら
僕は夜空を向いて夜空の下を無心に歩いていた

押し潰されそうだったから

心を折られそうだったから

夜空を向いて歩いたんだ

そこには星があり
そこには月があり
当たり前のように少し明るい夜空が広がっていた

僕は
それらに助けられた

そして

孤独ではない
淋しくもない

少なくともこの日記を読んでくれている誰かとは

繋がっている

見ている角度も
見ている部分も
違うかもしれないけど

この夜空が何処までも繋がっているのなら

この夜空を何処かで誰かが見ているのなら

と、そう思えたから

潰されずに
折られずに
歩き続ける事が出来たんだ

もしもある日
例えば自分が
奇妙な孤独感に誘われた時
何気なく夜空を見ればいい

その延長線上には毎日を適当に
ダラダラと
グダグダと
過ごしている僕がいて
きっと同じ夜空を見ている

って、そんな些細な言い訳を理由に変えて
少しでも孤独感から逃れる事が出来るなら

そう思って欲しい

人間にとって孤独とは絶対で
最終的に行き着く先は孤独で

でも
今の僕にはあまりにもそれがストレートすぎて濃厚すぎて受け止めるには極論すぎる

だからそんな時

いつも僕はみんなが見ている夜空を見ている

そして

僕は安堵感に包まれて眠る

第百十六話
「おやすみ」

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2008年9月10日 (水)

「第百十七話」

『子供』パート2

「お前なぁ。いくら子供が可愛いからって、ちょっとばかし甘やかし過ぎじゃないか?ほら、可愛い子には旅をさせろって言うだろ?」
「帰って来なくなっちゃったよ。」
「それすなわち、専門用語で迷子と言う。」
「それは、学名かな?」

『独り言』

「俺って、よく独り言を言っちゃうんだよ。」
「そうなんだ。」
「あっ!?また言っちゃった!」
「わしも!」

『超高層ビル』

「でかいよなー!」
「凄いなー!」
「俺の3倍はあるよなー!」
「なら、俺の16倍かー!」

『こづかい』

「お前、こづかいって月にいくら貰ってる?」
「鉛筆1ダース。」
「いいなぁ。俺も鉛筆にしてもらおうかなぁ。」

『ラブレター』

「やった!やったー!ラブレター貰っちゃったよ!」
「いいな!いいなー!お前も隅に置けないなぁ。で、誰から?」
「マザー!」
「ノンノンノン!マダァー!」

『流行』

「僕ちゃんってば、流行には敏感なんだぜ。」
「なら、これから何が流行んの?」
「分かりませーん!!」
「それは、どこに売ってるの?Mあるかな?まだM売り切れてないかな?」

『骨折』

「ふんふふんふふーん!えっ!?どてっ!!!」
「大丈夫ですか?」
「あたたたたー!骨折しちゃったみたいです。腕が、ぷらーんってなってますし、ほら!」
「どれどれ?」
「どれどれ?」
「ぷらーんってなってますね。」
「ぷらーんってなってるでしょ?」
「えいっ!」
「あっ!反対の腕もぷらーんってなった!」
「どれどれ?」
「どれどれ?」

『ヌード写真集』

「すんげー!すんげーよ!このヌード写真集!」
「お前は、本当にいつでもどこでもスケベだな。」
「マジで鼻血もんだよ!この背景!」
「まったく。お前は、本当にいつでもどこでもスケベだな。」

『ドラキュラ VS ドラキュラ』

「死ねいっ!十字架!!!」
「ウワァァァァァァァ!!!!!」
「ウワァァァァァァァ!!!!!」

『お漏らし』

「先生!学級委員が、おしっこ漏らしました!」
「大丈夫だ!」
「じゃあ、大丈夫だ!」

『決闘』

「いよいよだな。」
「ああ。」
「お前と決着をつける時が来た。」
「ああ。」
「・・・・・・・・・行くぞ!!」
「来い!!」
「ジャンケン!!」
「ジャンケかよっ!この衣装と、このシチュエーションと、この物語の流れでジャンケかよっ!」

