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2012年6月20日 (水)

「第三百十四話」

「おいこら先生!先生おいこら!」
「倒置法!?」
「何も倒置法になってねーだろうが!」
「女子、女子女子。汚いよ言葉遣い。まともな教育受けろよ。」
「まともな小説書かない先生に言われたくねーよ!」
「倒置法!?」
「ああ?なんすかそれ?さっきっから!先生の中でマイブームなんすかそれ?」
「で?今日は何の用なの?原稿は昨日渡したよね?ちゃんと渡したよね?まさか!?金か!金を借りに来たんだな!このやろう!とっとと帰りやがれ!」
「何で今日、アタシが来たのか。」
「その急に社会人に戻る癖、止めた方がいいよ?結婚出来ないよ?」
「どちらかと言えばこっちがナチュラルなんだよ!って結婚した事もない奴が人の結婚をとやかく言うなよな!」
「分かったぞ!私を殺しに来たんだな!」
「どんな展開?そんなんじゃねーよ!」
「だったら何で、何でもない日に来るんだよ!人の平和を乱すな!この悪め!」
「一回マジで脳ミソ掻き回してやろうか?いいすか?これは、編集長の命令で来たんですよ!」
「あのクソメガネ!」
「編集長、メガネ掛けてないし、で!ででで!先生がいっっっつも〆切ギリギリギリギリで書き上げるもんだから!一緒にアイディアを絞り出して来いって、スゲェ下らねー仕事を言い渡されたんすよ!」
「倒置法!?」
「それ、何にでも使えるオールマイティーな言葉じゃねーからな!」
「なるほど、それは本当に下らない仕事だ。」
「下らな過ぎて笑えるね!何でアタシの貴重な時間をこんな事に使わなきゃならないんすかね!誰が悪いんでしょうかね!ええ?」
「・・・・・・・・・政治?」
「おめーだよ!!おめぇの頭がポンポンポンポンアイディア出せばこんな事にはなってねーんだよ!ポンポンポンポンアイディア出せねーなら小説家なんて辞めちまえよ!それか最終奥義を使って人間なんて辞めちまえよ!」
「どーやって死のうかな?出来るだけ人に迷惑掛けて死のうかな?」
「こっそりひっそり!どっかで淋しく1人で死んでろ!」
「まあまあまあ、人間死ぬ時は死ぬとしてだ。キミが心配している様な事態にはならないから安心しなさい。すぐに休日に戻して上げようではないか!」
「どーゆー意味すか?」
「にっぶいねぇ?だから、結婚出来ないんだよ!」
「次、言ったらマジで掻き回すからな!」
「だっから~!あるんだよ!」
「何が!」
「来週分のアイディアは既に私の頭の中にある!って事じゃないか!」
「マジかよ!先生、それマジなのかよ!」
「マジ、と言う言葉を使うのであれば、マジ!」
「で?それは一体どんな話なんすか?」
「ちょっ!肩を叩く力加減!」
「ああ、わりぃわりぃ!で?どんな話なんすか?」
「今回は、やりつくされたネタ、を書きたいと思います!」
「ああ?何だよそれ!どーゆー意味すか?」
「つまりだな?毎回毎回、斬新さに手を出し過ぎてたって事だよ。だから、ここは逆にあえて、やりつくされたネタ、を題材にする!斬新が一回りして辿り着く境地ってヤツさ!」
「手抜きか煮詰まったの境地だろ?んまあ、面白ければ別にどーでもいいけど、やりつくされたネタ、って一体どんな話を書くつもりなんすか?」
「やりつくされたネタ!と言えば、タイムマシーンじゃない?」
「そうなんすか?」
「タイムマシーンだろ?」
「そうなんすかね?」
「タイムマシーンだよ!」
「じゃあ、そうなんじゃねーの。」
「違うの?」
「知らねーよ!先生がアイディアあるっつったから、こっちは黙って聞いてるだけだろうが!タイムマシーンが、やりつくされたネタ、だろうがどーでもいいんだよ!」
「いやいやいや、世の中の認識として、やりつくされたネタ、って感覚が欲しいんだよ。でも、キミの反応を見ると、タイムマシーンはそうでもないのか?」
「だいたい、やりつくされたネタ、ってそもそもなんなんすか?ネタにやりつくされたもやりつくされてないもあるんすか?面白ければそれでよくね?パクりじゃないならそれでよくね?」
「あれか?何か良い事を言ってやった風情か!」
「んなんじゃねーよ!読者が面白いと思ったら、それでいいんじゃねーの?って話っすよ。」
「私も楽しくなければ、それもう既に私の作品ではないのだよ!」
「なら、先生も楽しい!読者も楽しい!んな作品を書けばいいだろうが!簡単な話だろうが!」
「その角度からは簡単だが、この角度からは簡単ではないんだぞ?じゃあ、余命的な話はどうだろうか?」
「いんじゃねーの?」
「どこかに閉じ込められた男女数人が次々と謎の死を遂げる話とか?」
「書きたきゃ書けば?」
「落ちこぼれチームが成長してくスポ根とか!」
「スポ根って、まあいんじゃないすか?」
「全く一緒にアイディア絞り出してくれないじゃないか!」
「ああ?何に言ってんすか?だから、こっちは先生がアイディアあるっつったから、聞いてだけだって言ったろ?やりつくされたネタ、ってまさかタイムマシーンだけだったんじゃねーだろうな!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・正解!」
「溜めてんじゃねーよ!」
「もうピーマン嫌いな子供の話にしようかな?」
「んだよその話!どんな話だよ!投げやり感も適当感も開き直り感も満載じゃねーか!」
「ピーマン嫌いな子供がな。タイムマシーンに乗って、大人になった自分を見に行くんだよ。そこで、ピーマンを嫌いだったが為に落ちぶれた自分の姿を見て、がっかりする。そして現在に戻って、未来を変える為にそこから必死でピーマンを食べる!サクセスストーリーだよ!どーだよ!え?どーなんだよ!」
「面白い!」
「だろ!」
「とでも言うと思ったのかよ!」
「何だ、引っ掛け問題か。性格悪いぞ。」
「おめーに言われたくねーよ!ああああ!もう時間の無駄だから、そのピーマンの話でいいよ!」
「で、いいよ?」
「ああ、でいいよ。」
「貴様、これでこの話が大ヒットしたら!その時は土下座だからな!」
「上等だよ!してやるよ!」

第三百十四話
「社会現象」

「すいませんでした!」
「うむ。」

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