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2008年11月

2008年11月 5日 (水)

「第百二十五話」

「ガルル!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
私が何気無くキノコ狩りを思い付き、何と無く獣道を、それとなく歩いていると、目の前に人間狩りのトラが現れた。
「ガルル!!」
まずい。非常にまずい。とてもまずいぞ。トラは、完全に私を狩る気満々だ。分かってる。凄く分かってる。嫌でもそれが漂って来るから、嫌でも分かる。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
どうする?逃げるか?いや、果たして逃げたとして、果たして逃げ切れるのか?人間の脚力がトラの脚力を上回る事が、果たして可能なのか?もし、万が一、運よく、これ幸いと、逃げ切れたとしてだ。キノコは?キノコは、どうする?キノコは、どうなる?私は、いったい何の為に何と無く獣道をそれとなく歩いて来たと言うんだ!キノコを狩る為だろ!キノコ狩りをする為だろ!キノコを狩らずして、キノコ狩り成らざる!みたいな感じで、そんな風なニュアンスで、どっかの偉人が言ってたかもしれないじゃないか!
「ガルル!!」
戦おう!ここは是が非でも戦おう!この人間狩りのトラを倒す他、私がキノコ狩りをする道がないのなら、迷う道などない!
「チョーップ!!」
「ガルル!!」
「いたーっ!!」
何て、何て硬い皮膚なんだ!トラの皮膚は、こんなにも硬かったのか!いや、トラの黒い部分が硬いのか?そんなはずはない!それは絶対に有り得ない!何故なら私は今、トラの黄色い部分にチョップを喰らわしたからだ!
「チョーップ!!」
「ガルル!!」
「こっちもいたーっ!!」
どっちも硬い!とでも言わせるつもりなのか?いや、もしかしたら人間を狩ると言う強い信念を持ったトラだけが併せ持つ、強硬な皮膚なのかもしれないぞ?或いは、私のチョップが異様に弱いのか?もしくは、人間がキノコ狩りを志した瞬間、チョップの威力が弱まると言うのか?
「ガオー!!」
まずいぞ。かなりまずいぞ。今のチョップで、トラが相当お冠だ。目がさっきよりも血走っているし、尋常じゃないぐらい大量のヨダレを垂らしている。
「チョーップ!!」
「ガオー!!」
「いたーいっ!!」
くそう!やっぱりダメだ!やっぱり痛い!チョップはダメだ。チョップは通用しない。痛いだけだし、トラの怒りを増幅させてしまうだけだ。チョップとは、チョップとは、チョップとは、こんなにも役立たずな陳腐な技だったのか!!
「ガルル!!」
しかし、今にも飛び掛かって来そうなトラが、飛び掛かって来ないのも、チョップのお陰と言えるだろう!肉体的にダメージを与えなくとも、確実に精神的なダメージを与えている!なるほど、チョップとはそう言った技だったのか!使おう!これからもいろんな場所で、いろんな場面で、チョップを使い続けていこう!
「ガオー!!」
だが、この場は違う!ここでのチョップ使用は、間違いだし場違いだ!二度と、二度とチョップは使うまいと見せ掛けといての!
「チョーップ!!」
「ガルル!!」
「すんげーいたーいよー!!」
泣く。これ以上のチョップは、私の涙腺を刺激しかねない!けど、チョップしか知らない私に、いったいチョップ以外のどんな技を繰り出せばいいと言うんだ!はっ!そうか!そのチョップがあったじゃないか!そっちのチョップがあったじゃないか!
「ダブルチョーップ!!」
「ガオー!!」
「ダブルでいたーいっ!!」
