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2009年1月28日 (水)

「第百三十七話」

 俺の名前は、ミスター定規。そして、俺の横で酒場に来たってのに、酒も飲まず、さっきからずっと眼鏡を拭いてるのは、ミスター眼鏡。俺達2人は、ミスターパパ率いるミスター海賊団の一員だ。ミスターパパと言えば知らない者はいないだろう。だから、あえて面倒臭い説明は、省かせてもらう。だが、俺達2人が海賊だってのにどうして陸の上の酒場にいるのかは、説明させてもらおう。伝説の宝と言えば、誰もが知っているだろう。そう、俺達ミスター海賊団は、世界に散らばる伝説の7秘宝の1つを発見しちまったんだ。7秘宝と言えば、いままでに『豪華な小銭』『筋肉質なサボテン』『あまりにも巨大過ぎるアンモナイトの化石』『冒険野郎の冒険日記』の4秘宝が発見されてたのは、あまりにも有名な話だ。で、今回俺達ミスター海賊団が発見した『逆さ天秤』で5秘宝になった訳だ。ちょっと話が横道に逸れたが、7秘宝を取り扱う機関がこの王国にあって、今は港に船を停泊させてるって訳だ。そして、俺とミスター眼鏡は、船長達が秘宝を持ってその機関に鑑定換金しに行ってる間の暇潰しで、城下町の酒場に来てるって訳だ。どうも俺は苦手なんだよ。ああ言った堅苦しい場所に行くのはな。
「ミスター眼鏡!いったいお前は、いつまで眼鏡を拭いてりゃあ、気が済むんだ?」
「ピカピカになるまでに決まってるじゃないか。ミスター定規は、定規の手入れとかしないで平気なの?」
「平気も何も、おい?ここは酒場だぞ?酒飲む以外に、いったい何をするってんだ?」
全く、こいつの用心深さには、ほとほと呆れる。だいたいミスター海賊団にケンカ売るような自殺行為、しようってヤツは、こっちの海にはいる訳がねぇ。まあ、いるとすりゃあ、よっぽどのアホか命知らずのルーキーぐらいなもんだ。そもそも狙撃手が酒場で眼鏡拭いてるなんて、全くナンセンスにも程がある。
「コンタクトにしたらどうだ?」
「えっ?ヤダよ。だって、ゴロゴロするし、だって、目に何か入れるのって、やっぱ、凄く怖いもん。」
「慣れだろ?んなもん。」
「じゃあ、ミスター定規は、三角定規を目の中に入れられる?」
「無理に決まってんだろ!」
「でしょ?」
「あのなぁ?俺は、コンタクトレンズの話をしてるんだよ。目に何だったら入れられるか?って話なんかしてないんだよ!」
「でもあれだよ?」
「何だよ!」
「僕がコンタクトにして、仲間を援護してる時に、コンタクトがズレたら大変な事になるよ?」
「お前、この前の超獣との戦いの時に、眼鏡ズレて大変な事になったろ!弾が当たったのが船長じゃなきゃ、あれ死んでたからな!」
「だから拭いてるんじゃないか。」
「何だ?拭けばズレないのか?」
「ズレないっ!!」
「サラッと断言しちゃったよ?根拠もない事をサラッと断言しちゃったよ?」
「イエイ!」
「イエイ!じゃねぇよ!秘宝を発見して、徒歩海賊団と一戦交えた時もそうだ!眼鏡がズレたじゃねぇか!弾が当たったのが船長じゃなきゃ、あれ死んでたからな!それだけじゃねぇぞ?まだまだお前の眼鏡がズレた話はあるんだぞ!」
「イエイ!」
「どの辺がだ!どの辺がイエイだ!船長は、大笑いして許してたけど、何で毎回毎回眼鏡がズレる度に、船長を撃っちまうんだ?何だ?あれか?お前は、密かに船長の座を狙ってんのか?」
「僕が狙ってんのは、仲間に襲い掛かって来る敵だけだよ。」
「説得力っ!説得力が微塵もねぇ!」
「あははっ!」
「どのタイミングで、あははっ!なんだよ!お前、次やったら、ミスター傘に殺されるからな。」
「それだけはご勘弁!」
「だったら、コンタクトにしろ!」
「それだけはご勘弁!」
「どれだけだ!俺は、どれだけお前をご勘弁すりゃ、いいんだ!」
「イエイ!」
「馬鹿にしてんのか?測るぞコノヤロウ!」
まあ、いつも通りに馬鹿やってる俺達の元に、このあとよっぽどのアホがやって来た。案の定、それは命知らずのルーキーだった。ミスター海賊団の一員の首を獲れば、一気に名を上げられるとでも考えたんだろう。まあ、考え方は間違っちゃいない。ただ、それを本気で実行しちまうのは、大間違いだ。もちろん、ほんの数秒でカタは着いた。あっという間に、ルーキー海賊団の山の出来上がりだ。
「そ、そんな馬鹿な!?」
「やれやれ、俺に勝てると本気で思ってた事の方がよっぽど、そんな馬鹿な!?だ。まあ、次に大海原で会った時ぐらいは、もうちょっと強くなってて欲しいってもんだな。」
もちろん、俺が定規で戦ってる最中も、ミスター眼鏡は相変わらず酒も飲まず、眼鏡を拭いてた訳だ。まあ、そこは全然気にする事じゃなかった。ただ、ほぼ全壊状態の酒場は気になったがな。
「どうすんの?ミスター定規。これって、マズイんじゃない?」
「マズイって、言われてもなぁ。こいつらが売ってきたケンカだぞ?」
そして、間も無くして船長達が秘宝を換金した大金を持って、俺達がいる元酒場へやって来た。
「がっはっはっはっはっ!!」
大金の半分以上を酒場の店主に弁償代として渡した船長は、大笑いだったが、一緒にいたミスター経理は、そうもいかなかった。俺とミスター眼鏡は、残りの2秘宝、『空のクレヨン』と『究極なる肉球』を探す為、再び大海原へ出たミスター海賊団の船の中で、ミスター経理に長々と説教される羽目になっちまった。

第百三十七話
「ミスター経理は、女」

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