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2008年12月24日 (水)

「第百三十二話」

「メリークリスマース!!」
死神?
「お嬢さん?今、俺の事を見て、死神だと思ったんじゃーないかい?」
違うの?
「違う違う!俺様は、死神じゃーない!」
じゃあ、誰?
「俺様は、サンタさんだ!サンタクロースさんだ!」
嘘っ!
「嘘じゃーない!」
なに!?なんでさっきから?どう言う事なの?
「どう言う事って、どう言う事なんだい?」
心が読めるの!?
「ん?ああ、まあな。サンタクロースだからな。それぐらいは朝飯前だ。だから、お嬢さん。お嬢さんは、ベッドで横になってるだけでいい。俺様が心を読んでやるからな。」
殺すの?
「おっとっと、随分と単刀直入に質問をぶつけて来るじゃーないかい?」
殺すのね!
「なぜ?」
なぜって、あなたが死神だからよ!
「お嬢さん!何度言ったら分かるんだい?俺様は、死神じゃーなくって、サンタクロースだ!大きな鎌だって持ってないし、ほら!見るからにサンタクロースって、格好じゃーないかい?」
格好はね。
「おいおいおい。何がそんなに不満なんだ?最後まで残しといた大好きなおかずを食べられた訳じゃーないんだ。もっとこう、スマーイル!スマーイル!」
あたしには、どっからどう見ても死神がふざけてサンタクロースの衣装を着て、命を奪いに来たとしか思えないわ。
「なぜ?」
なぜって、黒いからよ!黒いからに決まってるでしょ!
「ん?クールでいいじゃーないか!」
あたしのイメージでは、サンタクロースは赤と白なの!トナカイのソリに乗ってるの!でっぷりお腹の立派な白髭が生えた白髪のおじいさんなのよ!
「うんまあ、分からないでもないってもんだ。お嬢さんが言ってるサンタクロースは、稀にいるからな。」
稀?稀じゃなくって、それがサンタクロースの王道でしょ!
「お嬢さん。お嬢さんにだけ、特別にサンタクロースの秘密を教えて上げようじゃーないか!」
秘密?
「そう。」
何よ、秘密って!
「サンタクロースは、短命なんだ。」
はあ?
「よーく考えてみりゃ分かるんじゃーないかい?こーんな重労働あるかい?年に1日と言えども、その1日で世界中の人々にクリスマスプレゼントを配るんだ。そりゃもう、サンタクロースサイドからしてみりゃ、命を削る作業さ。じじぃになるまでサンタクロースを続けられるなんて、サンタクロース界から言わせてもらえば、奇跡だ!」
じゃあ、あたしが・・・いえ、あたし達がイメージしてるサンタクロースは、何なの?
「サンタクロースだろ?」
はあ?言ってる意味が分からないわ?だって、おじいさんになる前に、あなた達は、死ぬんでしょ?
「おいおいおい。だから、稀にいるって言ったじゃーないか。まあ、稀にと言っても、今までにそんなサンタクロースは、1人しかいなかったけどな。」
1人!?そんなの本当に奇跡じゃない!
「だーから!奇跡だって言っただろ?そのじじぃは、サンタクロース達の中でも、こう呼ばれてる。伝説のサンタクロースってな。」
伝説のサンタクロース?
「まあ何だ、こっちの世界の事は、詳しく分からないけど、きっとサンタクロースがじじぃである方が、何かと都合が良かったんじゃーないかい?水着の女や鼻たれ小僧や犬がサンタクロースじゃーあれだろ?なっ、あれだよ。」
まあ、確かにあれだけど、ねぇ?
「ん?」
その伝説のサンタクロースって、もう死んじゃったの?
「そりゃお嬢さん!死んじゃったから伝説って言うんじゃーないか!」
そう・・・・・・・・・。
「んん??ん?何かと残念そうだな?チョコレートの詰め合わせで、最後に食べようと楽しみに取っといたヤツに、お酒がドリュッと入ってた感じかい?」
・・・・・・・・・まあ、そんな感じよ。
「なるほどなるほど。そりゃー大変残念だな。」
あたしね。
「ん?」
小さい頃、そのサンタさんにプレゼントを貰った事があるの。
「おお!そりゃお嬢さん!ラッキーメリークリスマスだな!」
ねぇ?
「ん?」
どうして?どうして、あたしには、そのサンタさんの記憶があるの?
「記憶があるって、そりゃお嬢さん、記憶があるからじゃーないかい?」
