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2011年9月

2011年9月 7日 (水)

「第二百七十三話」

「パオーン!」
昨日の夜、パパが象に乗ってご機嫌で帰って来た。
「今日から我が家の新しい家族だ!」
「パオーン!」
ボクは、まだまだ幼い。でも、分かる。象を家族にする事は無理って事。でもってきっと、簡単にパパみたいな一般人が、どっかから連れて来ちゃいけないんだって事。分かるんだ。子象にしてはでっかくて、象にしてはちっちゃい象を見てママは鬼になった。
「どーいうつもり!」
「だから!我が家の新しい家族だよ!」
「パオーン!」
「ほら!こんなに喜んでるじゃないか!」
「鳴いたからって、それが必ずしも喜んでるとは限らないでしょ?こんな所に連れて来られて凄く悲しいのかもしれないじゃない!」
「いいや!分かる!この鳴き方は、嬉しいんだ!凄く嬉しい時の鳴き方だ!分かるんだよ!」
「パオーン!」
「うんうん。そうかそうか。嬉しいのか。」
「ねぇ?」
「ん?乗る?」
「乗らないわよ!てか、降りて来なさいよ!いい加減、首痛いから!」
「しょうがないなぁ。怖いママですねぇ?」
「象、産まないから!産んだとしたら、張り裂けてアタシ、ここにいないから!」
「おいしょっと!で?」
「で?って、いろいろ聞きたい事はあるけど、まず!何?」
「象!」
「いや、知ってるから!そうじゃなくて!何で象なの?」
「新しい家族だ!」
「ペット?」
「家族!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ペット?」
「家族だって!」
「ペットを家族だって感覚の話?」
「違うよ!喪主って感覚の話だよ!」
「パオーン!」
「なぁ?そうだよなぁ?皆が死んだ時には任せたからな!」
「させるかよ!喪主!そもそも象に出来る訳がないでしょ!喪主!」
「出来るか出来ないかは!オレ達が死んだ時に分かる事だ!」
「何?じゃあ!象が葬儀の準備して!象が喪主の挨拶して!象が骨を拾って!象が香典返しして!象が納骨して!象が毎年墓参りしてくれんの!」
「するさ!全部が全部、正確かどうかとか、墓参りが毎年かどうかとかは分からないけど!するさ象は!」
「せめてお墓参りぐらいは、毎年しろよ!って、人でも大変な行事を象が出来るか!」
「象は、死を認識していると言われている。」
「だから?」
「するさ!象は!」
「いやしないでしょ!何の自信か知らないけど!しないでしょ!象は!お金の概念も電話掛ける概念も、そもそも喪服の概念もないじゃない!我が家の喪主を素っ裸でさせてたまるかよ!」
「まあまあ、それはこれからゆっくり覚えさせてけばいいじゃないか。さてと、風呂にでも入ろうかなぁ。身体中臭くて臭くて!」
「えっ?病気なの?」
「誰が?」
「パオーン!」
「こんなに元気だぞ?元気モリモリだぞ?心配しないでも、病気の疑いは無い!皆無!!」
「象じゃねぇよ!アンタだよ!」
「オレ!?いいや、腹の調子は絶好調だ!」
「何でお腹限定なのよ!頭よ頭!頭の中が病気なのって話!」
「何で?」
「もう、何でって聞き返す段階で病気よ!ねぇ?本気で象を新しい家族に出来ると思ってんの?本気で象が喪主出来ると思ってんの?てか、喪主とかって悲しい例え話やめない?」
「まあ、本格的に言えば、鼻で出来る事には限界があるだろうな。でも、本格的に新しい家族には迎え入れてやろうとは考えてるよ!」
「真面目な顔して、すっとんきょうな事、言ってんじゃないわよ!」
「すっとんきょうな事を言うのに、真面目な顔も不真面目な顔もないだろ!すっとんきょうってのは、受け止める側の感じ方であって、言ってる本人がどんな顔をしてようが!そこに、すっとんきょうは皆無!」
「何をすっとんきょうについて熱く説明しちゃってくれてんの?」
「パオーン!」
「パオーン!うるさい!」
「おいおいおい。象に当たるのは、お門違いじゃないか?」
「貴様が言ったんだろうが!パオーン!って!」
「誤魔化したんだ!何とかこの場を切り抜けようと、誤魔化したんだよ。すまない。」