『弱点』

「お前の弱点は、左足のふくらはぎだ!!」
「ば、ばれたか!?」
「因みに俺の弱点は、右肩甲骨部分だ!」
「お前の弱点は、右肩甲骨だな!」
「な、なぜそれを!?」

『ペット』

「お前の家、何かペット飼ってる?」
「犬飼ってる。お前の家は?」
「おじいちゃん!」
「まさか、あの限定カラーバージョンの!?」

『妊娠』

「妻との間に赤ちゃんが出来てね。」
「おめでとう!やったじゃないか!」
「お前似の男の子だといいのになぁ。」
「死んで生まれ変われってか!」

『好きな仕草』

「俺は、女の子が髪をかき上げる仕草が好きだなぁ。」
「僕は、シャープペンシルが芯を出す仕草が好きだなぁ。」
「文具専門かよ!」

『恐怖症』

「高所恐怖症?」
「そうなんだよ。お前は?お前は、何か恐怖症ないのか?」
「高所恐怖症恐怖症。」
「どうりでお前とは、馬が合わないと思ったよ。」

『料理教室』

「天ぷらは、温度が大事です。温度によって衣の出来上がり方が全然違います。外はサクッと、中はフワッと、とにかく温度が大事なんです。もはや、温度の事が天ぷらと言っても過言ではありません。」
「なるほど。」
「それを踏まえて、今日は天ぷらを乗せるお皿を作りたいと思います。」
「窯の用意は出来ています!師匠!」

『サイコロ』

「俺は、サイコロを振って思った通りの数を出せる男だ。」
「何だと!?やれるもんなら、やってみろ!」
「りんご!」
「まさか!?本当に思った通りのりんごを出しやがった!?」

『戦場』

「おい!ここが戦場だって事を忘れるな!油断は即、死に繋がる!いいな!」
「はい!大佐!」
「行くぞ!」
「大佐!」
「どうした!」
「地雷を踏んでます!」
「ザッツ!ジョーク!」

『戦場』パート2

「いいか!これから言う事は、1度しか言わん!だから、よーく頭に叩き込んどけ!」
「はい!大佐!」
「戦場では、常に自分は1人!回りは全て敵だと思え!」
「了解しました!失礼します!」
「バキューン!」
「いてっ!いててててっ!」

『戦場』パート3

「大佐、やりましたね!」
「ああ、これで祖国に胸を張って帰還出来る!ここで待っていれば、味方のヘリがやって来る!」
「いろいろ命懸けな事がありましたけど、今となっては全てが懐かしい思い出のような気がします。」
「安心するのは、まだ早い!ヘリは、その場に3分しか滞在しない!それを逃せば、我々はこの戦場から2度と帰れなくなる!思い出に浸るのは、その後にしろ!」
「はい!大佐!」
「いやー、しかしあのボロボロな吊り橋を渡るのには、苦労と時間が掛かったな。疲れたよ。」
「大佐!」
「敵か!?」
「ヘリが吊り橋の向こう側に着陸しました。」
「あのほら、お前が俺を撃った時あっただろ?あん時は死ぬかと思ったよ。あとあの時」

『戦場』パート4

「大佐、なんとか祖国に帰って来る事が出来ましたね。」
「ああ、今でも生きて帰って来れたのが不思議なぐらいだ。」
「本当にそうですね。」
「早く家に帰って家族サービスをしなければな。」
「大佐!」
「どうした!」
「戦場に極秘ファイルを忘れて来ました!」
「よし!とりあえず現実逃避と洒落込もうじゃないか!」

『今日から俺は』

「今日から俺は、お前になる!」
「だったら俺は、お前になる!」

『臨時ニュース』

「ここで臨時ニュースが入って来ましたが、後回しの後回しで、最悪お伝えしないかもしれません。」

『ワープ』

「ワープの準備は出来たか?」
「はい艦長!いつでも大丈夫です!」
「よし!ワープを使えば地球まで5分で着くぞ。」
「はい艦長!いつでも指示をどうぞ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「急に無口!」

『さっきから』

「おいおい。何かさっきから向こうの奴が俺達の事を睨んでるぞ?何でだ?」
「さあ?あいつが睨む前から俺があいつの事を睨んでたからかなぁ?」
「あれ?お前、シャンプー変えた?」

