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2011年12月14日 (水)

「第二百八十七話」

「あ~??」
「だーかーらー!ミサイルだよ!ミ・サ・イ・ル!シュパ~ン!ってさ!でもしミサイルが無理なら!爆弾でもいいよ!ドガ~ン!ってさ!」
「ガキ?ここがどこだか分かってそんな無茶苦茶なオーダーしてんのか?」
「自転車屋だろ?そんなの分かってるに決まってンじゃん!ああっ!それかさ!それかさ!何か金属とかを溶かしちゃうビームとかは?無理?」
「無理に決まってんだろ!アニメか?アニメーションの観すぎか?だいたい何で自転車にそんな機能付けたいだよ。」
「クラスにいじめっ子がいてさ。」
「この世から消す気か!」
「だっていっつも僕の事、いじめてくんだぜ?」
「仕返しの発想が反比例しすぎなんだよ!たかが小学生のいじめだろ?んなもん自分の拳でやり返しゃいい事だろ!」
「ぼ、暴力!?」
「ガキに拳を否定されたかねぇよ!」
「おじさん!たかがって言うけど、今時の小学生のいじめは、そりゃもう凄まじく残酷で!かなり冷酷なんだぜ?」
「で?お前は一体どんないじめにあったんだ?」
「笛を隠されたり、ジャンケンで後出しされたり、テレビゲームで勝てなかったり、かと言って携帯ゲームでも勝てなかったり、こないだなんて!鼻かんだ後のティッシュを広げて見せてきたんだよ!どーよ!」
「どーよって、ガキ。どーでもいいよ!ほっこり感満載が否めねぇじゃねぇか!終始笑顔で見てられるじゃねぇか!むしろそれで、仕返しがミサイル発射だったら、お前が巨悪だ!」
「まっ、大人には、分からないんだよ。その辺の子供事情をさ。」
「お前、場所が場所で事が事ならその思想、国際指名手配もんだぞ?」
「嬉しい事、言ってくれるじゃんか!」
「誉めてねぇよ!これっぽっちも!」
「とにかくだよ!おじさん!この世に肉片1つ残さないような強烈なフラッシュのライトだけでもお願い!お願い!!」
「いや、今までで1番の強烈なオーダーじゃねぇか!」
「そこを何とか!」
「拒んでねぇよ!自転車屋には、無理なオーダーだって言ってんだよ!」
「何だよそれ~!じゃあ、何が出来んの?」
「何って、そりゃあ、自転車屋なんだから、パンク修理したり、タイヤに空気入れたり、それから?」
「普通じゃん!」
「おう!普通だよ?普通の何が悪い!普通に自転車売って、普通に自転車修理して、普通にお金もらって、その金で普通に飯食って、普通に寝て、そんな普通の生活して、そんな普通の自転車屋として人生の幕を下ろして何が悪い!」
「自爆は?ほら、ボタン押して自転車突っ込まして、ドガ~ン!ってさ!」
「俺の自転車屋人生の話は?ほったらかしか?てかなぁ?なぁおい!ガキよ!その独特な観点からの話は、やめにしないか?」
「どーしてだよ!どーして、いじめっ子が生きてなきゃならないんだよ!いじめっ子が生きてる限り、今もどこかで誰かがいじめられてるんだぜ?そんな奴等が、この地球上で僕等と同じ風にのうのうと生きてちゃダメなんだ!根刮ぎジェノサイド!」
「いじめられてないだろ!お前は!だいたい、いじめっ子を撲滅すんのに自転車使うんじゃねぇよ!てか、その独特な発想をまず!どうにかしやがれ!」
「だったら!自転車のブレーキは何の為に付いてんだよ!いじめを止める為にだろ!」
「いや、自転車を止める為にだろ。自転車を止める為だけにだろ。それ以外でもそれ以内でもないだろ。そんな自転車のブレーキに、社会問題をどうにかさせようとしてくれんな!」
「ああ!もう!無いの?サブマシンガンとか!」
「もはや、自転車屋関係ねぇじゃねぇか!何だ!一瞬でも俺が武器商人にでも見えたのか?んな危なっかし代物、自転車屋にある訳がねぇだろ!」
「ダイナマイトは?」
「ねぇよ!」
「刀は?」
「ねぇよ!」
「殺し屋は?」
「いねぇよ!」
「チェーンは?」
「あるよ!自転車屋だからな!絶対に盗まれないチェーンがありやがるよ!てかな?いじめっ子(仮)よりも、むしろ俺は、お前をどーにかしなきゃって考えてるよ!」