「やっぱ頭の病気でしょ?何でパオーン!で、この場を切り抜けられると思った?」
「何と無くだよ。何と無く切り抜けられるかなぁ?ってさ。あれだぞ?オレだって隣に象が居なかったらパオーン!なんて言わなかったよ。居るから成立するんだろ?パオーン!は?」
「しないから!する訳がないから!」
「オマエ、随分と気難しくなったなぁ?」
「何が?」
「いいじゃないか。新しい家族だって言ってんだから、新しい家族で!」
「犬や猫とは、訳が違うのよ?しかも、何か知らないけど、マジの家族にしようとしてるじゃない!」
「大丈夫だって!心配ご無用!」
「だらけでしょ!心配だらけよ!」
「象はな。死を認識していると言われている。」
「武器、それだけ?アタシを説得する為の武器がそれだけで、よく立ち向かおうとしたわね?」
「大きな球体あるか?」
「はあ?」
「だから、凄く大きな球体だよ。無い?皆無?」
「そんな日常生活に不必要な物、ある訳ないじゃない。」
「なら、明日の朝一でホームセンターに買いに走らないとな!」
「いやだから、日常生活に不必要な物なんだから、ホームセンターに無いでしょ。」
「あそこは、日常生活に不必要な物でも売ってるからたぶんあるさ!」
「いや、それ以前に何で凄く大きな球体が必要な訳よ。」
「乗るんだよ!この象は!これがオレのリーサルウエポンだ!なっ?」
「いや、そんな芸を見たからって変わらねぇよ?凄い!新しい家族にしましょう!とか、ならねぇぞ?」
「何で。」
「もう、何でとかって問題じゃないんだなぁ?象、だからなんだなぁ?」
「なるほど!そこに引っ掛かってたのか!」
「そこ、しかないじゃん!」
「人間だ!」
「はあ?」
「オマエの目の前に居るのは、象っぽい人間だ!」
「パオーン!」
「パオーン!言っちゃってるじゃん。こんな大事な時期に。象っぽい人間にしては、象過ぎでしょ!」
「まあ、たまにはパオーン!と、言うだろう。オマエも言うだろ?パオーン!ってさ。」
「言わないわよ!今日、初めて口にしてるし!だいたい、コイツからはパオーン!以外に聞いた事が無いわよ!」
「今日はあれだな。たまにだらけな日なんだな。」
「たまにがだらけだったらそれは!常にだ!」
「ラッキーデイ!」
「誰にとっての?」
「我が家にとってに決まってるだろ!」
「決まらないでよ!てか、サーカスに返してきなさいよ。モノがモノだけに、こっそりって訳にはいかないだろうけど、大事にならない内に、ねっ?何ならアタシも一緒に行って団長さんに頭下げるから。」
「おいおいおい。オマエこそ頭の病気か?家族をサーカスに売り飛ばすって言うのか?やめてくれよ!」
「こっちが、やめてくれよ、よ!」
「乗る?」
「どのタイミングで促してんのよ!」
「足を曲げてさぁ!踏み台代わりにしてくれんだよなぁ!優しいよなぁ!」
「調教の賜物でしょ?」
「乗る?」
「乗りません!」
「こうやってさぁ!鼻にブラ~ンって遊んでくれんだよなぁ!やる?」
「やりません!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・やる?」
「やらない!」
「乗る?」
「乗らない!」
「結構な深さの川とかも渡れるんだぜ?」
「渡らない!てか、ブラ~ン、もういいわよ!目が散るからやめてよ!」
「ハイッ!」
「体操選手かよ!てか、近っ!臭っ!」
「とまあ、こんな感じかな?」
「ん?何が?何がこんな感じなの?」
「新しい家族だ!」
「パオーン!」
「ふーざーけーんーなーっ!!」
とにかく昨日の一悶着は、大変な一悶着だった。広くて大きな家でもボクの部屋まで、パパとママと象の声が聞こえて来て、眠れなかったぐらいだからね。
「ごはんよーっ!いつまで顔洗ってんのーっ!」
ママが呼んでる声で、ドジャーッて勢いよく流れ出る水の音に気付き、まあ新しい家族が増えなかったのは、少し寂しい気もするけど、それはそれで仕方無いかって感じで、よし!今日も一日元気に頑張ろう!とか、蛇口を鼻で閉めながらボクは、鏡の中のボクに向かって言ってみたりした。

