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2009年11月11日 (水)

「第百七十八話」

「おはよう、奥さん。」
「おはよう、旦那さんって、何なの?このやり取りは?」
「まあまあ、今日は、奥さんと旦那さんとの間柄で行こうじゃないか。」
「結婚してから、ずっとソノ間柄でいたつもりだったけど?」
「そっかぁ。あれからもう5年。僕らも30代半ばの夫婦になったもんだ。」
「ええ、まあ、その通りだけど、何?」
「何って?」
「だから、さっきから何と無く説明口調な感じは、何なのって?」
「何か目に見えない都合上、説明口調で朝を迎えなきゃならない時だってあるんだよ。」
「はあ???」
「朝だね!」
「朝だよ。」
「うわぁ!朝御飯が、テーブルの上に用意されている!」
「されているわよ。」
「パンとスクランブルエッグとサラダ、それにコーヒーだね!」
「何なの?旦那さんは、年末にでも何か演劇やらミュージカルの公演でも控えてるの?」
「いいえ、違います。旦那さんは、ただのサラリーマンです。」
「何で、英語の教科書口調よ!」
「まあまあ、気にせず朝御飯を、いざ!いただこうじゃないか!ささっ、座って座って!奥さん、遠慮せずに!」
「何で、我が宅で、遠慮する必要があるのよ!」
「座ったね!」
「ええ。」
「じゃっ、ちょっとだけ、わたくしこと、旦那さんから、お話が御座います!」
「いつから、そんな面倒臭い人間になった?」
「アレだよね?僕ら夫婦って、いつもいつも、ホント下らない事でケンカしちゃうよね。いただきます!」
「いや、何かもう、何を言っていいんだかさっぱりだわ!何?もう、食べていいわけ?」
「プリーズ!」
「何でニヤニヤしてんの?」
「まあまあ、気にしない気にしない!」
「いや、気にせずにはいられないって!」
「じゃっ、僕は、パンにバターでも塗ろうかな?」
「じゃあ、終わったら貸して。」
「えっ?」
「何?」
「塗るの?」
「塗るよ。」
「パンにバターを?」
「当たり前でしょ。」

第百七十八話
「終わっちゃった!?」

「何、急にわけの分からない事を大声で言うわけ?ビックリするでしょ!」
「がっかりだよ!」
「はい、質問。」
「はい、奥さん君。」
「会議中かココは!あのう?がっかりされる覚えもないし、終わっちゃったの意味もよく分からないんですけど?」
「いやだってさぁ。いただきますの前に、フリがちゃんとあったじゃん。」
「フリ?フリなんてあった?」
「んもう!だから、貴女は、奥さんなんだよ!」
「意味の分からないキレ方しないでよ。」
「いいですか?奥さん、当時をよーく思い出してみて下さい。」
「犯人逮捕目前か!何、いただきますの前?」
「確か僕は、こう言いましたよね?僕ら夫婦って、いつもいつも、ホント下らない事でケンカしちゃうよね。いただきます!と。」
「ああ、言ってたわ!言ってた。わけの分からない事を言ってました。」
「じゃ、何で旦那さんがパンにバターを塗るって言ったら、奥さんもパンにバターを塗っちゃうんだよ!そこはアレだろ!片方がパンにバターを塗る派で、もう一方がパンにバターを塗らない派だろ!そこで一悶着だろ!そんな構図で我が家は成り立ってんだろ!」
「成り立つかっ!ごめん。全部聞いても理解に苦しむ結果になったわ。」
「だからー!下らない事でケンカしちゃう夫婦なんだから、下らない事でケンカしちゃわないと!じゃなきゃストーリーも何もあったもんじゃないじゃないか!ましてや、どんでん返しもへったくれもなきにしもあらずじゃないか!」
「何をそんなに支離滅裂に一生懸命怒ってんの?」
「一生懸命に怒る時は人間、支離滅裂になるもんさ。うん。って、黄昏時に黄昏ている場合じゃなかったわい!何で怒っているのかだって?そんなの奥さんがパンにバターを塗ろうとするからに決まってるだろ!」
「もう、あえてイロイロ突っ込まずに流して結論だけを掻い摘まんで言っちゃいますけど、だったら!旦那さんの方が、進んでパンにバターを塗らない派になればいいじゃない!」
「イヤだーっ!!!」
「うわぁ・・・・・・・・・うわわぁ、子供かよ。ちょっと、引くぐらいな感じだったわよ?ソレ、外では絶対やらないでよ?」
「やらせてなるものかっ!」
「心の中に誰かいるわけ?とにかく、もう食べていい?」
「いいわけないだろ!お前は、何だ!不思議ちゃんか!」
「はあ???」
「パンにバターを塗る塗らないで、ケンカしよーぜ!ケンカしちまおーぜ!っつてんの!なのに、何を厳かに締め括ろうとしてるんだよ!」
「お前だ!不思議ちゃんは!何でケンカしなきゃならないんだ!」
「下らない事でケンカしちゃう夫婦のさ。面白おかしいなケンカをさ。見てもらおうよ。」
「ケンカに面白いとかないだろ!」
「いや、ケンカってさ。してる当事者達は気付いてないけど、一歩引いたとこから見れば、相当、面白おかしいぜい?ケンカって、そんなもんだぜい?」
「どこの誰だよ!」
「ココの旦那さんだーっ!!」
「情緒不安定か!とにかく、旦那さんは、ケンカしたいかもしれないけど、奥さんの方は、まっぴらごめんなの。」
「じゃっ、僕は、パンにバターでも塗ろうかな?」
「いや、奥さんの話、ちゃんと聞いてた?言っとくけど、そんなフリ何回やろうとも、塗るわよ?奥さんは、パンにバターを好きなだけ塗るわよ?」
「土下座しても?」
「ええ、単なる土下座損に終わるわね。」
「土下座損は、イヤだな。土下座はいいとして、損と言う部分に心が傷付き、そしてもう二度と立ち直れなくなるもんな。」
「どんなトラウマの持ち主よ。」
「分かった!パンにバターを塗る塗らない戦争は諦めるよ。」
「いつからそんな、規模が膨れ上がった?」
「戦争は良くないもんな。そう言う大人の身勝手な事情に、パンとバターを巻き込むわけには、いかないもんな!戦争反対!ジャム廃止!」
「新たにジャムまで巻き込まないでよ。まあ、とにかく食べていいのね?」
「御意!」
「いや、御意は、どちらかと言えば、こっち側のセリフだから!」
「いただきます!」
「マイペースもいいとこね。いただきます。」
「ほら、バター。」
「ありがとう。あっ、その砂糖使い終わったら、次貸してね。」
「何だとーっ!!!」
「もういいってばっ!」

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