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2011年1月 5日 (水)

「第二百三十八話」

「オチ読みバトル?」
「そうです。」
「所謂な感じの黒服の人が訪ねて来て、意味不明な事を言うんだからまあ、その全てを受け入れるしかないんでしょうね。」
「さすが先生。」
「てか、居るもんなんだね実際、所謂な黒服の人ってさ。」
「まあ、立ち話も何なんで、中で話の続きでもしましょう。」
「んで、黒服の人って、思ってた以上に図々しいんだね。まあ、どうぞ。」
「では、遠慮なく。」
「する気もないじゃん。」
「今日は、寒いですね。」
「そうだね。」
「明日からまた、暖かくなるようですよ。」
「そうなんだ。」
「良かったですね。」
「何が?」
「おおっ!さすが先生!何かもう、先生って感じの部屋だ!」
「何が良かったの?まあ、良くない事じゃないけどさ。って、どんどん行っちゃうんだね。」
「さて、何か温かい飲み物でもあると助かるんですけどね。」
「図々々しいだね。」
「では、先生がそちらで美味しいティーを入れている間に、話を進めちゃいましょう。」
「限定されてるし!ティー?ティー、あったかなぁ?まあいいよ。オチ読みバトルについて詳しく聞かせてよ。どうせ、裏の世界の金持ちの道楽でしょ?」
「先生、以前にも参加されました?」
「してないよ。してないけど、何と無くの空気感だよ。」
「なるほど。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・いや、落ち着かないで続き続き!僕だって暇じゃないんだから!作品も書かないといけないし、ゲームもやらないといけないんだからさ。」
「ああ、失礼。オチ読みバトルとはですね。金持ちが小説家を戦わせる大会の事です。」
「そりゃまた、面倒臭い大会なこった。」
「金持ちの考える事なんて、面倒臭い事ばかりです。それでですね。今回、私の主は、先生をスカウトする事にしたんです。」
「ほら、ご希望通りのティー!」
「ありがとうございます。」
「で?金持ちが雇った小説家に小説を書かせて、互いに互いの小説を読み合ってオチを読み当てるバトルって事?」
「やっぱり先生、以前にも参加を?」
「してませんよ。してませんけど、だいたい分かるよ。てか、大会のタイトルで察しがつくよ。でもさぁ?でもだよ?何で僕?何で僕みたいな端くれ物書き?他にもっとちゃんとした人達がいるじゃん。」
「先生?これはあくまで、オチ読みバトルなんです。美しい描写や読者を引き込む悲しいノンフィクションや話題性の作家は意味を持たないんです!この戦いでは、それらは全てクソの紙くず以下です!」
「・・・・・・・・・い、言い過ぎだよ&僕の事を馬鹿にしてるでしょ?」
「馬鹿にしてませんよ!いいですか?先生、このオチ読みバトルに必要なのは、オチを読まれない作品なんです!先生のような意味不明で訳の分からない作品を書ける事が重要なんです!」
「その僕に辿り着くまでの経緯が馬鹿にしてるってんだよ。」
「まあ、馬鹿にしてるかもしれません!」
「正式に言われた!?」
「先生!是非とも参加を!」
「いや、よくこの流れで参加を促せたね。」
「仕事ですから!」
「あそう。まあ、まあまあ、どんな形にせよ。作品を評価してくれたのは嬉しいよ。例えそれが馬鹿にされたと言うマイナスの評価でもね!!」
「気にされてるんですか?」
「気にされない人がいるとでも?」
「建前で謝ればいいんですかね?」
「謝られるサイドの人間にそれ聞くかね?」
「続いて、ルール説明に移ります。」
「業務的!?いや、最悪一回謝ろうよ!」
「すいません。当日、島に集められた小説家は、バトルロイヤル的に戦います。出会った時点でバトルスタートです。バトルは、最後の一人が決まるまで何日でも行われます。」
「冒頭の、すいませんは、どの、すいません?って、バトルロイヤル!?ちょっと待ってよ!なら、いったい作品を何本用意すればいいんだよ!」
「最少で一本!最大で九十九本!」
「きゅ、九十九本!?百人でやんの!?」
「本当の本当は先生、以前にも参加されたんでしょ?」
「されてないってば!単純な算数だよ!」
「作品の長さは、自由です。」
「ねぇ?淡々過ぎない?業務的過ぎない?つまり、短い作品の方が不利って事?」
「いえ、そうとは限りません。それはなぜか?」
「まだ、何も言ってませんけど?」
「なぜなら、作品を最後まで読んでしまったら負けですし、大会前日にこうしてスカウトに来てるので、長編を書く小説家は、過去にも存在しません。」
「なるほど。って、大会明日なの!?」
「ええ。」
「その涼しげにティーを飲む顔が嫌だ!」
「バトル相手と出会った時、手持ちの作品が無い場合も負けです。」
「過酷!?」
「バトルロイヤルですから!生きるか死ぬかのサバイバルマッチですから!」
「えっ!?死ぬの!?」
「あ、いや、死にません。ちょっと興奮して言っちゃいました。」
「興奮する意味が分からないよ。」
「決着は、オチを読むまでの文字数です。そして、オチ読みのチャンスは三回までです。」
「互いにオチが読めなかった場合は?」
「ドローです。」
「ドロー?」
「再びバトルロイヤルに参加してもらいます。で、私、先程、最少で一本、最大で九十九本って言いましたけど、最大は無限大です!」
「ここに来て何で天文学的な事言うの!?」
「ルール説明してる間に思い出したんです。」
「いやもう、そこだけはちゃんとしてよ!」
「先生!!」
「な、何っ!?」
「勝敗の着かなかった作品は、生きるんです!更に、勝った作品も生きるんです!」
「つまり、オチさえ読まれなければ、一本で九十九人を倒せる。」
「そーなんです!!」
「思い出してくれて良かったよ。」
「私も思い出せて良かったです!」
「握手おかしいでしょ。なるほどね。」
「もちろん!優勝すれば、先生の大好きな賞金も出ます!」
「いちいちだよね!いちいちな言い回しだよね!」
「では、明日、お迎えに参ります。」
「随分、一方的だね。」
「えっ?参加されないんですか?」
「出ますよ。」
「では、明日。先生なら絶対に優勝出来ますよ!」
「ああ、そう?何かそう言われると嬉しいなぁ。何か、頑張っちゃおうって気持ちになっちゃうなぁ。」
「是非とも頑張って下さい!」
「お、おう。」
「美味しいティー、ごちそうさまでした。」
「おそまつさまでした。」

第二百三十八話
「大会当日、寿命尽きる」

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