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2012年1月25日 (水)

「第二百九十三話」

「師!」
「何だ!弟子!」
「今日こそは、教えていただきます!」
「よかろう。私もそろそろ弟子に教えてやろうと思っていた頃合いだ。」
「ありがとうございます!」
「しかし、これはかなりの苦行になるが、覚悟は出来ているのだろうな?」
「師!勿論です!」
「うむ。ではまず、裏庭に出よ!」
「はい!」
こうして、師と弟子との壮絶な修行が始まった。
「師!これから何をすれば良いのですか!」
「弟子!良く聞くのだ!この裏庭には、無数の地雷が埋められている!」
「地雷?」
「弟子は、この無数の地雷が埋められている裏庭を進み、あの神木を触り、再びここへと戻って来る!それが第1の修行だ!」
「無数の地雷って、師よ!ご冗談を。」
「冗談ではない!」
すると師は、縁側に置いてあった巨大な熊の木彫りを持ち上げると、そのまま裏庭へと放り投げた。
「ドカーン!」
巨大な熊の木彫りは、地面に落ちると共に、木っ端微塵となった。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さあ!行け!弟子!五感を研ぎ澄ませ!全ての細胞を集中させよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「それとも秘伝を諦めたか?」
「・・・・・・・・・行きます!」
弟子は裏庭へ出ると、五感を研ぎ澄まし、全ての細胞を集中させ、地雷を避けて神木に辿り着くと、再び五感を研ぎ澄まし、全ての細胞を集中させ、縁側へと戻って来た。
「うむ。」
「師、次の修行は!」
「七重の塔へ行くぞ!」
「はい!」
師と弟子は、裏庭をあとにし、七重の塔へと向かった。
「弟子!塔の天辺が見えるか?」
「はい!」
「何が見える!」
「青い風船ですか?」
「今から弟子は、この七重の塔の外壁を己の力だけで登り!青い風船を取り!再び七重の塔の外壁を下りてここに戻って来る!それが第2の修行だ!」
「師、これは先程の修行よりも楽ですね。」
「足だけで登り降りをしなければならないと聞いても尚!そんな事を言っていられるかな?」
「足だけで七重の塔を!?」
「そして勿論、ここから七重の塔への道のりには、無数の地雷が埋められている!」
「ここにも無数の地雷って、師よ!ご冗談を。」
「冗談ではない!」
すると師は、近くに置いてあった巨大な熊の木彫りを持ち上げると、そのまま七重の塔付近へと放り投げた。
「ドカーン!」
巨大な熊の木彫りは、地面に落ちると共に、木っ端微塵となった。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さあ!行け!弟子!五感を研ぎ澄ませ!全ての細胞を集中させよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「それとも秘伝は諦めたか?」
「・・・・・・・・・行きます!」
弟子は、五感を研ぎ澄まし、全ての細胞を集中させ、地雷を避けて七重の塔に辿り着くと、足だけを使い外壁を天辺へと登り、青い風船を片方の足で掴むと、もう片方の足で再び七重の塔の外壁を降り、五感を研ぎ澄まし、全ての細胞を集中させ、師が仁王立ちする場所へ戻って来た。
「うむ。」
「師、次の修行は!」
「池へ行くぞ!」
「はい!」
師と弟子は、七重の塔をあとにし、大きな池へと向かった。
「弟子!泳ぎは得意だったな!」
「はい!」
「ならば、この池の底にある人面石を取ってきなさい!それが、第3の修行だ!」
「師!まさか、この池のそこにも地雷が?」
「地雷など仕掛けてはいない。」
「そうですか。それでは、第3の修行に!」
「地雷は無いが、この視界の悪い池の中には、無数の機雷が漂っている!」
「機雷!?って、師よ!ご冗談を。」
「冗談ではない!」
すると師は、池の近くに置いてあった巨大な熊の木彫りを持ち上げると、そのまま池の中へと放り投げた。
「ドカーン!」
巨大な熊の木彫りは、池の中に消えると共に、木っ端微塵となった。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さあ!行け!弟子!五感を研ぎ澄ませ!全ての細胞を集中させよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「それともそろそろ、秘伝は諦めたか?」
「・・・・・・・・行きます!」
弟子は、五感を研ぎ澄まし、全ての細胞を集中させ、機雷を避けて池の底にある人面石を抱き抱えると、再び五感を研ぎ澄まし、全ての細胞を集中させ、無数の機雷が漂う池の中を水面へと泳ぎ、天を仰ぐ師が待つ池のほとりへ戻って来た。
「うむ。」
「師、次の修行は!」
「桜並木の石段へ行くぞ!」
「はい!」
師と弟子は、大きな池をあとにし、桜の木が並ぶ500段ある石段へと向かった。
「第4の修行!逆立ちで500段の石段を往復!」
「師!逆立ちで地雷を避けろと言うのですか?」
「弟子?そんなものは無い!」
「まさか時間制限があるのですか?」
「その通り!」
「その制限時間とは!」
「一段片側30秒!」
「片側?30秒?師!一体それは、どう言う意味ですか!」
「弟子!降りは右側を通り、昇りは左側を通る!その一段一段の両側には、30秒間隔の時限爆弾が仕掛けてある!それを30秒間で解除しながら、ここまで戻って来るのだ!」
「師!それはあまりにもご冗談を!」
「冗談ではない!」
すると師は、近くに置いてあった巨大な熊の木彫りを持ち上げると、そのまま巨大な熊の木彫りで、最初の一段目の右側を指し示した。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さあ!行け!弟子!五感を研ぎ澄ませ!全ての細胞を集中させよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「それともここまで来て、秘伝は諦めたか?」
「・・・・・・・・・行きます!」
弟子は、五感を研ぎ澄まし、全ての細胞を集中させ、逆立ちで時限爆弾を解除しながら石段の右側を降ると、再び五感を研ぎ澄まし、全ての細胞を集中させ、逆立ちで時限爆弾を解除しながら石段の左側を昇り、師が待つ500段目へ戻って来た。
「うむ。」
「師!次の修行は!」
「本堂へ行くぞ!」
「はい!」
師と弟子は、桜の木が並ぶ500段ある石段をあとにし、本堂へと向かった。
「師!これは!」
「第5の修行!それは、本堂にある1000体の熊の木彫りを破壊する!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「弟子!どうかしたのか?」
「いえ、今度は一体どこに爆発物が仕掛けられているのかと?」
「安心しろ。本堂や熊の木彫りに、爆発物など仕掛けてはいない。」
「そうでしたか。勘繰ってしまってすみませんでした。」
「ただし!弟子が1000体の熊の木彫りを破壊したと同時に!私が爆発する!」
「えっ!?」
「何を今更、驚く事がある!弟子!一子相伝とは、そう言うものだ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「さあ!行け!弟子!五感を研ぎ澄ませ!全ての細胞を集中させよ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「それとも本気で、秘伝は諦めたか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「どうした!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「何を躊躇う!」
「・・・・・・・・・僕が1000体の熊の木彫りを破壊すれば、師が爆発してしまう。」
「だから何だ!」
「師を殺す事など!僕には出来ません!」
「弟子!弟子とは師を喜ばせてこそ真の弟子!師を悲しませる様な弟子はいらん!修行を放棄するのなら!今すぐここを立ち去れい!」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・やります!」
「ならば涙を今すぐ拭けいっ!!」
「師!今までありがとうございました!」
「弟子!礼を言うなら成功してからしろ!」
「はい!」
「さあ!行け!弟子!五感を研ぎ澄ませ!全ての細胞を集中させよ!」

第二百九十三話
「人差し指を曲げる修行」

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