第二百七十三話
「鏡の中の像」

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2011年9月14日 (水)

「第二百七十四話」

「よぅぅぅ!ボーイ!」
「ボーイって、ジェントルマンじゃあるまいし!言わないでしょ普通、ボーイとかって。へ、兵士さんですか?」
「いいや、兵士じゃないよ、ボーイ。単なる趣味の世界だ、ボーイ。」
「趣味の世界・・・・・・ふ~ん。」
「それより、ボーイ。その線を跨いでコッチに来ようってならやめときな。」
「何で?」
「そりゃあ、ションベンするより簡単な話だよ、ボーイ。死んじまうからさ。」
「えっ!?」

第二百七十四話
「線」

「疑ってるような感じ醸し出してるから言っとくがな、ボーイ。オレは、何人も何人も線を跨いだ途端に死んだ奴等を、この目で見て来たんだ、ボーイ。」
「どうでもいいけど、そのボーイって言うのやめてくんない?」
「おいおい、ボーイをボーイって呼んで何が悪いんだ、ボーイ。」
「ガールだから!ボーイっぽく見えるかもしれないけど、これでも一応、ガールですから!」
「おっと!こいつはすまない。とんだ失礼をしてしまった。許してくれ、ガール。」
「だから、ジェントルマンかって!で?それは、趣味の兵士さんが殺したんでしょ?この線を跨いだ何人もの人間って。」
「オレが!?」
「そう!」
「線を跨いだ人間を?」
「そう!その銃で!」
「ピース・メーカー!でか?」
「シングル・アクション・アーミー!人を殺すには十分過ぎるほど立派な銃じゃん!」
「理由は?」
「知らない。」
「何でオレが線を跨いだ人間をピース・メーカーで撃ち殺すんだ、ガール。」
「線を跨いだからでしょ?趣味の兵士さんは、番人なんでしょ?」
「何の?」
「知らない。」
「オレは、一体何の番人なんだ、ガール。」
「だから知らないよ。」
「知らない・・・・・・か、ガール。」
「知らないけど、線の先に銃を持った趣味の兵士さんが居て、この線を跨いだら死ぬって忠告して来て、それにそんな理由とか意味とかいるのかなぁ?この状況でそこに何を疑えばいいの?」
「言うねぇぇぇ!ガール!ならそこには、オレは別にガールが線を跨ぐのを待つ理由も意味も必要無い訳だな、ガール?」
「撃つの?」
「さあ?どうしようか、ガール。ピース・メーカーは今、ガールの頭を狙ってるぞ?」
「撃てば?」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「はっはっはっはっ!」
「撃てばいいよ!」
「はっはっはっはっはっはっはっはっ!」
「笑ってないで早く撃ちなよ。」
「わーっはっはっはっはっ!!」
「ねぇ?人を撃ち殺すのが、そんなに面白いの?サイッ低っ!!」
「はっはっ・・・・・・はあ、はあ、はあ・・・・・・ああ、久し振りに笑うと疲れるな、ガール。」
「疲れてないでさあ!撃ちなさいよ!」
「違う違う、ガール。違うんだ、ガール。」
「何が?何が違うの?」
「レプリカだ、ガール。このピース・メーカーは、レプリカなんだよ、ガール。」
「えっ!?」
「なっ?銃口は塞がってるだろ?だから、こんな代物じゃ、誰も撃ち殺せやしないんだよ、ガール。」
「ごめんなさい。最低なんて言って・・・・・・・・・。」
「いいって事だ、ガール。オレが最低なのには、変わり無いんだからな。」
「どう言う事?」
「まあ、時間はまだあるんだ、ガール。オレのその話をほじくる前に教えてくれ、ガール。ガールは、一体どこから来たんだ?」
「どこからって・・・・・・アタシは・・・その・・・・・・えっと、あれ?」
「やっぱりか、ガール。」
「えっ?アタシ、どっから来たの?」
