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2011年10月19日 (水)

「第二百七十九話」

「そんなビックリしなくても!お爺さんは、大袈裟だなぁ!」
「するだろ!ビックリ!玄関開けて朝刊取ろうと思ってポストのとこまで行ったら突然、門の前にファンタジーな怪物がいたら!目が飛び出るってもんだろ!」
「いやいや、お爺さん!ファンタジーって言ってんだから、そこはモンスターって言わなきゃ!」
「ああ?!そんな事は、どうだっていいんだよ!何なんだ貴様は!わしとばあさんを食う気かっ!そうか食う気なんだなっ!おう?!」
「雷だなぁ!お爺さんは!ちょこっと落ち着いてってば!僕が人間を食べる訳がないでしょ!あっ!でも、ガムくれるなら食べるよ!ガム好きー!」
「んなファンタスティックな食い物なんか家にはないっ!例えそんなマジカルな食い物があったとしてもだ!毛むくじゃらのドラゴンみたいな怪物になどくれてやるかーっ!」
「みたいじゃなくてドーラーゴーン!直立タイプのね!所謂、ながーいタイプじゃなくて、翼の生えてるタイプね!っていや、お爺さん!何でドラゴンまできてまだ怪物って言う?」
「ドラゴンとかモンスターって言うにはあまりにも怪物だからだろ!毛むくじゃらのドラゴンはいいとして!」
「フワッフワッだよ!」
「何なんだそのサーモンピンクとエメラルドグリーンの全身チェック柄は!」
「ママがサーモンピンクドラゴンで、パパがエメラルドグリーンドラゴンだからだよ!」
「DNAの比率!なーんでそんな細かく均等に出ちゃってんだ!」
「妹は、イエローシルバー&グレーゴールドドラゴンだよ!」
「ややこし!何がどうなってそうなるんだ!」
「アッハッハッハッ!」
「別に、面白い事なんて言ってないぞ!つうかなぁ!空向いて笑うのはいいが!火を吹きながら笑うんじゃーない!」
「熱くないんだよ!」
「熱くない火なんかあってたまるかー!」
「やれやれ、本当にお爺さんは雷だなぁ!」
「おい、チェック柄のドラゴン!」
「ああ、因みに僕は、クリムゾンドラゴンだよ!」
「疑うわい!そんな見た目と異なったネーミングだったら!貴様がさっき言ったファミリーカラー全て疑うわい!」
「お爺さん!」
「何だ!!」
「尻尾短いでしょ!」
「んなこたぁ!全く全然これっぽっちも聞いてないわい!だいたい標準が分からん話を持ち出すなー!」
「そんな大きな声ばっかり出してると、血管切れちゃうよ?」
「恐いからだ!貴様の存在が恐くて恐くて堪らないから!だからなんとか大声で恐怖心をおさえてるんだー!」
「なーんだ!だったら、大丈夫だよ!僕は、恐くないよ!」
「顔を近付け!顔をなめるなー!余計に恐さが倍増するわい!いいか?よーく聞けよ怪物!子供だろうが!ドラゴンはドラゴンなんです!内面の問題じゃなくて!とにかく自分よりデカイ生き物は恐いんです!恐竜とは訳が違うんだー!」
「ブラキオサウルス好きー!」
「だーれがいつ好きな恐竜を聞いたー!そうじゃなくてな?恐竜でギりだって事だよ!ある日、目の前に恐竜が現れたら!そりゃあ、恐い!恐いけどなぁ!まあ、ありなんだよ!いたからね!大昔に実際にいたから!ああ、こんな事もあるもんなんだなぁ。ってな!それなりに納得出来る!納得出来ないとしてもだ!それなりにはまあ、出来るんだ!だけどなぁ?ドラゴンなんて空想上の生き物が現れてみろ!何だこの言い様のない今まで経験した事のない恐怖感は!ふざけるなーっ!」
「ピヨ!」
「おい!おいおい!どこの誰が、ドラゴンがヒヨコの真似事したからって恐くないって思うんだー!」
「でもお爺さん?」
