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2010年3月 3日 (水)

「第百九十四話」

「んっ!?んんーっ!?んーっんーっ!」
何だ?何なのだ?私はいったいどうしたと言うのだ?椅子?私は、椅子に縛り付けられているのか?それに?私の視界と嗅覚と言葉の自由を奪うこれは・・・包帯?なぜ?なぜ何だ?
「んーーーっ!!」
誰か、誰か居ないのか?何だ?私は、いったい何に巻き込まれてしまったと言うのだ?どうなってしまったと言うのだ私は!!
「んーっ!んんんんーーーっ!!!」
理解不可能なこの状況下であっても私には、一つだけ明確に100%的中させる事が出来る予想がある。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
それは、私が巻き込まれたこの現状が、確実に雲行きの怪しい嵐の前の静けさだって事だ。何が起こる?これから私の身に、いったいどんなハリケーンが上陸すると言う?いや、違う。そうでは、ない。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
始めから、分かっていたではないか!しかし、私はパニックと言うハリケーンの目の中にそれを紛れ込ませて、故意にその確率を拒んでいた。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
そう、私の身がどんな悪条件で悪天候な事態に巻き込まれようが、この状況下で、最後に私の身に訪れるのは、死。
「んんーっ!んんっ!んーっ!んーっ!んーーーーーーーっ!!!」
誰か、誰か私を助けてくれ!このままでは、脳ミソが歪んだ快楽殺人鬼に殺されてしまう!
「んんーっんんんんっんんーっ!!」
「うるせぇなぁ。」
「!?」
えっ!?男?
「いい歳したジェントルマンが、取り乱してんじゃねぇよ。孫に笑われっぞ?」
いつから居たと言うのだ?いや、始めからここには私と男が居たのか?なら、この男が私を拉致した張本人!?快楽殺人鬼!?
「んんーっ!!」
殺さないでくれ!お願いだ!
「ルール!」
ルール?
「アンタは、俺の質問に対して、首を縦か横に振る事しか許されない。」
何だって!?しかし、ここで無理に男の要求を拒めば、私は殺される。ここは、男の雲行きと確率を伺いながら、とりあえず質問を受け付けるしかない。
「いいかい?」
「コクリ。」
「OK、なら最初の質問だ。」
「コクリ。」
「明日も天気は、雨か?」
何!?天気だと!?
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「どうした?」
どう言う事だ?明日の天気を知って、いったいこの男は、どうすると言うのだ?いや、考えるな。山の天気と快楽殺人鬼の心は変わりやすいと言うではないか!ここは、素直に質問に答えるのが無難だ。明日は・・・・・・・・・
「さあ?」
・・・・・・一日中晴れだ!
「フリフリ。」
「晴れって事か?」
「コクリ。」
「雨は、降らない?」
「コクリ。」
「なるほど、洗濯日和ってやつか。」
洗濯日和?ああ、確かにこの一週間で言うなら、明日が唯一の洗濯日和だ。連日の雨で溜まってしまった洗濯物を干すなら、この天気の移り変わりが激しい時期での明日を逃せば、デートに着て行く服に困る事になる。
「じゃあな。」
「?」
えっ?じゃあな?そう言って男は、私の肩を軽く叩き、階段を上る足音と共に、去って行ってしまった。
「んんーっ!!」
何が巻き起こっている!?私は、いったい何に巻き込まれいるのだ?

第百九十四話
「気象予報士の地下室」

「明日は、晴か?」
「フリフリ。」
あの日から、いったいどれぐらいの月日が流れたと言うのだろうか?チューブによる栄養摂取とチューブによる汚物排泄で、私は生かされている。
「雨か?」
「フリフリ。」
毎日毎日、男は私の所へ来ては、明日の天気を聞くだけの日々。
「曇りか?」
「フリフリ。」
ただ、それだけで、ただ、それだけの日々。
「雪か?」
「コクリ。」
私が天気を的中させなければ、男はこの地下室から私を解放してくれだろう。
「じゃあな。」
しかし、それは私が二度と空を見られなくなると言う条件付だ。なぜならば、もしも私が明日の天気をわざと外すようならば、男が私を殺す確率は、100%だからだ。

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