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2010年2月10日 (水)

「第百九十一話」

 ドアを開けるとそこには、美しすぎる女性が立ってた。話を聞くと、どうやら僕が、どこかで助けた、何かのようで、その恩返しに来たのだって言う。玄関で立ちすぎる話も何だから、僕は美しすぎる女性を部屋に上げて、詳しく話を聞く事にした。因みに、僕の心の中には、不思議すぎるほど下心みたいなものはなかった。それはきっと、たぶんおそらくすぎるぐらい、目の前の美しすぎる女性が、実は何かが恩返しの為に、人間の姿へと化けすぎてるって事を、ギリギリすぎる所で理解しすぎてたからだ。

第百九十一話
「何かの恩返し」

玄関で立ちすぎる話だろうが、リビングで座りすぎる話だろうが、相変わらずすぎるほど、美しすぎる女性は、美しすぎる。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「どうかなさいましたか?」
「えっ!?」
「大丈夫ですか?」
っと!危ない危ない!見とれすぎてしまった!気を抜きすぎるとヤバイな。ヤバすぎる。持ってかれる。後になって自分は、こんなものに見とれすぎてたのかって、後悔しすぎない為にも、今はギリギリすぎる所で踏ん張りすぎるんだ!その為にも先ずは、何なのかを聞き出すんだ。
「ああ、大丈夫大丈夫。で、恩返しでしたっけ?」
「ええ、そうでございます。」
「う~ん?と、言われてもなぁ?いまいちピンと来ないんだよねぇ?いつどこで、何を助けたんですか?僕は?」
「あの時です。」
「い、いや、もう少し具体的に言ってもらわないと。例えばほら、罠に掛かってたイノシシだとか、トラックに踏み潰されそうだったアリだとか、わんぱくに折られそうだった定規だとか、家にされそうだったダンボールだとか、シャチの餌食になりそうだったクジラだとか、使われないまま捨てられてしまう所だった謎のネジだとか、さ。」
「私は・・・・・・・・・。」
私は?さあ、ほらほら!言ってくれ!言っちゃってくれ!早く僕を、このギリギリすぎる所で踏み止まりすぎてる状態から解放してくれ!ほら!君の正体は?オオカミに食べられそうになってたマスかい?一番先に産み落とされすぎた一番下すぎるウミガメのタマゴかい?それとも、お茶碗の内側の手前側すぎて食べ忘れすぎてるカピカピになりすぎかけそうだったお米粒かい?何かと踏まれる回数の少なすぎるだろう階段の一段目かい?もしくは、あの日の雄のカマキリかい?プレゼントの包み紙かい?あるいは、彩りだけすぎるグリンピースかい?発音される事のなさすぎるアルファベットかい?君は、君は、いったい何なんだい?
「君は?」
「申し訳ございません!」
「はい?」
どうしたんだ?突然、何で謝るんだ?えっ!?ま、まさかの!?まさかのここへ来てのマンションの部屋番を間違ったとかって話じゃないよね?それはちょっとあれだぜ?あれすぎるぜ?やるせなさすぎるほどの話すぎるどころじゃあ、ないぜ?
「本当に申し訳ございません!」
「な、何で謝るんですか?」
「私は、貴方に助けられてここまで来たのですが、実は・・・・・・・・・。」
ほっ!やれやれ、何やらおっちょこちょいすぎる展開に巻き込まれすぎ損な感じが漂いすぎてたけど、何やらそれは僕の考えすぎる考えすぎだったみたいだ。
「実は?」
「実は、ここへ来る途中に、頭を強く打ってしまうと言うトラブルに出くわしまして、貴方に助けらた恩返しをすると言う事以外、自分が何なのか、いったいどこから来たのか、貴方にいつ、どのような形で助けてもらったのか。」
「ま、まさか!?」
「その全ての記憶が無いのです!」
「うわぁっ!!」
って、あまりの想像以上すぎる出来事が巻き起こりすぎて、声が出すぎちゃったよ!ええーっ!ちょっと待ってよ!どうすんの?この気持ちは?僕は何?じゃあ、このギリギリすぎる所で踏み止まりすぎちゃった気持ち、本当は得体の知れない美しすぎる女性なんだって気持ち、それらと所謂な気持ちとの狭間で、いつまで格闘し続けすぎなきゃならなすぎるんだよ!?
「本当に申し訳ございません!でも、恩返しはきちんと致します!私に出来る事があるなら、何なりとおっしゃって下さい!」
ヤバイ!これはヤバすぎるほどにヤバイ展開すぎる!つまりだよ。僕に助けられて、僕に恩返しをしなきゃって記憶以外の記憶がなさすぎるならだよ。自分が帰る所も分からなすぎるわけだよ。で、助けたい症候群すぎる僕がだよ。そんな状況下の美しすぎる女性を放って置くわけがなさすぎるんだよ。て事は、正体不明の僕に恩返しをしたい美しすぎる女性との共同生活がスタートしすぎるわけだよ。そして、記憶が戻らなすぎるまま月日が経つに連れすぎてだよ。共同生活が、同棲生活にいつしか変化しすぎるわけだよ。で、記憶が戻らなすぎるまま月日が経つに連れすぎてだよ。同棲生活が、夫婦生活にいつしか豹変しすぎるわけだよ。更に、記憶が戻らなすぎるまま月日が経つに連れすぎ・・・・・・・・・。ダメだーっ!!それ以上は、いくら想像だからと言って、想像しすぎちゃダメだーっ!!生まれて来た子供の姿が、釣糸が足に絡まりすぎてたカモだとか、ちっちゃくなりすぎた消しゴムだとか、奇抜な色すぎるドロップだとか、雨ざらしだったあのヘンチクリンすぎる像だとか、見るも無惨すぎる公衆便所だとか、って想像しちゃダメだ!これ以上、想像しすぎる事は、危険すぎる!!
「あのう?」
「はい!何でも致しますので、遠慮せずにおっしゃって下さい!」
「そのう?」
「はい!!」
「・・・・・・・・・か。」
「か?」
「か、帰って下さい。」
「えっ!?」
「帰って下さい。」
「しかしそれでは、私の気持ちが!」
「それが何よりもの恩返しです。」
「ですけ」
「いいから!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「早く帰れっ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・分かりました。それで貴方に恩返しが出来るのであれば、喜んで帰ります。お世話になりました。」
美しすぎる女性を見送った僕は、玄関の天井を見つめすぎながら、両手の拳を握り締めすぎながら、必死すぎるぐらい納得しすぎてた。
「これでいいんだ。こうする事が一番なんだ。」
声にならなすぎる震えすぎる声を出して、一生懸命すぎるぐらい納得しすぎてた。
「僕は間違っちゃいない。何一つ間違っちゃいないんだ。」
目を閉じると、美しすぎる女性の顔を思い出しすぎそうだったから、涙が頬を伝わりすぎそうだったから、そんなに頑張りすぎなくてもってほど、頑張りすぎた。
「ああーっ!!」
でもやっぱりそれは、人体の構造上、不可能すぎる事で、僕はその場に泣きすぎて崩れすぎた。それは、得体の知れなさすぎる美しすぎる女性だからって、ギリギリすぎる所で踏み止まりすぎてた後悔に苛まれすぎたからじゃない。目を閉じた瞬間、思い出したんだ。あの美しすぎる女性の正体を!彼女は、買い物袋から坂道を転げ落ちすぎるミカンを一緒に拾い集めすぎて上げた時の単なる美しすぎる女性だったって事に・・・・・・・・・。
「恩返しとか言うからぁぁぁぁぁーっ!!お礼って言ってくれなきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーっ!!ああーっ!!」

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