『笑顔』

「向こうに座ってるあの子の笑顔って、本当に見てて心が安らぐよなぁ。」
「あれ?お前、またシャンプー変えた?」

『不条理の彼方』

「俺に言わせれば時計の針は、長針より短針の方が一周するのが早いって事なんだから、ママが母ならパパは父だって事だよ。って、あれ?何の話だっけ?」
「目玉焼きにかけるなら、醤油か?ソースか?って話だろ?」
「だから、何もかけない派だよ。」
「何でもいいから、とりあえず近くにあるもんをかけろよ!」

『不条理の彼方』パート2

「俺は、絶対にマントヒヒの方が手先が器用だと思うよ。そして、何か大賞を貰うなら今だと思うんだ。そう、今なんだよ。今じゃなきゃ、くれるって言われても貰わないね。って、あれ?何の話だっけ?」
「チョコレートケーキとモンブラン、どっちが好きかって話だろ?」
「顔にぶつけられるなら、チョコレートケーキかな。」
「モンブランに比べると、いくらか危険性が低くなるからな。」

『馬鹿(バカ)』

「ここまで来れば、警察も追って来ないだろう。3人も殺しちまったからな。捕まったら絶対に死刑だ。捕まる訳には・・・ん?警察だ!?」
「おい!そこにいるのは誰だ!」
「はい?」
「君、こんな所で何をしてるんだ?」
「ちょっと、散歩を。」
「そうか。ん?お前、もしかして指名手配中の男か?」
「違いますよ。ほら、分け目が全然違うじゃないですか。写真は七三だけど、僕は十零じゃないですか。」
「そうだな。疑ってすまなかった。って、騙される訳がないだろ!」
「騙される訳がないのか!?しくじったー!」
「逮捕する!」
「この事件って、臨時ニュースで取り扱われますかね?」
「さあな?キャスター次第だろ?」

第百十七話
「ショートショートなショートコントな(中編)」

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2008年9月17日 (水)