「はあ?何で!」
「何でって?そんな簡単に、人の命を奪おうとなんて考えちゃいけねぇよ。そりゃあ、いじめが好きでいじめをしてる奴もいるだろうよ。だがな?みんながみんな好きで誰かをいじめてる訳じゃねぇんだよ。いじめっ子にもいじめっ子なりの悩みってもんがあるんだよ。」
「だからって、誰かをいじめていい訳ないだろ!」
「そりゃあ、そうだ。初めていい事を言ったな。だからこそ、俺等大人がちゃんとしなきゃならねぇんだよ。お前らガキどもを!いじめから守ってやらなきゃならねぇんだよ!」
「猛毒ならある?」
「いい話感をゼロに戻すようなオーダーしてんじゃねぇよ!ある訳がねぇだろって!」
「もう!おじさんの言ってる事、さっぱり分からないよ!おじさんが何にもしてくんないんだったら!もう自分でどうにかするよ!」
「おいおいおい、一体何を仕出かすつもりなんだ?」
「決まってるだろ?背中にカエル入れてやるのさ!あと、水鉄砲でオシッコ漏らしたみたいにしてやるんだ!」
「おいおいおい、何なんだよその自力と他力の激しい落差の仕返し法は?」
「これだから大人は、困っちゃうよ。」
「何がだ?」
「いい?水鉄砲でオシッコ漏らしたみたいにするってのは、言わば核兵器に匹敵するんだぜ?んで、アイツの大嫌いなカエルを背中に入れるってのは、この宇宙が消滅するに匹敵するんだぜ?分かる?」
「さっぱり分かるかーっ!なら、始めからそうやって、和気藹々やってりゃいいだろ!」
「じゃあ!水鉄砲買ってくれよ!」
「お門違いだろ!何で俺が水鉄砲買って上げなきゃならねぇんだよ!頼む相手間違っちゃいねぇか?」
「おばさーん!」
「何でだよ!お前は、家の財政危機の根源か!火の車大暴走させる気か?んな代物、親に頼めばいいだろうが!」
「親は、そのいじめっ子に殺されました。」
「どんな独特な展開だよ!」
「なら、来週発売のゲームソフト買ってくれよ!」
「んな代物、サンタクロースにでも頼んどきゃいいだろうが!」
「じゃあ!自転車のカゴにサンタクロース付けてくれよ!」
「何がどーなっちまったら、そーなっちまうんだい!」
「ちぇっ!」
「何だ、おい?随分とはっきり声に出して舌打ちしてくれるじゃねぇか!」
「だって、自転車屋なのに何にも出来ないんだもん!」
「お前のオーダーに全て応えられる自転車屋があったなら、俺は裸で逆立ちしてこの商店街を2周してやるよ!」
「2周かよ!」
「どこにクレームをオーダーしてんだ!」
「ちぇっ!」
「とにかくだ!ほら、パンクは修理しといてやったから、これでまたおもいっきり走って、風にでもなりゃあ、んなどーでもいいような事、どーでもよくなっちまうよ!」
「ありがとう。」
「そーだよ!ガキは、そうやって、素直なのが1番だ!」
「ああ~!もう!いい子いい子とかやめろよな~!」
「いーじゃねぇか!」
「髪の毛グシャグシャじゃんかよ!もう行くよ!」
「あとなぁ?」
「何?」
「あんまし脱出装置使って遊ぶんじゃねぇぞ?サドルがぶっ壊れそうだったぞ?まあ、そりゃあ、サービスで修理しといてやったけどな!」
「う、うん分かった。ありがとう!」
「おう!じゃっ、家の自転車、大事に乗ってやってくれよ!」
「ほ~い!」
「デハ、坊ッチャン。サイクリングニデモ出発致シマショウカ。」
「うん!じゃっ!おじさん、バイバ~イ!」
「すっ転んで怪我すんじゃねぇぞ!」
「分かってるって!」
「ジェットブースター始動マデ5秒前!4、3、2」
「おいおいおい、本当に分かってんだろうな?」
「1、点火!」
「いぃぃぃぃぃぃやっほぉぉぉぉぉぉ!!」
その自転車屋は、商店街を見下ろす丘の上に、とても大きく店を構えて、営んでいた。
「やれやれ、あれじゃあ、すぐにまた、パンク修理に来ちまいそうだな。」

第二百八十七話
「丘の上の自転車屋」

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