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2012年9月12日 (水)

「第三百二十六話」

 一匹のメダカがいて、一羽のカラスがいる。いや、メダカとカラスしかいないと言った方が、或いは今は正確なのかもしれない。
「メダカ?」
「何だ?カラス。」
そう、地球は死んだ。
「僕らは、これからどうなっちゃうんだろう?」
「どうなっちゃうって、そりゃあ、死ぬだろ。」
「だよね。」
「地球が死んだ。水も空気も空も大地も花も森も小川も全てが死んだんだ。」
「でも、だったら何で僕らは、こうして生きてるんだろう?」
「さあな?そんな事は知ったこっちゃない。何かの気紛れだろ?たまたまさ。そう俺らは、たまたま生きてるだけさ。何かに選ばれた訳でもなし、ましてや特別な存在って訳でもない。いいか、カラス。妙な事は考えるなよ?俺らは、たまたま生きてるだけだ。この運命に抗うな!この運命に従え!」
「でもメダカ!もしかしたら他にも生きてる生物がいるかもしれないじゃないか!」
「ああ、そうだなカラス。たまたま、他にも生きてる生物がいるかもしれない。だから何だ?それが何だって言うんだ?他の生きてる生物を捜すか?それもいいだろ。だが地球は死んだ。お前が俺を喰おうとした瞬間、突如として眩い光に包まれたかと思ったら、次の瞬間、地球は死んだ。他に生きてる生物を捜し出して協力したって、地球が生き返る訳でもない。」
「そんなの!やってみなきゃ分からないじゃないか!」
「確かに世の中には、やってみなきゃ分からない事がある。だがな?それと同時に、やらなくても分かる事があるんだよ。」
「他に生きてるかもしれない生物を捜す事がそうだって言いたいの!」
「残念だが、そうだ。お前が捜したいなら、お前が気の済むまで捜せばいい。だが、俺はそれに付き合うつもりはない。」
「そんな事を言わないで一緒に行こうよ!メダカ!こんな所にいたら死んじゃうよ!」
「カラス。俺は行かない。いや、正確には、行けないと言うべきか。」
「どう言う事だか分かんないよ!メダカの言ってる事、全然分からないよ!」
「それはな、カラス。俺が、地球が死ぬ前に死んでいたからさ。いいな!運命に抗うな!運命に従え!さあ、だからカラスよ!旅立つ前に止まった俺の運命の歯車を動かしてくれ!」
「どう言う事?」

第三百二十六話
「俺を喰らえ!」

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