「やっぱりなんだな、ガール!」
「何?」
「ヘイ!ガール!そんなに慌てたもんじゃない。どっから来たかなんて、そんなに問題じゃないんだ、ガール。」
「いや、問題よ。大問題だわ!」
「これは、そう言うストーリーなんだよ、ガール。オレとガールは、あくまで脇役、主役は線なんだよ、ガール。重要なのはそこなんだよ。」
「ちょっと言ってる意味が分からないわ。」
「最低なのは、変わらない。そう言ったよな?」
「ええ。」
「ガール、分かるか?」
「だから、何もかもが分からないんだって!」
「だからオレとガールは、条件が同じなんだよ。」
「えっ?じゃあ、死ぬの?」
「試した事はない。だから、700%死ぬかどうかは分からないが、たぶんオレも700%死ぬ。」
「700%って何っ!?と言うか何なの?何なのここは!?この線は一体何なのよ!」
「だから、こう言うストーリーだって言っただろ、ガール。線を跨いだら、死ぬストーリーなんだよ、ガール。この世界に、それ以上の意味も、それ以下の理由も無いんだよ。線があり、跨ぐ奴等がいる。そんな単純なストーリーなんだよ、ガール。」
「趣味の兵士さん?頭、どうかしちゃってんじゃないの?」
「まあ、頭がどうかしちゃうかもしれないな、ガール。しちゃうぐらいオレは、線を跨いで誰かが死ぬ光景を目の当たりにして、その度にまた、誰かがここにやって来る光景を目の当たりにしてるからな。見殺しの最低な連鎖だ、ガール。」
「趣味の兵士さん?」
「そしてそれはいつも、オレの反対側とは限らない。時には、同じ方を向いてる事もあった。」
「じゃあ、絶対死ぬじゃない!」
「だから言ったろ、ガール。700%だってな。」
「いや、数字の価値観が分かりませって!と、とにかく、だったらそれって逆に言えば線を跨がなければ死なないって事でしょ?」
「かもな、ガール。」
「なら、跨がないわよ。だから、アタシは死なないわ。」
「ああ、オレが700%それを証明してるからな、ガール。だが、どうだ?」
「何が?」
「線を跨いで死んでいった奴等は、どこいったんだ、ガール。」
「死体って事?」
「仮にもし、ここから脱け出す方法が、線を跨ぐだとしたら、ガール?」
「アタシ達は、何かの力でこの世界に引き込まれてたって事?」
「そうだ、ガール。そして、提案だ、ガール。今まで一度も試した事の無い提案だ。」
「何をしようって言うの?」
「同時に二人でこの線を跨ぐんだ、ガール。」
「えっ?」
「こんな馬鹿げた世界、オレらの足で終わらせようじゃないか、ガール。」
「お、終わるの?」
「さあな?口にしてはみたものの、それはストーリー次第だ。だが、何もしなければしないで、飢えて死ぬだけだ、ガール。」
「死ぬかもしれないんだよね?」
「おいおいおい、随分と弱気だな、ガール。いつもの勢いはどうした、ガール。」
「アタシのいつもの何を知ってるのよ!」
「そうそう、その勢いだ、ガール。何事も勢いってのは大事だ。」
「時と場合を選ぶでしょ!」
「かもな?さてと、一緒に線を跨ぐ気が無いなら、ガール。オレは、跨ぐ。」
「跨ぐって?」
「この世界には、もう飽き飽きだ。疲れたんだよ、ガール。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「オレが跨いだらその時は、ガール。こいつを貰ってくれないか?」
「イヤだ!」
「おっと!これは、予想外な返事だな、ガール。」
「自分で持っていってよね!」
「ガール?」
「さあ!跨ぐよ!」
「よし!跨ぐか、ガール!!」

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2011年9月21日 (水)