ダブルって普通、攻撃力が二倍や三倍、或いはそれ以上になるもんだと思っていた。まさか痛さがそれ以上になるとは!?とんだ誤算だ!いや待てよ?もしかしたら、私のダブルチョップのやり方が間違っていたのかもしれないぞ?左右からトラを挟むような形じゃなく、両手を合わせてのダブルチョップなのか?もしくは、両手をクロスさせてのダブルチョップなのか?ああーっ、分からん!何て深いんだ!ダブルチョップ!!
「チョーップ!!」
「ガルル!!」
「折れるーっ!!」
い、いかん!キノコを狩る前に、この手が使い物にならなくなる。このままチョップ押しでトラを退治出来たとして、果たして私は無事にキノコを狩る事が出来るんだろうか?
「ガルル!!」
相変わらずトラは、いつでも私を狩れる臨戦態勢を保ったままだ。何か考えなくては!トラを退治出来る方法を!
「ガルル!!」
ええーいっ!右手などいらんわっ!!
「チョーッ!!」
「ガオー!!」
「って、やっぱいるわいっ!!」
いるいる!いるよ!いるし!いるに決まってるじゃないか!危ない危ない!空気と雰囲気と勢いとに、危うく飲まれるとこだった!恐るべし!その場!
「ガルル!!」
考え方を少し変えてみようか。こいつは、人間狩りのトラだ。だったら、私が人間じゃないと思わせれば、或いは諦めるんじゃないか?諦めきれるんじゃないか?
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ガルル!!」
うん、無理!すぐ分かった!『ら』の部分辺りから怪しいなと感じ始めて、次の『、』の部分に差し掛かるか差し掛からないかの辺りで、もう答え出た!だって、人間丸出しの私が、どうやってトラに人間じゃないと思わせる事が出来ようか?
「ガルル!!」
ガルル!!ガルル!!って、さっきから五月蝿いな!ガルル!!と、ガオー!!としか言わないくせに!私のキノコ狩りの邪魔をしやがって!全く随分とふざけた話だ!とんだ茶番劇だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「チョーップ!!」
「ガオー!!」
「いてーんだよ!もうっ!馬鹿っ!馬鹿っ!」
何で私が痛いんだよ!何で私だけが痛いんだってんだよ!ほとほと馬鹿にしやがって!ちょっとぐらいお前も痛がれよ!嘘でもいいから痛がれってんだよ!不公平にも程があるだろ!それでもトラか!トラの端くれか!
「ガルル!!」
まあ、負け惜しみ的なのは、この辺までにしといてだ。ここまで状況が何一つ変化していない事を真摯に重く改めて受け止めよう。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
痛恨の極みってやつだな。まさか、トラを前にして痛恨の極みって言葉を使うとは、痛みに耐えて私を産んでくれた母親ですら、その当時は思いもよらなかったどろうな。
「ガルル!!」
ああ、やだ!もう、全くどうしていいのか分からない!キノコ狩りしたいって何気無い強い信念を持ち、ここまで何と無くやって来たが、果たして私は、そこまでキノコ狩りをしたいんだろうか?どこまでキノコ狩りをしたいって言うんだろうか?
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
ふっ、私は頭がおかしくなったのか?人間狩りのトラを目の前にして、その人間狩りのトラに、まるでチョップが通用せず、冷静さを失っていたのか?どこまでキノコ狩りがしたいのかだって?
「ガルル!!」
そりゃ、もう、果てしなくどこまでもだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「チョーップ?」
「ガルル??」
って、その時だった。私が渾身の一撃的なチョップをトラに喰らわそうとした時だった。キノコ狩りの私と人間狩りのトラの目の前に姿を現したのは、トラ狩りのキノコだった!

