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2012年2月15日 (水)

「第二百九十六話」

 実は今、全く何もアイデアが浮かんでいない状態で、物語を書き始めました。だから、ハチャメチャな物語になるか?無敵な物語になるか?そこんとこは分かりませんが、まあでも、面白い作品になる事は間違いないでしょうから、是非とも最後までお付き合い下さい。

第二百九十六話
「短編小説ができるまで」

まあ、いつもの喫茶店で、いつもの席からいつもの天井を見上げる事、8分31秒。いまだに何一つアイデアが浮かばない。でも、頑張る。頑張って何とかする!
「あのう?」
とりあえず見知らぬタイプの女性に話し掛けられよう。
「はい?」
返事をしたのが僕ね。んで、どうする?次にタイプの女性は何と言う?とりあずの見切り発車をしたものの、ここが重要ですぞ?ここで物語がどんな展開になるのかが決まる!
「結婚して下さい!」
いや、斬新だけども!実に斬新な恋愛小説だけども!あまりに斬新すぎて、このタイプの女との老後が心配です。
「いきなり結婚と言われても、困ります。」
うん。だから、とりあず無難に断っておこう。てか、そもそも恋愛小説なんて書けないし、こんなの恋愛小説でもなんでもないんだから、女性に話し掛けさせたのが大間違いなんだよ。
「よう!相棒!」
いや、だからって、カウボーイに話し掛けさせるのはどうだろうか?ここ、喫茶店ですよ?何ですか?これから2人で列車強盗でも捕まえに行くんですか?
「ははは。」
とりあえず愛想笑いで時間を稼ぐとして、カウボーイはないや。カウボーイは、ぶっ飛び過ぎる。いやまあ、別にぶっ飛び過ぎたっていいのだけんども!ちょっとそのぶっ飛び加減が違うと言うか、だいぶ違うと言うか?ぶっ飛ぶ角度に問題ありと言うか、そのぶっ飛んだ先に光が見えないと言うか?とにかくだいたい僕は馬乗れないし!
「保安官の面白い話があるんだが聞くかい?」
えっ?聞かないよ。聞かないと言うか、書かないよ!そんな無駄な話。簡単に面白い話を聞かないか?なんて言わないで欲しいね。それ、考えるのは僕、なんだからさ!そもそも、何かそっち系の?西部開拓時代系の?知識が乏しいよ!僕は!とりあえず列車強盗と保安官で、いっぱいいっぱいだよ。
「革命!」
いやだからって、何か中世ヨーロッパな騎士に話し掛けさせたって、もっとダメに決まってんじゃん!更に知識不足でよく分からないよ!だいたい、革命!とか言わせちゃうぐらいだよ?おふざけが過ぎるでしょ!書くなら事前に資料を読んで勉強しなきゃでしょ!
「魔女狩り!」
ああ、もう話し掛けないでくれよ!僕の知識が乏しいのが丸出しで、赤っ恥だよ!
「ギロチン!」
まあもう、次いでだから、消えてもらう前に、最後の知識をひけらかしといたよ。もうあれかな?いつもな感じで、ちょっと面白おかしな、エキセントリックな人物とのやり取りでいいのかな?例えば真横に、博士!
「くそっ!タイムマシーン作りてぇーっ!」
うわっ!口悪っ!?って、そこじゃなくて、博士=タイムマシーンとかって、やり尽くされてる題材だよ!だいたい博士が全員、タイムマシーンを作りたい訳じゃないし、安直が過ぎるぞ!自分!
「ああーっ!タイムマシーンが作りたーいっ!」
泣く!?そこそこ、威厳と貫禄と髭を蓄えた老人が、白昼堂々と喫茶店で、泣く!?泣くならラボで泣けってんだよ!だいたいそんな簡単にタイムマシーンが作られてたら、僕は喫茶店で頭フル回転させて、わざわざ短編小説書いてないやい!
「博士?」
誰!?何か黒服の男が出現しちゃったよ!?大丈夫?展開、大丈夫なの?
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
本格的に号泣じゃん!あれだね?大の男の大号泣は、引くね。しかも、大号泣の内容が、訳分からないと500倍、引くね。