そう。でも、今までずーっと忘れてた。死神と話してて思い出したのよ!
「サンタクロースさんだ!」
サンタクロースには、寝ている人間を起こさない為、金縛りと睡眠術の力があって、その力を使ってプレゼントを寝ている間に靴下に入れるんだって、今日はサンタクロースの世界で1番忙しい日だって、サンタクロース達が宇宙中にプレゼントを配り届けてるって、あの日あのサンタさんが言ってたわ!
「て事はあれだ。」
あたし、あの日、プレゼントなんていらない!サンタクロースに会いたい!そう願った。
「それだ!」
そしたら、本当にサンタクロースに会えた!
「良かったじゃーないか!うんうん。」
でも、誰も信じてくれなかった。あたし、サンタさんに会って、話までしたのに、一緒に笑って話までしたのに、誰も・・・・・・・・・。
「そりゃお嬢さん。あれだな?ゆで卵か生卵かは、割ってみなけりゃ分からないってヤツだな!」
ちょっと違うわ!
「ズコッ!」
あの日からずっと、ずっとあたしは・・・・・・・・・。
「サンタクロースはいないか?」
そう。サンタクロースを信じなくなった。
「そして、いつの間にか忘れた。」
・・・・・・・・・・・・・・・。
「まあ、あれだ。あれあれ、サンタクロースなんて、いたっていなくたって死にゃーしないんだ。それはそれでお嬢さん。いいんじゃーないかい?」
でも、やっぱりサンタクロースは、いたのね!
「そりゃーいるさ!だいたい、目の前に疑いようのないぐらい存在してるじゃーないか!」
死神だけどね。
「おいおいおい。いい加減にサンタクロースさんだって怒るぞ?俺様は、死神みたいなサンタクロースさんなんだーよ!」
ふ~ん。
「何なんだ?そのリアクションの薄さは?ここもっとこう、あれじゃーないかい?」
はいはい。
「はいはいってお嬢さん!そりゃないんじゃーないかい?」
ありがとう!
「ん?」
約束、守ってくれたんでしょ?ブラックサンタさんは?
「・・・・・・・・・。」
あの時あのサンタさんも同じ事を言ってた。サンタクロースがいてもいなくても、あたしの人生になんの支障もないって、でも嫌だった。サンタクロースを信じなくなっちゃう自分がすっごく嫌だったの。
「んで、泣きまくるお嬢さんに、じじぃは約束した。10年後のクリスマスにまた会おう。」
そう。読んだんでしょ?
「お嬢さんがその時、じじぃに書いた約束の手紙をか?どっかのお人好しな死神サンタクロースさんが見付けて読んだ?ないない。そりゃないってもんじゃーないかい?お嬢さん。」
今日なんでしょ?
「ん?」
伝説のサンタクロースが死んじゃったのって、だからあなたは、黒い服を着てるんでしょ?
「さあな?俺様は、この服装が気に入ってるだけさ。」
・・・・・・・・・・・・・・・。
「おいおいおい。何なんだ?サンタクロースが目の前にいるってのに、そんな悲しい顔はないんじゃーないかい?」
・・・・・・・・・・・・・・・。
「今日は、楽しいクリスマスじゃーないか!スマーイル!スマーイル!」
・・・・・・・・・・・・・・・。
「メリークリスマース!!」
・・・・・・メリークリスマス。
「メリークリスマース!!」
・・・・・・メリークリスマース!!
「そうそうそう!メリークリスマース!!」
メリークリスマース!!!
「その笑顔!その笑顔!その笑顔!クリスマスってのは、そうじゃーないと!メリークリスマース!!」
メリークリスマース!!
「いいじゃーないか!やれば出来るじゃーないか!」
当たり前でしょ!
「おおっと!そうくるかい!ははっ!じゃっ、俺様はそろそろ帰らしてもらおうじゃーないか!」
ありがとう。
「こちらこそ。ってヤツだな!じゃっ!」
死神さん?
「おいおいおい!最後の最後にまたそれかい?」
また、会えるよね?
「当たり前じゃーないか!俺様は、伝説の血を受け継ぐサンタクロースさんだからな!」
・・・・・・・・・メリークリスマス・・・サンタさん。
「・・・・・・・・・メリークリスマス・・・お嬢さん。」

第百三十二話
「サンタクロースは
 忘れた頃にやって来る」

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