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2010年8月18日 (水)

「第二百十八話」

「へぇ~!」
「・・・・・・・・・。」
「ふ~ん!」
「・・・・・・・・・。」
「ほっほ~!」
「・・・・・・・・・。」
「なるほどなるほど!!」
「・・・・・・なあ?もうよくねぇか?」
「えっ?ああ、ごめんごめん。いやだって悪魔に会うなんて初めてだしさ。」
「だからって何もそんなにマジマジと見る事はないだろ?」
「見るでしょ!見ちゃうでしょ!悪魔だよ?悪魔だもん!野良猫とは訳が違うんだよ?先っちょが矢印みたいんなってる尻尾!先っちょがくるりんってなってる靴!先っちょがピーンってなってる触角みたいなヤツ!先っちょがフォークみたいな武器!真っ黒な体に真っ黒な翼!こんなに所謂な悪魔が目の前に現れた日にゃあ!そりゃあもう!見てしまうもんなのだよ!」
「いや、眼鏡掛けてないだろ。」
「雰囲気雰囲気!!」
「ああ、そうかいそうかい。人間ってのは、面倒臭ぇなぁ。」
「でもって頬っぺたのホクロ!!これには驚いたね!うん、驚いた!悪魔にもあるんだ!ホクロ!ってね!」
「いや別に悪魔だから無いって話でもねぇだろ。」
「いやまあ、そりゃそうなんだけどさ。けどあれだよ?そのホクロがあったからこそ、僕はこんなにも平常心でいれるんだよ?」
「どーゆーこった?」
「だってさ!やっぱ最初はビビったもん!うわぁ!絶対に命を奪われる!心臓えぐり取られる!って、恐怖心いっぱいで、ちょっとチビったもん!でもでも!でもだよ!よーく見たらあるんだもん!あったんだもの!ホクロ。頬っぺたにホクロあるんじゃーん!で、なーんか妙に現実味を帯びて来ちゃって、恐怖心なんてどっか魔界的なとこに吹っ飛んじゃって、今や好奇心でいっぱいだよ!」
「何でホクロでそこまで心変わりすんだ?俺様が悪魔って事には変わりないんだぜ?」
「うんまあ、そりゃそうなんだけどさ。なーんか哀愁漂っちゃってんだよね。そのホクロ!そんな哀愁ボクロの悪魔が人間の命を奪う訳がないんだな、これが!」
「哀愁ボクロって何だ?人間よぉ?何と無く、なめてるだろ?悪魔の事をよぉ。てか、俺様の事を!」
「そんな馬鹿な!なめてる訳ないじゃん!」
「肩を組むな!翼が折れるだろ!」
「ああ、ごめんごめん。つい。」
「ついって何だ?やっぱ、なめてんだろ。」
「なめてないってば!」
「人間が悪魔と肩を組むなんて話、聞いた事ねぇよ。」
「どうして?別に悪魔と人間が仲良くなっちゃいけないってルールないだろ?なめてるんじゃなくて、僕はさあ、君となら仲良くなれるかなぁ?と思っただけだよ。悪魔と人間の友情ってのが、あってもいんじゃないのかなぁ?ってさ。」
「って、武器を取って、電話中の落書き的に、何か雑に扱ってんじゃねぇよ!返せっ!」
「ダメなのかぁ?」
「ダメに決まってんだろ!俺様がコレを手にすんのにどんだけ苦労したか知らねぇだろうが!」
「いやいや、じゃなくてさ。悪魔と人間の友情?」
「人間、ちょっと待てよ。なあ?このホクロだろ?このホクロがあっただけで、そんな考えになっちまってんだろ?」
「十分じゃん!」
「何がだ!何がどう十分なんだよ!」
「頬っぺたに、哀愁ボクロがある。君はどうか知らないけどさ。僕には、それだけで十分なんだよ。一人と一匹の間に友情が芽生えるには、これはもう十分過ぎるんだよ。」
「匹ってなんだ!匹って!テメェやっぱりなめてやがんな!何だかんだで野良猫的な扱いじゃねぇか!」
「なめてないよ!悪魔の単位が分かんなかっただけだよ!誤解だよ誤解!気を悪くしちゃったんなら謝るよ!ごめんなさい。」
「・・・・・・・・・別にたいして怒っちゃいねぇよ。人だよ人。悪魔の単位も人でいんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・おい、もう頭上げろよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「おいおいおい。肩震わせてまで泣いて謝るこたぁねぇよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「怒っちゃいないって言ってん・・・人間テメェ!俺様の靴見て笑ってんじゃねぇよ!なっ!こりゃもう、あれだな?なめてんな?完全になめてるよな?」
「なめてないって!」
「涙流すぐらい堪え笑いしてるヤツが言ってんじゃねぇよ!!」
「ごめんごめん。いやでもほら、思いの外くるりんってしてたからさ。ん?」
「何だよ!」
「顎の下にもホクロがあったんだ!もうあれだね!こりゃもう!僕達、親友になるしかないね!」
「握手してんじゃねぇよ!何なんだよ!そのホクロ理論はよぉ!意味が分からな過ぎだろ!」
「意味なんて無いさ!」
「何だと!?」
「本当は!ホクロなんて関係無いんだよ!ホクロがあろうが無かろうが!僕は、君との間に友情を芽生えさせたかったのさ!そのきっかけが、たまたまホクロだったってだけで、本当は何でも良かったんだ。触角でも武器でも靴でも翼でも何だって良かったんだ。いろいろと、誤解させちゃって、本当に悪いと思ってる。でも、信じて欲しいんだ!君と僕、二人の間に友情を芽生えさせたいこの気持ちだけは!」
「人間・・・・・・・・・。」
「悪魔・・・・・・・・・。」
「尻尾踏んでる。」
「えっ?ああ、ごめん!わざとじゃないんだ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「本当にごめんよ。痛くなかった?」
「分かってるよ。」
「へ?」
「わざとじゃねぇんだろ?そんなこたぁ。わざわざ言われなくたって分かってるよ。」
「悪魔?」
「だって俺達ゃあよぅ。ほら、あれだろ?」
「あれ?」
「だから、あれだよ。」
「あれって?」
「あれっつったらあれだよ!」
「何だよ。分からないよ。」
「だから!・・・・・・だろ?」
「何て?声が小さ過ぎて、よく聞こえないよ。」
「・・・・・・・・・親友だろ!!」
「・・・・・・・・・にっ!知ってたよ。親友だからね。」
「テメェ!」
「ハハッ!怒らない怒らない。あっ、そうだ!もし暇だったら、これから家に来ない?ほら、外だと何かと目立っちゃうからさ。」
「・・・・・・・・・いいのか?」
「あったり前だろ!」
「よろしくな。」
「こちらこそさ。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「じゃあ、行こっか!」
「おう!」
「あれ?」
「どうした?」
「左目の目尻んとこにもホクロあるんだ。」
「ああ。」
「そうだ!」
「今度は何だ?」
「家に来たらさぁ。ちょっとそれ脱いで体も見せてよ!他にもホクロがあるかもしんないからさ!」
「お前なぁ?」
「どしたのさ?」

第二百十八話
「全身タイツじゃねぇんだよ!」

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