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2010年9月 1日 (水)

「第二百二十話」

「博士?」
「君は!私の本名が博士だと思っているのか!」
「信じられない角度から怒られたっ!?そんな事、思ってる訳ないじゃないですか!ったーっ!これ絶対あとでタンコブになりますよ?」
「いや、君がいつも博士、博士と私を呼ぶから、つい。」
「何で数十年間の付き合いで、ついが今日の今日なんですか!」
「かれこれ14年か。」
「ええ、月日の流れって早いものですね。」
「君は、ずーっと果てしなく私の助手だな!」
「・・・・・・・・・僕を朝から嫌な気分にさせて、そんなに楽しいですか?で、笑うなら豪快に笑って下さいよ!申し訳なさそうに笑われると、かえって惨めです!って、笑うな!」
「怒るな!」
「ったー!何で同じ場所をゲンコ?てか、何でゲンコ?」
「これなんだがな。」
「急展開っ!?」
「急展開とかいいから、これだよ!これ!」
「いたいいたいいたい!何で、つねるんですか!分かりましたよ!分かりました!聞きますよ!聞きますから!」
「これなんだがな。」
「何ですか?食パン一斤がどうかしたんですか?」
「ちょっとちぎって食べてみなさい。」
「嫌ですよ。この前だって、透明になる薬だって言われて飲まされた液体で、どんだけ恥ずかしい思いをした事か。危うく逮捕されそうになったんですからね!その前だって、体を鋼にするアメだとか言って、1年の3分の2を病院で過ごす羽目になったんですから!この食パンだって、何が仕掛けられているんだか分かったもんじゃないですよ!いいや、逆に何かが仕掛けられてた方がまだマシってヤツですよ!僕は、絶対に食べませんから!!」
「給料下げるよ?」
「分かりましたよ。で?今回は何ですか?壁をすり抜けられるようになるんですか?水中で息が出来るようになるんですか?」
「美味いか?」
「えっ?ええまあ、美味しいですけど?」
「だろ!」
「博士?」
「またーっ!博士って言ったーっ!」
「あいたーっ!って、言いますよ!これからもずーっと僕は、博士の事を果てしなく博士って言い続けますよ!だって、博士は博士なんだもの!」
「ああ、そっかそっか。それもそうだな。」
「そうですよ。ったく、何でジャンピングゲンコするんですか!しかもまた、同じとこをーっ!」
「君も細かい男だね。謝ってるんだから、いいじゃないか。」
「謝ってないー!1度として謝られていないー!いつどこで何時何分何秒に謝りました?ええっ!」
「分かった分かった。」
「なら!ちゃんと!今!謝って下さい!」
「・・・・・・・・・。」
「早く!」
「・・・・・・・・・わりぃ!」
「わんぱくかっ!」
「いいえ、博士です。」
「知ってます!14年前から知ってます!」
「君、疲れるね。」
「どの口が言うかー!」
「でな。」
「展開っ!展開がっ!」
「いんだよ展開がどうとかこうとかってのはさ!そんな事より、これなんだがな。」
「食パン!」
「そう、食パンだ。みんなの憧れ、みんなのアイドル。ご存知、食パンだ。」
「個人差っ!」
「ちぎって食べてみなさい。」
「またっ!」
「まただよ。仕切り直しだよ。ほら、いいからちぎって食べてみなさい。」
「だから、この食パンが何だって言うんですか?」
「どうだ?美味いだろ?」
「ええまあ、美味いですよ。って、博士!いい加減に何を発明したのかを教えて下さいよ!」
「分からないか?」
「全く分かりませんよ。これと言って、特に体の変化もありませんし、って今までも体に変化はなかったんですけどね。」
「君はアレだな。発想が一辺倒だな。だから、ダメなんだよ。だから、君は思った通りヒゲが似合わないで評判の助手なんだよ。」
「なぜ、今、サラリと出来ればそれは、出会った時に言って欲しかった的な発言を織り混ぜた?」
「14年経過してこそ話せる真実ってのもあるんだよ。」
「いや、絶対つい口を滑らせただけだと思いますけど?」
「ギャフン!!」
「ギャフンって言う人、初めて見た!って、そんなヒゲの問題なんてどーだって良くはないですけど、この場合のみいいんですよ!今はそれよりも!この食パンが何なのか?から解決させて下さい!ヒゲの件は、その後でじっくりと、お話しましょう。」
「ちぎって食べてみなさい。」
「またですか!」
「預かった辞表を受理してもいいんだよ?」
「分かりましたよ。食べますよ。だいたい、辞表なんて預けてないですからね。」
「私が勝手に書いた。」
「何をしてくれてるんじゃー!!」
「いいから!ちぎって食べてみなさい!いい加減、ゲンコ行くよー?」
「っつーっ!来てるじゃん!いいから!の時に既に飛び上がってたじゃん!食べますよ。食べればいいんでしょ?」
「どうだ?美味いか?」
「だから、何度も言ってますけど、美味いですよ。ちょっと、だんだん満腹になって来たんで、いいですか?この辺で本当に何を発明したのか教えてもらっても?」
「いよーっ!」
「何でたまに、わんぱく出て来るんですか?で?この食パンは、いったい何なんです?」
「その食パンはな!」
「はい。」
「食べるとな!」
「はい。」
「美味しい食パンなんだよ!」
「はい?」
「以上!」
「はあ?以上って!じゃあ、何ですか?博士は、単に美味しい食パンを発明したって事ですか?」
「えっへん!」
「また、わんぱく出た!?って、何なんですか?」
「何なんですかって、何なんですか?」
「いや、ですから、美味しい食パンを発明したからって、何なんですか?って事ですよ。」
「いや、ですから、美味しい食パンを発明したからって、何なんですか?って事ですよ。って何なんですか?って事ですよ。」
「ああーっ!おうむ返しっ!もう面倒臭いったりゃありゃしない!」
「君も鈍いね。だから、ヒゲが似合わないって評判を私に流されるんだよ。」
「貴様か!貴様が元凶かっ!って、もしかして博士?」
「その通りだ!」
「美味しい食パンが、家庭でも楽しめるパン焼き器を発明したんですね!」
「違う!」
「違った!」
「そうじゃないよ。いいか?美味しい食パンを発明したって事はだ!」
「ええ。」
「パン屋さんになって、大成功って事じゃないか!」
「ええーっ!?」
「まあ、驚く美味さだって事は分かってるさ。」
「いや、確かに美味しい食パンでしたけど!あくまでその美味しさレベルは、一般的であって、お店レベルじゃないですよ?てか、博士!博士は博士を辞めてパン屋になるおつもりなんですか?」
「さんだ!さん!パン屋さんだ!!」
「うわぁー!予想外の事で怒られた!?って、その食パンを降り下ろすとかってもう、敬意を表してるのかなんなのか、メチャクチャだよ!ついでに食パンがすっぽり首までハマっちゃったし!」
「良かったな!ちぎって食べた部分が丁度、目と口の部分で!」
「奇跡ですよ。」

第二百二十話
「その後、食パンは博士と助手で美味しくいただきました」

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