第百二十五話
「三つ巴」

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2008年11月12日 (水)

「第百二十六話」

―月曜日―

「ガチャ。」
今日からまた、忙しい1週間の始まりだ。俺は、繁忙期の真っ只中にある会社に向かう為、気合いと共にドアの外へと1歩足を踏み出し、そのままエレベーターへと向かうはずだった。
「ん?」
だが、俺は1歩目で歩みを止める事となった。それは、俺の踏み出した右足が、何かを蹴っ飛ばしたからだ。
「ジャガイモ?」
それは、袋に入ったジャガイモだった。
「誰か落としたのか?」
いや、それはない。俺は、マンションの角部屋に住んでいる。誰かがエコバッグの中からジャガイモを落とすには、あまりにも不自然な場所だ。
「何なんだ?」
少し気持ち悪かったが、もしかしたら、母親が置いていったのかもしれないと思い、とりあえずジャガイモを玄関の棚の上に起き、俺はドアの外へと1歩踏み出した。いや、俺的には、もっと時間を掛けてジャガイモについて考えを巡らしたかった。だが、そんな時間に掛ける時間は、持ち合わせていなかった。
「バタン。」

―火曜日―

「ガチャ。」
今日もまた、忙しい1日の始まりだ。俺は、気合いと共にドアの外へと1歩足を踏み出し、そのままエレベーターへと向かうはずだった。
「えっ?」
だが、今日もまた、俺は1歩目で歩みを止める事になった。それは、俺の踏み出した右足が、今日も何かを蹴っ飛ばしたからだ。
「ニンジン?」
それは、袋に入ったニンジンだった。
「今日は、ニンジン。」
気にはなった。物凄く気にはなった。頭の中がはてなでいっぱいだった。母親なら母親で、何で2回に分けるんだ?とも思った。だが、俺にはニンジンを気にしている時間を気にしている時間すらないのが現実だった。とりあえずニンジンを玄関の棚の上に起き、俺はドアの外へと1歩踏み出した。
「バタン。」

―水曜日―

「ガチャ。」
そして、忙しい俺の気合いの1歩目は、今日もまた何かを蹴っ飛ばす事から始まった。
「タマネギ?」
それは、袋に入ったタマネギだった。いや、よっぽど、今すぐにでも母親に、メチャクチャ連絡しようかと思った。だが、夜は帰って来るのが深夜だし、勤務中は無理だし、昼休みは睡眠をとりたいし、今しかないって、よっぽど電話に手が伸びた。が、俺にはそんな2つ目の信号でまで、立ち止まってしまうような無駄な時間は許されない。とりあえずタマネギを玄関の棚の上に起き、俺はドアの外へと1歩踏み出した。きっと特売日がバラバラだったのだろうと、無理からに自分を納得させ、俺は今日も繁忙期の真っ只中の会社へと向かう事にした。
「バタン。」

―木曜日―

「ガチャ。」
今日は、1歩目を踏み出す事すら出来なかった。
「牛肉!?」
それを目にして瞬時に理解した。これはもはや、母親の仕業ではない。なら、何かのイタズラか?だが、イタズラにしては、イタズラを遥かに凌駕してる。むしろこれは!
「料理!?」
ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、そして牛肉。そう、何かの料理の食材に近い。しかもそれは、4日目のこの時点で数種類の料理に絞られてくる。そして、なぜかそれらは、4人前だって事が今日で分かった。俺は1人暮らしだぞ?
「何でだ?」
しかも、俺が調理しなきゃならないのか?まあ、そんな事をグツグツ考えている暇がないのは、今日に始まった事じゃない。とりあえず牛肉を玄関の中に入れ、俺はドアの外へと1歩踏み出した。
「バタン。」

―金曜日―

「ガチャ。」
カレーだ。ちょっと肉じゃがじゃないかと思ってたが、どうやらカレーのようだ。なぜなら、スパイシーなドアの前には、沢山のスパイスが置いてあるからだ。
「しかも、本格的。」
俺は、連日の仕事三昧の日々で疲れた体に鞭を打ち、見た事も聞いた事もない方が多いスパイスを、とりあえず玄関の棚の上に起き、スパイシーな世界から1歩外へと踏み出した。
「バタン。」

