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2011年9月14日 (水)

「第二百七十四話」

「よぅぅぅ!ボーイ!」
「ボーイって、ジェントルマンじゃあるまいし!言わないでしょ普通、ボーイとかって。へ、兵士さんですか?」
「いいや、兵士じゃないよ、ボーイ。単なる趣味の世界だ、ボーイ。」
「趣味の世界・・・・・・ふ~ん。」
「それより、ボーイ。その線を跨いでコッチに来ようってならやめときな。」
「何で?」
「そりゃあ、ションベンするより簡単な話だよ、ボーイ。死んじまうからさ。」
「えっ!?」

第二百七十四話
「線」

「疑ってるような感じ醸し出してるから言っとくがな、ボーイ。オレは、何人も何人も線を跨いだ途端に死んだ奴等を、この目で見て来たんだ、ボーイ。」
「どうでもいいけど、そのボーイって言うのやめてくんない?」
「おいおい、ボーイをボーイって呼んで何が悪いんだ、ボーイ。」
「ガールだから!ボーイっぽく見えるかもしれないけど、これでも一応、ガールですから!」
「おっと!こいつはすまない。とんだ失礼をしてしまった。許してくれ、ガール。」
「だから、ジェントルマンかって!で?それは、趣味の兵士さんが殺したんでしょ?この線を跨いだ何人もの人間って。」
「オレが!?」
「そう!」
「線を跨いだ人間を?」
「そう!その銃で!」
「ピース・メーカー!でか?」
「シングル・アクション・アーミー!人を殺すには十分過ぎるほど立派な銃じゃん!」
「理由は?」
「知らない。」
「何でオレが線を跨いだ人間をピース・メーカーで撃ち殺すんだ、ガール。」
「線を跨いだからでしょ?趣味の兵士さんは、番人なんでしょ?」
「何の?」
「知らない。」
「オレは、一体何の番人なんだ、ガール。」
「だから知らないよ。」
「知らない・・・・・・か、ガール。」
「知らないけど、線の先に銃を持った趣味の兵士さんが居て、この線を跨いだら死ぬって忠告して来て、それにそんな理由とか意味とかいるのかなぁ?この状況でそこに何を疑えばいいの?」
「言うねぇぇぇ!ガール!ならそこには、オレは別にガールが線を跨ぐのを待つ理由も意味も必要無い訳だな、ガール?」
「撃つの?」
「さあ?どうしようか、ガール。ピース・メーカーは今、ガールの頭を狙ってるぞ?」
「撃てば?」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「はっはっはっはっ!」
「撃てばいいよ!」
「はっはっはっはっはっはっはっはっ!」
「笑ってないで早く撃ちなよ。」
「わーっはっはっはっはっ!!」
「ねぇ?人を撃ち殺すのが、そんなに面白いの?サイッ低っ!!」
「はっはっ・・・・・・はあ、はあ、はあ・・・・・・ああ、久し振りに笑うと疲れるな、ガール。」
「疲れてないでさあ!撃ちなさいよ!」
「違う違う、ガール。違うんだ、ガール。」
「何が?何が違うの?」
「レプリカだ、ガール。このピース・メーカーは、レプリカなんだよ、ガール。」
「えっ!?」
「なっ?銃口は塞がってるだろ?だから、こんな代物じゃ、誰も撃ち殺せやしないんだよ、ガール。」
「ごめんなさい。最低なんて言って・・・・・・・・・。」
「いいって事だ、ガール。オレが最低なのには、変わり無いんだからな。」
「どう言う事?」
「まあ、時間はまだあるんだ、ガール。オレのその話をほじくる前に教えてくれ、ガール。ガールは、一体どこから来たんだ?」
「どこからって・・・・・・アタシは・・・その・・・・・・えっと、あれ?」
「やっぱりか、ガール。」
「えっ?アタシ、どっから来たの?」
「やっぱりなんだな、ガール!」
「何?」
「ヘイ!ガール!そんなに慌てたもんじゃない。どっから来たかなんて、そんなに問題じゃないんだ、ガール。」
「いや、問題よ。大問題だわ!」
「これは、そう言うストーリーなんだよ、ガール。オレとガールは、あくまで脇役、主役は線なんだよ、ガール。重要なのはそこなんだよ。」
「ちょっと言ってる意味が分からないわ。」
「最低なのは、変わらない。そう言ったよな?」
「ええ。」
「ガール、分かるか?」
「だから、何もかもが分からないんだって!」
「だからオレとガールは、条件が同じなんだよ。」
「えっ?じゃあ、死ぬの?」
「試した事はない。だから、700%死ぬかどうかは分からないが、たぶんオレも700%死ぬ。」
「700%って何っ!?と言うか何なの?何なのここは!?この線は一体何なのよ!」
「だから、こう言うストーリーだって言っただろ、ガール。線を跨いだら、死ぬストーリーなんだよ、ガール。この世界に、それ以上の意味も、それ以下の理由も無いんだよ。線があり、跨ぐ奴等がいる。そんな単純なストーリーなんだよ、ガール。」
「趣味の兵士さん?頭、どうかしちゃってんじゃないの?」
「まあ、頭がどうかしちゃうかもしれないな、ガール。しちゃうぐらいオレは、線を跨いで誰かが死ぬ光景を目の当たりにして、その度にまた、誰かがここにやって来る光景を目の当たりにしてるからな。見殺しの最低な連鎖だ、ガール。」
「趣味の兵士さん?」
「そしてそれはいつも、オレの反対側とは限らない。時には、同じ方を向いてる事もあった。」
「じゃあ、絶対死ぬじゃない!」
「だから言ったろ、ガール。700%だってな。」
「いや、数字の価値観が分かりませって!と、とにかく、だったらそれって逆に言えば線を跨がなければ死なないって事でしょ?」
「かもな、ガール。」
「なら、跨がないわよ。だから、アタシは死なないわ。」
「ああ、オレが700%それを証明してるからな、ガール。だが、どうだ?」
「何が?」
「線を跨いで死んでいった奴等は、どこいったんだ、ガール。」
「死体って事?」
「仮にもし、ここから脱け出す方法が、線を跨ぐだとしたら、ガール?」
「アタシ達は、何かの力でこの世界に引き込まれてたって事?」
「そうだ、ガール。そして、提案だ、ガール。今まで一度も試した事の無い提案だ。」
「何をしようって言うの?」
「同時に二人でこの線を跨ぐんだ、ガール。」
「えっ?」
「こんな馬鹿げた世界、オレらの足で終わらせようじゃないか、ガール。」
「お、終わるの?」
「さあな?口にしてはみたものの、それはストーリー次第だ。だが、何もしなければしないで、飢えて死ぬだけだ、ガール。」
「死ぬかもしれないんだよね?」
「おいおいおい、随分と弱気だな、ガール。いつもの勢いはどうした、ガール。」
「アタシのいつもの何を知ってるのよ!」
「そうそう、その勢いだ、ガール。何事も勢いってのは大事だ。」
「時と場合を選ぶでしょ!」
「かもな?さてと、一緒に線を跨ぐ気が無いなら、ガール。オレは、跨ぐ。」
「跨ぐって?」
「この世界には、もう飽き飽きだ。疲れたんだよ、ガール。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「オレが跨いだらその時は、ガール。こいつを貰ってくれないか?」
「イヤだ!」
「おっと!これは、予想外な返事だな、ガール。」
「自分で持っていってよね!」
「ガール?」
「さあ!跨ぐよ!」
「よし!跨ぐか、ガール!!」

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