「第二百七十五話」

「教授、これは一体!?ま、まさか!?」
「ああ、そうだ!そのまさかだよ!遂に・・・遂に完成したんだよ!スーパーロボット!白鉄だ!」
「スーパー・・・ロボット・・・し・・・しろがね!?」
「これで、これで漸く地球を悪から守る事が出来る!皆が安心して眠れる夜が来る!そしてだ!この白鉄のパイロットをお前に任せたい!」
「えっ!」
「この地球の明日の為に、いや明後日、明明後日、弥明後日、いやいや!」
「落ち着いて下さい、教授!」
「ああ、すまんすまん。つい、完成の大興奮の渦に巻き込まれて己を見失っていた。お前にパイロットを、いや!任せられるパイロットは!お前しかいない!頼まれてくれるか?」
「教授・・・パイロットの件!オレに任せて下さい!」
「本当か!」
「もちろんです!」
「そう言ってくれると思ってたじゃないか!」
「いや教授、文法がまだ些か変です。」
「いーんだ!いーんだ!そんな細かい事は!よーし!そうと決まれば!白鉄の実戦訓練だ!」
「もう実戦ですか?」
「当たり前だ!明日、いや今日!いやいや今!この瞬間にも地球は、悪に滅ぼされかけ様としているのかもしれないんだぞ!この説明書を頭に叩き込んで、3時間後に訓練開始だ!」
「3時間はいいんですね。」
「何か?」
「いえ、何も。」
「では、ワシはまだ白鉄の微調整があるから、微失礼するよ。」
「あの?教授?1つだけ宜しいですか?」
「その1分1秒が地球の脅威だと自覚しつつの質問かな?」
「いや、3時間の内の質問です。」
「よし!許す!」
「白鉄には、沢山の武器があるんですよね?」
「あるよ~!たっくさんあるよ~!電撃系とか火炎系とかハリケーン系とかミサイル系とかビーム系なんかも!まだまだいろいろあるんだぜ~!」
「だぜ~って、オレが聞きたい重要な事は、1つだけです!」
「何だ?」
「何だかんだ言ったって、スーパーロボットの醍醐味って言うのは、パンチだと思うんです!」
「・・・・・・・・・。」
「無言の握手、ありがとうございます。では、やはり白鉄も!」
「もちろん!パンチには、こだわってこだわって、こだわりつくしたさ!その名も!無敵的白鉄パンチ!!だ!」
「無敵的白鉄パンチ!?な、何て凄まじそうなパンチなんだ!?」
「当たり前だ!凄まじくなくて悪を退治出来るかってんだ!退治出来るかってんだ!!」
「教授のその迫力からして、無敵的白鉄パンチは、凄まじい速度で飛んで、相手の悪のロボットに風穴を開けるんでしょうね!何だか今から大興奮ですよ!さっそく説明書を読ん」
「飛ばないけど?」
「えっ?」
「えっ?」
「はい?」
「はい?」
「無敵的白鉄パンチは、飛ばない?」
「飛ばない。はい、飛びません。」
「飛ばないぃぃぃぃぃっ!!!」
「だから、そうだよ。飛ばないよ。」
「何でですか!何でパンチが飛ばないんですか!」
「何でって、パンチだからこそ飛ばないんだろ?」
「飛ぶだろ普通!!」
「普通って何だ!普通って!」
「親父!!」
「ここでは、教授と呼びなさいと言ってるだろ!」
「そんな事どーだっていいんだよ!パンチが飛ばないスーパーロボットを作って!よくもスーパーロボットを作ったなんて大興奮で言えるな!」
「スーパーロボットを作って!スーパーロボットを作ったって大興奮で言って何が悪い!」
「パンチの飛ばないスーパーロボットなんてな!スーパーロボットじゃないんだよ!」
「何なんださっきからお前は!どんな定義持ち出して理論してんだ!剣だってあるし!空だって飛べるんだぞ!空の飛び方は、まさに画期的で!こうしてあ」
「それが何だ!だからどうした!それでもパンチが飛ばないなら!この白鉄は!白鉄は単なる鉄屑だ!」
「ばっきゃもん!!白鉄に向かって鉄屑とは何だ!鉄屑とは!謝れ!平謝れ白鉄に!」
「ふざけんな!こんな鉄屑に謝れるか!」
「何だと!?」
「オレに土下座させたいんだったらな!パンチが飛ぶ様にしてからにしろ!そしたら何回でも謝ってやるよ!」
「お前こそ!図に乗るな!そんな事を意見している暇があるなら!さっさと説明書を頭に叩き込んで白鉄に乗れ!味方同士で言い争ってる間にも悪が地球を滅ぼそうと企んでいるかもしれないんだぞ!」
「だいたい!だいたいだぞ!その悪が、とか!悪から、とか!悪に、って!何なんだよ!どこにいんだよ!どこに地球を滅ぼそうと企んでる悪がいんだよ!」
「本当にいたらどーすんだーっ!!」
「勘弁してくれよ、親父。いもしない悪から地球を守る為に、スーパーロボットならまだしも、パンチの飛ばないこんな鉄屑に乗れってのか?」
「ここは、ワシの研究所だ!パンチが飛ばないスーパーロボットが!スーパーロボットなんだ!仮にそれが嫌ならパイロットにならんでいい!いや、お前なんか助手でもなければ息子でもない!」
「それはこっちのセリフだ!パンチの飛ばない鉄屑をスーパーロボットだって言うような教授の下で働けるか!そんな奴を親父だなんて呼べるかよ!オレは、出て行く!」
「そこんとこ勝手にしろーっ!さっさと出て行けーっ!」
「ああ、出て行くよ。じゃあな、正義の味方気取り!」
「そのアホ面を2度と見せるな!バカ息子!」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・あばよ。」
「・・・・・・・・・ふん。」