「何だ!!」
「大きなヒヨコだと思えば大丈夫だよ!」
「大きなヒヨコは!ニワトリだーっ!」
「アッハッハッハッ!」
「何がおかしい!つうかなぁ!火を吹くヒヨコがどこの世界にいるんだー!」
「そこをなんとか火を吹くヒヨコでお願いできないでしょうか?」
「無理だろ!だいたいこれがニワトリになる絵が浮かばん!」
「ワンワン!!」
「馬鹿にしているな?貴様ーっ!そうやって老人を馬鹿にしてるんだろー!耳の穴かっぽじってよーく聞けよ!食うなら食え!だかなー!ばあさんに指一本触れてみろ?そんときゃ地獄の底から蘇って!貴様を血祭だーっ!!!」
「こわっ!お爺さんの方がよっぽど恐いって!白髪鬼だーっ!!」
「完全に馬鹿にしてるなっ?こっちが何にも出来ないと思って!あれか!そんなに年寄りをからかって楽しいか!何だ?ドラゴンってのは弱い者イジメが趣味なのかっ?そんな子供達のファンタジックな夢をぶち壊すなんて!クソ以下だ!おいクソ怪物!用が無いならさっさとファンタジーな世界へ帰れーっ!!」
「現実の世界とファンタジーの世界を繋ぐ扉ってのはね?こっち側から扉をどうやって開くのか分からないけど、至るところにあるんだよ?だから、お爺さんの言う空想上の生き物ってのは、全て存在するんだよ?でもね?それを実際に目にした人間が、少しアレンジしちゃったんだよ!だって、色々なタイプのドラゴンがいるけど、ドラゴンって、ぜーんぶサーモンピンクとエメラルドグリーンのチェック柄なんだもん!」
「何をポカーン、とさせる様な事を突然、言い出すんだ?このタイミングで!つまりあれか!人間が勝手に格好良くアレンジを加えたって言いたいのか!」
「酷いよー!」
「んまあ、真実をねじ曲げて伝える事は、確かにいけない事だ!」
「クソ以下だなんてーっ!クソ怪物だなんてーっ!以下って言ったのに怪物の前にクソが付いてるよーっ!」
「何だおい!情緒不安定か?まあ、確かにわしも言い過ぎた感はある!そりゃあ否めん!だがなぁ!貴様も悪いぞ?わしの恐怖心の針が振り切れてんのは!貴様がわしの前に現れた目的を言わないからだ!例えそれが、わしを食うつもりじゃないとしてもだ!人間は、何が起きているのか!そしてこれから何が起こるのか!そんなエマージェンシーをもっとも恐怖する生き物なんだ!」
「ごめんなさい。僕、それ知らなかったから。」
「いい、いい。知らなかったもんは仕方ないとしてだ。目的は何だ?」
「それは・・・・・・・・・。」
「どうした!さっきまでの勢いは!」
「だから、帰れないんだってばー!」
「いや帰れないって、お前さん、向こう側から来たんなら、そこからまた向こう側へ帰ればいいだけの話だろ?」
「だから、こっち側からの扉の開け方が分からないんだよーっ!助けて、魔法使いのお爺さーんっ!」
「誰が魔法使いだ!ぽいけども!」
「ええーっ!?魔法使わないなのー!?」
「正確には魔法使えないだ!なるほど、だからわざわざ、わしの所へ来たのか。さてはて、しかしこれは、だいぶ参ったのぅ。」

第二百七十九話
「四丁目の魔法使い」

「ばぁば?じぃじは?」
「じぃじかい?今、出掛けちゃってるんだよ。」
「ええーっ!せっかく遊びに来たのにー!」
「ごめんね。」
「じぃじ、どこ行ったの?」
「さあ?どこに行ったんだろうね?でもきっと今頃、どこかの大空の上で、気持ち良さそうにイビキでもかいて、ドラゴンの背中で昼寝でもしてるかもしれないね。」
「何それー!」
「ふふっ、何だろうね?」
「でも何か、魔法使いみたーい!」

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