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2009年3月18日 (水)

「第百四十四話」

「あっんまー!!なにこれ!?なんでこんなに甘い訳?ええっ??ちょっとおかしくない?だって・・・・・・あっんまー!!」
「どうした?」
「アナタ、丁度いい所に来てくれたわ!」
「ん?」
「これなんだけど。」
「これがどうしたんだ?」
「尋常じゃないくらい甘いのよ。」
「これが?」
「それが!」
「嘘だろ?」
「嘘じゃないわよ。あっんまー!!ってくらい甘いんだから!」
「お前、あっんまー!!ってくらい甘かったら、穏便じゃないぞ?」
「だから、尋常じゃないって言ってるじゃない!」
「はあ!?」
「ああ!?」
「いいか?例えばこれがな?」
「いや、例え話とかどうでもいいから!一口いっちゃってよ!」
「お前、俺から例え話とるなよな!俺から例え話とってなんになる?例え話あっての俺だろ!例え話があったからこそ!俺達は、こうして穏便な夫婦生活を送ってるんだろう!」
「例えそうだとしても、今ワタシはアナタにすぐこの尋常じゃないくらいの甘さを体感して欲しいのよ。例え話はそれからでもいいじゃない。ねっ?例え話は逃げやしないわよ。」
「はあ!?」
「ああ!?」
「なら、甘さは逃げんのか?って話だぞ?」
「逃げるかどうかまでは分からないわ!でも、アナタ知ってる?地球上で一番速い乗り物の燃料には、甘さが使われてるのよ?分かる?この意味!甘さは、逃げやしないかもしれない!けど、速いのよ!甘さは物凄く速いの!今、ここで甘さに逃げられでもしたら、もう二度と私達は、甘さに追い付く事なんて出来ないのよ!」
「はあ!?」
「ああ!?」
「分かったよ。とにかく飲めばいいんだろ?。これが甘い訳ないじゃ・・・あっんまー!!」
「ほら!あっんまー!!でしょ!」
「あっんまー!!だ!なんだこれ!?なんでこんなに甘いんだ!?」
「でしょでしょ!甘いのよ!なんでかよく分からないけど、とにかく尋常じゃないくらい甘い訳よ!」
「穏便じゃないくらい甘いな!」
「ああ!?」
「はあ!?」
「まあ、とにかく甘さを体感してもらえて良かったわ。」
「ちょっと待て!」
「どうしたの?」
「いやなに、単純な話さ。極々単純で、在り来たりな話だよ。これ、単純に砂糖を入れただけなんじゃないのか?しかも、この穏便じゃないくらいの甘さ、穏便じゃない量の砂糖が入ってるんじゃないのか?」
「ちょっと待ってよ!ワタシ?ワタシを疑ってる訳?」
「まあ、疑ってないと言ったら、嘘になるかな。」
「ちょっと考えてみてよ!尋常じゃないくらいの甘さになる程の尋常じゃないくらいの量の砂糖を入れてる事に、ワタシは最後まで気付かなかったとでも言う訳?そんな人いる?砂糖でいったら一袋や二袋の騒ぎじゃないのよ?数十よ!数十!砂糖を数十袋使い切るまで、ワタシはワタシが砂糖を入れてる事に気付かなかった訳?有り得ないわ!そんな尋常じゃない事!もっと言えば!なんでワタシは砂糖なんか入れようと思った訳?」
「まあ、言われてみれば確かにそうだな。」
「それに!」
「ん?」
「今この家には、砂糖はないわ!」
「なんだって!?」
「いいえ。今だけじゃないわ!この家に砂糖があった事なんて一度もないのよ!」
「そんな馬鹿な!?家に砂糖が無かっただって!?だったら、俺が今までこの家で体感してきた!あの甘さやあの甘さ、ましてやあの甘さは、いったいなんだったって言うんだ!」
「ああ!?」
「はあ!?」
「とにかく!そんな過去を振り返ってる場合じゃない訳よ!それに、尋常じゃないくらい甘い現実は、なにも変わらないのよ!それはもう!疑いようのない真実なのよ!」
「確かに疑いようのない事実かもしれない。」
「ああ!?」
「はあ!?」
「とにかく、目の前には、疑いようなんてない現実があるのよ!」
「そんな疑いようのない現在がここに存在してるとしてだ!」
「ああ!?」
「はあ!?」
「としてなによ!」
「別にいいじゃないか。穏便じゃないくらい甘くたって、いいじゃないか。捨てれば済む事だろ?」
「ああ!?」
「はあ!?」
「ええ、そうよ!捨てればキレイさっぱり無かった事になって、私達は元の生活に戻れるわ!こんな事があったのなんて忘れてしまうぐらいの時が経って行くかもしれないわ!でも本当にそれでいい訳?そんな簡単に、その尋常じゃないくらいの甘さを忘却していい訳?だってそうでしょ?もしもよ?もしもまた、ある日突然、その尋常じゃないくらいの甘さがやって来たらどう?私達はきっと後悔してこう言うわ。なんであの時、私達は甘さを忘れる事を選んだのだろう。って、そしてきっと、こうも言うわ。なぜ、もっとあの時、甘さと真剣に向き合う事を私達は恐れたのだろう。と。」
「はあ!?」
「ああ!?」
「じゃあ、いったいどうしろってんだよ!この穏便じゃないくらいの甘さを!甘さの専門機関にでも頼んで!甘さの原因を究明してもらえばいいのか?甘さの真相を突き止めてもらえばいいってのか?甘さに隠された謎を!表沙汰にでもすればいいのか!白日の下に曝せばいいのか!そんな事して、いったいなんになる!そんな事したって、ただ、俺達が虚しくなるだけだろうが・・・・・・・・・。」
「ああ!?」
「はあ!?」
「どうしてそういつもいつも、マイナス思考なのよ!甘さに逃げられたとしても、甘さから逃げるような事しないでよ!」
「はあ!?」
「ああ!?」
「とにかく、今は言い争ってる場合じゃない。」
「そうね。そうだったわね。いろいろ酷い事を言っちゃって、ごめんなさい。」
「それはお互い様さ。俺の方こそ、悪かったよ。ごめん。」
「ああ!?」
「はあ!?」
「とにかく、一度冷静になりましょ。」
「そうだな。」
「でも、いったいどうしたらいい訳?」
「・・・・・・・・・冷静に考えてみれば、捨てれば済むって問題でもなさそうだ。」
「そうよね。」
「よし、とりあえず局に電話だ。」
「そうね。でも、万が一それでもどうにかならなかったら?」
「それでもどうにかならないようなら、やむを得ない!引っ越しだ!」
「そんな!?」
「当たり前だろ!こんな状態じゃ、風呂に入る気にもならないし、ましてや危なっかしくて歯磨きすらままならないんだぞ?」
「そうよね。そうするしかない訳よね。」

第百四十四話
「水道水」

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