第二百七十五話
「そして、現在」

「ばっきゃもん!!」
「コズミック☆Cのコズミックパンチの味はどうだい?教授?これが!これこそが!スーパーロボットのパンチってやつなんだよ!!」
「分かってるのか?」
「何が?」
「貴様の悪行をだ!この数ヶ月、地球の各地で暴れまくりやがって!地球を滅ぼす気かっ!」
「そうだ。」
「何だと!?」
「と、言ったらどうする?ええ?良かったじゃねぇか!教授!これで待望の悪が現れたんだ!さあ!その鉄屑で大好きな大好きな地球を守ってみろよ!と言っても?本物の鉄屑同然の今の白鉄に、どこまで地球が守れるか見物だけどな!」
「ばっきゃもん!この地球は、ワシと白鉄が絶対に守ってみせる!!」
「何が出来る!えっ?教授!一体今のアンタに何が出来るんだ?パンチの飛ばない白鉄がパンチの飛ぶコズミック☆Cに本気で勝てると思ってんのか?」
「思ってる!!」
「どこまで、おめでたい人なんだ。あの日からそれは、変わってないって事か。」
「お前は、何も分かとらん様だな!」
「それは、オレのセリフだ!!鉄屑になっちまえーっ!飛べっ!コズミックパァァァァァァァァァァァァァンチ!!」
「ばっきゃもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ!!」
「何っ!?足が・・・足が翼に変形しただとっ!?」
「ブースターオォォォォォォォォォォォォン!!」
「なぁぁぁぁぁぁぁぁにぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
「貴様の顔面に食らわしてやるぞ!怒りの鉄拳を!」
「一気にこの距離まで詰め寄られたのには、正直驚いたが、そんな遅いパンチが避けれないと思ってんのか!!」
「別に避ける必要もない。大事なのは、速度ではなく距離だ!」
「何だと!」
「そして、もっとも重要なのは破壊力だ!パンチを飛ばす必要はない。己が飛べばいい!説明書を読んでおくべきだったな!」
「何をする気だ!」
「爆発させる!!」
「何だって!??」
「これが白鉄の怒りの鉄拳だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ま、まさか!?そんな事をしたら白鉄も無事ではすまないんだぞ!」
「ばっきゃもん!最初っから無傷でこの地球を守れるとは思ってないわい!」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「爆ぜろ!無敵的白鉄パァァァァァァァァァァァァァァァンチ!!」

「ぼがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・生きてるか?息子よ。」
「あ、当たり前だ・・・・・・。」
「おそらく今の無敵的白鉄パンチにより、電気系統に異常をきたし、ほぼ全ての武器が使えまい。自慢のパンチも飛ばす事が出来なくなったはずだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「負けを認めるか?」
「負け?あからさまに親父の方がボロボロなのにか?」
「まだやるのか?」
「それは、オレのセリフだ。」
「動くか?拳は?」
「そっちこそもう、右の拳は吹っ飛んでんだぞ?」
「なーに!お前なんて、最初っから左の拳だけで十分だったんだよ!」
「言ってくれるね。」
「行くぞバカ息子!」
「来やがれクソ親父!」
「その☆がナンセンスなんだよーっ!!ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「人のネーミングセンスに口出してんじゃねぇよ!うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

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2011年9月28日 (水)