―土曜日―

そう、普段なら会社は休みだ。だが、繁忙期の真っ只中って事で、疑う余地もなく今日は休日出勤だ。
「ガチャ。」
カレーライスだ。目の前に置かれた米を見て、その事実に何の疑いもなかった。ただ、疑うとしたら、誰が何の目的で、なぜ俺の部屋の前にカレーライスの食材を置いてくのか?だった。しかも、4人前。
「はあ。」
会社以外では、ほぼ思考停止状態の俺は、とりあえずその作業が毎日の日課の如く、米を玄関の中に運び込み、ドアの外へと1歩踏み出した。
「明日だ。」
そう、明日は繁忙期の真っ只中であっても唯一会社が休みな日曜日。だから、月曜日から始まったこの異常事態を、明日ゆっくりコトコト考えてみよう。
「バタン。」

―日曜日―

今日は、会社が休みだ。さっき、違うだろうと思いつつも一応、確認の電話をしてみたが、案の定、カレーライスの食材を1日置きにドアの前へ置いたのは、母親ではなかった。確かに俺は、カレーライスが大好物だ。最期の晩餐には、カレーライスをと密かに考えている。それに、一連の行為に悪意は感じられない。むしろ、その逆だ。ドアの前に置かれていたカレーライスの食材、あれを詳しく調べてみると、どれも高級食材だった。おそらく、俺がこのまま人生を送る中で、絶対に口にしないであろう食材と言っても過言ではない。
「待てよ?」
ここで、1つの疑問が浮かび上がった。果たして、これで終わりなのか?俺が目の前の高級食材を目にして、勝手にこれらを組み合わせてカレーライスだと思っているが、もし俺の知らない料理が世界のどこかに存在するとしたら?土曜日までの食材で、俺の独断と価値観だけで終わりにしていいのか?今日もドアの前には、何か高級食材が置かれている確率は?
「高い!」
俺は、キッチンから玄関へ向かい、ドアノブに手を掛けた。
「待てよ?」
そう、ドアの前に高級食材が置かれているとは限らない。なぜ、全ての食材が4人前なんだ?俺は、ドアノブを回す手を止め、覗き穴から外を伺った。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
もしかしたら、知らない3人組でもいるのでは?と思ったが、そこには誰もいなかった。
「考え過ぎか。」
4人前ってのも、きっと1人前の分量が意外と難しいから平均的な4人前を選んだんだろう。とりあえずドアの外を確認して、何もなかったら次にカレーライスの事でも、じっくりグツグツ考えよう。
「ガチャ。」
「えっ?」
俺は自分の目を疑った。
「馬鹿な!?」
そこには、俺の日常生活の中では、確実に見ないであろう額が書かれた請求書が置いてあった。いくら高級食材だからって、こんな額・・・・・・・・・。
「はっはっ~ん。さては、牛肉だな?」
俺は、手に取った請求書から部屋の中の牛肉へと目をやった。
「モォ~!」

第百二十六話
「牛×4頭」

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2008年11月19日 (水)

「第百二十七話」

『ブラック・ジョーク』

「なあなあ。何かあそこにいる奴、悪臭漂ってないか?」
「漂ってる漂ってる!」
「なぁ~!」
「おい!あのおじいちゃんなんて、死臭漂ってるぜ!」
「いい意味でな。うん、いい意味で!」

『ブラック・ジョーク』パート2

「そう言えばお前、子供生まれたんだって?」
「ああ、女の子。」
「かっわいいだろ~!」
「そりゃあ、もう!でな、高い高いが好きでさぁ。」
「子供は、高い高い好きだからなぁ~。」
「この前なんて、高い高いしてたら、他界他界しちゃった訳よ。」
「で、お通夜はいつ?」
「今度の土曜。」
「ああーっ!給料日前だーっ!香典、ガムでいい?」
「十分、十分!」

『ブラック・ジョーク』パート3

「知ってるか?なんでも、流れ星が流れてる間に願い事を3回唱えると、願いが叶うんだってさ。」
「そんなお手軽な方法があったとは!?」
「あっ!流れ星!」
「ババァの遺産!ババァの遺産!ババァの遺産!」
「その半分!その半分!その半分!」
「上手い話には裏があった!?」

