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2012年9月26日 (水)

「第三百二十八話」

「ガチャ!」
「お兄ちゃん!」
ノックもしないで部屋に入って来たのは、小6のオレの小3の弟だ。
「ノックしろっていつも言ってんだろ?」
「あっ、ごめん!お兄ちゃん?」
「何だよ。」
「今日の怪談は、すっっっっごい怖いよ!」
今クラスで怪談が流行ってるのか知らないけど、弟は最近、毎晩オレの部屋に来ては、勝手に怪談を聞かせてくる。
「何かお前の怪談って毎回毎回、怖くないんだよなぁ?」
「今日のは怖いよ!なんたって、僕達の学校の七不思議だからね!」
「ウチの学校の七不思議?」
「お兄ちゃん全部知ってる?」
「真夜中のコンサートだろ?」
「深夜、誰もいない音楽室のピアノが奏でる真夜中のコンサート!噂では、発表会当日の朝、交通事故で死んじゃった女の子の幽霊だとか。」
「首吊りの体育倉庫。」
「いじめられた生徒が体育倉庫で首吊り自殺をした。夜になるとなぜか体育倉庫からボールをつく音が聞こえて来る。倉庫の扉を開けると、自殺した生徒が自分の頭をボールの代わりについていた。噂では、ロープじゃなくてワイヤーで首を吊ったから、頭と胴体が切断されたとか。」
「赤いウサギ。」
「普段は、かわいい飼育小屋のウサギ達。でも、満月の晩だけは、ウサギ達が真っ赤になる。噂では、満月の度に生徒が1人、行方不明になるとか。それは誘拐なのか?事故なのか?ううん、違うよ。それは、ウサギ達が食べちゃったから。」
「走るガイコツ。」
「理科室には、ガイコツの模型がある。噂では、そのガイコツは昔、理科室で殺されて、薬品で骨だけにされた、かけっこの速い男の子だとか。」
「・・・・・・・・・あとは?ん?あと何かあったっけ?」
「七不思議だよ?まだ四不思議しかないじゃん!」
「いやでも、ウチって四不思議しかなくないか?」
「それは、お兄ちゃんが知らないだけで、ちゃーんと七不思議あるんです!」
「じゃあ、残りの三不思議を教えてくれよ。」
「いいよ!あっ、の前にお兄ちゃん?トイレ行っといた方がいいかもよ?」
「漏らすかよ!」
「ふっふっふっ!」
「何だよ。その気持ちの悪い笑い方は!」
「話があまりにも怖くて、オシッコ漏らしちゃうからじゃなくて、次の不思議がトイレの話だからだよ。」
「ウチの学校にトイレの怪談なんかあったっけ?」
「あるある!その名も!止まらない下痢!」
「はあ???」
「その日、5年生の男の子は、朝からお腹の調子が悪かった。一時間目の授業が終わるチャイムと同時に男の子は、トイレに走った。噂では、その男の子はまだ、そのトイレでウンチを出し続けてるとか。」
「明日、学校のトイレ全てチェックすっぞ!ってどこが怪談なんだよ!単なるお腹の弱い子の悲劇だろ!」
「違うよ?お兄ちゃん。」
「何が違うんだよ。」
「その男の子はもう、今では立派な中年のおじさんなんだよ!」
「どんだけ出し続けてんだよ!服ピチピチか!てか生活感が漂い過ぎだろ!」
「次のは、もっと怖いんだから!」
「いや、今の話の後なら、だいたいが怖い話になっちゃうよ!」
「その名も!時代遅れの校長先生!」
「ならなかった!もうタイトルで怖さを表現する気が全く無いだろ!」
「ウチの学校の校長はね?凄く時代遅れなんだ。とにかく機械には弱いし、カタカナには弱いし、流行には疎いし、言葉遣いが古臭いし、臭いし、カツラだし、社会の教科書に出てくるみたいな顔だし!」
「いやだから、それってもはや校長先生を語ってるだけじゃん!怪談って言うか、もはやちょっとした悪口になっちゃってんじゃん!んなこと直接言ったら、ただただ顔真っ赤にして怒られるだけだ!」
「怖いでしょ?」
「違う意味でな!しかも、こっちが全面的に悪いからな!」
「噂では、ウチの校長先生、電池で動いてるとか。」
「時代遅れなんだかハイテクなんだか分からなくなっちゃったぞ!」
「少子化社会!!」
「何だよ急に難しい言葉を大声で!兄ちゃんの部屋で急に世の中に訴えかけるなよな。」
「次の話のタイトルだよ。」
「はい?」
「噂では、このまま少子化が続くと、学校が閉鎖されちゃうとか。」
「どこ目線の怖い話をしてんだよ!学校目線か?って怪談でも何でもないだろそれ!いろいろと、リアルに恐怖な話だそれは!いやむしろ、ちょっと悲しい話になっちゃってるぞ?」
「老後が心配だね。」
「何で小6と小3の兄弟が今から老後の心配しなきゃならないんだよ!てか、学校の七不思議関係無いじゃん!」
「僕達が大人になったら、もしかしたら僕達の学校はもう、無くなってしまっているのかもしれない。」
「何でドキュメンタリー番組みたいな感じで、メッセージ性を込めて話を終わらしてんの?」
「漏らした?」
「漏らすか!てか、やっぱりウチの学校には、四不思議しかなかったって事だよな?」
「次の不思議はね。」
「いやいやいや、八不思議になっちゃうから!」
「タイトルはね?」
「くだらない不思議を一体、あと何不思議話すつもりなんだよ!」

第三百二十八話
「弟」

気付くと朝だった。

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