「第二百七十六話」

「ボツ・・・・・・・・・。」
「いやいやいや、そんなしんみりとしめやかに言わなくたっていいだろ?分かってるよ。」
「別に・・・・・・そんな言い方してない。これが普通なんで・・・・・・・・・。」
「メイドだったら、もちょっと、ニカ~っと笑うとか出来ないのかなぁ?」
「変態じゃないので・・・・・・無理。」
「いや、変態じゃないし!ニカ~って笑うのが変態だってルールないし!しかも遠回しにと言うか!考え方によったら直接僕の事を変態扱いだし!」
「そう言うのがいいなら・・・そう言うにすればいいと思う。」
「いやいやいや、キミでいんだよ。いや!キミがいんだよ。」
「・・・・・・・・・気持ち悪い。」
「ん?んん?何が?何が気持ち悪い?あのさぁ?キミさぁ?ちょくちょく何かがおかしいよ?」
「で?」
「ああ、だから、僕みたいな物書きさんは、メイドメイドしてるメイドより、メイドメイドしてないメイドの方が、落ち着いて物書きに専念出来るってもんなのさ。」
「小説家・・・だったんですか?」
「干渉しなさ過ぎじゃない?何だと思ってた訳さ!小説家ですよ!」
「小説家って・・・・・・ボツ作品しか書かなくても・・・・・・なれるんだ。」
「えぐるねぇ!今日もえぐって来るねぇ!って、しかじゃない!しかじゃ!今回だけ!前回のスーパーロボットの話は、ボツじゃないの!」
「ああ・・・あの・・・その前の作品と・・・終わり方が同じヤツ・・・・・・か。」
「そー言う事は、思ってても口に出しちゃダメ!だいたいキミに読ました時、ちょくちょく笑ってたじゃないか!ボツな訳がないだろ!」
「あれは・・・・・・窓の外で時折・・・・・・葉っぱが揺れてたから・・・・・・。」
「ねぇ!何以下?僕の短編小説は何以下なの?葉っぱ?そよ風?窓?それとも?」
「強いて言うなら・・・・・・・・・。」
「いい!いいよ!いいから!頼むから言わないでくれ!聞いたら絶対、数日間は眠れなくなると思うから!」
「お薬・・・ご用意・・・致しますか?」
「いや、まだ大丈夫だから、辛うじてね!それよりこんな無駄なやり取りよりもだよ。キミは、何も感じないのか?」
「死ねばいいと思う。」
「えっ?誰が?僕が?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「そのたまに無言で憐れむような目で人を見る癖、やめた方がいいよ。」
「・・・・・・癖じゃないから、これ。」
「だったら、なおのことやめーいっ!僕が死んだってキミに何のメリットも無いだろ?メリットの無い死んでくれ願望ぐらい無意味なもんはないんだよ!」
「・・・・・・・・・これ。」
「人のボツ作品を勝手に無意味化するなーっ!いいか?よーく聞けよ!ボツ作品にも意味があるんです!そこにはボツじゃない作品には無い!とてもとても大事な意味があるんです!それは教訓とアイデアです!」
「チーズとトマト?」
「そのちょくちょくイタリアンの事を考えながら人の話、聞く癖、良くないと思うなぁ~。美味しいイタリアンな料理の話なんかしてないーっ!」
「で?」
「ああ、だから、ボツ作品からはさ。学ぶ事が多いって言いたいんだよ。まさに宝の山!」
「・・・・・・学んでばっか。」
「今のは聞き流すとしてだ!いいかい?なぜ、今回の作品をボツにしたのか?当たり前のようだが!その当たり前が肝心要なんだよ!」
「・・・・・・力量不足。」
「ふっふっふっふっふっ。」
「変態?」
「誰が変態だ!と言うか、今ので僕が落ち込むと思ったら、大間違いだーっ!なぜならそれは?僕も考えていた事だからだーっ!」
「指・・・差さないで。」
「あ、ごめん。」
「で?」
「ああ、だから、まさに今回の作品のボツ化は、力量不足だったんだよ。」
「それで?」
「どんでん返しのどんでん返し、更なるどんでん返しのどんでん返しを狙ったからボツったのだよ。そんな高等技術に挑戦したのが、そもそもの大間違いだって訳さ。」
「・・・・・・・・・高等技術?」