『殺し屋』

「仕事を依頼したい。」
「いいだろう。だが、俺は女、子供は殺さん。」
「分かっている。今回、依頼したいのは、この男だ。」
「そして、男も殺さん!」
「何屋さん?」

『野グソ』

「こんな野グソしてる姿、誰にも見られたくないよなぁ~。んんんっ!」
「あっ!?」
「あっ!?」
「隣いいですか?」
「どーぞ、どーぞ!」

『コンビニ』

「いらっしゃいませ!」
「いらっしゃいませ!」
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「あのう?」
「はい?」
「ここのコンビニの店員さん。どこにいるんでしょう?」
「さあ?あっ!いらっしゃいませ!」
「いらっしゃいませ!」
「そろそろ休憩の時間では?」
「では、お先に。」

『買い物』

「あーっ!腹減ったなーっ!」
「腹ペコだなーっ!」
「なら、俺が何か買ってくるよ。」
「おっ!悪いな。」
「じゃあ、コンビニ行ってくるけど、何がいい?」
「・・・・・・・・・愛かなぁ。」
「アイス?ホット?生は危険だぞ!生は!」

『ジャンケン』

「ジャンケンしようぜ。」
「オーケー。」
「ジャンケン!」
「ポン!」
「おいおいおい、ポン!じゃなくって、ジャンケンはポイ!だろ?」
「じゅ、銃はしまえよ!?銃は!?」

『好きな女性』

「お前、殺したいほど好きな女っている?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「えっ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ええっ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「えええっ!?」
「・・・・・・・・・いない。」
「いるでしょっ!てか、殺したでしょ!そのいないって、殺したからでしょ!いや、鈍器のような物はしまえよ!?鈍器のような物は!?」

『ボクサー』

「僕、今度のタイトルマッチ用に新必殺パンチを考えてみました。」
「ほ~。」
「これを食らったら、相手は一発でKOです。」
「見せてみな。」
「コズミックパーンチっ!」
「こいつは驚いた!?」
「どうでした?」
「うん、やっぱり僕、じゃなくって俺、の方がしっくり来る!当日は、俺で行こう!」

『ノーベル賞』

「えっ、いつの間に!?なに?これはいったい、ノーベルなに賞?」
「それは、ノーベル起きたで賞だ!わっはっはっ!因みに私は・・・・・・・・・。」
「フンガーッ!」
「寝てる!?」
「フンガーッ!」
「ならそれは、ノーベル二度寝で賞だ!」

『記憶喪失』

「先生!思い出して下さい!あのガキは、いったいどこなんですか!」
「すまん。思い出せん。」
「お願いします先生!思い出して下さい!」
「う~ん・・・・・・駄目だ!思い出せん。すまん、刑事さん。」
「いいですか?先生、あのガキは、この国の国家機密を保持しているんですよ!あの事件での生き残りは、先生!あなただけなんですよ!」
「あっ!」
「思い出したんですね!」
「思い出した!」
「いったいガキは!あのガキはどこなんですか!」
「今日は、わしの誕生日だ!」
「ハッピーバースデー!」

『例え話』

「例えばここが地球だとする。」
「地球って?なに?」

『手を上げろ!』

「やっとここまで追い詰めたぞ!さあ!もう逃げられないぞ!銃を置いてゆっくり手を上げろ!」
「やだっ!!」
「なら、しょうがないな。」

『告知』

「どうも、どうも。」
「先生。」
「えー、この前の検査の結果が出ました。」
「その事なんですけど、先生。」
「はい?」
「もしも私が、死の病だとしたら告知しないで欲しいんです。」
「分かりました。」
「ありがとうございます。」
「では、検査のけけけ結果なんですが、ととととくに、いいい異常はありまありまありませんでした。」
「ヘタクソかっ!」

『眼医者』

「今日は、どうしました?」
「奥歯が痛いんです。」
「よし!抜こう!」

『結果』

「社長、明後日に行われる会議なのですが。」
「ああ。」
「その会議の結果。」
「えっ!?えっ!?タイムトラベラーなの?なら、教えてくれ!このミステリー小説の犯人を!」

