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2010年5月19日 (水)

「第二百五話」

―MONDAY―

気付くともう月曜日になっていた。目覚めから今日は、何だかチョップ的な事が上手く出来そうな気がしてならなかった。
「よし!」
だからか分からないけど、僕と言う人間は、朝食も半ばに家を飛び出し、チョップ道場へと道場破りに向かった。
「と、遠いな。」
道場破りとは?意気込んでみたものの。僕も生まれて初めて襲われた感情なんで、あんまり詳しくは分からなかった。でも、僕を全力疾走に駆り立てるものは、道場に辿り着けば、きっと道場の人間が懇切丁寧に教えてくれるはずだ!と言う安心感から来る絶対的信頼感によるものだった。
「たのもーっ!」
「何奴!」
「道場を破りに全力疾走でやって来た!え~と?・・・・・・・・・・・・・・・。」
「道場破りかっ!」
「道場破りだ!」
「貴様ーっ!ここをチョップ道場だと分かっての事かっ!」
「当たり前だーっ!」
「で?道場破りって何?」
「えっ!?」
「業者の人?」
「はい?」
「間に合ってます!」
「ああ、はあ、そうですか。」
夕日を見ながら、石を家まで石蹴れるかに、果敢に挑戦しながら、僕はチョップ道場をあとにした。

―TUESDAY―

月曜日の次の日は、火曜日。これは既に、どこの誰が決めたか知らないけれど、僕が地球に誕生する、ずーっと昔から決められているルール。人によったら、月曜日の次の日が、水曜日の場合がある。だけどそれは単に、火曜日を丸1日眠って過ごしただけの事だ。そんな特殊なケースを除いては、やっぱり月曜日の次の日には、やっぱり火曜日がやって来る。でも僕は、考えた。あまりにも月曜日の次の日が火曜日過ぎるから逆に、こんな疑問にさいなまれた。月曜日の次の日が水曜日だったその人は、果たして本当に火曜日を丸一1日眠って過ごしたのだろうか?と。月曜日に眠り、水曜日に目覚めたら、誰もが疑う事なく瞬時に火曜日を丸一1日寝て過ごしたと考える。そして残念がる。更に無駄を悔しがり地団駄する。遂には無念の極みだと、自己嫌悪に陥る。その他諸々に、自分を責め続けて、責め果てたとこで何の迷いも無しに水曜日を過ごし始める。でも、でも本当は、火曜日が本当に、存在していなかったとしたら?月曜日の次の日が、その時だけ本当に水曜日だったとしたら?カレンダーには、火曜日の文字が書かれているけど、その揺るぎない事実が、或いは揺るいでいたとしら?だけど、僕はこうも考えた。例え揺るいだ火曜日が存在したとしても、誰もが何も言わず、無意識にも気にせず、これっぽっちも疑わずに、やっぱり水曜日を、やっぱりに過ごすんだろうな?と。

―WEDNESDAY―

さてと、水曜日か。
「すいません?」
ボクが水曜日を実感しながら公園のベンチに座って日向ぼっこをしていると、目の前で明らかに命を狙われている乙女が話し掛けて来た。
「何ですか?」
「助けて下さい!」
「ボクが?」
「貴方が!」
これでも近所では紳士で通ってるボクは、目の前であからさまに命を狙われている乙女の頼みを聞いて上げる事にした。
「ボクで良ければ、了解しました。」
「ありがとうございます!!」
「あのう?」
「何だ!」
「この人が困ってるんで、命を狙うの止めて上げてくれますか?」
「ダメだ!!」
交渉は、ものの数秒足らずで決裂した。
「すいません。聞いての通り、ボクでは力になれなかったみたいです。」
「そうですか・・・・・・・・・。」
とてつもなくガッカリした乙女にボクは、隣のベンチに座る交渉人を紹介してあげた。
「ありがとうございます!!」
「いえいえ。」
深々と何度もお辞儀する乙女は、程無くして、交渉人の下へ真正面のスナイパーと共に向かった。そしてボクは、再び日向ぼっこに勤しむ事にした。

―THURSDAY―

そうかなぁ?そうなのかなぁ?って、だいたい疑って始まるのが、木曜日の朝だ。
「雨・・・・・・か。」
で、だいたい雨が降るのが木曜日だ。
「今日は、家でおとなしくじっとして過ごすかな。」
で、だいたい独り言が多いのが木曜日で、そもそも外出したからって、暴れないのがボクだ。
「そうと決まれば、さてはて?とりあえず何をしよう?」
ボクは、足の爪を切りながら何をしようか考えていた。ボクは、何かを考えている時、だいたい足の爪を切っている。
「やれやれ・・・・・・・・・はっ!?。」
一悶着あり、やれやれと独り言を呟いていたボクは、重要な事に気が付いた。
「予約!?」
そう、木曜日と言うのは、だいたい何かの予約をするもんだ。予約の予約をするのが火曜日なら、その予約の予約の予約をするのが、木曜日だ。でも、外は雨。内が雨じゃなかっただけ、よしとするか、と不幸中の幸いを噛み締めている場合じゃない。こうしてる間にも刻々と予約の時間が容赦無く迫って来ていた。
「・・・・・・・・・まっ、いっかな。」
こうして、予約をすっぽかすのもまた、木曜日冥利に尽きるところだった。

