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2009年3月25日 (水)

「第百四十五話」

「僕は、死ぬんですか?」
「申し上げにくいのですが、死にます。」
「ガビーン!」
「余命7日です。」
「もいっちょ、ガビーン!って、余命7日!?余命7日って、ガビーン!とか、ふざけてる場合じゃないじゃないですか!」
「ふざけていたのですか?私は、てっきり本当にガビーン!と驚く人がいるのだと、家に帰ったら早速、妻に話そうかと思っていましたよ。」
「ふざけてるに決まってるでしょ!何が、ガビーン!ですか!」
「いや、それは貴方が・・・・・・。まあでも、この状況下で、よくふざけられましたねと、ある意味感心しますよ。」
「感心してる場合ですか!僕の余命は、7日なんですよ!まあ、余命が7日だって聞くまでは、それとなく根拠のない余裕がありましたけど・・・・・・・・・。」
「それは別名。パニックと言うのでは?まあ、落ち着いて聞いて下さい。余命7日と言いましたが、実は余命7日ではないのです。いや、実際に余命7日と言うのは本当なのですが、余命7日ではないのです。」
「はい???ハテナが3つですよ?先生が落ち着いた方がいいんじゃないですか?つまりあれですか?手術したり、薬を投与したりすれば完治するって事ですか?」
「まあ、医学的に言えば、そんな感じに似ています。」
「医学的に言えば?ここは病院ですよね?どゆこと???」
「手術や薬では、この病気を治す事は出来ません。いや、この病気を完治させる事は、現代の医学では不可能なのです。」
「はあ???」
「まあ、はあ???でしょうね。はてなが3つでしょうね。分かります。その、はあ???な気持ち。最初にこの病気についての発表があった時、私も、はあ???でしたから。」
「何が言いたいんですか?」
「病気について、順を追って説明していきましょう。まず、この病気は貴方の職業と深い繋がりがあります。」
「僕の職業?物書きですか?」
「ええ、しかし全ての物書きの方がなってしまう病気ではありません。この病気になるのは、貴方のような小説を書いている方。いわゆる短編小説家の方だけなのです。」
「いや、全く意味が分からないんですけども?」
「原因は分かりません。ただ、一説によると、短編小説家は、他の小説家に比べ、新作を書くペースが極端に早い為だと言われています。」
「短編小説ですからね。そりゃ、新作を次から次へと生み出し書き上げていますよ。」
「新作病。そう我々はこの病気を呼んでいます。」
「新作病!?」
「短編小説家が、次から次へと新作を生み出そうとした結果。脳に思わぬ負担をかける事になってしまったものだと考えられます。」
「ちょ、ちょっと待って下さい!なら、短編小説家はみんな新作病になるって訳なんですか?」
「いえ、違います。発症するのは、新作を書くペースが一週間以内の短編小説家の方です。発症したら最後、先程も言いましたが、現代の医学では、どうしようもありません。」
「ならやっぱり!僕の余命が7日って事には、何の変わりもないじゃないですか!」
「ええ、7日です。そこに変わりはありません。ただ!」
「ただ?」
「余命7日事態を引き延ばす事は可能です!」
「おいおいおい!余命を引き延ばすだって!?なにそれ???」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・えっ!?いや、馬鹿な!?そんな事が現実に有り得るはずがない!?冗談でしょ?」
「冗談ではありません。その通りです。今、貴方がお考えになった事は、おそらく正解です。」
「書き続けろって事・・・・・・です・・・・・・か?」
「そうです!余命7日以内に新作を書き上げれば、余命7日事態が更新されるのです!」
「そんな無限ループ的な時限爆弾的な!?」
「爆発させなければいいだけの事ですよ!いいですか?これが現実なのです!でも、考えようによっては、余命7日など、あってないようなものではありませんか!そうでしょ?」
「どうでしょ?なくは、ないでしょ。だって、あるんだから!」
「なくはないです!ただ、新作を書き続ければ死にません!」
「まあ、そうなんでしょうけども。」
「貴方なら、それが出来る!」
「随分と、簡単に言ってくれちゃいますね。」
「違いますか?それとも私は、貴方の事を買い被り過ぎたのでしょうか?」
「さあ?まあでも、病気の正体が分かって少しだけ、安心しました。」
「何のお力添えにもなれなくて、申し訳ありません。」
「いや、十分に先生は力になってくれましたよ。少なくとも、今回の余命7日は、更新されましたからね。」

第百四十五話
「余命更新完了」

「さすが短編小説家さんだ!新作病の事を新作の短編小説にしてしまうだなんて!素晴らしい!貴方なら、新作病を乗り越えられるかもしれない!」
「いやいや、それほどの者です!じゃあ、僕はこれで、また新作を書き上げなければなりませんからね。」
「そうでしたね。」
「お世話になりました。」
「あっ!」
「まだ何か?」
「もう1つの病気の方の余命の告知がまだ・・・・・・・・・。」
「ガビーン!」

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