『小説家』

「書き上がりましたか?」
「あとちょっとで終わる。」
「いや~、それにしても先生の作品は、毎回スゴい人気ですからね。この作品は、今回で最終回ですが、次回作も期待していますよ。」
「よし!」
「書き上がりましたか!」
「つづく、と。」
「登場人物が全員死んだのに!?続けちゃうの!?」

『はやくしろよ』

「おい!時間がないんだから、はやくしろよ!」
「時間がないのに、はやくしろとは、これ、至極滑稽なお話なり。」

『交番』

「すいません。ちょっとお訪ねしたいんですが?」
「はいはい。」
「あのう。ここの家には、どうやって行けばいいんですか?」
「真っ直ぐ行った所に大きな銀杏の木がありますよね?」
「はい。」
「今、地図を持って来ますね。」
「えっ!?銀杏の木の立場は!?」

『たんこぶ』

「昨日、頭ぶつけちゃってさ。ここんとこに、たんこぶ出来ちゃったよ。」
「チョォォォォォォォプッ!!」
「あいたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

『出血』

「おい!お前、耳から血が出てるぞ!」
「お前!出てないぞ!」
「そんなバカなっ!?」

『いたずら電話』

「最近、いたずら電話が多いんだよ。」
「ふぅっ!人気者~!」

『寿司屋』

「トロもらおうかな?」
「おっ!お客さん、通だねぇ!はいよっ!」
「うんまいっ!じゃあ、次もトロもらおうかな?」
「おっ!お客さん、粋だねぇ!はいよっ!」
「うんまいっ!じゃあ、またトロもらおうかな?」
「おっ!お客さん、乙だねぇ!はいよっ!」
「うんまいっ!じゃあ、最後に玉子もらおうかな?」
「ぶっ殺すぞっ!!」

『くしゃみ』

「はっくしょん!」
「おっ?風邪か?」
「いや、不治の病。」
「ふ~ん。」

『タクシー』

「ヘイ!タクシー!」
「ヘイ!キャクー!」
「ハイターッチ!」
「バーイ!」

『料理番組』

「出来上がった物がこちらになります。」
「早っ!?」

『犬のフン』

「うわっ!」
「どうした!?」
「犬のフン踏んじゃったよ!」
「いや、それは違うな。お前が犬のフンを踏んだのではなく、犬のフンがお前を踏ませたんだ!」
「ホントか!?」
「いや、ウソだ!!」

『ジェスチャー』

「え~っと、ゴリラ!」
「正解!」
「じゃあ、次は俺な!」
「おいといてっ!」
「大正解!」

『告白』

「俺、卒業式の日に告白しようと思って。」
「本当かよ!?何て言うんだ?」
「今の気持ちをストレートに、好きだ!付き合って下さい!って。」
「だめだめ。そんなんじゃだめだって!」
「何でだよ。」
「あのなぁ。告白ってのはなぁ。ストレートに言うより遠回しに言って、自分は貴女の事が好きなんだ!って相手に気付かせるロマンチックな言葉を伝えるんだよ!」
「なるほど!ロマンチックにか!」
「ほら!ロマンチックに!」
「メロン!」
「えっ?」
「えっ?」
「パンプキンだろ?」
「そっか!」

