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2012年3月 7日 (水)

「第二百九十九話」

 雪がチラつく窓の外、その部屋の中では、電気を点ける人と電気を消す人が、壁のスイッチを真ん中に、電気を点けたり消したりしながら語り合っていた。
「なあ?電気を点ける人?」
「何だ?電気を消す人?」
「勇気って何だろうな?」
「今日はまた、随分と笑顔で話すんだな。」
「昨日、笑顔の日だったから、きっとたぶんおそらく、その名残だと思う。」
「笑顔の日?笑顔の日は、流れ星が流れた次の日じゃなかったか?」
「なかなか流れ星が流れないから、個人的に笑顔の日を作ったんだ。」
「大丈夫か?国に知れたらヤバいんじゃないのか?」
「その時は、その時で、影武者を出頭させるよ。」
「なっ!?電気を消す人!影武者がいるのか?」
「今はまだいないけど、その時の為に探しとく事にするよ。」
「そうか。で?笑顔の日って、なに?」
「昨日、寝る前に部屋にいた蟻を食べたんだ。」
「食べるなって。」
「美味かった。」
「美味るなって。」
「けど、朝になって目が覚めたら、お腹痛くなってた。」
「お腹るなって。」
「で、仕方無いからまた、部屋にいた蟻を食べたんだ。」
「仕方るなって。」
「そしたら、治った。」
「何で?」
「判らない判らないけど、きっとたぶんおそらく、蟻には2種類の蟻がいて、お腹を壊す蟻とお腹を治す蟻がいるんだと思う。」
「いや、いたとしても見分け方が判らない現状、食べないのが無難だろって。」
「わらわは、無難な生き方が嫌い。」
「急に品格!急に格式!なぜに?」
「急にって、シャンプーで頭洗う時は、いつもこんな感じだけど?」
「じゃあ、それはその時だけにしてくれよ。身分が違い過ぎるのかと思ってガクブルだったよ。」
「あはは。」
「なあ?前から思ってたんだけど、電気を消す人?」
「何だ?電気を点ける人?」
「どうして、笑う時、いつも空気椅子?」
「髭が伸びるから。」
「伸びないでしょ、笑ったぐらいで、髭。」
「それが予想以上に伸びるんだよ、電気を点ける人。」
「予想なんてしてないよ?電気を消す人。」
「あはは。」
「いやだから電気を消すひ伸びてる!?予想以上に!」
「だからいつも空気椅子なんだよ。まあ、別に空気椅子じゃなくても、空気ソファーや空気ロッキングチェア空気パイプ椅子やら、空気なら何でもいいんだけどね。」
「良くないじゃん!むしろ椅子が肝心じゃん!」
「ホタルってお尻が光るだろ?」
「うん。光るな。」
「ホタルのお尻が、どう言う仕組みで光るのか?その本当の理由知ってる?」
「いやまず、本当じゃない方の理由からして知らない。」
「実は、ホタルのお尻は、光ってないんだよ。」
「おいおいおい、いよいよ大丈夫か?電気を消す人。光ってるじゃないか、ホタルのお尻。」
「こう考えたら辻褄が合うんだ。ホタルのお尻が光ってるんじゃなくて、ホタルを見てる人間側のホタルのお尻の部分の目の領域が光ってる。ってね。」
「いや、合あわせる辻褄が見当たらないぞ?」
「この理論を応用して作られた物を知ってるかい?電気を点ける人。」
「随分とあれだな、電気を消す人?まあユニークな領域の話なこった。」
「ショベルカーだ!」
「おっと、これはもはや向かうところ敵無しな領域の話だな。」
「勘違いしないで欲しいんだけど、人は見ようによったら、みんな左利き!」
「おい、どうした電気を消す人?熱でもあるんじゃないのか?」
「熱は全部、あの頃の思い出と共に捨てたから大丈夫。」
「全部捨てたら大丈夫じゃないだろう。むしろそっちの方が厄介だぞ?」
「白いチョコレートってあるだろ?」
「あるな。」
「あれ、黒くした方が、チョコレートっぽいのにな!だから嫌いなんだよ!」
「そんな事を思ってホワイトチョコレートと向かい合った事、無かったよ。って食べてるじゃないか!ホワイトチョコレート!」
「今はこれしか腹を満たす物が無いから仕方無く黒いチョコレートを思い浮かべながら、食べてる!」
「いや、その食べ方も去ることながら、ホワイトチョコレートを持ってる件!」
「それを知ってどうする?まさか白いチョコレートを奪う気かっ!」
「大好物じゃないか!」
「いや、白いチョコレートは、想像力が鍛えられる食べ物だからさ。」
「いやそれなら、バナナを思い浮かべながら、リンゴを食べた方が良くないか?」
「この世界から戦争が無くなったら、或いはその領域もありかな。」
「何とも言えない領域の言い訳だな。」
「このシチュエーションで雪について触れないのはどうかと思わないか?電気を点ける人?」
「別に雪について語る事も無いんだし、あえてわざわざ無理にしなくても、いいんじゃないのか?電気を消す人?」
「雪だるまって作った事ある?」
「グイグイ来るんだな、電気を消す人。雪だるま?あるよ。」
「悲しいよな。雪だるまってさ。」
「急にどうした?まあ、確かに作った時は楽しいけど、徐々に溶けて小さくなっていく姿を見てると、そうかもな。」
「結局、ドロップキックで顔が転がっちゃう結末だもんな。」
「雪だるま相手に、なにしてんの?」
「なあ?電気を点ける人?」
「何だ?電気を消す人?」
「勇気って何だろうな?」
「ああ、そう言えばそんな質問してたな。勇気、勇気かぁ?だいぶ難しい質問んだな?って何で髭が伸びてる!」

第二百九十九話
「この何も無い空間で」

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