―FRIDAY―

「ん?ここは?」
気付くとボクは、見知らぬ場所で金曜日を迎えていた。いったいボクの身に何が起きたのか?
「っつ!!」
激痛走る頭を押さえながら、廃墟のアパートらしき一室から一歩外へ場所を移し、月明かりに照らされ薄暗い廊下をボクは、歩いていた。
「・・・・・・・・・。」
階段へ差し掛かった時、ボクはいったい自分の記憶がどこから失われているのかを探りながら、出口へと向かう事にした。
「23時49分・・・・・・・・・。」
まず、腕時計で現在の時間を確認した。
「えっ!?」
2/3階でボクは、驚愕の事実に気付き、思わず足を止めてしまった。いや、実際は動きたくても動けなかった。夕食を食べ、お風呂に入り、夕食の残り半分を食べ終え、再び湯船に浸かりながら、デザートのスイーツを食べ終えたのが、確かお風呂の時計で23時37分!?
「馬鹿なっ!?そんなはずがあるわけない!」
49分引く37分と言ったら、720秒じゃないか!720秒で、ボクは現在に至るって言うのか?720秒でボクは、頭を何かで殴られったぽくて、誰かに廃墟のアパートへ連れて来られたっぽくて、階段の2/3に立ち尽くしてるっぽいって言うのか!?
「・・・・・・・・・。やれやれ、全く金曜日ってのは、1週間の中で、飛びっきり不思議な事が巻き起こりやがる。」
ボクは、歯と歯の間に詰まった季節のフルーツタルトのイチゴの種を爪で、シーハーしながら残りの階段を降りて廃墟のアパートの裏口から外へ出た。
「はあ、帰ったらまた、お風呂かぁ・・・・・・・・・。」
月明かりに照らされた血まみれの自分を見てボクは呟き、相変わらず激痛の走る頭を押さえながら、家路についた。

―SATURDAY―

「はっ!?」
突然ボクは、恋の予感をキャッチした。ビビっと、ビリビリっと、舌に感じたそれはパイナップルの仕業だった。まあ、パイナップルのそれはそれとして、問題は誰がボクに、ボクが誰に、恋をしているのかって事だ。
「前略、恋する誰かさんへ。初めましての突然にこんな事、失礼かもしれませんが、ごめんなさい。」
声に出しながらボクは、人生初のラブレターってヤツをボクに恋する誰かさん宛に書いてしまった。
「よし!」
人生初のラブレターで紙飛行機を折り、ボクは窓の外へ飛ばした。そんな恋心に揺れ動くボクの土曜日は、失恋の涙で飾る土曜日となった。

―SUNDAY―

「シャーアアアアアアアッ!!」
部屋のカーテンをちぎれるぐらいな勢いで開けて外の天気を確かめる事から、ボクの日曜日は始まる。
「おおっ!おおおっ!」
ボクは久しぶりに興奮した。この日を待ってましたかってな具合に!滅多にない最高の洗濯日和に、洗濯しない訳にはいかない!だからボクは、誰が何と言おうが洗濯をする事にした。
「・・・・・・・・・。」
洗濯をしたけど、別に晴れてるって訳じゃない。むしろ天気は、雨だった。と言っても完璧な雨じゃない。ボクは好んで、こんな天気の日曜日を見付けては、洗濯をしている。そうしないと次にいつ洗濯が出来るか分からないからだ。かと言って、洗濯機の中に洗濯物を入れてる訳でもない。更に付け加えるなら、洗濯機も回っていない。でもボクは、洗濯をしている。回り続けてるのは、ボクの頭の中。
「そろそろいいかな?」
ボクは、左耳の耳栓を抜き、左耳を下へ首を傾けた。そして、右耳の耳栓を抜き、脳ミソを一気に脳ミソ乾燥機へ!
「ドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドルドヂャッ!!」
と同時に素早く右耳から昨日届いたばっかりの新しい脳ミソを入れ、素早く首を元の位置に戻した。
「よし!」
脳ミソをしっくりな感じになるよう頭を動かし調節した。
「うん!」
そして、ダラダラと日曜日を過ごした。

第二百五話
「不連続WEEK」

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