『死刑』

「ここが処刑場かぁ~!ここで死刑執行するのかぁ~!死・・・死刑・・・死刑を・・・・・・し・・・・・・執・・・・・・行・・・・・・・・・」

第百二十七話
「ショートショートなショートコントな(後編)」

「ドサッ!」

「終了!」
私の相方を演じていた執行人の掛け声が、処刑場に響き渡った。それは、私への死刑執行の完了を意味していた。
「開始!」
次の掛け声と共に、解体ショーが始まる。その場で待機していた医師達が私の体へ駆け付け、移植を待つ者のために、私の体へメスを入れる。そう、このショートコントは新スタイルの死刑。人は、不条理で意味不明なショートコントを演じ続けていると、脳がストレスを感じ、異常反応を起こし、機能を停止させる。つまり、脳死状態に陥ってしまうのだ。しかし、この現象が何処ででも起こりうる訳ではない。いくら日常生活で不条理なショートコントを山ほど行ったとこで、人は絶対に脳死には至らない。なぜならそれは、死への極限の恐怖と極限の緊張感、死へのカウントダウンと適性と適合の検査の日々、理解不能な環境下での状況下、不条理なショートコント、視界の先で段取りを何度も確認している医師達、その先で祈りを捧げている神父、これらの要素が交わり、初めて起こる現象だからだ。
「よし!ここからは時間との勝負だ!!メスっ!」

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2008年11月26日 (水)

