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2011年12月21日 (水)

「第二百八十八話」

「ここは?」
「もしや?記憶を無くされたのですか?ここは、貴方の家です。」
「ここが僕の家?」
「ふふっ。」
「キミは?まさか!?僕の孫かい?」
「いいえ。違います。」
「なら、キミは?」
「殺し屋です。」
「殺し屋!?」
「ふふっ。そんなに驚かなくても。」
「な、何が可笑しい!」
「いえ、何でもありません。」
「何でも無い訳がないだろ!祖父と孫の関係性ならまだしも!屋敷の主と殺し屋の関係性だぞ?」
「う~ん?・・・・・・・・・有りがち?」
「無いがちだ!」
「まあまあ、そんなに興奮しないで下さいよ。」
「さてはアレだな?」
「アレ?」
「そうだ!アレだ!」
「アレ??」
「アレに決まってる!」
「もしかすると?ミーが貴方を見て笑ったのは、こんな状態の貴方なら、いとも簡単に殺せる、から?、とか?」
「そうだ!それだ!それしか考え付かない!」
「どーして?」
「どーしてもこーしても、目の前に殺し屋だって名乗る人間がいたら!名乗られた側がまず1番に考え付く考えだからだ!」
「う~ん?・・・・・・じゃあ、アレだなぁ?」
「アレ?」
「うん、アレ。」
「何だ?アレとは?」
「アレです。だったら、アイドルとか言っちゃえば良かったなぁ?って、ね。」
「だったらだったで、僕は記憶を無くす前の僕を疑うよ!年甲斐もなく何をしてんだって、一言物申したいよ!」
「そんなぁ。アイドルを好きになるのに、年齢とか立場とか関係無いですよ。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・殺し屋なんだよね?」
「はい!」
「か、仮にキミがアイドルだったら、それはそれで何か僕が誘拐した事になるじゃないか!」
「どーしてそう、なっちゃうかなぁ?階段みたいなとこから落っこちたミーを、貴方が命懸けで助けてくれたのかもですよ?」
「で、僕をキミが病院まで連れてってくれて、病院から家まで連れてってくれて、ずーっと今まで看病してくれてたって言うのかい?」
「はい。」
「アイドルなのにかい?毎日毎日、忙しいって言うのにかい?」
「アイドルだからとか関係無いですよ。アイドルだって目の前で困ってる人がいたら、助けたいって気持ちは、みんなと一緒でしょ?」
「って、殺し屋なんだよね?アイドルじゃなくて?」
「はい。アイドルじゃなくて、殺し屋です。」
「じゃあ、今の話を殺し屋に置き換えてだね。僕はたまたま殺し屋のキミが、階段みたいなとこから落っこちたのを助けたって事でいいのかな?」
「いくないです。だって今のアレは、あくまで私がアイドルだったらバージョンのフィクションですから。」
「ならやっぱり僕を殺すつもりなんだろ!」
「う~ん?記憶を無くす人、何人か見た事ありますけど、ここまで記憶を無くす前と無くした後とで、価値観が全く変わってないと、本当に記憶を無くしてるんだか、疑ってしまいますねぇ。」
「それはアレかい?」
「アレです。」
「僕って人間の記憶だけ無いバージョンってヤツかい?」
「御名答!」
「なら、キミは一体?まさか僕が雇ったとでも!?」
「御名答!」
「馬鹿な!?何の為に!何の為に僕は殺し屋なんて!?しかも少女!?」
「その少女ってとこは、余計です。これでも成功率3桁に近いんですよ?」
「何が起きてるって言うんだ!?何が!ああーっ!果てしなく思い出せないー!」
「あのう?ミーの話、聞いてました?」
「なあ!」
「うわっ!?」
「お願いだ!教えてくれ!僕が記憶を無くすまでの事を!頼む!」
「分かりました。の前に、手、放してもらえると話が、易いです。」
「あっ、ああ、すまない。つい。」
「大丈夫です。貴方に依頼を受けたミーは、この屋敷に来る途中にあるいつものヌイグルミ屋さんに立ち寄って、このクマさんのヌイグルミさんを今回の報酬で絶対に買おう!って、高まりながら屋敷に来ました。」
「クマさんのヌイグルミさんって、キミ。ん?いや待てよ?いつものって事はだぞ?僕がキミを何回も何回も雇っているって事かい?」
「はい。」
「何てこった・・・・・・。」
「まあ、大金持ちには、有りがちですよ。」
「無いがちであって欲しかったもんだよ。で?」
「はい。そして、ミーが屋敷に着き、チャイムを鳴らして貴方が、インターフォン越しに受け答えをしたあと、貴方が屋敷の中から玄関のロックを遠隔で解き、ミーは屋敷の中へ。」
「ふむ。」
「大きな扉が閉まると同時に、貴方は2階の部屋から出て来て、1階のミーを見下ろしてました。」
「ちょっと待ってくれ。」
「はい。」
「僕は、何もキミが朝起きてから夜寝るまでの話を聞きたいんじゃないんだよ!肝心なのは、僕が一体何に巻き込まれて!僕が一体どんな危機的な状況下に陥って!僕がそんな緊急事態からキミと、一体どうやって屋敷まで辿り着いて!そして僕は、これから一体どうすればいいのかを聞きたいんじゃないか!」
「ですから、終わりです。」
「終わり?終わりって、キミは、やっぱり僕の命を!」
「違いますよ。命がじゃなくて、話がここで終わりって意味です。」
「ん?」
「ん??」
「と、言う事はアレかい?」
「アレですね。」
「やっぱり。アレなんだな?」
「アレしかないですね。」
「何かが終わったどころの話じゃないんだね?」
「それどころのじゃない話です。」
「つまりは?」
「はい。その直後、貴方が階段を踏み外して転げ落ちちゃったんです。」
「ぎゃふん!」

第二百八十八話
「まだなーんにも始まってない!」

「な、何をしてるんだ!?」
「って、事なんで!さあ!行きますよ?」
「い、行くって、一体どこへ?」
「ふふ。決まってるじゃないですか!仕事、ですよ。」
「いやでも、僕はまだ記憶が!」
「貴方がこのまま時間が過ぎても目覚めなかった時は、ミーも今回の仕事とクマさんのヌイグルミさんは諦めてました。でも、貴方は時間ギリギリで目を覚ましました。もうこれは行くしかありません!」
「それはアレかい?クマのヌイグルミの為にかい?」
「違いますよ!何処かで亡くした貴方の大切な想い出を取り戻しに行く!、為ですよ。」
「えっ!?ちょ、ちょっと待ってくれ!?」
「レッツゴー!」
「・・・・・・・・・やれやれ。」

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