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2012年3月14日 (水)

「第三百話」

 画家が同時に完成させた2枚の作品のうち1枚は、果たして偽物か?本物か?
「なんてことだ。まったく、なんてことだ。」
「館長?どうかしましたか?」
「この美術館の目玉となる作品が偽物だったんだよ!」
「まさか!?そんなはずはないですよ!だってこれは、ちゃんとした機関に依頼して鑑定してもらった作品ですよ?」
「その機関から数十分前に届いた資料を読みたまえ!」
「・・・・・・・・・これは!?」
「作品は2枚あった。作者は同じ、絵も細部に至るまで同じ、作品が完成した日時までもが、同じ。」
「なら館長!つまり本物が2枚あったって事じゃないですか?」
「いいか?全く同じ作品がこの世界に同時に2枚あると言う事はつまり!それは必然的に、どちらか1枚が偽物って事なんだよ!」
「だからと言って、この絵が偽物だとは限らないじゃないですか!もしかしたらもう1枚の方が偽物だって可能性も!」
「それは無い!偽物は、うちの美術館の絵の方だ!」
「何でですか!資料を読むと、絵の作者は両利きで、同時に左右の手で絵を描き始めて、同時に絵を描き終えたとあります!目の前の絵が偽物とは限りません!いやむしろやっぱり!2枚共が本物だと言う解釈が必然です!」
「それは理想論に過ぎない。君が何を言おうが、鑑定機関と私との間で、もう正式に決まった事だ。残念ながらこの絵は、偽物なんだよ。」
「納得出来ません!いったい機関と館長との間でどんな話し合いが執り行われたんですか!」
「それを君が知る必要はない!」
「なぜですか!私も絵画を愛する人間の端くれです!納得いく説明をお願いします!」
「頭を上げなさい。」
「嫌です!なぜこの絵が偽物なのかの説明を聞くまでは、上げません!」
「なら一生そうしていればいい!君だけじゃないんだぞ!納得がいかないのは!人の気も知らずに・・・・・・・・・。」
「館長?泣いてらっしゃるんですか?」
「・・・・・・・・・泣いてなどいない!とにかくだ!泣いてこの絵が本物になるなら!私は一生分の涙を今この場で流す!・・・・・・・・・だがどうあがいたって残念ながら、この絵は偽物なんだよ。分かってくれないか?」
「すいません。館長の気持ちも考えずに・・・・・・・・・。」
「いや、この素晴らしい作品を前にして、絵画を愛する者ならば、誰だって取り乱すのは当たり前だ。さあ、この偽物を取り外す作業を手伝ってくれるね?」
「はい。ん?館長、右手を怪我されたんですか?」
「ん?ああ、これか。はははっ!年甲斐もなく機関との取り決めが終わったあと、悔しさで壁を殴ってしまっただけだよ。」
「・・・・・・・・・館長。」
「さあ!悲しみに浸っている場合ではないぞ?開館までに取り外さなくてはな!偽物を展示する訳にはいかないからな。」
「はい!館長!」

第三百話
「じゃんけん、ぽい!」

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コメント

継続することって大きな力がいりますよね。
300話おめでとうございます。

投稿: 水晶 | 2012年3月15日 (木) 15時01分

ありがとうございます。
気付けば300話まで書いていました。
これからも何と無く適当にガシガシ書き続けていきます。

コメントありがとうございました。

投稿: PYN | 2012年3月17日 (土) 23時01分

最後の最後に、

タイトルで

オチを出してくるとは……

PYNさんおそるべし!

コメントが前後しましたが、

わたしからも、三百話達成おめでとうございます。

奇しくも、『白い日』だったんですね。

投稿: MASSIVE | 2012年4月 7日 (土) 08時03分

ありがとうございます!ホントだ!「白い日」だ!

タイトルまで、もっと引っ張った方が面白かったかもしれませんでした。

反省です。

まあ、それは四百話に生かそうかなと!

コメントありがとうございました。

投稿: PYN | 2012年4月11日 (水) 20時38分

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