「大号泣は他のお客様のご迷惑になりますので、大号泣するなら、ご自分のラボでお願いします。」
まさかのアルバイター!?店長ならまだしも!黒服のサングラスのガタイのいいアルバイター!?喫茶店でアルバイトするその経緯が気になります。など、ふざけている場合ではないぞ?全く物語が動いていないぞ?もうあれか!喫茶店って、シチュエーションがおかしいのか?
「凄く不思議でメルヘンな国にようこそ!」
「あ、はあ。」
不思議な国もメルヘンも書くのが難しいってのに、2つを合わせて更にその前に凄くが付いた日には、お手上げだよ!迷惑極まりない妖精だよ!でも、頑張る!少し頑張ってみる!
「凄く不思議でメルヘンな女王様が貴方をお待ちです。」
「はあ。」
「この凄く不思議でメルヘンな森を抜けた所に、凄く不思議でメルヘンな女王様が住む、凄く不思議でメルヘンなお城がございます。」
「はあ。」
「私は、凄く不思議でメルヘンな女王様から、貴方の凄く不思議でメルヘンな道案内を申し付けられた、凄く不思議でメルヘンな妖精です。」
「はあ。」
「私の後を凄く不思議でメルヘンに着いて来て下さい。でないと、凄く不思議でメルヘンな森で、凄く不思議でメルヘンに迷われてしまいますからね。ふふふっ。」
ふふふっ。じゃねぇよ!頭に凄く不思議でメルヘンが付いてるだけじゃねぇか!誰が一体どうやって凄く不思議でメルヘンを想像できるってんだい!なんだなんだ?凄く不思議でメルヘンな女王様に会って、凄く不思議でメルヘンな宴を催されるのか?凄く不思議でメルヘンなプレゼントを帰りに貰うのか?んで、年老いた僕はこの凄く不思議でメルヘンな体験談を孫に凄く不思議でメルヘンに聞かせたあと、凄く不思議でメルヘンな女王様から頂いたあの、凄く不思議でメルヘンなプレゼントを凄く不思議でメルヘンに見せて、ごく自然な流れで施設に入れられるってか!
「どうかしましたか?」
「消えろ!」
そんな老後は嫌だ!嫌だけど、孫が居るって事は、結婚して家族が居るって事だから、何かいい!って、想像の中の妄想で喜んでいる場合ではないぞ?なら、シリアスやハードボイルド路線でどうだ?
「俺は、殺し屋。」
「はい?」
「しくよろ。」
「えっ?」
「母が余命3ヶ月で、娘が余命3ヶ月で、妻が余命3ヶ月で、俺も余命3ヶ月だ。あと、飼ってる犬も余命3ヶ月だし、飼ってるインコも余命3ヶ月。近所の奥さんも余命3ヶ月だし、隣の御主人も余命3ヶ月。村長も余命3ヶ月だし、余命3ヶ月だと宣告したお医者さんもまた余命3ヶ月だ。」
絶対なんかスゲェ体に悪いもんが、そこら辺の土地から出てんだよ!シリアスでもハードボイルドでもなんでもないじゃん!シニカルでコミカルでケミカルだよ!ってまあ、それは全て僕の責任なんですけどね。
「俺は、村の未来の為に!この国と業者を相手に残された命を懸けて裁判に必ず勝ってみせる!」
やっぱ何かスゲェ体に悪いもんが、そこら辺の土地から出てんじゃん!何だ村とか業者とか裁判とかって!殺し屋が裁判起こしたら逆に裁判起こし返されるだろ!
「頑張って下さい。」
「バーボン!」
何か、ハードボルド風な言葉を口走ってコートの襟立ててタバコ吹かしながら雨の中、傘もささずに月明かりに照らされながら、去って行った!?って、ありったけの思い付く限りのハードボイルド要素を詰め込み過ぎだろ!僕っ!
「・・・・・・・・・無理!もう今日は無理!帰って寝る!」
天井に向かってそう叫ぶと、隣の席の短編小説家の男は、喫茶店を出て行った。こうして私は、隣の席の短編小説家の男が紙ナプキンに書き残した走り書きを元に短編小説を書き上げたのであった。



「・・・・・・・・・・・・・・・。」

とまあ、僕は約2時間を費やして、こんな在り来たりなオチの短編小説を書いていた。次は、もう少し頑張ろうと自分に言い聞かせて、家路に着いた。 

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