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2011年1月26日 (水)

「第二百四十一話」

 俺は、友人と二人で喫茶店に来ていた。そして、他愛なく下らない話を延々と淡々としていた。すると友人は、何かを思い出したかのように、鞄からノートと筆記用具を取り出し、テーブルの上に置いた。
「どうした?急に?」
「いや、昨日、お前から連絡あった後、寝ようとした時にさ。急に考え事が浮かんじゃってさ。で、どうしても一人じゃ解決出来なかったから、なら二人で考えようかと思ってさ。」
「ふ~ん。で?考え事って?」
「そんな真剣な事じゃなくて、暇潰し程度なお遊び感覚的な事なんだけどさ。」
「うんうん。」
「お前、七つの大罪って知ってる?」
「知ってるよ。」
「あれ、もう古くない?」
「いや、ああ言うのは、古いとか新しいとかじゃないだろ。」
「いやいやいや、古いし何か違うと思うんだよな。そこで!そこでだ!真・七つの大罪を考えようって事さ。」
「また何やら面倒臭い考え事が浮かんじゃったもんだな。」
「まあまあまあ、遊びなんだしさ!いいじゃんいいじゃん!」

第二百四十一話
「真・七つの大罪」

「分かった分かった。やろう。それで?何個かは、浮かんだんだろ?」
「まあな!一つは、欲だ!」
「欲か。大食と強欲と肉欲を一つにまとめたって事?」
「その三つをまとめただけじゃなくて、物欲や金銭欲などなど、全ての欲を凝縮したんだよ。」
「なるほど。そう言う感じか。」
「そう言う感じだ!ところでお前、大食と強欲と肉欲って言ったけど、七つの大罪を全部分かってんのか?」
「えーと、確か、大食、強欲、怠惰、憤怒、高慢、肉欲、嫉妬、だろ?」
「おお!!さすが!俺なんて、強欲と肉欲しか知らなかったもんな。」
「知らなかった?思い出せなかったじゃなくて、知らなかった?」
「イエス!」
「お前それでよく真・七つの大罪を考えようだなんて大それた考えを考えたな!って、まさか?まさかだよな?」
「あと六つ考えよう!」
「まさかだった!」
「今、初めて聞いた感じだと、他にも相当かぶってるな!でだ!それを踏まえて、二つ目の大罪が決定しました!」
「まあ、かぶってるっちゃあ、かぶってるけど、だからってまとめていいって事じゃないだろ。で?因みに二つ目は何?」
「愛!」
「愛!?」
「愛!いいか?人は誰かや何かを愛する事により、そこに怒りや嫉妬や復讐心などなど、あらゆる負の感情が沸き起こるんだよ!」
「確かにそうかもしれないけど、逆に人は愛によって、喜びや幸せを感じるだろ?大罪じゃないだろ。」
「何かを始めるには、そこにあらゆる犠牲がつき物なんだよ!愛を大罪にする事によって、悲しむ人間より救われる人間の方が多いんだよ!」
「何調べ?どこデータ参照だよ。てか、まあ別に愛でもいいんだけどさ。」
「よし!じゃあ、満場一致で、真・七つの大罪の二つ目は、愛で!」
「満場一致って・・・・・・。と言うかだよ?欲、愛、この二つの大罪で既に、人はがんじがらめで何も出来やしないよ。」
「そこで何かするのが、人、だろ?」
「いや、そのルール知らない。これあと五ついけるか?」
「いけるよ!いけちゃうよ!」
「まあ、自信満々のお前がそう言うならいいけどさ。で?三つ目は?」
「そうだな。横入りだな。」
「えっ!?」
「お前、誰かに横入りされたら嫌だろ?」
「嫌だよ。」
「だから、横入りだよ。」
「早くない?」
「早いって?」
「いやほら、もう六つ目七つの目になって、考えが尽きた時に横入り的なチープなのが出て来るなら、まあ分かるよ。でもお前、三つ目で横入り出て来たら先が思いやられるどころの話じゃないぞ?」
「俺は!人間の行為の中で横入りが一番許せないんだ!」
「じゃあ、一番に言わなきゃ!ま、まあ、いいよいいよ。お前が、真・七つの大罪を決めたいって言い出したんだから、お前の好きに、そして自由に決めていいよ。」
「じゃあ、三つ目は、横入りって事で!て事は、四つ目は、縦入りだな!」
「ちょっと待った!」
「何?」
「それはいくらなんでも、ちょっと待っただ!横入りは、いいよ。されたら嫌だしさ。でも、縦入りって何?俺それ、された事もないし、やってる人を見た事もない。」
「何で!お前が横に並んでたとこに入って来たのが縦入りじゃん!」
「行列目線!それ単に行列の見方の違いだろ!横入りは縦入りだし!縦入りは横入りだろ!同じ事だろ!」
「なるほどね。分かった!お前の意見を採用しましょう!」