「第百十八話」

「なあ、小人。」
「何だ?巨人。」
「暇だ。」
「そりゃ、おめでとう。」
「えっ!?ありがとう!」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「なあ、小人?」
「何だよ。巨人。」
「何が、そんなにおめでたいんだ?」
「両腕を突き上げるほど、おめでたくはねーよ。」
「そうか。なあ、小人。ピスタチオ、俺にもくれよ。」
「やだね。お前にやると一粒じゃすまなくなって、結局全部あげる羽目になって、でもってもっとくれってなって、俺の分が無くなるからやだね。」
「エコロジーか?小人。」
「ああ、エコロジーだよ。巨人。」
「小人。お前は、本当に偉い奴なんだな。お偉いさんだな。」
「俺とお前の間柄で、さんはいらねーよ。さんは。」
「しかも、謙虚で無礼者だな。」
「巨人。」
「ぼへ?」
「お前なりに難しい言葉を難しいと言う概念だけで、立て続けに二個使った割には、半分正解だ。」
「やたー!!!」
「喜び過ぎ、喜び過ぎ!山が崩れるからジャンプはやめろ!」
「だって、お偉いの無礼者に誉められたから!」
「お前なぁ・・・・・・・・・まあいいや。とにかく暴れるな。山が崩れるから。」
「なあ、小人。」
「何だ。巨人。」
「俺、さっきからお腹の調子が悪い。痛い。」
「どうせ何か変なもんでも食ったんだろ?医者にでも行って診てもらえよ。」
「バブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「医者やだ!俺、注射大嫌いだ!!ピスタチオは、大好きだ!!」
「お、おい、巨人・・・ちょっと・・・待て・・・・・・お前。」
「どうした?小人。」
「今のは、まさか、屁か?」
「聞こえてた?」
「当たり前だろ!!三つ山越えた先にいたって聞こえるわっ!!」
「ぼへ?」
「てか、お前は俺を殺す気か!!何つぅ臭い屁をこきやがるんだ!!」
「臭い?臭いなんてしないぞ?」
「高低差!高低差を考えろ!お前の鼻の高さまで臭いが届いてないだけだ!屈んでみろ!!」
「全く、小人は何を訳の分からない事を言ってんだ?よっこいぶわっはっ!!!」
「ほらみろ。」
「くっさ!!鼻がもげる!耳が削げ落ちる!口が腐り果てる!目が増える!」
「なぜ、目が増える?」
「小人、お前の屁は村一番だ!」
「お前の生産物だ!てか、もんどり打ち過ぎだ!山が崩れるからやめろ!」
「小人。」
「ん?」
「すまん。」
「まあ、わざとこいた訳じゃないから気にするな。」
「ここまで臭いとは!?」
「わざとなのか?」
「ぼへ?」
「ぼへ?じゃねーよ!ったく!」
「なあ、小人。」
「何だ。巨屁。」
「えっ?違う違う!俺は巨人だ!巨屁なんかじゃない!あいつらと一緒にしないでくれ!」
「いるのか?巨屁族が?」
「ここにいる。」
「お前の腹の中じゃねーか!とどのつまり、お前じゃねーか!」
「でも、お陰さまでお腹が痛いの治った。」
「お前のみの手柄だよ。まあ、どうやらガスが溜まってただけみたいだな。」
「勝った!!」
「何だ?巨人対巨屁の世の中一、どうでもいい戦いが、お前の腹の中で繰り広げられていたのか?」
「やたー!!」
「だから、山が崩れるからやめろって言ってんだろ!」
「なあ、小人。」
「何だよ。巨人。」
「魚、釣れたか?」
「巨屁族のせいで、全部逃げちまったよ。」
「そうか。それは、残念だ。」
「スゲー残念だよ!糸引いてたってのに。」
「あいつらめー!」
「お前だ!」
「今度会った時には、コテンパンにしてやる!」
「もう二度と会うな!!戦うなら小屁族とだけ戦え!!」
「小屁族?」
「ああ、深く考えなくていいや。」
「小屁族って?」
「巨屁族のちっちゃい族だよ。」