「第百二十八話」

「ギィィィィィィィ!」
「きゃああああああ!」

第百二十八話
「テイストはホラーで」

ある町の外れにある森。その森の奥深くに、ぽつん、と一軒のパン屋さんがあるのは、あまりにも一部の地域を除いては、有名な話だった。もし、この町を訪れる事があったのなら、町の住人達に、どんなパン屋さんなのかを、まずは、尋ねてみるといい。きっと、住人達は、皆こう答えるだろう。
「ホラーだ。」
と。そんな話を知ってか知らずか、今日もまた、絶妙に恐怖感漂う、そこら辺を巧妙に創られた暗く闇ったある町の外れにある森の中を、迷いに迷った麗しき若き女性が一人、そのパン屋さんを、訪れて来た。
「シー!もう、夜なんですから、そんな大きな声で叫ばないで下さい。」
「だだだだだって、パン屋さんかと、おおお思ったから。」
「パン屋さんですよ。どっからどう見ても、パン屋さんでしょ。もう夜なんですから、その震えも、どうにかして下さい。」
「そそそそそう。ならいいの。ここが、パン屋さんなら、それでいいの。」
「だったら、ドア閉めてもらっていいですか?もう、夜なんで。」
「えっ?ああ、ごめんなさい。」
「ギィィィィィィィ!」
「それにしてもここって、パン屋さんって言うか。」
「パン屋さん、て言うか。何です?」
「なんだか・・・・・・・・・ちょっ」
「バタンッ!!」
「きゃああああああ!」
「お客さん。言ったでしょ?もう、夜なんですから大きな声で叫ばないで下さいって。」
「だだだだだって、ドアの閉まる音が遅れて聞こえたから。」
「ああ、それね。もう、夜なんで、立て付けが悪いんですよ。」
「そ・・・そう言う問題なの?」
「違うんですか?」
「ま、まあ、どんな問題でもいいわ。実は私、森で迷っちゃったの。」
「なるほど。もう、夜ですからね。まあ、迷うでしょうね。」
「で、薄気味悪い森の中で灯りを見付けて、歩いて来たらこのパン屋さん?に辿り着いたの。」
「それはそれは、いらっしゃいませ。」
「えっ?ああ、どうも。それでね。」
「今日のオススメは、こちらになってます。」
「そそそそそれは、パン!?なの?」
「咀嚼して、胃袋に流れ着いて、腸を旅して、便に生まれ変わるまでは、パンですよ。」
「そ、そう。」
「あっ!それとも子供に大人気!ご存知!森の動物達を象った。このアニマルパンは、いかがですか?」
「きゃああああああ!」
「ちょっとお客さん。何度言ったら分かるんですか?もう、夜なんですから、大声は困るんですよ。」
「ごめんなさい。ででででも、そそそそのアニマルパン!?」
「もし、今度、また、大きな、声を、出すのなら?」
「・・・・・・・・・なら!?」
「口に手を当てて下さい。」
「わ、分かりました。絶対に、そうします!だから、そのアニマルパンをしまって下さい!」
「はあ、やっぱりアニマルパンは、子供ウケはするけど、若い女性ウケはしないですね。あっ、ナイスガイパンなら、若い女性ウケするんですかね?」
「うっ!」
「ちょっと、ちょっとちょっとちょっとぉ!吐くならトイレに行って下さいよ。だいたい、パン屋さんで吐き気を催すってどう言う事です?もう、夜なんだからって問題じゃ済まされないですよ。」
「ご、ごめんなさい。ちょっと人よりも想像力が豊かなもんで、も、もう大丈夫です。治まりました。」
「バタンッ!!」
「きゃああああああ!」
「お客さんって!!」
「いいい今のは、誰だって驚くでしょ!」
「まあ、今のはさすがに僕も驚きました。」
「でしょ!」
「だからって、大きな声で叫んでませんよ?もう、夜なんだからって、自覚がちゃんとありますからね!それに、もう、夜なんですから、いちゃもんもやめて下さい。」
「本当にごめんなさい。こうやって、口に手を当てながら喋りますから、パンにしないで!」
「パンに?ああ、なるほど。若い男性ウケする美女パンもいいですね。」
「えっ!?」
「そうそう、ちょうど貴女のような麗しき若い女性なんて打って付けの材料ですよ。」
「や・・・やめて、お願い。考え直しましょ!ねっ?落ち着いて、リラックース、リラックース!」
「ケタケタケタケタケタケタ!」
「笑わないで下さい。」
「・・・・・・・・・考え直す必要なんてありませんよ。」
「えっ!?」
「そうでしょ?」
「ちょっと待って。」
「お客さん?ケタケタケタケタケタケタ!」
「わ、笑わないでって!いやよ。絶対にいや!私は、パンになんかならないわよ!」
「そんな下品なパン、作る訳ないですよ。僕が目指すパンは、誰もが美味しいと言ってくれるパンなんですからね。」
「素晴らしい志しだと思うわ。いや、本当、素晴らしいわ。感動して涙が止まらないもの。」
「ありがとうございます。で、お客さんは、いったいどのパンをお買い上げになるんでしょうか?」
「パン?あっ、そうじゃなくって、私は町に戻る道を教えて欲しいの。」
「パン屋さんに来たのに?パンも買わずに町に?戻るんですか?」
「えっ?」
「笑われちゃいますよ?町の人達に、あいつは、パン屋さんに行ったのに、パンも買わずに、帰り道を教えてもらっただけで、パンも買わずに、歩いてパンも買わずに、森を抜けて、パンも買わずに、町へ、パンも買わずに、戻って来たんだ。ってね。」
「わ、分かったわ。何にも買わずに帰り道を教えてもらうなんて失礼よね。」
「何もそんな気を使わなくたって、もう、夜なんですから。」
「いや、いいの。だいたい当初の予定では、パンを買ったついでに帰り道を聞こうと思ってたから、ただちょっと順番がおかしくなっただけだから、気にしないで。」
「そうですか?まあ、それならいいんですけどね。もう、夜なんですけどね。」
「じゃあ、普通の在り来たりな、どこのパン屋さんでも見掛けるような、オーソドックスでスタンダードでノーマルなクロワッサンあるかしら?」
「あっ!ありますよ!」
「一つ下さい。」
「一つ?」
「三つ下さい。」
「三つですね。あんまり沢山だとあれですからね。」
「あれって?なに?」
「クロワッサン同士がケンカしちゃいますからね。」
「ケンカ?」
「冗談ですよ。冗談。」
「ああ、冗談ね。」
「さあ!どのクロワッサンにします?」
「動っ!?」
「もう、夜なんで動きが活発ですけど、味は絶品ですよ。」
「きゃああああああ!」
「お客さんってば!!」
ここは、ある町の外れにある森の奥深くにあるパン屋さん。町の住人達がホラーだと言う、パン屋さん。機会があれば、一度立ち寄ってみてはいかがですか?
「きゃああああああ!」
「もう、夜なんだからって言ってるでしょ!!」

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