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2012年4月11日 (水)

「第三百四話」

目覚めた朝は、何時もの朝で、ただ今朝は少し雨が降っていたぐらいでやはり、何時もの朝と他は何一つ変わらなかった。
「チン!」
トーストが焼き上がる頃にはもう、仕事へ行く準備が整っていた。テーブルに広げた新聞を読みながらトーストを口に運び、エスプレッソで流し込む。
「ゴックン!」
相変わらず記事の内容は頭の中に入って来ない。
「ジャー!」
皿とカップを流しに置き、とりあえずの洗い物は休日に持ち越す事にした。後はネクタイを絞めて上着を着れば準備万端。頭の中で忘れ物が無いかをシュミレーションをしながら鍵を手にドアを開け、心の中で行ってきますと無人の部屋へ一声掛けてからドアを締めた。
「ガチャガチャ!」
小雨の降る何時もの通勤路。マンション出入口の階段を降り右へ、小学生達と擦れ違いながら最初の信号を渡り真っ直ぐ、少し歩いて右へ、消防署の横断歩道を渡り左へ、暖かくなって来たとは言え、日陰はまだまだ寒い。ポケットの中の手は無造作に鍵とライターを弄っていた。商店街を真っ直ぐ抜けると地下鉄の入り口、階段を下り人の波に逆らいながら改札へ、また階段を下りると何のトラブルもなく何時もの時刻に何時もの車両へ乗り、2駅。
「ガタンゴトン!」
電車を降りて階段を上り改札へ、人の波の1部となって階段を上り、商店街を真っ直ぐ歩きながら、せめて明日からは新聞の天気予報欄だけは読もうと思いながら商店街を抜けて斜め左へ、三又を左へ行き突き当たりを右へ、考えたくないが今日の仕事での失敗ばかりが頭の中を巡っていた。考えても仕方の無い様な事を考えてしまうんだから、自然と笑えてくる。
「ザァァァァァァ!」
それがどしゃ降りなら尚の事、地球上で今1番惨めな生物は自分なんじゃないかと錯覚する。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
気付くと部屋のドアの前に立っていた。鍵を開けながら、今日も郵便受けを開けるのを忘れた事に気付いたが、それは明日の自分に託す事にして部屋の中へ。
「シャァァァァァァ!」
お風呂へ直行し冷えた体を暖め気持ち良く歌なんて歌いながら湯船に浸かっているとカレーの良い匂いがした。
「ゴォォォォォォォ!」
だいぶ伸びた髪をドライヤーで乾かしながら次の休日にでも切りに行くかと考えていると、カレーの良い匂いに反応して、お腹が鳴った。
「グゥ~!」
部屋着を着てテーブルにつくとそこには心を癒すカレーライスがあった。全ての感覚と全ての感情と全ての細胞が求めていたカレーライス。

第三百四話
「母のカレーライスに敬礼!!!」

「いただきます。」
その想像上のカレーライスを一気に食べそして、今日も眠りについた。

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コメント

こんばんはhappy01

忘れられる前にやってまいりました(*^O^*)

そか(´ω`)母のカレーライスに敬礼!ですねwink

なんとなく、わかるような気がします( ̄ー ̄)

お風呂のあとに気がついた、長くなった髪の毛のことも……。

そう言えば、ある方の、短歌を掲載したウェブサイトに永らくお邪魔していなかったことを思い出しました( ̄ー ̄)なぜだろう?

この、週末までにはお邪魔したいと思いますcoldsweats01

PYNさんのお母さん、きっと素敵な方ですねwink

オヤジさんは、わりと天然系の、味のある方なんでしょうか?お酒と人が好きだったりして。

いや。勝手に想像(妄想)を膨らましちゃいましたcoldsweats01

また、お邪魔しますhappy01

投稿: MASSIVE | 2012年4月11日 (水) 22時25分

因みに私の母は、まだ生きています!happy02

父は天然ではないですが、キャラとしたら面白いですね( ̄▽ ̄)

何か何時もと違う感じな作風にしたかったのですが、何時もな感じになってしまった!!(゚ロ゚屮)屮

短歌の方の所も、お邪魔してみて下さい。

コメントありがとうございました。

投稿: PYN | 2012年4月14日 (土) 23時36分

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