「巨屁族?」
「おいおい。元も子もねーな。」
「巨屁族って?」
「ピスタチオやるから少し思考停止させといてくれ。」
「ピスタチオッ!ピースタチオッ!ピッスタッチオーッ!!」
「はいはい。」
「うんまいっ!」
「良かったな。」
「なあ、小人。」
「ああ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・ったく!ほらよ。全部やるよ。」
「ややや、やた!!やたー!!」
「やめろって!!お前はこの村を破壊する気か!」
「なあ、小人。」
「何だ、巨人。」
「ピスタチオって、摩訶不思議だよな。」
「摩訶不思議?そうか?」
「そうだよ!」
「どこが摩訶不思議なんだ?」
「だって、ピスタチオって、前から見ても後ろから見ても横からみても上から見ても下から見ても、どっから見てもピスタチオなんだぞ?」
「だいたいのもんは、そうだろ。」
「食べてもピスタチオなんだぞ?」
「食べてピスタチオじゃなかった時に、改めて摩訶不思議って言葉を使ってくれ。」
「ピスタチオッ!ピースタチオッ!ピッスタッチオーッ!!ピースタチオッ!ピッスタッチオーッ!!」
「言っとくけど」
「もっとく」
「もう無いからな!」
「ピスタチオッ!ピースタチオッ!ピッスタッチオーッ!!ピースタチオッ!ピッスタッチオーッ!!」
「ピスタチオの歌を歌いながら踊ったって、ピスタチオがもう無いって現実からは、逃れられないからな。」
「なあ、小人。」
「何だ、巨人。」
「逃げたい。」
「無理だ。」
「魔法とか使えないのか?」
「悪いな。使えない。」
「空とか飛べないのか?」
「ああ、飛べない。」
「天候とか操れないのか?」
「おい。途中から話が魔法主体になってるぞ?ピスタチオはどこ行った?」
「ここ!」
「知ってる。」
「なあ、小人。」
「何だ、巨人。」
「何か、またお腹の調子が悪くなってきた。」
「何!?」
「何か、お腹が痛い。」
「お前まさか!?俺に会う前にも家でピスタチオを食ったのか?」
「食った。」
「やっぱり。巨屁族の正体が分かったよ。どうやら今のお前の腹とピスタチオとの相性は、最悪みたいだな。」
「そんなーっ!」
「さっさと医者に行ってこい。」
「ああーっ!お腹が痛いーっ!」
「こくなら、遠くでこいてくれよ。まったく、家でたらふくピスタチオ食ったくせに、ここでも俺のピスタチオをたらふく食うから罰が当たったんだよ。ざまあみろだな。」
「ああーっ!何か出そうーっ!」
「巨屁族だろ?ほら、また魚が逃げちまうから、あっちに行けって!最低でも三つ山を越えた所でこいてこいよ!シッシッ!」
「食ってなーい!」
「はあ?」
「俺、家ではたらふくピスタチオを食ってない!だから、罰なんて当たらない!」
「何!?お、お前、いったい家でピスタチオをどれぐらい食ったんだ?」
「ひ、一粒!ああーっ!」
「一粒だと!?」
「ああーっ!!」
「お、おい!ふざけんなよ!一粒であの威力かよ!」
{ああーっ!!」
「い、いったいどうなっちまうってんだ!?」
「ああーっ!!!」
「我慢しろー!!」
「無理ーっ!!!」
「何粒食ったと思ってんだよ!!そうだ!おい、今すぐ海の中へ飛び込んで潜れるだけ潜るんだ!」
「でででででで出るーっ!」
「出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!あそこの木で栓をしろ!!」
「そんな事、出来ない!あれ、村にとって大事な大事な神木!村の守り神!ああーっ!!!!」
「村あっての守り神だ!!そして今がその守り時なんだよ!!出番なんだよ!!!」
「わ、分かった。や、やってみる。」
「慎重に頼むぞ。屈む時には細心の注」
「あっ!」