「これは、子供がいる未来を疑似体験する男の話。そして、子供がいる未来を疑似体験する男が使う、その疑似体験装置を作った博士になったと言う男の疑似体験の話で、更にこれは、子供がいる未来を疑似体験する男が使う、その擬似体験装置を作った博士になった男の疑似体験をしている小説家になった疑似体験をしてる疑似体験を書いている私の話を読んでいるアナタの疑似体験って話。」
「意味が・・・よく分からない。」
「だろ?分からないだろ?自慢じゃないが僕も分からん!今の説明であってるのかすらもだ!でも、何かそれなりに良さそうな作品になるんじゃないかって空気を醸し出しつつだろ?いや、結局はさぁ。読んでる読者自身が疑似体験で、この作品を作り出してんだぜ?って、感じに書きたかったんだけどね?いやいや、ところがだよ。びっくりした事に、無理なんだよ。無理だったんだよねぇ。僕には、そんな高等技術のどんでん返しに次ぐどんでん返しの連発な短編小説を書くのがさ。」
「あっ、聞いてなかった。」
「それ、ダメだからな!ちょくちょくやるけど!メイドとしてじゃなくて、人として一番やっちゃダメな事だからな!」
「・・・・・・壁あっち。」
「僕は何ですか!とても淋しい人なんですか!それともボツ作品を書き過ぎて、遂にイッちゃった人なんですか!って、誰がボツ作品の書き過ぎだーっ!って、何でクルッとしちゃう?壁の方に体を何でクルッとしちゃう?」
「まあ・・・・・・何と無く。」
「何と無くで壁の方に体をクルッとさせちゃうなら!むしろキミがイッちゃってるぞ!」
「で?」
「ああ、だから、だからさぁ。って、何で両肩をガッチリ掴んで振り向かせない?物凄い力じゃないか!だったら何で!何であの時!ジャムの蓋を開けてくれなかったんだーっ!」
「そう言う気分じゃ・・・・・・なかったから。」
「いや、いきなり放したらやっちゃうから!どっかの筋やっちゃうから!普段は出さないような力加減で、こっちも対抗しております!」
「で?」
「ああ、だから、話はまず、孤独な男が疑似体験をする為に疑似体験装置を開発した博士の研究施設を訪ねるとこから始まるんだよ。」
「それ・・・・・・長くなる?」
「えっ?」
「話・・・長くなる?」
「いやまあ、そりゃあ、わりと長くなるよ。まだ導入部分だからね。これから、どんでん返しの連続だし、そのどんでん返しがなぜ上手い事いかないのか?そこから何が力量不足だったのかを分析して、そして次に書く時の対策を学ばなきゃだからね。もしかしたら、考えもしなかった様なグッドアイデアが埋もれてるかもしれないぜっ!」
「変態?」
「じゃない!親指立てるのとか、いろんな人がいろんな場所でやってるだろ!」
「じゃあ・・・・・・長くなるなら・・・消さないと。」
「消さないとって、節電中だから、日中は電気点けてないけど?」
「・・・・・・・・・電源。」
「電源?何の?」
「疑似体験装置・・・・・・の。」
「えっ!?」
「もうすぐ・・・・・・充電切れだから・・・・・・続きは充電してからでない・・・・・・と。」
「そ、そんなまさか!あり得ない!あれは僕の作品で!こ、これは、この現実はキミの疑似体験だったって言うのか!?」
「・・・・・・・・・またね。」
「嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「って、これボツ作品のラストシーンじゃないか!ついついやってしまったけど何で?何で急に?で、やるならやるでもっと感情込めてやろうよ。温度差物凄い事になってたからさ。」
「・・・・・・・・・長くなるって言うから。」
「から?」
「無理矢理にでも終わらせよと・・・・・・思って。」
「何だ!飽きたのか!」
「飽きるとか・・・飽きないとか・・・じゃなくてそもそも・・・。」
「そもそも?」
「・・・・・・ボツだから。」
「・・・・・・・・・あのさぁ?」
「・・・・・・・・・はい。」
「コーヒー、お願い出来るかな。」
「・・・・・・・・・かしこまりました。」
「そっかそっかぁ。」

第二百七十六話
「ブレイク」

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