「いやまあ、それ程の事じゃないんだけどさ。何か、何か熱くなってすまん。」
「いやいや、いいよいい!熱くならなきゃ!何てったって俺達は今!真・七つの大罪を決めてんだから!て事で、三つ目は、横入り(縦入り)で!」
「そうなるんだ。」
「なる!さあ!折り返し地点だよ!」
「やっとだよ。何か既に疲労困憊だよ。」
「やっぱ思うに、無知ってダメだと思うんだよね。ほら、よくさ。自分で調べもしないで人を頼って聞いて来る奴いるじゃん。」
「七つの大罪の下りん時のお前じゃん。」
「それはもう、大罪だよ!」
「じゃあ、お前大変じゃん。」
「て、事で!四つ目は、努力しない奴!」
「ネーミングセンス!?無知でいいじゃん!」
「いや、無知はしょうがないよ。知らないんだもん。生まれながらにして人は、全てを理解してる訳じゃないんだしさ。つまりその後の行為が大事なんだよ。自力で無知を克服しようとする行為さ!辞書を引いたり、説明書を読んだり、その他諸々の努力する事が大事なんだよ!それを怠るなんてけしからんよ!」
「お前がそれ言うかねぇ。言ってしまうのかねぇ。にしても、努力しない奴って、真・七つの大罪に、奴って入っちゃうの?」
「入りやす!」
「・・・・・・ま、まあいいや。いいよ。」
「あっ!お前の今の態度で五つ目閃いた!」
「俺の態度で?」
「ズバリ五つ目は!妥協!」
「いやちょっと待てよ。したよ?確かに今、妥協したよ。でもさ。妥協は必要だろ?妥協によって争いが争いにならないで済む場合だってあるだろ?」
「妥協するぐらいなら争うべきだ!!」
「良かったぁ。お前がこの国の最重要ポストじゃなくって。」
「意見をぶつけ合って!理想や夢を追い求めて!人は生きるべきなんだ!妥協するぐらいなら!戦争したっていいし!恋愛しなくたっていいし!会社辞めたっていいんだよ!そうした中で人は過ちに気付き、後悔に学び、先に進めるのさ!なのに!後悔をする前に!妥協と言う大罪を犯す大馬野郎どもには!神の裁きをーっ!」
「なぁ?なあなあ、お前、恐いってば。恐いよ。恐い恐い。分かったよ。分かった分かった。五つ目は、妥協だよ。妥協。それがいいよ。いや、それしかないよ。」
「よし!じゃあ、残り二つだな。」
「欲、愛、横入り(縦入り)、努力しない奴、妥協。何かすげぇな。何がって、聞かれたらよく分からないけど、とにかく何かがすげぇよ。」
「この喫茶店で、この真・七つの大罪の話をして分かった事がある。」
「何?」
「こんだけ俺達が必死になって、真・七つの大罪を決めてるってのに、他の客はどうだ?全く知らんぷりだよ!!」
「そりゃあ、俺達だけで決めてるからな。他の客が知らんぷりなのは、妥当だよ。むしろそれが普通だよ。そこが喫茶店のいいとこだよ。」
「こう言うの何て言ったっけ?」
「こう言うの?」
「ほら、ただただ見てるだけ的な行為。」
「傍観?」
「そうそう、傍観だ!」
「お前、ちょくちょく努力しない奴の大罪犯してるからな?」
「では、六つ目の大罪は、知らんぷり、で!」
「傍観の下り何だったんだよ!」
「いや、よくよく考えたら傍観だと視覚的な事に縛られるかな?と思ってさ。ほら、こいつら聴覚的な感じだしさ。」
「こいつらとか言うな。この人達は、全く関係ないからな。お前が勝手に始めた事に巻き込むなよな。」
「最後かぁ。」
「マイペースを入れた方がよくないか?なあ?」
「却下!」
「早っ!?」
「急にカタカナは、ちょっと?」
「何そのルール?横入り(縦入り)よか、だいぶましだろ?」
「てか、つか、そのマイペースって、あれだろ?今までの俺を見ての意見だろ?そうやってさ。色眼鏡と自分の物差しでの意見は却下だよ!もっと客観的にだよ!」
「いや別にそんなつもりじゃないよ。」
「そうか!七つ目が決まったよ!いいヒントをありがとう!」
「何?決め付け、とか?」
「色物差し!」
「何それーっ!!この流れがあるからそれ理解出来るけど、初めて耳にした人は文具的な情報以外、何の事だかさっぱり過ぎるだろ!いちいち説明しなきゃならなくないか?」
「まあまあまあ、ほら遊びなんだからさ。」
「ま、まあな。そう言われたら黙るしかないよ。」
「よし!これで真・七つの大罪は完成ーっ!」
「欲、愛、横入り(縦入り)、努力しない奴、妥協、知らんぷり、色物差し、か。」
「はあ、すっきりした!じゃあ、次の解決出来なかった浮かんだ考え事ね!」
「まだ、あんのーっ!!?」

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