第百十八話
「村に山が一つ増えた日」

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2008年9月24日 (水)

「第百十九話」

―話題となった派手な宣伝活動についてはここまでとしまして、では次に、大会について振り返りたいと思います。
「ああ。」
―では、単刀直入に全世界が感じている疑問を代表してお伺いします。なぜ、この大会を開催しようと?
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
―主催者である貴方は、大会を開催するにあたり、その財力を生かして全世界で宣伝活動を行って来た。しかし、各メディアからのこの問いに関しては、一切答えようとしなかった。いつもジョークを飛ばしてはぐらかすばかりです。大会が終わった今なら、この問いにお答え出来るのでは?
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
―なぜ、この大会を開催しようと?
「愚問だね。愚問。なぜ?どうして?バカらしい。この大会の開催自体に疑問を持つ事がバカらしいんだよ。」
―なら、この大会の開催は必然だと?
「この世界で誰もが何かの10−9(テン・マイナス・ナイン)を、知りたいと思う止められない衝動。それは、まさに人間の本能。俺には、たまたまその衝動を実現出来るだけの財力があった。ただそれだけだ。俺が開催しなくても、きっと他の衝動に駆られた誰かが開催していたさ。」
―確かに、No.1を知りたいと言う衝動は、人々の心の中にあります。その衝動は、参加人数と視聴率が裏付けています。
「だろ?俺は、ただ衝動に駆られ、本能に従ったまでだって事だ。」
―では、ジャンル的にいったいこの大会は、スポーツ?格闘技?アート?それとも、超能力?
「ハハッ!スポーツに見えたか?格闘技に見えたか?アートに見えたか?超能力?言っとくが俺は、超能力や超常現象の類いを信じちゃいない。この大会にジャンルなんて存在しない。あえて言うなら人間だ。人間そのものさ。」
―人間ですか・・・・・・・・・。
「不満か?」
―いえ、なるほど、人間・・・・・・・・・。大会には、多くの参加者がいました。一般参加者と貴方が全世界からスカウトして来た参加者です。では次に、そのスカウトして来た参加者数人について少し振り返りたいのですが?
「断ったら勘弁してくれるのか?(笑)。」
―(笑)。
「これぞまさに財力だ。あんたらが想像も出来ないだろうあらゆる情報収集から始め、現地に赴き、自分の目で確かめ、そしてスカウトだ。」
―まず、教師ですが、彼は?
「実に運の無い男だ。教え子には恨まれ疎まれ、挙げ句の果てには、全校生徒やその親、同僚や先輩後輩、校長や副校長、まあ要するに全ての人間から嫌われちまう男だ。最終的には、いつも他の小学校に飛ばされる末路。全く哀れな男だよ。だからこそ、スカウトしたんだ。」
―彼女は?
「ああ、このじゃじゃ馬をスカウトするのには、苦労したよ。一番時間と労力を費やした。だってそうだろ?名誉な賞を授賞してる化学者を化学で解明出来ない大会にスカウトするんだぞ?」
―どうやってスカウトを?
「まあ、本物は金じゃ動いてはくれない。だから俺は、じゃじゃ馬に言ってやったんだよ。」
―何と?
「これも化学だ!ってな。」
―そんな事で?
「世の中なんて半分以上は、そんな事でって事で動いて成り立ってんだ。信用出来ないなら信用しないでもいい。だがどうだ?現にじゃじゃ馬は大会に出た。これが現実だ。」
―消防士の彼は?
「初めて奴の情報を入手した時には、ヒーローってのは現実に存在するんだって、飛び上がって喜んださ。」
―ヒーロー。
「だが、現実は上手い具合にヒーローを存在させちゃくれなかった。さっきあんたが聞いたよな?なぜ、大会を開催したのかって。」
―はい。
「大会の開催は必然であり意味は無い。だが、意図はある。」
―意図とは?
「おそらく大会に出場した参加者全てに当てはまる条件。それがイベント性だよ。」
―イベント性?
「子供なら遠足や運動会など。大人なら旅行やデートなど。楽しみなイベントと雨との関係性だ。少なからず身に覚えがあるだろ?そこで俺は、雨を引き出すならイベント性だと考えた訳だ。楽しみと雨の構図さ。」
―なるほど。
「さっきの消防士がいい例だ。雨男の消防士なんてヒーローその者。だが、実際は平凡な消防士だった。デートの日には必ず雨が降るが、火災が起きても雨は降らない。それはなぜか?奴の中で火災が楽しいイベントではないからだ。だから、雨男が発揮出来ない。ヒーローを失ったそんな時、俺はこの神の子を発見した。」
―優勝候補の女の子ですね?
「ガキの村では、毎日雨が降り続いてた。どしゃ降りじゃない。霧雨のような雨がずっとだ。村にしてみりゃ恵みの雨だ。ならその雨はいつからだ?いつから降り続いてる?そう、ガキが誕生した日からだ。」
―しかし、村人の話を聞くと女の子が生まれて来る前から村には、雨が降っていたと聞きましたが?
「俺が言ってるのは、母親の体からガキが出て来た誕生じゃない。ガキが母親のお腹の中で誕生した時からの話だ。遡って調べると、村に雨が降り始めた時期と一致する。」
―偶然では?
「かもな。だから、それを知る為のスカウトであり、大会なんだよ。」
―では、ズバリお聞きします。大会は成功?失敗?
「両方だ。」
―両方?失敗では?
「確かにそうかもな。だが、砂漠に大きな湖が出来ちまう程の雨を降らしたんだぞ?ある意味、成功だ。」
―しかし、優勝者はいなかった。
「ああ、そうだ。残念ながら今回の大会に優勝者は存在しない。」
―今回?では、第2回が?
「当たり前だ!まだ、誰が雨人間10−9なのか決まってないんだぞ?第2回が開催されんのは、必然中の必然だ!」
―それはいつ頃?
「まだ、決まってない。この世界に俺の知らない凄い雨人間が、まだまだ存在するかもしれないからな。スカウトからやり直しだ。そうそう。もし、あんたが雨男なら、参加してみるかい?(笑)。」
―遠慮しときます。あいにく晴男なもので(笑)。
「ハッハッハッハッ!なら、しょうがないな。」
―第2回の時も宜しくお願いします。
「今度は、ちゃんと優勝者が決定するように、入念なルールを考えとくよ。」
―本当に今日は、ありがとうございました。
「おう。」

第百十九話
「誰が雨を降らした?」

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